公開日:2026.03.26 更新日:2026.04.01
【2026年最新】空き家法改正のポイントを解説!固定資産税6倍を避ける対応策とは
“実家を空き家のまま放置している” “相続したけれど活用方法を見出せていない” そんな課題を抱えている方にとって、2023年12月施行の空き家法改正は決して他人事ではありません。増え続ける空き家を社会全体の課題として捉え、管理と活用を進めるための制度が、大きく見直されました。
この改正によって、行政による指導の強化や固定資産税の優遇措置の見直しが具体化し、空き家の所有者に求められる責任も明確になっています。管理不全空家等と判断される基準を知らないまま放置してしまうと、思わぬ負担につながる可能性もあります。
そこでこの記事では、空き家法改正の背景や押さえておきたいポイントを解説し、施行後の手続きや注意点、売却・リノベーションといった具体的な対応策をご紹介します。空き家問題に取り組むための一助として、ぜひ参考にしてください。
目次
空き家法改正とは? 「空家等対策の推進に関する特別措置法」令和5年改正の背景

少子高齢化や人口減少、都市部への人口集中が進むなか、全国的に空き家が増え続けています。実家が空き家のまま、相続したけれど手を付けられていないなど、そんな状況に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
2023年12月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空き家法)改正は、こうした社会課題に対応するためのものです。従来よりも、行政が空き家問題に積極的に関与できる仕組みへと見直されました。
改正の大きな目的は「放置させない仕組みづくり」
これまでの制度では、空き家が著しく危険な状態にならない限り、行政が介入しづらいという課題がありました。
しかし改正により、特定空家等の指定基準がより明確化され、適切な管理を行わない所有者に対して、早い段階で指導や対応を促すことが可能になりました。
老朽化した空き家は、景観の悪化や倒壊リスク、防災・防犯面の不安など、地域全体に影響を及ぼします。今回の法改正は、そうした問題を未然に防ぐ狙いがあるのです。
所有者不明空き家への対応強化と活用促進
注目すべきは、所有者が分からない空き家への対応強化です。相続放棄や相続登記未了により、誰のものか分からない空き家が増えている現状を踏まえ、自治体が管理・活用に動きやすい制度設計へと改められました。
また、空き家を「負担」ではなく「地域資源」として活かす動きも加速しています。改正法では、「空家等活用促進区域」の設定や「空家等管理活用支援法人」の指定制度が創設され、NPO法人や一般社団法人による管理・活用のサポートが受けやすくなりました。国と自治体が連携し、空き家を総合的に管理・活用していく流れが、より明確になったのです。
空き家を放置するリスク:デメリットと影響

空き家は、放置していても自然に解決する問題ではありません。今すぐ困っていないからと空き家を放置してしまうと、後になって大きな負担となる可能性があります。改正法の施行により、そのリスクは以前よりも顕在化しやすくなっています。ここではデメリットとその影響を解説します。
老朽化・近隣トラブル・行政指導のリスク
人が住まない家は、想像以上に早く傷んでしまいます。建物の老朽化による倒壊や外壁落下で第三者に損害を与えた場合、所有者は『工作物責任(民法717条)』を負い、過失がなくても損害賠償責任を問われるリスクがあります。さらに害虫や害獣の発生など、衛生面の悪化も深刻です。
こうした状態が続くと、行政から是正指導や勧告を受ける可能性があり、結果として修繕費や管理コストが膨らむことも。放置すればするほど、対応のハードルは上がっていきます。
防犯面・税負担の増加にも注意
空き家は、不審者の侵入による放火や不法投棄、害獣の住み着きなど、防犯・衛生上の大きなリスクを抱えています。地域の治安に影響を及ぼす存在になってしまう前に、対策を講じることが重要です。
さらに見逃せないのが、固定資産税の優遇措置が解除される可能性です。今回の改正では、特定空家等になる恐れがある段階の「管理不全空家等」に対して、指導・勧告ができる仕組みが新設されました。市区町村から『勧告』を受けた時点で、翌年度から固定資産税の住宅用地特例(小規模住宅用地なら6分の1)が適用されなくなり、実質的な増税となります。
適切な管理を怠ると、税負担が一気に増えるリスクがある点は、所有者として必ず押さえておきたいポイントです。
改正法のポイント:固定資産税や行政指導の強化

2023年12月施行の空き家法改正では、空き家の管理責任をより明確にし、放置を防ぐための制度が強化されました。なかでも注目されているのが、固定資産税の優遇措置の見直しと行政指導の強化です。
今すぐ住む予定はないから、特に困っていないからと、後回しにしてきた空き家も、管理状態によっては大きな負担につながる時代になりました。改正法は、所有者にとって“知らなかった”では済まされない内容になっています。
以下では、固定資産税と行政対応について、具体的にどのような点が変わったのかを整理していきます。
固定資産税の優遇措置が外れる条件
今回の改正で特に影響が大きいのが、管理不全な空き家に対する税制上の扱いです。 建物が倒壊の恐れがある、衛生上の問題を引き起こしているなど、一定の状態にあると判断された場合、固定資産税の軽減措置が受けられなくなる可能性があります。
これまでは「特定空家等」に指定されない限り、税の優遇が維持されるケースもありました。しかし改正後は、指定基準が明確化されると同時に、判断がより厳格化されています。
具体的には、
・屋根や外壁の損傷が著しい
・雑草やごみが放置され、長期間管理されていない
・周辺環境に悪影響を及ぼしている
といった状態が認められると、特定空家等に該当する可能性が高まります。その結果、地方税法に基づく「住宅用地に対する課税標準の特例」(小規模住宅用地なら6分の1)が解除され、土地の固定資産税負担が実質的に最大6倍に跳ね上がるリスクがあります。
ただし、判断基準は自治体ごとに異なる点も重要なポイントです。自分の空き家がどのように評価されるのか、事前に自治体へ相談しながら適切な管理を行う姿勢が求められます。
特定空家等の指定要件と行政指導
特定空家等とは、倒壊や衛生面、防犯面などで周辺に深刻な影響を及ぼすおそれのある空き家を指します。改正法では、この指定要件が整理され、自治体が判断・対応しやすい仕組みとなりました。
指定された場合、まず行われるのが行政からの是正指導です。それでも改善が見られない場合には、勧告や命令へと段階的に進み、最終的には行政代執行が行われた場合、その費用は行政代執行法に基づき、国税滞納処分の例により強制徴収されます。つまり、拒否しても財産の差し押さえ等が行われる非常に強力な権限です。
特に危険性が高いと判断されたケースでは、対応までの猶予が短くなることも。その結果、固定資産税の優遇解除や解体や修繕の費用負担といった経済的ダメージが一度に押し寄せる恐れもあります。
もっと早く手を打っていれば…と後悔しないためにも、定期的な点検と必要な修繕が、最も重要な対応策といえるでしょう。
空き家を管理・活用する具体策:売却・解体・リノベーション

空き家を有効に活用するためには、まずは売却・解体・リノベーションといった多様な選択肢を把握することが大切です。何から考えればいいのか分からないと感じるかもしれませんが、目的や予算、建物の状態を一つずつ確認していくことで、現実的な方向性が見えてきます。
老朽化が進んでいる場合は解体して土地として活用する、需要のあるエリアであれば売却して資金化する。建物の状態や立地が良好であれば、リノベーションによって新たな価値を生み出す道もあります。空き家対策は正解が一つではなく、状況に応じた判断が求められる分野といえるでしょう。
所有者の管理責任と適切な対策
空き家の所有者には、建物を安全かつ衛生的に維持する責任があります。法改正後はこの点がより重視されるようになり、管理を怠った場合、行政からの勧告や指導、場合によっては近隣トラブルや損害賠償リスクにつながる可能性もあります。
特定空家等に指定されるのを防ぐためには、定期的な建物点検や破損箇所の早期修繕、雑草や害虫の発生防止といった基本的な管理の積み重ねが欠かせません。
遠方に住んでいたり、管理の手間が負担に感じたりする場合には、空き家管理サービスや専門業者の活用も有効です。
日々の管理だけでなく、将来の利用計画を見据えて動くことも大切です。空き家期間が長期化すると、固定資産税の優遇措置を失い、結果的に維持コストが急上昇する恐れがあるため、早めに具体的な対策を進めましょう。
賃貸・リノベーションによる活用のメリット
空き家を賃貸として活用すれば、家賃収入が見込めるだけでなく、人の出入りが生まれることで防犯面の不安も軽減されます。結果として、近隣住民とのトラブル回避や地域環境の維持にもつながる点は、大きなメリットといえるでしょう。
リノベーションを加えれば、古い住宅でも資産価値を高めることが可能です。古い住宅であっても、耐震補強や断熱性能を改善することで、新築に近い住まいとして再生できるケースもあります。こうした手間や費用はかかるものの、長期的に見れば採算が合う可能性も十分にあります。
また、自治体や専門家の相談窓口を利用すれば、補助金や支援制度、最新の活用事例を把握しやすくなります。複数の可能性を比較検討し、自分の目的や立地条件に合った方法を選ぶことで、空き家の価値を最大限に活かすことができるでしょう。
改正法の条文と関連通知:施行日や詳細規定を踏まえた解説

改正法を正しく理解するうえで欠かせないのが、条文そのものと、国・自治体が示す関連通知や省令の確認です。
今回の改正は令和5年法律第50号として公布され、2023年12月13日から施行されました。空き家対策の強化に加え、空家等活用促進区域の設定など、活用まで視野に入れた枠組みが整備された点が特徴です。法律や条例の改正点を理解したうえで、所有者や関係者が円滑に手続きを進められるようにすることが、トラブル防止に繋がります。
令和5年法律第50号の概要と省令
令和5年法律第50号は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正法令です。主な改正点は、
・管理不全空家等への指導体制の強化
・特定空家等の要件整理・明確化
・空家等活用促進区域の設定による地域活性化
といった点に集約されます。
施行期日や具体的な運用方法は、省令によって定められています。2023年12月13日を起点に、自治体の事務手順、情報提供の在り方、空家等管理活用支援法人の設置要件など、実務に直結する内容が明示されました。
これらの改正規定を理解することで、所有者や事業者は今後の空き家活用戦略を立てやすくなります。特に行政からの通知やガイドラインを活用すれば、新たな補助制度や税制優遇の対象となるケースも見えてくるでしょう。
関連通知・手続きについての確認ポイント
改正法の施行後、国や自治体からは関連通知が発出され、手続きフローや必要書類、相談窓口などが整理されています。
所有者として事前に把握しておくべきポイントはこちら。
・特定空家等の判断プロセス
・除却(解体)や是正指導に関する流れ
・補助金・支援制度の要件
通知の内容は自治体ごとに差がある場合もあります。とくに空家等活用促進区域を設定している自治体では、リノベーションや活用に対する補助・支援が手厚くなる傾向があります。自分の物件が対象区域に含まれるかどうか、必ず確認しましょう。
また、管理不全空家等に指定されるリスクを回避するために必要な行政手続きも通知に明記されていることがあります。多くは市町村の公式サイトで公開されているため、空き家活用の意向がある方は早めにチェックしておくことをおすすめします。
施行後の手続きとよくある質問

制度の理解はもちろんのこと、施行後の具体的な手続きや判断の流れを知っておくことは、面倒なトラブルや負担を防ぐ近道になります。
改正により『代執行』の手続きが円滑化され、所有者不明の場合の略式代執行も強化されました。放置への行政の対応は年々迅速化しています。指定要件に当てはまると判断された場合、自治体から管理改善を求められ、対応が不十分だと指導・勧告、さらには強制的な措置へと進む可能性も否定できません。
こうしたリスクを避けるためには、定期的な点検や周辺環境への配慮といった日常的な管理が欠かせません。まだ大丈夫と思っている間に状況が悪化してしまうケースもあるため、早めに対応しましょう。
申請・届出の流れと注意点
特定空家等の要件に該当する可能性があると判断された場合、まず自治体から通知が届きます。その後、指摘内容に応じて、書類の提出や現地調査への対応が求められるのが一般的な流れです。
内容に不明点がある場合は、自己判断で進めず、早めに担当部署へ確認しましょう。認識のズレを放置してしまうと、不要な指導や追加対応につながる恐れがあります。
また、固定資産税の優遇措置に関する手続きも注意が必要です。自治体が定める期日や提出書類を守らなければ、優遇が適用されなくなるだけでなく、後からの修正が難しくなるケースもあります。申請漏れや書類不備は、結果的に大きな負担となりかねません。
さらに、賃貸やリノベーションなどで空き家を活用している場合は、用途変更や建築基準法上の手続きが必要となることもあります。一つの窓口で完結しないケースもあるため、複数の部署に相談するケースも出てくることを把握しておきましょう。
改正法にまつわるQ&A
施行後によく寄せられる疑問として代表的なのがこちらです。
・特定空家等の判断基準は何か
・固定資産税の軽減措置が解除されるのはどのような場合か
・所有者が複数いる場合、誰が対応すべきか
これらは自治体の公式サイトやガイドラインに整理されていることが多いため、まずは最寄りの自治体で情報を確認するとよいでしょう。
2024年4月から開始された『相続登記の義務化』により、正当な理由のない未登記には10万円以下の過料が科される可能性があります。空き家法と併せて二重のリスクを抱えることになります。
共有名義の解消や相続人調査などは、専門的な法的知識が必要です。そのような場合は、司法書士や弁護士など専門家のサポートを受けることで、スムーズに進められる可能性が高まります。
改正法の運用は、自治体ごとに細かな違いが出ることもあります。疑問や不安を抱えたまま放置してしまうと、後から大きな負担につながることも。分からないことは早い段階で確認しておくことが重要です。
まとめ|空き家法改正で変わるポイントと今後の対応
2023年12月施行の空き家法改正により、空き家をめぐる環境は大きく変わりました。特定空家等の指定要件が強化され、固定資産税の優遇措置も見直されたことで、これまで特に問題なく保有していると思っていた空き家であっても、管理状況次第では行政対応の対象となる可能性が高まっています。そのため、所有者としては「まだ大丈夫」と判断せず、できるだけ早い段階で建物の状態や管理状況を確認しておくことが重要です。
今回の改正は負担やリスクを増やすだけの内容ではありません。空き家を地域資源として活かす視点も明確に打ち出され、自治体の支援制度や相談体制が整えられた点は、大きな変化といえるでしょう。
売却や解体といった従来の選択肢に加え、リノベーションや地域コミュニティへの活用など、空き家を再生する道が広がっています。空家等活用促進区域の指定を受けることで、地域の活性化に貢献できる可能性も高まります。
これからの空き家対策では、自治体と連携しながら、適切に管理し、必要に応じて利活用へとつなげていく姿勢が求められます。専門家や行政のアドバイスを積極的に取り入れ、改正法のポイントを正しく理解したうえで、将来を見据えた計画を立てましょう。
法改正の対応に迷ったらアキサポへ相談
空き家の法改正は、負担が増えるだけでなく、活用を考えるチャンスでもあります。アキサポでは、売却・賃貸・リノベーションなど多様な選択肢を整理し、状況に合った活用方法をサポート。迷ったら、まずはお気軽に無料相談から始めてみませんか?
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。