公開日:2026.05.07 更新日:2026.04.27
NEW空き家を無料で手に入れるには?0円物件の探し方と取得後の注意点を解説
空き家を無料でもらえると聞くと「本当にそんなうまい話があるのか」「0円でも後から高くつくのでは」と気になる方が多いでしょう。実際に物件価格がかからない形で取得できるケースはありますが、その一方で登記費用や税金、修繕費、維持管理費まで含めて考えないと、想定外の負担を抱えやすくなります。
そこで本記事では、空き家を無料で手に入れる主な方法から、0円物件で見落としやすい費用の実態、活用時に使える補助金、契約時の注意点までを整理して解説します。無料という言葉だけに引っ張られず、自分に合う空き家かどうかを見極めるための判断材料として役立ててください。
目次
空き家を無料で譲り受ける3つの方法|0円物件はどこで探す?

まずは空き家を無料で手に入れる方法を把握しましょう。主な方法には以下の3パターンがあります。
- 空き家バンクで無料物件や格安物件を見つける
- 親族や知人などから譲り受ける
- 空き家専門のマッチングサイトを利用する
空き家を探す際には、一つの方法に絞るよりも、複数の方法を併用して自分に合う物件を見つける方が効率的です。ここでは、それぞれの方法の特徴やメリット、注意点などを紹介します。
自治体の「空き家バンク」で無料・格安物件を探す
無料物件を見つけるメジャーな方法が、全国の自治体が行っている空き家バンクです。特に、地方にある自治体では、管理の手間から解放されたい所有者が、無料で掲載しているケースが少なくありません。
探し方としては、住みたい自治体のウェブサイトから空き家バンクをチェックし、「0円」や「無料」の条件で絞り込む、または検索するのがよいでしょう。
ただし、自治体によっては条件で検索できない場合や、そもそもウェブサイトに掲載していないケースもあるので、しっかり物件を探すなら、電話や窓口でも問い合わせてみましょう。
ちなみに、空き家バンクは無料で掲載できるので、条件が非常に悪い物件を「ダメ元」で掲載しているケースもあります。掲載情報が良く見えても、じつは重大な欠陥がある恐れもあるので、気になる物件が見つかったら必ず現地でもチェックしましょう。
親族や知人などから譲り受ける
親族や知人から譲ってもらう方法は、近年、現実味を帯びた方法となっています。その背景には、空き家が増えた影響で「ずっと閉まっている家」や「たまに換気だけされている家」を見かける機会が増えたからです。
このようなほぼ使われていない空き家は、できれば維持したいものの、管理の手間と維持費が負担になっているケースが多いです。事情を分かっている親族や知人になら譲っても良いという気持ちの人もいるので、条件がまとまれば譲ってもらえる可能性があります。
なお、この方法で気を付けたいのは、譲り受けた後のトラブルです。親しい関係ほど手続きをおろそかにしがちで、口約束で進んでしまうケースもあります。条件や手続きが適当だと、あとから相続人の同意が取れず名義変更ができない、残置物の処分や修繕費の負担でもめる、境界や越境などの問題が発覚して責任の所在があいまいになる恐れがあります。
無料で譲り受ける場合でも、「現状有姿」での引き渡し条件を含め、契約内容を明記した書面を締結し、所有権移転登記を行いましょう。
空き家専門のマッチングサイトを利用する
空き家専門のマッチングサイトのなかには無料の物件を掲載している場合があります。条件から絞り込めば、エリアを横断して探せるので、無料物件を探す入口として使いやすいでしょう。
ただし、サイト上で「0円」と書かれていても、別の部分で費用がかからないかは確認しておきましょう。0円で掲載されている物件は「何らかの事情(訳あり)」を抱えていることが多く残置物があったりと、取得後に別の手間がかかることがあります。
無料物件は本当に「0円」で済む?費用の実態とは

無料物件は、物件価格が0円でも「取得にかかるお金」が0円とは限りません。実際は、名義変更や契約の手続き、税金、残置物の処分費用などがかかるので、最終的な負担はケースごとに大きく変わります。
そこでここでは、0円物件を取得するときに知っておきたい、費用がかかる可能性がある3つのポイントを紹介します。
0円物件で気を付けたい「あとから費用がかかるケース」
0円物件で特に注意したいのは、取得してから発覚しやすい追加の出費です。無料で引き取れる背景には、売り手側が抱えていた課題が残っていることも多く、そこを引き継ぐ形になると、後からまとまった費用が出てきます。
代表的なケースには以下のようなものがあります。
- 建物の内部が傷んでいる
雨漏り、シロアリ、床下の腐食、配管の劣化などは、内見時点では気づきにくい。特に水回りと床下は追加工事が発生しやすい - インフラの前提が違い、継続コストが増える
下水処理が浄化槽で定期清掃が必要なケースや、寒冷地で凍結対策が必要なケースなどは支出や手間が増える恐れがある - 敷地・外回りの整備が必要になる
庭木の繁茂、擁壁の劣化、物置や納屋の撤去など、外回りにお金がかかるケース。特に田舎の空き家は敷地が広い分、管理コストが読みにくい
物件取得時にかかる費用と税金は?
空き家を取得するときは、物件価格に関係なく、手続きや税金が発生します。代表的なものは以下のとおりです。
- 仲介手数料:不動産会社が仲介に入る場合に、不動産会社に支払う手数料
- 契約関連の費用:売買契約書の印紙税、契約書作成の手間や立会い費用など
- 登記費用:登録免許税(贈与・無償譲渡の場合は固定資産税評価額の2%、売買の場合は2%※土地の軽減措置あり)や、相続登記が未了の場合の代位登記費用、司法書士報酬など
- 不動産取得税:固定資産税評価額 × 税率(土地3%、住宅3%、住宅以外の家屋4%)
ここで注意したいのは、無料譲渡の場合でも税金はかかるという点です。たとえば、名義変更(登記)には登録免許税がかかりますし、取得した不動産に対する不動産取得税も課税されます。
また、無料で譲り受ける場合は、契約の形によっては贈与の扱いになることがあり、暦年贈与の基礎控除額(110万円)を超える評価額の場合、贈与税の申告・納税義務が生じます。なお、個人から受ける場合は贈与税、法人から受ける場合は一時所得として所得税の対象となる点に注意が必要です。
リフォーム・修繕費は避けられない?費用の内訳を解説
無料で手に入れて、安くリフォームしようと考えていると、思った以上にリフォームや修繕費用がかかってしまう可能性があります。そのため、あらかじめ最低限必要な項目を把握しておきましょう。
主なリフォーム・修繕項目は以下のとおりです。
- 基本的な安全対策:屋根や外壁の補修、雨漏り対策、腐食箇所の補強
- 害虫・劣化対策:シロアリ点検と防除、床下の補修、カビ対策
- 設備の更新:給湯器、キッチン、浴室、トイレ、配管の交換や修理
- 電気・空調:分電盤や配線の更新、エアコンの新設、容量不足の対応
- 内装・仕上げ:床・壁・天井の補修、建具の調整、断熱や窓まわりの改善
特に気を付けたいのが、雨漏りやシロアリ、配管の劣化といった、外からは確認できない重要部分です。ここは放置すると建物の傷みが早く進み、後から工事範囲が広がりやすい一方で、解体や交換が絡む分、費用も大きくなりがちです。
可能であれば、内見の段階で地元工務店に同行してもらったり、住宅診断(ホームインスペクション)で状態を把握したりして、追加工事が出やすい箇所の見立てを取っておくと、予算が崩れにくくなるでしょう。
【2026年最新】空き家のリフォーム・取得に使える無料の補助金制度

空き家のリフォームには100万円以上かかることも多いため、補助金の利用が欠かせません。そこでここでは、空き家のリフォームに使える補助金を目的ごとに整理して紹介します。
省エネリフォームに活用できる補助金
国が実施している補助金に、住宅の省エネ化を補助する制度があります。窓やドア、給湯器、開口部や断熱改修という3本立てになっており、1事業で最大100万円を受け取れる場合もあります。
それぞれの制度の概要は以下のとおりです。
- 窓・ドアの断熱改修(先進的窓リノベ2026事業)
ガラス交換・内窓設置・外窓交換・ドア交換など、開口部の断熱を上げる工事が対象。上限額は1戸あたり100万円 - 高効率給湯器の導入(給湯省エネ2026事業)
住宅に高効率給湯機を設置する工事が対象。機器ごとに補助額が決められている。補助額は1台あたり7万~17万円 - 住宅全体の省エネ改修(みらいエコ住宅2026事業)
開口部・躯体の断熱改修、エコ住宅設備の設置などを組み合わせて、住宅全体を省エネ基準相当に引き上げる事業。上限額は対象分によって異なり、1戸当たり40万~100万円
耐震改修やバリアフリーリフォームなどに活用できる補助金
多くの自治体では、耐震改修やバリアフリーリフォームなどを行う場合に補助金を支給しています。
まず耐震改修の補助金は、1981年(昭和56年)5月31日までに建築確認を取得した旧耐震基準の住宅を対象に、耐震診断と耐震改修を支援する制度が用意されているケースが多いです。
補助率や補助額は自治体によって異なりますが、工事費の3分の1〜2分の1程度、数十万円〜100万円程度が多いです。
また、バリアフリー系の補助金は、手すり設置、段差解消、廊下幅の確保、引戸への変更など、高齢者や障害者が暮らしやすい住環境を整えるためのリフォームに支給されます。 補助額の目安は10万〜40万円程度で、高齢者や障害者などの対象者区分によって変わることがあります。
移住や起業、就農などを支援する補助金
上記の補助金以外にも、定住を促すための補助金制度や、起業や就農を支援する補助金制度などを用意している場合があります。直接的なリフォーム補助金ではありませんが、空き家をリフォームして住むために利用できる制度といえるでしょう。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 移住支援金・引っ越し補助:一定要件(就業・起業・子育てなど)で支給
- 起業・就農支援:空き店舗や農地とセットで案内されることもある
移住支援金・引っ越し補助は、移住する際の金銭的負担を大きく軽減してくれます。引っ越し費用や車の購入代金、新しい家具・家電の購入など、何かとお金がかかるので、この制度があるとハードルが大きく下がるでしょう。
また、起業・就農支援は、移住するにあたって新たなチャレンジをしたい人向けの制度です。たとえば空き家を住居兼店舗にしたり、作業場として使ったりできれば、家賃やテナント費を抑えつつスタートできます。自治体によっては空き店舗・農地の紹介とセットで案内されることもあり、「住む場所」と「働く手段」を同時に整えられるのが強みです。
無料物件を探す際に気を付けたいポイント

費用の面しか見ていないと、空き家特有のリスクに気付かないこともあります。そこでここでは、無料物件で失敗しがちな2つのポイントを紹介します。
取得後の維持管理費を見積もっておく
0円物件で見落としがちなのが、取得後に発生する維持管理費です。物件の維持管理には、固定資産税や火災保険、草刈りや庭木の手入れ、雪国なら除雪費などがかかります。さらに、給湯器・屋根・外壁のように故障すると一気に出費が出る設備もあるため、年単位の維持費だけでなく、中長期的な修繕費用を積み立てておく必要もあります。
なお、これらの額を見積もる際には、固定資産税や保険、最低限の草刈り・見回りといった「放置しても発生する費用」と、光熱費や浄化槽の維持や定期点検、凍結対策・除雪などの「使うことで発生する費用」に分けると整理しやすいです。
空き家は使う頻度が低いほど劣化に気づきにくいので、自分で見回れる距離か、管理サービスを使うかも最初からコストとして織り込んでおきましょう。
契約書を始めとする書類をしっかり作っておく
0円譲渡や知人間のやり取りほど、書類を省いてトラブルになりやすい点に注意が必要です。
お互いに信頼関係があると口約束で進めがちですが、あとから相続人が出てきて名義が動かせない、残置物や修繕負担の認識がズレる、境界確定がなされていない物件も多いため、隣地所有者とのトラブルリスクや、将来の売却・再建築時の制約についても事前に確認が必要です。必ず「何をどの状態で引き継ぐのか」を書面で残しておきましょう。
契約書で押さえておきたいのは「引き渡し条件」「費用負担」「責任範囲」の3点です。たとえば、現状渡しなのか設備は使える前提なのか、残置物処分や修繕・測量費は誰が負担するのか、境界や越境、不具合が見つかったときにどう扱うのか、といった線引きを先に決めましょう。費用や権利に関する部分なので、状況が複雑な場合は司法書士や行政書士などの専門家を挟んで進めたほうがよいでしょう。
まとめ・総括
空き家を無料で取得する際に大切なのは「物件価格が0円かどうか」より、取得後も無理なく扱える物件かどうかです。登記や税金、残置物処分、修繕、維持管理までを考慮してはじめて、本当にお得な物件かが見えてきます。
気になる物件が見つかったら、現地確認や費用の整理、契約内容の確認を順に進めながら、必要に応じて自治体や専門家にも相談してみてください。焦って決めるより、最初に確認を重ねたほうが、後の出費やトラブルを減らしやすくなります。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。