公開日:2026.02.19 更新日:2026.02.12
NEW再建築不可物件と言われたらどうする?建て替えを可能にする方法と「アキサポ」流の賢い活用術
「相続した実家が再建築不可だった、売却したいがどうするのが正解か分からない…」そんな悩みを持つ方は少なくありません。売却するにしても「安く叩かれるのでは?」という不安も感じると思います。
じつは、再建築不可物件だからといって必ずしも打つ手がないわけではありません。自治体での手続きや隣地交渉などを通じて再建築できる道が残るケースもありますし、再建築が難しくても「今ある建物をどう使い切るか」で損失を抑える戦略は立てられます。
そこで本記事では、再建築不可の基本とリスクを押さえたうえで、再建築可能化の代表的な方法と、活用・売却の現実的な選択肢を、迷いやすい順に整理していきます。
目次
再建築不可物件とは何か

再建築不可物件とは、現行の法令に照らし合わせた場合に、建て替え・新築の確認が得られない敷地(建物)のことです。再建築不可の多くは、法42条道路に敷地が2m以上接していること(接道要件:法43条1項)を満たせないことが原因です。都市計画区域内では、原則として道路に2m以上接していないと、新たな建築が許可されません。
接道義務とは、建築基準法第42条に基づいて、一定の基準を満たした道路に敷地が原則2m以上接していることが必要という考え方です。道路に出られない・通路が細い・道路に見えても法的には道路扱いではない、などのケースだと、この条件を満たせずに再建築不可になりやすいです。
ちなみに、再建築不可=違法建築(違反建築物)ではありません。建築当時は適法だったものの、その後の法改正で現在の基準に適合しなくなった「既存不適格物件」がほとんどです。
再建築不可物件はどうする?放置するリスクとデメリット
再建築不可物件の怖さは、建物が傷んだときに建て替えができないため、将来的な対応策が描きにくいことにあります。
大規模修繕で延命するにしても限界があり、状態が悪化すれば売却もしづらくなります。さらに再建築不可物件は住宅ローンの担保評価が極めて低く、一般的な銀行では融資が通りにくいので、買い手は現金購入層や買取業者に限定されがちです。「立地は良いのに再建築不可だけで価格が伸びない」という状況も起こりやすいでしょう。
さらに、火災や地震などで建物が大きく損傷した場合、復旧が「修繕」で収まるならまだしも、全壊・半壊クラスだと建て替えできないことが致命傷になります。将来の住み替えや売却を見据えるなら「出口戦略(売却・活用・建替)」を早期に描き、リスクを資産価値へ転換する知恵が求められます。
維持費や税金面での負担と資産価値の低下
再建築不可でも、所有している限り固定資産税や都市計画税はかかります。ところが、建物は古くなるほど市場価値は下がり、借り手や買い手は見つけにくくなっていきます。つまり、何も手を打たないと「収益は生まれないのに、税金と最低限の維持費だけが出ていく」構図になりやすいのです。
また、メンテナンスを後回しにすると劣化が加速し、結果的に修繕費が跳ね上がることもあります。特に、雨漏りやシロアリ、設備故障などは、放置すると構造部に波及して負担が重くなるため、再建築不可物件ほど「早めの方向性決定」と「最低限の管理」が重要になります。
老朽化による破損・倒壊や近隣トラブルリスク
老朽化が進んだ場合は建物の存在自体がリスクになるため、所有者だけの問題で済まなくなります。外壁や屋根材の落下、ブロック塀の倒壊、強風での飛散などが起きると、近隣の家屋や通行人に被害が出る可能性があり、所有者としての責任が問われかねません。
また、空き家として放置している場合は防犯面においても注意が必要です。空き家は人の目がないため不法侵入や不法投棄、放火などが起こりやすく、地域の不安要因としてクレームやトラブルに発展するケースもあります。
自分の物件が再建築不可かどうかを確認する方法

自分の物件が再建築不可かどうかを確認するためには、自分の敷地が建築基準法上の接道要件を満たしているかを確認する必要があります。確認先は物件のある市区町村を管轄している自治体で、市区町村が担当していることもあれば、都道府県が担当していることもあります。
なお、調査を始める際には以下の書類をそろえておくと相談がスムーズに進みやすいです。
- 登記事項証明書(全部事項)
- 公図・地積測量図
- 建物図面や配置図、過去の建築確認資料
- 現地写真(前面道路、通路、境界杭、隣地との関係が分かるもの)
自治体で接道判定を確認してもらうには
接道の判定は、自治体で道路の扱いをチェックしてもらうのが基本です。窓口は自治体によって名称が違いますが、建築指導課や建築審査担当、都市計画課などが担当しているケースが多いです。
ここでは、以下のような事項を確認してもらいます。
- 前面の道が建築基準法第42条に基づく道路か
- 道路の種別(第42条1項1号〜5号、2項道路など)
- 道路幅員と、セットバックの要否
- 敷地が道路に接している幅(原則2m以上あるか)
道路の種別が「42条2項道路(みなし道路)」の場合、道路中心線から2mバック(セットバック)することで再建築が可能になる場合があります。
ちなみに「道路に見えるもの」が法的には道路ではないケースもありますし、2項道路に該当していてセットバックで解消できる可能性が残ることもあります。
建築基準法43条2項2号の許可や位置指定道路の有無を調べる
接道義務を満たしていない場合でも、例外的に再建築ができる場合があります。代表的なのが、建築基準法43条2項2号の許可(旧43条但し書き)です。これは、敷地の状況や周辺環境、安全性の確保などを前提に例外的に建築が認められるものです。
ただし、これは必ず許可が得られるものではありません。通路の幅や避難・消防の観点、通行の権原などを複合的に見て判断するので、具体的な判断は自治体の窓口で相談しましょう。
もう一つの重要ポイントが位置指定道路(42条1項5号)です。これは、敷地に接する私有地を道路として指定する制度で、指定を受けていれば接道要件を満たすための道路として扱えます。
なお、これらの相談や判断には専門知識が必要なため、個人で相談するよりも測量士や不動産会社に入ってもらう方がよいでしょう。
再建築不可物件を再建築可能にするための3つの方法

実際に再建築不可と判断された場合でも、完全に諦めるにはまだ早いです。現状接道要件を満たしていなくても、新たに満たせるように手を打てば、状況は変わる可能性があります。
そこでここでは、再建築不可物件を再建築可能にするための代表的な3つの方法を紹介します。
① 隣地の一部を買い取る・借りる
いちばん分かりやすいのは、隣地の一部を取得して接道幅(原則2m以上)を確保する方法です。道路に対する間口を増やせれば、接道義務を満たして建て替えできる可能性が出てきます。
ただし現実の壁として、隣地の所有者との交渉が発生することは避けられません。隣地の利用状況によっては売ってもらえないこともありますし、価格が相場より高くなりやすい点も要注意です。土地を借りる場合も、通行・利用の権利が曖昧だと後で揉めやすいため、間に専門家に入ってもらった方がよいでしょう。
②新たに位置指定道路を申請する
敷地が私道に面している場合でも、その私道が位置指定道路(42条1項5号)として認められれば、道路扱いになり接道要件を満たせる可能性があります。これはいわゆる「道路に見えるけど、法的には道路ではない」を解消する方向です。
ただし、位置指定道路のハードルは高めで、道路としての幅員や構造の条件を満たす必要があり、関係者の同意や管理方法の整理も求められます。周辺全体を巻き込む調整になりやすいので、単独で進めるより、不動産会社や測量士と一緒に位置指定が狙える状況かを見極めてから動くのが現実的です。
③ 土地の等価交換を活用する
周辺の土地の所有者と交渉できそうなら、土地を交換して再建築できる敷地に組み替える方法もあります。たとえば、自分の土地の一部と隣地の一部を交換して接道を確保したり、近隣の土地と交換して条件の良い敷地にしたりといったイメージです。
この方法のメリットは、土地の売買ではなく交換をするので、購入するよりも資金負担を抑えやすいことです。ただし、評価額の調整や境界確定、登記、税務面の整理など、多くの手続きが必要な点には注意しましょう。実施するには不動産会社や土地家屋調査士といった専門家の協力が欠かせません。
再建築不可物件を活用する方法

最後に、将来的にも再建築不可を解消できる見込みがない物件の活用方法を紹介します。
再建築不可物件は、建て替えができないぶん「今ある建物をどう使い切るか」が勝負になります。ここで大切なのは、早めに「住む・貸す・売る」の選択肢を選ぶことです。
状態が良ければ改修をして貸し出す選択肢が考えられますし、それが難しければターゲットを精査して売却を検討することも必要になってきます。
リフォーム・リノベーション
再建築ができなくても、リフォームやリノベーションをして住み続けることはできます。特に、基礎や主要構造部がしっかりしている場合は、内装・設備を刷新するだけでも体感が大きく変わります。施工時には、以下の点を優先的に対応するとよいでしょう。
- 雨漏り・腐食・シロアリなど、構造に影響する傷みの修繕
- 水回り・電気・給排水など生活インフラの更新
- 断熱・窓・換気など、住み心地と光熱費に直結する改善
- 必要に応じて耐震補強(特に古い木造は要チェック)
ただし、
再建築不可物件で大規模なリノベーションを行う際「主要構造部の1/2を超える修繕(大規模の修繕・模様替)」に該当すると建築確認申請が必要になり、事実上施工できない場合があります。そのため、間取り変更や増改築を伴うような場合は、自治体に確認しながら進めたほうが安全です。
なお、再建築不可でも「アキサポ」なら自己負担0円でのリノベーション・賃貸活用を相談いただけます。収益化を検討したいなら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
専門業者や隣地所有者に売却する
自分で保有し続けるのが厳しい場合は、再建築不可物件や空き家の扱いに慣れた買取業者に相談するのも手です。価格は相場より落ちやすいですが、現況のままでも話が進みやすいです。持ち続けているリスクを早く解消したい人にとっては有力な選択肢になるでしょう。
もう一つ、狙い目になりやすいのが隣地所有者です。隣地側が敷地形状を整えたい、駐車場を確保したい、接道条件を改善したいと考えている場合、第三者よりも合理的な条件でまとまることがあります。直接交渉が難しければ、不動産会社を挟んで「隣地買いの打診」をしてもらうと、角が立ちにくく進めやすいでしょう。
賃貸物件や収益物件として運用する
建物の状態が良い場合は、賃貸で収益化できる場合があります。立地が良ければ小規模な店舗や事務所、倉庫などの需要が出ることもあります。
ただし、貸す以上は「安全に使える状態」を担保しなければいけません。特に確認しておきたいのは以下です。
- 耐震性の不安がないか
- 水回り・電気設備の劣化(漏水や漏電など)
- 屋根・外壁の状態
- 火災リスク(配線・ガス・ストーブ環境など)
ちなみに、貸し出す際には修繕費が読みやすい状態に整えたうえで、修繕負担の線引き、告知事項、使用目的といった契約条件をきっちり決めることが重要です。再建築不可物件はあとで建て替えて解決ができない分、運用の設計を丁寧に作ったほうがトラブルを防げます。
まとめ:再建築不可を「どうする」か迷ったら、まず専門家へ診断を
再建築不可かどうかは「古い家だから危ない」という話ではなく、建築基準法の接道義務を満たせず、建て替えの確認が下りない状態にあるかどうかで決まります。ここを曖昧にしたまま持ち続けると、老朽化が進むほど選択肢が狭まり、売却もしづらくなって「結局どうにもならない」に近づきやすい点が厄介です。
そのため、再建築不可物件だと判明したら、まず「可能性の見極め」から始めましょう。具体的には、自治体で道路種別や接道判定を確認し、43条2項2号の許可や位置指定道路、隣地交渉によって再建築可能化が狙える余地があるかを整理する流れです。
もし再建築が難しい場合は、今ある建物の今後の方針と管理・修繕の優先順位、出口をセットで考えていきましょう。再建築不可は物件の欠点というより出口戦略の制約に近いので、今後の可能性と活用・売却の方針決定をつないで考えると、対応策が見えてくることがあります。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。