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公開日:2021.07.26 更新日:2023.10.02

空き家を相続放棄する前に必ずご確認ください!財産管理義務や損害賠償について

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相続財産の中でも扱いに悩むものの代表格といえば、空き家をはじめとした不動産でしょう。

空き家は管理の手間や税金をはじめとしたお金がかかるだけでなく、遠方の場合は定期的な管理が難しくなるため、「いっそのこと、相続放棄しようか…」と考える人がいるのも当然でしょう。

ですが相続放棄しても、空き家の管理義務が残る可能性があるなど、話はそう単純ではありません。

そこで今回は「空き家×相続放棄」をテーマに、相続放棄の仕組み、手続き内容、相続放棄後の空き家管理義務、気になるお金の話、相続放棄以外の選択などについて、空き家のお困りごとを幅広くサポートしてきたアキサポが分かりやすく解説します。

空き家の相続でお悩みの方にこそ役立つ内容ですので、ぜひ目を通してみてください。

空き家の相続放棄をすると結論どうなる?

空き家の相続放棄をすると、空き家の所有権や付与された権利、及び付与された義務などを一切引き継がないことになります。ただ、相続財産のうち空き家だけを放棄することはできませんし、負債だけを放棄することもできません。あくまで相続全体を放棄することになります。

また、相続人が1人のみの場合や、相続人全員が相続放棄し、自分が最後に放棄した場合などは、空き家を管理する義務「相続財産管理義務」が残ります。

相続放棄とは?基本的な仕組みと必要な手続き

相続税の申告書

まずは相続放棄の基本的な仕組みおよび必要な手続きについて解説します。

相続放棄とは

相続放棄とは、亡くなった親などが残した資産や負債を一切引き継がない行為を指す言葉です。

相続を放棄するには、「自身が相続人となったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所にへ相続放棄の申述を行う」必要があると民法で定められており、基本的には親の死亡を知って確認してから3ヶ月以内に家庭裁判所で所定の手続きを行うこととなります。

なお、相続を放棄する資産については、空き家や土地をはじめとした不動産はもちろん、預貯金・有価証券・宝石・貴金属・骨董品など財産全ての相続を放棄する必要があり、「空き家は放棄するが、預貯金は相続する」といった選択はできません。

相続放棄の申請が受理された場合には相続人から外れ、その後の相続には一切かかわることができなくなるため、財産より負債が上回る場合に相続放棄するのが最も多いパターンです。

相続放棄に必要な手続きと流れ

前述のとおり、相続放棄では「自身が相続人なったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に対して所定の手続きを行う」必要があります。

手続きや費用の詳細などを以下にまとめました。

【申述先(届出を出す場所)】

・被相続人の最後の住所地の家庭裁判所

【必要な費用】

・収入印紙800円分(申述人1人につき)
・連絡用の郵便切手(申述先の家庭裁判所に確認)

【必要書類】

・相続放棄の申述書
・標準的な申立添付書類(被相続人の住民票除票また又は戸籍附票、申述人(放棄する方)の戸籍謄本など)

ちなみに、相続放棄の申述は原則「自身が相続人となったことを知ってから3か月以内」ですが、相続財産の状況を調査したにもかかわらず、相続を承認するか放棄するかを判断できるだけの資料が得られない場合には、相続の承認または放棄の期間の延長の申立てを行うことで期間が猶予される場合があります。

逆に、自身が相続人なったことを知ってから3か月以内に何のアクションもも行わなければ自動的に相続を単純承認(負債を含めてすべての相続財産を引き継ぐこと)した人とみなされますので注意しましょう。

相続放棄の詳細な手続きの流れや必要書類についてはこちら

相続放棄した空き家の管理について

空き家外観

相続放棄の申述が受理された場合、その後の相続には一切かかわることができなくなります。

では、空き家の管理も同様に不要となるのか?ここから詳しく解説しましょう。

相続人が全員相続放棄した場合は財産管理義務がある

前述のとおり、相続放棄とは「資産や負債を一切引き継がない行為を指す」わけですから、一見相続財産のひとつである空き家の管理義務もなくなるように感じるかもしれません。

しかし、自分を含めた相続人全員が相続放棄した場合は話が別です。

相続財産管理義務とは?

民法第239条第2項において、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」と定められており、相続者全員が相続放棄を行うと、空き家をはじめとした該当の不動産は国に承継される仕組みとなっています。

ただし、不動産を国庫に帰属させるには、被相続人(亡くなった方)の債権者などに対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行い、清算後残った財産を国庫に帰属させる役割を持つ「相続財産管理人に引き渡す」という工程を完了させる必要があります。

【相続財産管理人の申立ての手順・流れ】

1.相続財産管理人の選任
2.相続財産管理人選任の公告
3.相続財産管理人が清算を進め、債権者や受遺者へ支払いを行う
4.相続人捜索の公告
5.相続人不存在の確定
6.特別縁故者への財産分与
7.残った財産を国庫に帰属

つまり、相続人全員が相続放棄した場合には空き家をはじめとした財産の「相続人の有無が明らかでない」状態となるため、民法に則り相続人不存在を明らかにしたうえで、相続財産管理人の選任が必要となるのです。

相続財産管理義務はいつまで続くのか?

相続財産管理義務は、永続的に続くわけではなく、次に管理を行う人が現れるまでの時限的な制度です。期間の長さは、次の順位の相続人がいるか否かで変わってきます。

・次の順位の相続人がいる場合
 次の順位の相続人が相続財産の管理を始めるまでの間、相続財産管理義務を負う。
・自分が最後の順位の相続人の場合
 元々相続人だった人たち(元相続人)に変わって、相続財産を管理を行う人が管理を始めるまでの間、相続財産管理義務を負う。

管理義務・管理責任を適切に行わない場合は損害賠償も?

管理義務や管理責任に従わない場合、損害賠償が発生する危険性があります。損害賠償が発生する主なパターンとしては下記のようなものがあります。

・空き家の劣化や破損により周辺に被害が及んだ場合
・相続財産の劣化や破損により財産価値が下がった場合

このように、周囲に影響がなくとも、次の順位の相続人に対して損害を与えた場合も損害賠償の対象となる可能性があります。管理義務を負っている間は、空き家を健全な状態で維持する必要があることを覚えておきましょう。

空き家を相続放棄しても財産管理義務はある

民法第940条では「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」と示されています。

つまり、相続放棄が受理されたとしても、相続財産管理人が相続財産の管理を開始するまでは、空き家の管理義務がなくなるわけではありません。極端な話、該当の空き家に関連したトラブルや事故(倒壊など)が発生した場合は、賠償責任を負う可能性もあります。

特に空き家は、放置することで損壊や倒壊、周辺環境への悪影響など、さまざまなリスクの温床となるため、適切な管理が必要です。

少し矛盾しているように感じるかもしれませんが、不動産の所有権はないにもかかわらず、相続財産管理人が相続財産の管理を開始するまでは空き家の管理だけは必要である、と考えれば分かりやすいでしょう。

ただし、財産管理義務が発生するのは相続人全員が相続放棄した場合に限られますから、自分以外の誰かが相続人となるのであれば、管理義務は発生しません。

空き家の相続放棄は、固定資産税の支払い義務がなくなるなどメリットがあるとはいえ、「不動産の所有権はないが管理は必要なため、コストや手間がかかる」といった落とし穴があるのも事実ですから、相続放棄すべきかどうかの判断は慎重に行うべきでしょう。

空き家の相続放棄における金銭的なメリット・デメリットまとめ

お金と電卓、通帳

ここでは、相続放棄にかかわるお金の話について、メリット・デメリットの両方が分かるように詳しくまとめます。

相続放棄によるメリット・デメリット表

相続放棄のメリットデメリット
・相続放棄のメリット
 〇空き家に付与された負債やその他の負債を相続しなくてよい
 〇空き家及び土地にかかる固定資産税や都市計画税などを払わなくてよい
 〇空き家の管理に必要な負担がかからなくなる(管理義務の例外あり)
・相続放棄のデメリット
 〇空き家以外の財産も相続できなくなる
 〇撤回や取り消しが不可能
 〇将来的な空き家利用ができなくなる

相続放棄による金銭的なメリット

まずは相続放棄によって生まれる金銭面のメリットを紹介しましょう。

・相続放棄のメリット
 〇空き家に付与された負債やその他の負債を相続しなくてよい
 〇空き家及び土地にかかる固定資産税や都市計画税などを払わなくてよい
 〇空き家の管理に必要な負担がかからなくなる(管理義務の例外あり)

相続放棄による大きなメリットは、空き家によって発生する金銭的負担を負わなくてよくなることです。

空き家は保有しているだけで固定資産税や都市計画税、維持管理費などの費用が発生します。地方部でも年間10万円以上必要になるケースはざらで、都市部や郊外地に保有している場合はさらに多額の負担が発生します。

空き家は活用できれば資産となりますが、ただ持っているだけでは負債になってしまいます。将来的に必要な費用があまりにも多い場合、相続放棄をした方が良いケースもあるでしょう。

相続放棄にかかる費用・金銭面のデメリット

続いては、相続放棄にかかる費用や金銭面のデメリットを紹介します。

・相続放棄のデメリット
 〇空き家以外の財産も相続できなくなる
 〇撤回や取り消しが不可能
 〇将来的な空き家利用ができなくなる

相続放棄した場合は、「空き家は放棄するが、預貯金は相続する」といった選択はできません。つまり、空き家を相続放棄した場合、そのほかの不動産や金融資産なども放棄することとなります。また、将来的に売却や活用できなくなる点も大きなデメリットだと言えるでしょう。

なお、相続放棄にかかる費用は下記のとおりです。

【相続放棄の申述にかかる費用】

■自分で行う場合

・収入印紙800円分(申述人1人につき)
・連絡用の郵便切手
・住民票や戸籍謄本などの取得費用

計:3,000円~5,000円程度

■専門家に依頼する場合の相場

・司法書士:約3万円
・弁護士:約5万円

【相続財産管理人の選任にかかる費用】

■申立てに必要な費用

・収入印紙800円分
・連絡用の郵便切手
・官報公告料4,230円
・予納金:10万~100万円※

計:7,000円から10,000円程度(予納金除く)

※予納金:相続財産の内容から、相続財産管理人が相続財産を管理するために必要な費用(相続財産管理人に対する報酬を含む。)に不足が出る可能性がある場合には、相続財産管理人が円滑に事務を行うことができるように、申立人に予納金として相当額の納付を求められるケースがある。

上記のとおり、自身の相続放棄申請が受理されたとしても、相続人全員が相続放棄した場合は相続財産管理人の選任が必要となり、数十万~100万円程度の予納金の納付を求められる可能性があります。

予納金は使われなかった分が返還されることを前提としていますが、あくまでケースバイケースであり、戻ってこない場合もありますので注意が必要です。

空き家の相続放棄が損な場合も!初期費用0円でできる空き家活用がおすすめ

空き家活用のビフォーアフター

ここまで、「空き家の相続放棄」をテーマに、相続放棄の仕組みや金銭面のメリット・デメリットなどを詳しく解説してきました。

空き家は、相続放棄の申立が受理された場合でも、状況によっては管理義務が発生するため、そもそも相続放棄すべきかどうかに慎重な判断が求められます。

さらに、空き家や土地といった不動産は住む・売るという選択肢だけでなく、立地や建物の特性に合わせた幅広い活用術が近年では用意されているため、相続放棄がベストな選択肢とは言えません。

特に「空き家の使い道に困っている・決まっていない」方におすすめなのが「初期費用0円でできる空き家活用」です。

私たちアキサポでは、空き家をお持ちの方から多く届けられる悩みや疑問など生の声を参考にしながら、以下の仕組みをご用意しました。

アキサポの仕組み】

・物件の周辺環境や立地条件などの現地調査を実施
・調査結果に基づき、リノベーション・活用プランをご提案
・アキサポが全額費用負担でリノベーション工事を実施
・賃借人・利用者の募集もサポート
・初期費用0円での空き家活用を実現
・建物の管理やトラブル対応もカバー

アキサポの大きな強みは、これまで、さまざまな空き家の活用に携わってきた経験とノウハウを活かし、一軒一軒にマッチした提案ができる点です。

もちろん、単にリノベーションを施すだけではなく、最適な活用プランの提案~各種手続きに至るあらゆる部分をトータルサポートしています。

・親が老人ホームに入居した
・父母が祖父母の空き家を相続して管理しているけれど、父母が亡くなったら自分が相続発生は確実

などなど、空き家の相続について考えるきっかけは人それぞれ。

ですが「空き家の放棄がベストとは限らない」という考え方を前提に、最適な選択を下すためにもまずはアキサポまで一度ご相談ください。

空き家の放棄まとめ

空き家管理の手間や税金・管理コストなどを理由に相続放棄を考える人は多いでしょうが、相続放棄では不動産を含めたすべての財産を放棄する必要があるだけでなく、場合によっては相続放棄後も空き家の管理義務が発生するケースもあります。

何より、近年活用の幅が急激に広がっている空き家という貴重な不動産を手放す行為は、メリットよりデメリットが大きくなってしまう可能性もあるでしょう。

もちろん、相続放棄がベストな場合もありますので、自分の場合は相続放棄するべきなのか?それとも空き家を相続したほうが良いのか?を悩まれている方はぜひ、空き家に関するお困りごとを幅広くサポートしている私たちアキサポまでご相談ください。