公開日:2026.02.17 更新日:2026.02.12
NEW【確定申告 不動産投資】2026年最新ガイド|経費の範囲から節税のコツまでを解説
不動産投資を始めたばかりだと「家賃が入ったら必ず確定申告?」「経費ってどこまで落としていい?」など、いろいろな疑問が湧いてくると思います。
しかも、給与の有無や所得額、売却の有無でルールが変わるので、うろ覚えのまま進めると申告漏れや計上ミスのリスクも付きまとうため心配な方も多いでしょう。
そこでこの記事では、確定申告が必要になるケースの整理から、青色・白色の違い、経費の考え方、期限を過ぎた場合のリスクなどを解説します。初めてでも「今年やるべきこと」が見える状態にしていきましょう。
目次
不動産投資で確定申告が必要になるケース

不動産投資の確定申告が必要かどうかを判断する主なポイントは「どんな立場で運用しているか」と「利益(所得)がいくら出たか」です。家賃収入が入った時点で一律に申告が必要になるわけではなく、給与の有無や譲渡(売却)の有無、還付を狙うかどうかによって扱いが変わってきます。
専業で不動産投資を行っている場合
専業で不動産投資をしている場合は、年末調整のように自動で精算されないため、所得と税額を自分で確定させる必要が出てくるケースが多いです。また、所得がゼロや赤字でも、還付を受けたい場合や、青色申告で赤字の繰越控除を使いたい場合は申告が前提になります。
また、利益が出ていなくても「申告が不要」とは限りません。たとえば経費計上や減価償却の影響で所得がゼロや赤字になっていても、所得の確定作業として申告を行う必要がありますし、青色申告で赤字の繰越控除などを使いたい場合は、申告しないと適用できません。
なお、申告の区分が「青色か白色か」は、申告の要否に直接影響しません。青色・白色はあくまで申告の方式であり、どちらを選んでも申告をするのが基本です。
給与所得者で不動産所得が年間20万円以上ある場合
会社員でも、不動産所得が年間20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。ここでいう「20万円」は家賃収入そのものではなく、必要経費を差し引いたあとの所得(利益)です。家賃収入が年間100万円あっても、管理費・修繕費・減価償却などを引いた結果、所得が20万円以下なら所得税の確定申告が不要になることがあります。
なお、損益通算で所得税の還付を受けたい場合は、20万円以下でも確定申告を行う必要があります。
ただし、20万円以下は申告不要というルールは所得税に適用されるものなので、所得税の確定申告が不要な場合(所得20万円以下)でも、市区町村への「住民税の申告」は別途必要です。住民税には「20万円以下なら免除」という規定がない点に注意しましょう。
不動産を売却した場合(譲渡所得)
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は確定申告が必要です。譲渡所得は家賃収入とは別枠で税金が計算され、売却価格から取得費や仲介手数料、印紙税、測量費などの譲渡費用を差し引いて利益を確定させます。
なお、利益が出たときだけでなく、損失が出た場合でも「申告したほうがいい」場面があります。たとえば他の所得との損益通算や、特例の適用可否の確認が絡むと、申告の有無で結果が変わるため、売却が絡む年は申告が前提と考えておいた方がよいでしょう。
税金の還付を受けたい場合
確定申告は税金を払うためだけでなく、払いすぎた税金を取り戻すために行うケースもあります。代表的なのは、不動産所得が赤字になったときに給与所得と損益通算をして、源泉徴収された所得税の一部が還付されるパターンです。
また、青色申告特別控除や赤字の繰越控除も、申告して初めて使えるので忘れないようにしましょう。
確定申告をして会社に不動産投資がバレる可能性は?

確定申告書そのものが会社に共有されることはありませんが、市区町村から会社へ届く住民税の決定通知(特別徴収額)をきっかけに不動産投資がバレる可能性はあります。
住民税の特別徴収額は、給与所得に加えて、確定申告した不動産所得なども含めた「前年の課税所得」をもとに算出します。ここに不動産所得が反映されると、給与に対して住民税が不自然に高く見え、総務・経理側で違和感を持たれる可能性があります。
このリスクを下げたい場合は、確定申告時に住民税の納付方法を普通徴収(自分で納付)にして、不動産所得分を給与天引きに混ぜないようにする対策方法があります。うまく分離できれば、会社へ届く特別徴収額が「給与分の住民税」に近い形になり、住民税額から副収入を推測されるリスクは下がります。
ただし、ここで重要なのは「普通徴収を選べば必ず分離できる」とは限らない点です。自治体の運用や所得の内容によっては、普通徴収を希望しても特別徴収に回される(混ざる)ケースがあります。
加えて、副業規程や届出ルールがある職場だと、住民税以前に「規程違反」がトラブルの火種になることもあります。そのため、リスクを回避するには「住民税の分離」と「社内ルール確認」をセットで行っておきましょう。
青色申告と白色申告の違い
不動産投資の確定申告は、大きく「青色申告」と「白色申告」に分かれます。大まかに説明すると、青色は「複式簿記で帳簿を整備する必要がある代わりに節税メリットが大きい」方式で、白色は「手間が少ない代わりに節税効果も少ない」方式です。どちらが正解ということはなく、収益規模や運営の方向性などで決めていくのが基本です。
青色申告のメリット・デメリット
青色申告の最大の魅力は、節税効果と「赤字の扱いの強さ」です。一定の要件を満たした場合に最大65万円の青色申告特別控除が使えたり、赤字を翌年以降に繰り越せたりするため、投資を継続するほど恩恵が効いてきます。
特に物件取得初年度は、登録免許税や不動産取得税、仲介手数料などの諸費用が発生し、会計上の赤字(税務上の損失)を計上しやすいため、青色申告の恩恵を最も受けやすい時期といえます。
一方のデメリットは「帳簿の整備が前提になる」点です。複式簿記での記帳や決算書の作成が求められるため、慣れていないと最初の年は負担が重く感じやすいです。利益が少ない場合は手間のわりにメリットを感じにくいかもしれません。
白色申告のメリット・デメリット
白色申告のメリットは、シンプルで始めやすいことです。作成する書類も比較的簡素で、記帳も青色ほど厳密な形式を求められません。不動産投資を小さく始めてみる段階なら、白色を入口にする選択も現実的です。
ただし、白色は節税面の伸びしろが限られます。青色申告特別控除のような仕組みは使えず、赤字が出たときの扱いも青色ほど強くありません。売上が増えてきたときに白色のままだと税負担の影響をダイレクトに受けやすく、手元に残る金額に差が出てきます。
不動産投資の確定申告の申告期間と必要書類

申告期間
確定申告の申告期間は原則として毎年2月16日〜3月15日です。対象になるのは前年1月1日〜12月31日の所得で、家賃収入や経費、減価償却などをこの期間にまとめて申告します。期限を過ぎると延滞税や加算税が発生する可能性があるため、遅れそうなら「先に提出して後で修正する」くらいの意識で動いたほうが安全です。
白色申告の必要書類
白色申告で基本となる提出書類は次の2つです。
- 確定申告書(第一表・第二表)
- 収支内訳書(不動産所得用)
青色申告の必要書類
青色申告で基本となる提出書類は次の2つです。
- 確定申告書(第一表・第二表)
- 青色申告決算書(不動産所得用)(損益計算書・貸借対照表など)
なお、青色申告特別控除65万円を適用するには、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存の要件を満たす必要があります。
不動産投資で計上できる主な経費
不動産投資の経費に計上できるか否かは必ずしも費目だけで判断されず、実態として家賃収入を得るために必要だったかという点から判断されます。費目はあくまで大まかな判断材料として用いられるもので「この費目なら絶対大丈夫」というわけではありません。
ここでは、不動産投資で計上できる主な経費として、以下の5項目を紹介します。
- 減価償却費
- ローン借入時の利息や保証料
- 管理費・修繕積立金・管理委託料
- 仲介手数料や広告宣伝費
- 固定資産税・都市計画税
減価償却費
減価償却費は、建物や設備などの購入費用を、法定耐用年数に応じて分割して経費化するものです。購入した翌年からはその年に支出がなくても経費として計上できるため、継続的に多額の利益を圧縮しやすいという特徴があります。なお、土地は対象にはなりません。
計算方法には「定額法」と「定率法」がありますが、不動産投資で中心になる建物は原則として定額法で計算します。つまり、建物部分は毎年ほぼ同じ金額を一定ペースで償却していく形になります。
減価償却については以下の記事で詳しく解説しています。
不動産の減価償却とは?基本の仕組みと計算方法を詳しく解説
ローン借入時の利息や保証料
ローン返済のうち、経費にできるのは基本的に「利息部分」のみです。元本返済は資産(借入金)の返済にすぎないため経費として計上できません。
また、保証料は支払い方によって処理が変わります。融資実行時に一括で支払う場合は、契約期間に対応させて費用を配分する扱いになりやすく、原則としてその年に全額を経費にできないケースがあります。月々の返済に含まれる場合は、毎月の支払の一部として処理しやすく、支払った分をその都度、必要経費として計上する形が基本になります。
管理費・修繕積立金・管理委託料
区分マンション投資でよく出てくるのが、管理費・修繕積立金・管理委託料です。管理費は共用部の維持管理に使われる費用として必要経費になり、管理会社へ支払う委託料も、入居者対応や集金代行など家賃収入を得るためのコストとして経費計上が可能です。
なお、分譲マンションの修繕積立金を経費にするには「返還義務がないこと」「修繕計画に基づき適正に積み立てられていること」などの要件を満たす必要があります。
このとき「実際に修繕が行われたときの支出」と「毎月積み立てるお金」をどう整理するかは、管理組合の通知や明細をもとに整えておくと説明がしやすいです。説明書類として管理会社の送金明細や管理費の内訳は、年単位で整理して保管しておきましょう。
特に空き家を再生して賃貸する場合、リノベーション費用(修繕費か資本的支出か)の判定が収支を大きく左右します。「アキサポ」のような仕組みを利用し、初期投資を抑えることは、税務リスクの低減にも繋がります。
仲介手数料や広告宣伝費
仲介手数料は、何のために行ったかで処理が分かれます。入居者募集の仲介にかかった費用は賃貸経営のための経費として扱われますが、購入時の仲介手数料や登録免許税は、建物の取得価額に算入して減価償却するか、土地の取得費とします。一方、「不動産取得税」や「印紙税(購入契約書分)」は、取得時の経費(租税公課)としてその年に一括計上することが認められています。
また、広告宣伝費は、募集サイト掲載料、チラシ、クリーニング後の写真撮影費用など、入居者募集に直接関係する支出であれば必要経費として整理できます。ここは用途が分かりやすいので、請求書や管理会社の明細に「募集」「広告」などの記載が残る形で保存しておくと、説明の手間が減ります。
固定資産税・都市計画税
固定資産税と都市計画税も必要経費に計上できます。記録を取っておくために、納税通知書や領収書、口座引落の記録など、支払った事実が分かる資料を保存しておきましょう。
ただし、同じ「税金」でも不動産取得税や登録免許税、印紙税などは性質が異なり、購入時の取得費に含める扱いになるのが一般的です。
不動産投資の経費にできない支出

不動産投資の経費として計上できない支出として一般的なのは、支出の目的が曖昧だったり、私用が混ざっていたりする場合です。基本的に、税務調査で質問をされた場合に、不動産投資との関連性が説明できないものは難しいと考えておきましょう。
ここでは経費にするのが特に難しい2つの項目を見ていきましょう。
個人的な消費や娯楽費用
私的な支出は、原則として不動産所得の経費にはできません。たとえば旅行、家族との外食、趣味の買い物などはもちろん、仕事っぽく見える形でも実態が私用なら経費にするのは厳しいです。
注意したいのは「不動産投資に関係しているつもり」の支出です。たとえば物件の下見を兼ねた遠出で、交通費や宿泊費を計上したくなるケースがありますが、実態として観光要素が強かったり、物件確認の必要性が説明できなかったりすると否認されやすくなります。
経費にするなら、訪問先・目的・日時・確認内容をメモし、資料(内見記録、管理会社とのやり取り、現地写真など)を残して「業務性」を示せる状態にしておく必要があります。
また、自宅の通信費や車両費などの私用と混ざりやすい支出は、全額を経費にするのは難しいです。業務で使っている割合が明確な場合は家事按分をし、難しい場合は使用時間や占有面積などを根拠に按分する方法があります。
所得税などの税金や罰金
所得税や住民税は個人の所得に対してかかる税金なので、不動産所得の経費にはできません。つまり、確定申告で納める税金を経費にして利益を減らすという考え方はできないということです。
また、罰金や延滞金も基本的に必要経費にはできません。たとえば、期限を過ぎたことによる延滞税、無申告加算税などはペナルティの性質が強いので、事業の必要経費というのは難しいでしょう。
確定申告を忘れた・誤った場合のペナルティ
確定申告を忘れたり誤ったりすると、あとから税額が修正される場合や、加算税や延滞税が上乗せされる場合などがあります。主なペナルティは以下のとおりです。
- 無申告加算税:申告を期限までにしなかった場合に加算される。原則として、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円超の部分は20%を上乗せして納める
- 過少申告加算税:申告はしたものの税額が少なかった場合に対象になる。原則として、追加で納める税額に対して50万円までは10%、50万円超の部分は15%が加算される
- 延滞税:納付が遅れた場合に対象になる。納期限からの経過期間によって年率が分かれ、毎年見直される
- 重加算税:不正(仮装・隠蔽)と判断された場合に課される重いペナルティ。原則として、過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%が加算される
ちなみに、期限後申告となると、65万円・55万円の青色申告特別控除は受けられず、10万円の控除(要件を満たす場合)となります。期限を1日でも過ぎると税負担が数万円〜十数万円跳ね上がる恐れがあります。
まとめ:正確な申告が「賃貸経営者」としての信用を形作る
不動産投資の確定申告は、単に税金を納める手続きではなく「家賃収入をどう残すか」を数字で整える作業でもあります。青色・白色の選択や経費の積み上げ次第で、手元に残るお金も、将来の売却時の税負担も変わってくるので、投資の大切なプロセスとして受け取っておきましょう。
迷ったときは、まず「申告が必要な立場か」「不動産所得はいくらか」「売却や還付が絡む年か」を先に確定し、次に領収書・送金明細・按分の根拠メモを揃えてから申告書作成に入るのが安全です。締切に追われると判断が雑になりやすいので、月1回でも資料を整理する習慣を作っておくと、来年以降がかなり楽になります。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。