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公開日:2026.01.08 更新日:2026.09.29

表面利回りと実質利回りの違いとは?計算式と計算例を解説

サムネイル

不動産の利回りとは、物件価格に対して1年間にどれだけの収益が得られるかを示す指標です。代表的なものに、家賃収入だけで計算する「表面利回り」、経費や購入時の諸費用まで含める「実質利回り」、満室を前提とする「想定利回り」の3つがあります。

計算式は、表面利回りが「年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100」、実質利回りが「(年間家賃収入 − 年間経費)÷(物件価格 + 購入時の諸費用)× 100」です。同じ物件でも、表面利回り12.0%が実質利回りでは約8.0%まで下がることがあります。数字だけを鵜呑みにすると、実際の経費やリスクを見誤りかねません。

本記事では、3つの利回りの違いと計算例、エリア別・物件タイプ別の相場、高利回りに潜むリスクを解説します。利回りシミュレーションのポイントや、投資目的に合った物件選びの基準も紹介するので、初めて不動産投資を検討する方も、ぜひ参考にしてください。

不動産利回りの主な種類:表面利回り・実質利回り・想定利回り

右肩上がりになっていくグラフ

不動産投資を検討する際には、表面利回りや実質利回り、想定利回りといった指標を正しく理解しておかなくてはなりません。不動産投資における利回りは、大きく分けて表面利回り・実質利回り・想定利回りの3つに分類できます。その違いを把握し、より正確な収益シミュレーションに反映させましょう。

種類計算式経費の扱い特徴と使いどころ
表面利回り年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100含めない最もシンプルで、多数の物件をざっくり比較するときに向いています
実質利回り(年間家賃収入 − 年間経費)÷(物件価格 + 購入時の諸費用)× 100含める実際の収益に近く、投資判断の中心になる指標です
想定利回り満室時の想定年間家賃 ÷ 物件価格 × 100含めない空室や家賃下落が反映されないため、参考値として使います

表面利回りとは

表面利回りとは、年間家賃収入を物件価格で割って求める指標で、計算式は「年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100」です。経費は含まないため、実際の収益より高く出ます。例えば物件価格500万円・年間家賃60万円なら12.0%です。

年間家賃収入を物件価格で割ることで求められますが、修繕費や管理費、水道光熱費などの経費は含まれません。そのため実際のキャッシュフローとは差が出る場合が多く、投資判断の目安としては粗い数字にとどまります。とはいえ、市場を俯瞰して多数の物件を比較する際には、目安として活用できる便利な指標でもあります。

実質利回りとは

🧮実質利回りの計算の流れ(例:物件価格500万円)
1
年間家賃収入を出す
月5万円 × 12か月 = 60万円
2
年間経費を合計する
固定資産税等8万円 + 管理費3万円 + 修繕費5万円 + 保険料1万円 = 17万円
3
投資総額を出す
物件価格500万円 + 購入時の諸費用40万円 = 540万円
4
実質利回りを計算する
(60万円 − 17万円)÷ 540万円 × 100 = 約8.0%
表面利回り
12.0%
実質利回り
約8.0%
※数値は説明のための例です。実際の経費や諸費用は物件により異なります。

実質利回りとは、年間家賃収入から年間経費を引いた額を、物件価格と購入時の諸費用の合計で割って求める指標です。計算式は「(年間家賃収入 − 年間経費)÷(物件価格 + 購入時の諸費用)× 100」で、表面利回りより低くなります。

表面利回りと比べてやや手間がかかりますが、正確に投資リスクを把握するうえではこちらの指標が重要視されます。得られる家賃収入と必要経費を丁寧に算出することで、長期的な収益の安定性を見積もりやすくなるでしょう。特に築古物件の場合は修繕費の増加が予想されるため、実質利回りを計算すると想定以上に低下するケースがあります。なお、事業として減価償却費を計上できるかどうかは、物件の用途や所得区分(不動産所得・事業所得等)によって異なるため、税務上の区分を前提に試算する必要があります。

想定利回りとは

想定利回りとは、満室で稼働した場合の想定家賃をもとに算出する利回りで、実際の収益とは差が出やすい参考値です。空室や家賃下落は反映されないため、表面利回り・実質利回りと合わせて確認します。

ただし、実際の運用では空室リスクや家賃の下落リスクもあるため、想定通りに収益を上げられるかは不確定要素が大きくなります。また、利回りを高く見せるトリックに使われる場合もあるので、投資家としては慎重に分析する必要があり、表面利回りや実質利回りなど複数の指標と合わせて、総合的に考える姿勢が求められます。

エリア別・物件タイプ別の利回り相場

電卓と家のミニチュア

利回りはエリアや物件タイプによって大きく変わります。都市部と地方、ワンルームやファミリータイプなど、それぞれの相場を理解しましょう。

都市部の利回り相場

都市部の賃貸住宅の利回りは低い傾向にあります。日本不動産研究所の不動産投資家調査(2026年4月現在)では、東京・城南の期待利回りはワンルームタイプで3.6%、ファミリータイプで3.7%でした。なお、期待利回りは投資家が見込む利回りで、個人向け物件の表面利回りとは定義が異なり、一般に低めの数値になります。

需要の高さゆえ物件価格は割高となり、表面利回りは低くなりがちですが、その分入居が安定しやすく、キャッシュフローの予想がしやすい点がメリット。一方で、都心では似た条件の競合物件も多いため、差別化や物件管理が重要です。安定性を重視しながらも、いかに適切な価格で物件を取得できるかがポイントになります。

出典:一般財団法人日本不動産研究所「第54回 不動産投資家調査」(2026年4月現在)

地方エリアの利回り相場

地方は取得価格が低いことから、表面利回りに注目すると魅力的に見える物件が多いのも事実です。とはいえ、人口減少が進む地域では空室リスクが高まりやすく、家賃も下落しやすいという懸念があります。安易に利回りだけを求めるのではなく、将来的に投資を回収できるかどうか、地域経済や雇用状況の変化にも目を向け、需要動向を徹底的にリサーチして安定的な収益の検討が必須です。

ワンルーム・ファミリー・一棟アパートの利回り比較

物件タイプによる利回りの違いは、投資額と入居需要、管理のしやすさによって左右されます。ワンルームは比較的購入しやすく、若年層の需要がある一方で、家賃設定が低くなるため、多くの部屋を運用しなければ大きなキャッシュフローを得にくい面があります。ファミリータイプは単価が高く購入ハードルが上がりますが、家族層の安定した需要を取り込めるため、長期にわたって空室リスクを最小化しやすいのが特徴です。一棟アパートは物件全体を管理・運用できるため利回りが高くなる場合もありますが、管理コストや修繕費も大きく、投資額自体が高額となることに留意しなければなりません。

高利回りのリスクとリスク回避のポイント

丸バツと不動産屋のミニチュア

高い利回りには相応のリスクが伴います。投資後に思わぬ損失を出さないためにも、具体的なリスクと回避策を知っておきましょう。

空室リスクと家賃下落リスク

高利回り物件は、エリアの需要が限られている場合や、古い建物を大量に保有するケースに多く見られます。仮に魅力的な収入計画が立てられたとしても、実際に入居者が確保できないと収益は大きくダウンしてしまう恐れも。さらに家賃が下落し始めると、表面利回りで見積もっていたほどの収益は期待できません。空室が長期化しないよう、管理体制の見直しや周辺相場の調整を常に行うことが大切です。

建物・設備の修繕コストを見極める

築古物件やメンテナンスが行き届いていない物件は、一見高い利回りに魅力を感じますが、修繕コストがかかる点に注意が必要です。屋根や外壁、給排水設備など、建物の基本的な部分が老朽化していないか、事前に必ずチェックしておくようにしましょう。大規模修繕は一度に多額の費用が発生し、利回りを一気に押し下げる要因となるため、専門家の調査を入れたり定期的なメンテナンス計画をしっかり立てるなどして、必要コストを見極めておくことが欠かせません。また、建物の維持管理費には、擁壁やエレベーターなど工作物の安全管理費用も含まれ、これらは所有者の法的責任(民法上の工作物責任)を伴います。

利回りシミュレーションで必ず押さえておきたい項目

投資判断を行う際は、シミュレーションをしっかり行うようにしましょう。収入・支出の把握や出口戦略まで検討することで、より精度の高い投資計画を立てられます。

収入・支出の内訳とキャッシュフロー計算

キャッシュフローを把握する際には、家賃収入以外にも礼金・更新料といった変動収入や、固定資産税や保険料など毎年必要となる費用を漏れなく算出します。特に、修繕積立金や突発的な修繕費用は見落としやすく、後々にキャッシュ不足を招く原因となりかねません。

安定した収支バランスを築くためには、月ごと・年ごとの資金変動をシミュレーションし、余裕を持った資金計画を立てることがポイント。収入と支出のバランスが見えてくると、投資の安全性やリスク許容度が明確になります。また、キャッシュフローが悪化した際、融資を受けている場合は金融機関との「金銭消費貸借契約」に基づき返済義務があるため、契約内容の理解も不可欠です。

出口戦略を視野に入れた利回り試算

不動産投資で長期的な収益を考えるうえで欠かせないのが、最終的な物件を売却するタイミングや価格です。購入時点の利回りだけに満足せず、売却益や資産価値の変動も含めたトータルの利益を把握しておく必要があります。

市場が活況な時期に売却できれば良い利回りを確保できますが、景気や不動産市況の変動は予測が難しい点に要注意。利回りのシミュレーションには、保有期間中の賃料収入だけでなく売却時のコストや譲渡所得税なども組み込み、慎重に判断しましょう。この譲渡所得税の計算のため、購入時の諸費用や保有期間中の修繕費などの「取得費」を示す書類は、売却時まで確実に保管する必要があります。

利回りだけにとらわれない物件選びの基準

虫メガネとグラフ

利回りの高さだけを追い求めると、かえってリスクを見落とす可能性があります。安定性や将来性にも目を向けた物件選びの基準を見直しましょう。特に築古物件では、購入後に判明した建物の瑕疵(かし)について、売主の「契約不適合責任」が免責されていないか、契約書や重要事項説明書で事前に確認することが必須です。

立地や需要を重視した資産性の高い物件

賃貸需要が見込める立地は、多少利回りが低く見えても、家賃相場が下がりにくく長期的な安定が期待できます。駅近など交通アクセスの良い物件を中心に、地価や地域経済の動向を確認したうえで選びましょう。

メンテナンスや管理体制のチェックポイント

管理会社の対応や建物の維持状況は、空室率や長期的な利回りに直結します。管理費用は実質利回りを削る要因でもあるため、コストに見合ったサービス水準かどうかを事前に見極めましょう。

❓利回りに関するよくある質問
Q1.表面利回りと実質利回りの違いは何ですか?
表面利回りは年間家賃収入を物件価格で割った利回りで、経費は含みません。実質利回りは年間家賃収入から経費を引き、物件価格と購入時の諸費用の合計で割って求めます。同じ物件でも、実質利回りのほうが低くなります。
Q2.実質利回りの計算に含める経費は何ですか?
固定資産税・都市計画税、管理費、修繕費、火災保険料などの年間の支出が対象です。購入時の仲介手数料や登記費用などの諸費用は、計算式の分母に加えます。
Q3.表面利回りが高いのに、実質利回りが低くなるのはなぜですか?
経費と購入時の諸費用が加わるためです。特に築古物件は修繕費が大きくなりやすく、空室による家賃の減少も加わると、表面利回りとの差はさらに広がります。

まとめ・総括:投資目標に合った利回りを見極めよう

表面利回りは、年間家賃収入を物件価格で割った簡易的な指標です。実質利回りは、経費と購入時の諸費用まで含めた、実態に近い指標です。同じ物件でも、表面利回り12.0%が実質利回り約8.0%まで下がることがあります。物件を比べるときは、まず実質利回りで収支を確認しましょう。

ただ、空き家や築古物件は、修繕費や空室の見込みが読みにくいものです。自分で試算しても、この物件が本当に投資に向いているのか、迷うことがあるかもしれません。そんなときは、アキサポの無料相談をご利用ください。検討の段階でも、お気軽にご相談いただけます。

この物件は本当に投資に向いている?迷ったら、まずご相談ください
利回りの試算や物件の見極めは、空き家や築古物件ほど判断が難しくなります。検討の段階でも大丈夫です。アキサポの専門スタッフが、無料でご相談をうかがいます。

この記事の監修者

一級建築士 白崎 達也

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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