公開日:2026.02.25 更新日:2026.02.12
NEW空き家を買う前に知っておきたい法律・制限まとめ|知らないと後悔する注意点
空き家は安価で魅力的に見える一方、法律や制度による制限が多く、確認を怠ると深刻なトラブルや後悔につながるケースも少なくありません。
再建築不可や用途地域、契約条件など、購入後に気づいても取り返しがつかない問題も存在します。本記事では、空き家購入に関わる主な法律や制限を整理し、購入前に必ず押さえておきたい注意点をわかりやすく解説します。
目次
なぜ空き家購入は「法律確認」が欠かせないのか

空き家は一般的な中古住宅と比べて、法律や制度による制限が多い傾向があります。築年数の古さや立地条件によって、建築基準法・都市計画法・農地法など複数の法令が同時に関係するケースも少なくありません。
特に注意したいのが、「安いから買った」という判断が通用しない点です。再建築不可物件だったため建て替えができない、用途地域の制限で想定していた活用ができないなど、購入後に初めて問題が発覚する例もあります。こうした制限は、価格には表れにくいため、見落とされがちです。
さらに、法律や制限を知らずに空き家を購入すると、住むことも貸すこともできず、売却も難しいという状況に陥る可能性があります。これは単なる手間の問題ではなく、資産として成立しないリスクにつながります。
トラブルやリスクを避けるためにも、空き家を購入する際は価格的に「買えるかどうか」ではなく、「使えるか・持ち続けられるか」という視点で判断することが大切です。
<全体像>空き家購入に関係する主な法律・制度

空き家を購入する際には、一つの法律だけでなく、複数の法律や制度が関係してきます。すべてを細かく理解する必要はありませんが、どの分野の法律が関わるのかを把握しておくことで、購入判断の精度を高めやすくなります。
| 分類 | 主な法律・制度 |
| 建築 | 建築基準法/接道義務 |
| 土地利用 | 都市計画法/用途地域 |
| 所有・契約 | 民法(契約不適合責任) |
| 農地 | 農地法 |
| 活用 | 住宅宿泊事業法/条例 |
| その他 | 景観条例・自治体独自規制 |
建築に関しては、建築基準法や接道義務が大きなポイント。また、土地利用は都市計画法や用途地域によって制限され、住居利用だけでなく、店舗や民泊への転用可否にも影響します。
そして、購入後のトラブルに関係するのが民法です。契約不適合責任の範囲や「免責特約」の有無によって、購入後に不具合が見つかった際の修繕負担が大きく変わります。地方の空き家購入を検討している場合は、敷地に農地が含まれていれば、農地法の許可が必要になるケースも。さらに、投資や活用を前提とする場合は、住宅宿泊事業法や自治体条例も関係してくるため、注意しましょう。
【空き家購入】法律・制限を確認するためのチェックリスト

空き家購入では、個別の法律を一つずつ調べる前に、最低限どこを確認すべきかを整理しておくことが重要。購入判断に直結するポイントを把握しておけば、致命的な見落としを防ぐことが可能です。まず、以下に購入前に必ず確認したいチェック項目をまとめました。
- 再建築が可能かどうか
- 用途地域による制限はないか
- 敷地内に農地が含まれていないか
- 契約条件や免責条項の内容
- 投資・民泊・店舗など活用上の制限
チェックリストの各項目について、具体的にどのような点に注意すべきかを詳しく見ていきましょう。
再建築不可物件とは?建築基準法と接道義務の注意点
再建築不可物件とは、現在建っている建物を取り壊したあと、新たに建て替えることができない土地・建物を指します。空き家ではこの条件に該当するケースが多く、購入前に必ず確認すべき重要ポイントの一つです。
再建築不可物件に該当する主な要因は、建築基準法の接道義務を満たしていないこと。原則として、建築基準法上の道路(幅員4m以上)に2m以上接している必要があります。古い空き家ではこの条件を満たさないまま建てられていることがあります。
| 内容 | 可否 |
| 修繕・リフォーム | 可能 |
| 使用・賃貸 | 可能 |
| 建て替え | 不可 |
| 大規模な増築 | 不可 |
修繕や内装リフォーム、現状の建物を使った居住・賃貸は可能な場合が多い一方で、建て替えや大規模な増築はできません。そのため、老朽物件の場合、将来的に使えなくなるリスクを抱えたまま保有することになります。
再建築不可物件は、居住目的でも投資目的でも、将来的な選択肢が狭まる可能性があるため、「安いから」という理由だけで判断するのは危険です。購入前に、再建築不可であることを前提とした活用が本当に成り立つかを慎重に検討するようにしましょう。
用途地域・都市計画法による制限
空き家は「既に建物がある」からといって、購入後に法律の制限なく自由に使えるわけではありません。購入後の居住や投資、店舗・民泊への活用を考える場合、用途地域と都市計画法による制限を必ず確認しておく必要があります。
用途地域とは、都市計画法に基づき、土地の使い道を大きく区分したものです。代表的なものとして、住居系・商業系・工業系などがあり、それぞれ建てられる建物や用途に制限があります。空き家がどの用途地域に属しているかによって、「住めるかどうか」だけでなく、「何に使えるか」が決まります。
用途地域によって制限される主なポイントは次の通りです。
- 住宅として居住できるか
- 店舗や事務所として使えるか
- 民泊や簡易宿所が可能か
- 建ぺい率・容積率の上限
たとえば、住居系地域では静かな住環境を守るため、店舗営業や民泊が制限されるケースも。一方、商業系地域であれば、店舗や宿泊施設としての活用がしやすい反面、居住環境が想定と異なることもあります。
また、都市計画区域内かどうかも重要な確認ポイント。市街化区域・市街化調整区域の区分によっては、新たな建築や用途変更が厳しく制限されることがあります。特に市街化調整区域では、原則として住宅の新築や用途変更が認められず、空き家の活用が難しいケースも少なくありません。
農地が含まれる空き家の注意点(農地法)
地方の空き家を購入する際、特に注意したいのが敷地内に農地が含まれているケースです。建物自体には問題がなくても、農地法の制限によって、自由な売買や活用ができないことがあります。
農地法では、農地の権利移動や転用が厳しく制限されており、空き家に付随する土地の一部が「農地」として登記されている場合、原則として農地法の許可がなければ売買できません。中でも注意が必要なのが、農地法3条や5条の許可が必要となるケースです。
農地法3条は、農地を農地として取得する場合に適用されます。原則として「下限面積要件(※現在は撤廃・自治体により異なる)」や農業従事者であることなど、一定の要件を満たし農業委員会の許可を得る必要があります。一方、農地法5条は、農地を宅地などに転用する前提で権利移動を行う場合に必要となり、投資や住宅用地として使う場合はこちらに該当することが多くなります。
問題なのは、許可が下りるかどうかが事前に確定しない点です。許可が得られなければ、売買自体が成立しない、もしくは活用計画を大きく変更せざるを得ない可能性があります。価格が安い農地付き空き家ほど、このリスクを抱えているケースが少なくないため、農地が含まれる空き家を検討する際は、登記や公図を確認し、土地の地目を必ずチェックしておくようにしましょう。
空き家購入時の契約上の注意点(民法)
空き家購入では、建物や土地の条件だけでなく、契約内容そのものが大きなリスク要因になります。その中でも、民法に定められている「契約不適合責任」の考え方には注意が必要。契約不適合責任とは、引き渡された物件が「契約内容に適合していない場合」に、売主が一定の責任を負うという制度です。以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、現在はより広い概念として整理されており、雨漏りやシロアリ被害、設備の故障などが挙げられます。
ただし、空き家の売買では、この契約不適合責任が免責されているケースが少なくありません。いわゆる「現状有姿」での売買です。この場合、引き渡し後に不具合が見つかっても、原則として買主が修繕費を負担することになります。また、免責条項がどこまで適用されるかも重要なポイント。すべての不具合が対象なのか、一部は責任を負うのかによって、購入後のリスクは大きく変わります。
空き家購入では、「安いから仕方ない」と割り切る前に、その安さの裏にあるリスクを正しく理解することが重要です。可能であれば、インスペクション(建物状況調査)を行い、現状を把握したうえで契約条件を判断することで、購入後のトラブルを減らしやすくなるでしょう。
空き家を投資・民泊・店舗で使う場合の法規制
空き家は「住む」だけでなく、賃貸や民泊、店舗として活用できる可能性があります。ただし、活用方法によって適用される法規制が大きく変わるため、投資や事業利用を前提とする場合は、必ず購入前に確認しておくようにしましょう。
まず、民泊は住宅宿泊事業法や旅館業法の対象です。住宅宿泊事業法では、年間営業日数の上限や届出義務が定められており、自治体によっては独自の規制が設けられていることもあります。一方、旅館業法による簡易宿所として運営する場合は、設備基準や消防要件がより厳しくなる点に注意しましょう。
店舗利用や事業用途の場合は、用途変更が必要になることも。住宅から店舗や事務所へ「用途変更」を行う場合、建築基準法上の確認申請が必要になるケース(床面積200平米超など)があるほか、消防法に基づく設備設置も義務付けられるため、用途地域によってはそもそも店舗利用が認められない場合もあります。
賃貸として活用する場合も、無条件に可能とは限りません。建物の用途や設備が賃貸基準を満たしているか、また再建築不可物件の場合、将来的な修繕や更新に制約が出ないかを確認しておく必要があります。
以上の通り、活用を前提とする場合は「購入前」の法規制確認が不可欠です。購入後に「想定していた使い方ができない」と判明すると、計画の見直しや追加コストが発生する可能性があります。空き家を投資や事業で活用する場合は、価格だけでなく、法的に実現可能な使い方かどうかを軸に判断するようにしましょう。
自治体独自の条例・ローカルルール
空き家購入で見落とされがちなのが、自治体ごとに定められている独自の条例やローカルルール。建築基準法や都市計画法をクリアしていても、自治体条例によって追加の制限がかかる場合があります。
代表的なのが景観条例です。歴史的な街並みや自然景観を守る目的で、外観デザインや色彩、屋根形状などに制限が設けられていることがあり、空き家をリフォームする際、想定していた改修ができない、追加費用が発生するというケースもあります。
また、空き家条例を設けている自治体も増加傾向に。管理不全と判断された空き家に対して、修繕や解体の指導・勧告が行われることがあり、状況によっては費用負担が発生。購入後に放置すると、想定外の責任を負う恐れもあります。
民泊や事業利用に関しても、自治体独自のルールが設定されている場合があり、営業日数の制限やエリア指定、事前協議の義務など、国の法律より厳しい条件が課されることも。
同じ条件の空き家でも、自治体が違えば扱いが変わることがあるため、必ず法令だけでなく、必ず自治体の条例や運用ルールまで確認したうえで購入を検討するようにしましょう。
専門家・相談サービスを活用すべきタイミング

空き家購入では、すべてを自分一人で判断しようとすることこそ、見落としや誤解が生じやすくなる最大の要因です。法律や制限が複雑に絡むため、どこで専門家や相談サービスを頼るかを知っておくことが、最大のリスク回避につながります。
<相談する目安>
- 書類の内容が理解できないと感じたとき
- 再建築可否や用途制限の判断に迷ったとき
- 投資や民泊など活用を前提にしているとき
登記簿や公図、契約書などは専門用語が多く、慣れていないと正確な判断が困難なケースが多いでしょう。内容が曖昧なまま進めると、「知らなかった」では済まされない問題につながる可能性があります。
また、再建築不可や用途地域、農地法などは、判断を誤ると計画そのものが成り立たなくなることも。こうしたケースでは、早い段階で専門家の視点を取り入れることで、不要な購入リスクを避けやすくなります。
投資や活用を前提とする場合は、なおさら慎重な判断が必須。法律上の可否だけでなく、将来的に使い続けられるか、手放せるかといった視点も重要になるため、専門家や相談サービスを上手く活用してみましょう。
まとめ:法律と制限を正しく理解し、後悔しない空き家購入を
空き家購入で不安を感じる主な理由は、法律や制限が多く、「何に気をつければいいのか分からない」状態に陥りやすいから。しかし、事前にポイントを押さえておけば、空き家はリスクの高い物件ではなく、判断可能な選択肢になります。
重要なのは、法律や制限を「避けるための壁」と捉えるのではなく、「使えるかどうかを見極めるための基準」として理解することです。価格の安さだけで判断せず、再建築可否や用途地域、契約条件、活用制限まで含めて確認することで、後悔の可能性は大きく下げられます。
特に、投資や活用を前提とする場合は、購入前の確認がすべてと言っても過言ではありません。不安がある場合は一人で抱え込まず、ぜひ『アキサポ』へご相談ください。空き家活用で培った豊富な実績と、司法書士など専門家と連携した強力なネットワークで、納得のいく空き家購入をサポートいたします。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。