公開日:2021.05.30 更新日:2024.09.03
空き家の処分方法とは?補助金制度や所有し続けるデメリットも解説
所有している空き家の使い道が見つからず、処分を検討する場合、空き家をどのように処分すればいいか、頭を悩ますところです。なんとかしなければと思いつつ、具体的にどのように対応したらいいかわからないといった理由で、手つかずのまま放置してしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、空き家を処分する主な方法をご紹介します。併せて、空き家を処分せずに所有するデメリットや空き家処分に活用できる補助金、空き家の相続放棄についても解説します。
空き家を処分せずに、所有し続けるデメリット
多大な労力がかかる空き家の処分は、ついつい後回しにしてしまいがちです。ただ、空き家を持ち続けていると、さまざまな問題が発生する可能性があります。
まずは、空き家を処分せずに所有し続けることで生じるデメリットを、3つご紹介します。
維持するためのコストが発生する
人が住まない家は老朽化のスピードが早くなり、雨漏りや害虫の被害を受けたり、台風などの際に倒壊したりするおそれがあります。
こうした状況にしないために、必要な部分の修繕を行ったり、定期的に空き家を訪れて換気や手入れを行ったりしなければなりません。空き家が遠方にあって、自分で管理するのがなかなか難しいという場合には、空き家の管理を専門にしている業者に依頼する必要も出てくるでしょう。
空き家をきちんとした状態で維持するためには、修繕にかかる費用、空き家に通うための交通費といった金銭的なコストや、実際の管理のために必要な人的コストなどがかかってしまいます。
また、空き家を持っていると、たとえ人が住んでいなくても、固定資産税や都市計画税といった税負担も発生します。
空き家を放置するとトラブルにつながる
空き家を長期間放置していると、廃棄物を不法に投棄される、塀が壊れたり屋根瓦が落ちたりする、害獣の棲み家になるといったことが起こる可能性もあり、近隣とのトラブルにつながりかねません。
強風で飛んだ屋根瓦が通行人にあたるなどして人的被害が出た場合、空き家の所有者は損害賠償請求を受けることもありえます。また、盗難、放火、住み着きといった、空き家を狙った犯罪に遭うリスクも高まるでしょう。
特定空き家などに認定されてしまう
空き家を放置することで、「特定空き家」や「管理不全空き家」に認定されるリスクもあります。
特定空き家とは、倒壊の危険性がある建物や衛生的に問題のある建物、管理が行われず著しく景観を損なう建物といった要件にあてはまる空き家のことです。また、管理不全空き家とは、そのまま放置すると特定空き家になるおそれがある空き家のことを指します。これらの空き家に認定されると、自治体による指導や勧告の措置をもって、所有者は空き家の適正な管理を行わなければなりません。
特定空き家や管理不全空き家に認定されて、自治体から問題の改善勧告を受けた場合は、住宅用地にかかる固定資産税などの軽減措置が受けられません。これによって、固定資産税の額が最大6倍に上がることがあります。
さらに、特定空き家に認定されたら、改善を行わず、自治体からの命令に従わないと、50万円以下の過料や行政代執行による空き家の取り壊しとその費用の負担などが発生してしまうので注意しましょう。
空き家を処分する方法
空き家を放置しているとさまざまなデメリットがあるため、今後空き家を活用する予定がないなら、なるべく早く処分するのがおすすめです。
空き家を処分する方法には、大きく分けて下記の3つがあります。
空き家を売却する
まだ人が住める状態にある空き家は、建物を残したまま売却する方法が考えられます。空き家を売る方法は、主に下記のようなものがあります。
・不動産仲介会社に仲介を依頼する
不動産仲介会社に依頼して購入者を探してもらうのが、最も一般的な空き家の売却方法です。購入者探しや売却手続きは不動産仲介会社が主導して行うため、所有者の労力はそこまでかかりません。特に、空き家が比較的新しい場合は、購入者は見つかりやすいでしょう。
一方で、不動産会社に支払う仲介手数料が発生すること、ほかの方法に比べて時間がかかる傾向にあることはデメリットといえます。また、家の場所や空き家の状態によっては、購入者が見つからないこともあります。
・不動産買取会社に買い取ってもらう
不動産買取会社に、空き家を直接買い取ってもらう方法もあります。空き家買取といわれるこの方法は、手続きがスムーズに進めば、数日程度で引き渡しまで完了することも可能です。不動産仲介会社に仲介を依頼する方法とは違い、仲介手数料を支払う必要もありません。
ただし、空き家買取は、不動産仲介会社に仲介を依頼して購入者を探す場合に比べると、買取額が50~80%程度と安くなる傾向があります。
・自分の手で購入者を探す
空き家の所有者と購入者が直接取引をする方法でも、空き家を売却することは可能です。仲介手数料が発生せず、所有者みずからのペースで売却活動を行えるといったメリットがあります。
一方で、売却手続きを自分で行うことになり、契約内容をチェックしてくれる第三者もいないため、契約事項の不備から購入者とのトラブルが起きやすくなるというデメリットもあります。
空き家を解体して更地にする
空き家の老朽化が進み、そのままの状態では売却しづらい状況では、空き家を解体して更地にしてから売却する方法もあります。事前に更地にしておくことで、購入者は購入してすぐに土地を活用することが可能です。土地の場所によっては、スピーディーかつ高値での売却が期待できるでしょう。
解体にかかる費用は、空き家の広さ、建物の構造によって変動します。30~50坪の空き家の場合、木造なら120万~300万円、鉄骨造なら150万~330万円、鉄筋コンクリート(RC)造なら180万~360万円程度が目安です。なお、路地内に重機を入れられないときには、解体費用は割高になります。
なお、空き家を解体しても、土地が売れるとは限らない点には注意が必要です。解体費用もかかってしまうので、解体するかは不動産仲介会社などと相談した上で決めるのがおすすめです。
空き家を譲渡する
空き家を無償で譲渡するという方法も、空き家を処分する方法のひとつです。売却は難しい空き家でも、無償譲渡であれば引き取り先が見つかることもあるでしょう。空き家の譲渡には、次のような方法があります。
・周辺の地権者に譲渡する
空き家の譲渡の方法のひとつに、土地を有効活用できそうな、空き家周辺の地権者に譲るというものがあります。
例えば、空き家の周辺で店舗を経営している方がいれば、駐車場にするなどの目的で、無償であれば土地を引き受けてくれる場合があります。
・空き家バンクで譲渡先を探して譲渡する
空き家の譲渡には、空き家バンクを利用して譲渡先を探すという方法も挙げられます。
空き家バンクとは、市区町村といった全国の自治体が運営する、空き家に関する情報提供システムです。空き家の所有者は、空き家バンクを通して無料で情報を公開でき、全国の遠く離れた場所に住む方にも情報を届けられるのは大きなメリットといえます。
・相続土地国庫帰属制度を利用する
相続によって空き家を取得した場合は、「相続土地国庫帰属制度」を利用することも可能です。これは、相続した土地を手放して国に引き渡す仕組みのことです。
ただし、制度の利用には、いくつかの要件を満たす必要があります。例えば、建物が建っていない更地でなければ、この制度は適用されません。そのため、空き家が建っているときは、まずは更地にする必要があります。ほかにも、他人の利用が予定されている土地や、境界について争いがある土地などは、引き取ることができないとされています。
空き家処分に利用できる補助金
空き家を解体して処分する際、解体にかかる費用は所有者にとって重い負担となります。そこで、多くの自治体では、所有者が空き家を解体する際に、その費用の一部を負担する補助金制度を設けています。
補助金の名称や受給のための要件、補助金の上限金額などは自治体によって異なるので、空き家の住所地の自治体ではどのような補助金があるのかを、確認しておきましょう。
なお、自治体の補助金制度は、予算の枠内で行われているものなので、申請期間内でも予算上限や予定件数に達すれば、申請の受付が締め切られる場合があります。また、申請から結果が出るまでには、時間がかかる点にも注意してください。
空き家に利用できる補助金について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
空き家を相続放棄するという選択肢もある
資産価値が見込めない、処分に相当な時間や労力がかかりそうといった状況で、亡くなった方が所有していた空き家を相続したくないというときは、相続放棄によって空き家に関する権利を手放すという選択肢があります。
相続放棄とは、被相続人の遺産を受け取る権利を、すべて放棄することです。相続放棄をすると、放棄した方は「最初から相続人ではなかった」という扱いになります。
空き家の相続放棄をすれば、年々発生する固定資産税の支払い義務も生じません。ただし、相続放棄をする際は、空き家に関する権利だけを放棄するといった、特定の財産に関する権利のみを放棄することはできないので注意しましょう。
つまり、預貯金や不動産が遺産に含まれている場合、それらの遺産も相続できなくなってしまいます。また、一度相続放棄をすると、撤回することはできないため、慎重に判断する必要があります。
空き家の相続放棄について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
利用しない空き家は、早めに処分しよう
空き家は、持っているだけで固定資産税といった税金がかかりますし、管理の手間や費用がかかります。不十分な管理によって、誰かをケガさせたなどの問題が起これば、損害賠償請求を受ける可能性もありますし、特定空き家や管理不全空き家に認定されれば、固定資産税が上がるといったリスクも発生します。そのため、活用の予定のない空き家は、できるだけ早急に処分するのがおすすめです。
空き家の処分方法はいくつかありますが、まず優先して考えたいのは、対価を得る可能性がある売却ではないでしょうか。空き家の売却をお考えの際は、株式会社ジェクトワンが運営する空き家解決サービス「アキサポ」がおすすめです。空き家売却のサポートのほか、「空き家の掲示板」といった空き家の情報をマッチング検索できるサービスもご用意しています。
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