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公開日:2026.02.11 更新日:2026.02.12

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不動産の減価償却とは?計算方法や耐用年数、節税の仕組みを詳しく解説

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不動産投資において「減価償却による節税」は非常にポピュラーな手法です。

しかし、「どの資産が対象か」「何年で償却するのか」「毎年の経費計上額はいくらか」といった具体的な仕組みを、正確に把握できている方は意外と多くありません。また、減価償却は保有中の税負担を軽くしやすい一方で、売却時には取得費が目減りした扱いになって譲渡所得が増えやすい、という、あとから効いてくる落とし穴もあります。

そこで本記事では、減価償却の基本である対象や耐用年数、計算の手順、売却時に取得費が目減りして譲渡所得が増えやすい仕組み、修繕費か資本的支出かなどのよくある判断ポイントまでを実務で迷いやすい順に整理します。

不動産における減価償却の仕組み|土地が対象外となる理由

減価償却とは、建物や設備などの取得費を耐用年数に応じて分割して、経費として計上する仕組みです。支出した年に全額を経費とするのではなく、資産の使用可能期間(耐用年数)にわたって費用を配分し、少しずつ計上していくのが減価償却の本質です。

対象となるのは建物とその付属設備で、土地は対象になりません。そのため、土地付き建物を購入した際は、総額のうち「建物」と「土地」の按分比率が非常に重要です。減価償却の対象は建物のみであるため、建物比率が高いほど、単年の節税効果は大きくなります。

減価償却によって得られる節税効果

減価償却の節税効果は、実際にお金が出ていかないのに経費として計上できる点にあります。たとえば家賃収入が同じでも、減価償却費を計上できる年は課税対象となる所得を圧縮しやすく、所得税・住民税の負担が軽くなるケースが出てきます。

特に中古物件は償却スピードが早い傾向にあるので、短期間で償却費を大きく取りやすく、キャッシュフローは黒字でも税務上の利益は小さくできる場合があります。

建物の「法定耐用年数」とは何か?

建物の「法定耐用年数」とは、建物や設備を「税務上、何年で使い切った扱いにするか」という基準を国が定めたものです。これは物理的な寿命(壊れるまでの期間)とは異なり、税務上の公平性を保つために国が定めた一律の「資産の見積期間」です。

ここで覚えておきたいのが、同じ築年数でも構造によって耐用年数が異なることです。一般的に頑丈な構造ほど耐用年数が高く、木造よりも鉄骨造、鉄骨造よりもRC造の方が長くなります。

さらに不動産投資では、建物本体だけでなく、給排水設備やエアコンなどの付属設備をどう扱うかでも償却の年数が変わるため、購入時は「どこまでが建物で、どこからが設備か」を意識しておくと、経費計上の設計がしやすくなります。

【構造別】建物の法定耐用年数一覧表(木造・RC造・鉄骨造)

建物の構造別の法定耐用年数は以下のように定められています。

木造・合成樹脂造のもの

細目耐用年数(年)
事務所用のもの24
店舗用・住宅用のもの22
飲食店用のもの20
旅館用・ホテル用・
病院用・車庫用のもの
17
公衆浴場用のもの12
工場用・倉庫用のもの
(一般用)
15

木骨モルタル造のもの

細目耐用年数(年)
事務所用のもの22
店舗用・住宅用のもの20
飲食店用のもの19
旅館用・ホテル用・
病院用・車庫用のもの
15
公衆浴場用のもの11
工場用・倉庫用のもの
(一般用)
14

鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの

細目耐用年数(年)
事務所用のもの50
住宅用のもの47
飲食店用のもの34
(うちに占める木造内装部分
の面積が30%を超えるもの
(この場合のもの))
41
その他のもの31
旅館用・ホテル用のもの39
(うちに占める木造内装部分
の面積が30%を超えるもの
(この場合のもの))
39
その他のもの31
店舗用・病院用のもの39
車庫用のもの38
公衆浴場用のもの31
工場用・倉庫用のもの
(一般用)
38

れんが造・石造・ブロック造のもの

細目耐用年数(年)
事務所用のもの41
店舗用・住宅用・
飲食店用のもの
38
旅館用・ホテル用・
病院用のもの
36
車庫用のもの34
公衆浴場用のもの30
工場用・倉庫用のもの
(一般用)
34

金属造のもの

細目耐用年数(年)
事務所用のもの
(骨格材の肉厚(以下同じ。)
4mmを超えるもの)
38
事務所用のもの
(骨格材の肉厚 3mmを超え、
4mm以下のもの)
30
事務所用のもの
(骨格材の肉厚
3mm以下のもの)
22
店舗用・住宅用のもの
(4mmを超えるもの)
34
店舗用・住宅用のもの
(3mmを超え、
4mm以下のもの)
27
店舗用・住宅用のもの
(3mm以下のもの)
19
飲食店用のもの
(4mmを超えるもの)
31
飲食店用のもの
(3mmを超え、
4mm以下のもの)
25
飲食店用のもの
(3mm以下のもの)
19
旅館用・ホテル用・
病院用・車庫用のもの
(4mmを超えるもの)
29
旅館用・ホテル用・
病院用・車庫用のもの
(3mmを超え、
4mm以下のもの)
24
旅館用・ホテル用・
病院用・車庫用のもの
(3mm以下のもの)
17
公衆浴場用のもの
(4mmを超えるもの)
27
公衆浴場用のもの
(3mmを超え、
4mm以下のもの)
19
公衆浴場用のもの
(3mm以下のもの)
15
工場用・倉庫用のもの
(一般用)
(4mmを超えるもの)
31
工場用・倉庫用のもの
(一般用)
(3mmを超え、
4mm以下のもの)
24
工場用・倉庫用のもの
(一般用)
(3mm以下のもの)
17

新築不動産と中古不動産の耐用年数の違い

中古資産の耐用年数は、原則として「法定耐用年数」と「経過年数」から計算します。中古物件の簡便法による計算式は「(法定耐用年数 - 経過年数) + 経過年数 × 20%」です(※)。法定耐用年数の全部を経過している中古物件の耐用年数は、「法定耐用年数 × 20%」で計算します。

ここが中古投資の節税が効きやすいと言われる主な理由で、残存年数が短くなるほど、毎年計上できる減価償却費は大きくなりやすいです。

ただし、償却期間が早く終われば、その後は償却費が減って税負担が増えやすくなるので、中古物件の方が良いと一概に言えるわけではありません。

※ 計算結果に1年未満の端数がある場合は切り捨て、2年未満になった場合は2年とする

減価償却費の計算方法

減価償却費の計算方法には「定額法」と「定率法」の2種類がありますが、建物は取得時期により適用関係があり、平成10年(1998年)4月1日以後取得の建物は定額系(旧定額法/定額法)が原則です。さらに、平成28年(2016年)4月1日以後取得の建物附属設備・構築物は定額法のみとなります。

算出する手順は以下のとおりです。

  • ① 取得価額を確定する(建物・設備など、償却対象のみ)
  • ② 耐用年数を確認する
  • ③ 定額法の償却率を確認する(耐用年数に対応)
  • ④ 年間の減価償却費を計算する
    • 減価償却費=取得価額 × 定額法の償却率
  • ⑤ 年の途中で取得した場合は、使用月数で按分する(必要な場合)

計算例:取得価額500万円/耐用年数15年(定額法の償却率:0.067)

  • 年間の減価償却費:500万円 × 0.067 = 33万5,000円

不動産を売却した際の減価償却費の影響

減価償却費を計上してきた不動産を売却するときに押さえておきたいのは、建物の取得費が「未償却残高」まで減った扱いになる点です。

建物を売却する際の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。仮に必要経費に算入していない年があっても、取得費計算では減価償却費相当額を控除する前提で整理されます。節税だけでなく、売却時まで考えて処理しておくほうが安全です。

譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で計算しますが、この取得費のうち建物部分は、減価償却をするほど小さくなっていきます。そのため、同じ価格で売れたとしても、償却が進んでいるほど譲渡所得が大きく見えやすいという関係になります。

たとえば、建物1,000万円を購入し、保有中に300万円を減価償却していた場合、売却時に取得費として使える建物部分は「1,000万円−300万円=700万円」です。この状態で900万円で売ったとすると、譲渡所得は「900万円−700万円=200万円」となります。

ここで気を付けたいのが「減価償却はやった分だけ得」と思い込むことです。実際は、保有期間中に税負担を軽くしやすい代わりに、売却時に譲渡所得として表面化し、タイミングを変えて回収される形になります。

【Q&A】不動産の減価償却でよくある質問|リフォームや赤字時の対応

減価償却は仕組み自体はシンプルですが、扱いがよく分からないケースも散見されます。ここでは減価償却の手続きでよく出てくる質問として、以下の3つに答えていきます。

  • リフォームや増改築を行った場合はどうなる?
  • 事業用不動産と居住用不動産の違いは?
  • 赤字が出ている年でも減価償却は必要?あとからまとめて計上できる?

リフォームや増改築を行った場合はどうなる?

リフォームや増改築をした場合の費用を減価償却費として扱うか否かは、その支出が「修繕費」なのか「資本的支出」なのかで扱いが変わってきます。

壁紙の張り替えや壊れた設備の交換など、元の状態に戻す性質が強いものは修繕費として処理されやすいですが、間取り変更や性能向上、グレードアップなど、建物の価値を高める工事は資本的支出として減価償却の対象になりやすいです。

ここは判断が割れやすいポイントなので、実際は具体的な内容を見ながら判断することになります。そのため、見積書や請求書は「どの工事にいくらか」を分けて保管し、支出内容を説明できる形にしておきましょう。

建物割合の算定や耐用年数の適用には、高度な判断が求められる場面もあります。当初の計画時点で税理士等の専門家へ相談し、一貫性のある処理方針を固めておくことが、将来の税務リスク回避につながります。

事業用不動産と居住用不動産の違いは?

事業用不動産と居住用不動産の違いは、ざっくり言うと「収入を得るために使っているかどうか」です。賃貸に出して家賃収入が発生している物件は事業に使っている資産として扱われ、建物や設備の減価償却費を必要経費に計上できます。

一方で、自宅など居住用として使っている不動産は、生活のための資産なので、原則として減価償却を経費化することはできません。なお、一部を事務所として使うなど用途が混在する場合は、面積や使用実態に応じて按分して処理する考え方になります。どこまでが事業用かが曖昧だと説明が難しくなるため、利用状況が分かる資料を残しておくと安心です。

赤字が出ている年でも減価償却は必要?あとからまとめて計上できる?

減価償却は、黒字・赤字に関係なく、ルールに沿って毎年計算して処理するのが基本です。個人の不動産所得において、減価償却は「強制償却」です。法人のように任意で償却を休止することはできず、たとえ計上しなくても売却時の取得費計算では「償却したもの」として差し引かなければなりません。

この点は、不動産を売却する場合の取得費の考え方にも影響が出やすいため、年度ごとにきちんと償却を進めておくほうが安全です。迷う場合は、建物割合や耐用年数の設定も含めて一度税理士に確認し、以後は同じルールで継続すると運用が安定します。

まとめ:適切な減価償却でリスクを抑えつつ運用をめざそう

こうして見ると、減価償却は「得をする魔法」ではなく、税負担のタイミングを組み替える道具だということが分かります。保有中は家賃収入に対する課税所得を圧縮しやすい一方で、建物の取得費は償却した分だけ目減りした扱いになるため、売却時には譲渡所得が大きく見えやすくなります。

大切なのは「今年の税金が減るかどうか」だけで判断せず、購入から保有、修繕、売却までの流れで数字がどう動くかを一度つないで考えることです。具体的には、①土地・建物・設備の区分を購入時点で固めてブレないルールにする、②耐用年数と償却方法を決めたら毎年同じ基準で計上する、③リフォームや修繕は“修繕費か資本的支出か”を説明できるよう見積・請求の内訳を残す、この3点を押さえておくと安心です。

空き家を所有している場合、適切なリフォームを行い賃貸経営を行うことで、減価償却費を計上しながら資産活用が可能です。「アキサポ」では、持ち出しゼロでの空き家再生をご提案しているので、お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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