公開日:2026.08.08 更新日:2026.07.27
NEW老後の夫婦の生活費はいくら?持ち家ありで必要な老後資金の目安

持ち家あり夫婦の老後生活費とは、公的年金などの収入から、住居維持費を含む日々の消費支出を差し引いた、老後に必要な実質的な生活コストのことです。
この記事では、公的統計をもとに夫婦二人の老後生活費や年金収入の目安、不足額から必要な老後資金を考える方法を解説します。
あわせて、医療や介護、住宅の修繕といった、将来に向けて備えておきたい支出についても触れていきます。持ち家を老後資金として活用する方法や、今のうちからできる準備についてもご紹介します。
目次
持ち家あり夫婦の老後生活費とは

老後資金は、老後にかかる支出から、公的年金や退職金といった収入を差し引いた不足分によって決まります。持ち家は家賃がかからない一方で、維持費がまとまって発生しやすいため、あらかじめ前提を整理しておくことが大切です。
持ち家では固定資産税や火災・地震保険、マンションであれば管理費や修繕積立金、戸建てであれば屋根や外壁、給湯器などの修繕費もかかってきます。毎月の家計に余裕があっても、大規模修繕ではまとまった支出が必要になることもあるでしょう。
まずは、住宅ローンがいつ完済するのか、管理費や修繕積立金はいくらか、今後予定している修繕はあるかなど、住まいにかかる費用を整理することから始めましょう。
持ち家あり・持ち家なしで変わる支出の考え方
持ち家は、住居費が毎月一定ではなく、不定期にまとまった支出が発生しやすいのが特徴です。そのため、固定資産税や火災・地震保険は年額を月ごとに換算し、屋根や外壁など将来の修繕費も毎月積み立てる前提で考えておく必要があります。
賃貸の場合は、家賃という固定費が毎月かかり、更新やインフレによって上がっていく可能性があります。一方で、大規模修繕のような一時金が発生することは、ほとんどないのが特徴です。
持ち家あり夫婦の平均生活費はいくらか

総務省統計局の家計調査報告によると、高齢夫婦の無職世帯における消費支出は、月25万円台が一つの目安とされています。ただし、この金額はあくまで平均値。持ち家の場合は家賃負担がない一方で、固定資産税や修繕費、管理費など、継続的にかかる住居費も考慮しなければなりません。
大切なのは、平均額をそのまま当てはめるのではなく、車の維持費や趣味・旅行、医療費など、自分たちの生活スタイルに応じた支出を整理することです。家計簿や毎月の家計収支をもとに不足額を把握すれば、老後資金の準備や資産運用の計画も立てやすくなるでしょう。
生活費の内訳(食費・光熱費・通信・交通・日用品など)
まずは現在の家計簿をもとに支出の内訳を把握し、老後に減る費用と増える費用を整理します。
例えば、退職後は通勤費や仕事関連の支出が減りますが、自宅で過ごす時間が長くなることで光熱費が増える可能性があります。持ち家の場合は、家賃こそ不要でも固定資産税や修繕費など住居費として備えておきたい費用もあるでしょう。
特に見落としやすいのが、車の維持費です。ガソリン代だけでなく、自動車保険や車検、修理費、将来の買い替え費用まで含めて考えておくことが大切です。
さらに、趣味や旅行、交際費を過度に切り詰めてしまうと、想定していたとおりの老後生活を送りにくくなることもあります。自分たちが続けたい暮らしをイメージしながら、毎月必要な生活費を見積もっておきましょう。
住居費はゼロではない:固定資産税・修繕費・保険料
持ち家があっても、老後の住居費がゼロになるわけではありません。まず、固定資産税は毎年発生するため、年額を12か月で割って毎月の支出として見込んでおきます。
次に、火災保険や地震保険といった保険料です。一括払いを選んでいるケースも多いため、更新時期や支払金額を前もって把握しておきましょう。
修繕費も確認ポイントです。マンションでは管理費や修繕積立金が毎月かかり、将来的に増額されることもあります。戸建てでは、屋根や外壁の塗装、給湯器や設備の交換などで、数十万〜百万円単位の費用が必要になることも珍しくありません。
こうした修繕費は臨時出費ではなく、毎月積み立てる住居費の一部として考えるようにしましょう。日頃から備えておくことで急な出費にも対応しやすくなり、老後の家計収支も安定しやすくなります。
夫婦の老後の収入:公的年金の目安
老後収入の中心となるのが公的年金であり、年金額は加入状況や働き方によって異なります。平均ではなく、自分たち夫婦の受給見込み額を把握しましょう。
受給額はねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。夫婦分を合算し、手取りベースで毎月の家計収支と照らし合わせると、必要な老後資金をイメージしやすくなります。
公的年金だけで生活費をまかなえない場合は、貯蓄の取り崩しに加えて、NISAやiDeCoなどの資産運用も選択肢です。固定費の見直しもあわせて進めることで、不足額に備えることができます。
年金以外の収入(退職金・企業年金・運用収益)
退職金や企業年金については、一時金で受け取るか、分割で受け取るかによって、税金や資金計画も変わります。
iDeCoの給付金なども含め、「いつ・いくら受け取れるのか」を整理しておきましょう。また、NISAなどの資産運用による収益は変動するため、過度に見込まず、生活費は手取りベースで考えることがポイントです。
持ち家あり夫婦の老後資金を3ステップで計算する

老後資金は、「毎月の支出」「毎月の収入」「不足額」の3ステップで整理します。持ち家の場合は、固定資産税や修繕費などの住居費も忘れずに月割りで見積もりましょう。
老後生活は20〜30年続く可能性もあります。大きな修繕費や医療・介護費といった一時的な支出に備える資金についても、生活費とは別枠で確保しましょう。
ステップ1:老後の支出を洗い出す
まずは現在の家計をもとに、老後に必要な生活費を洗い出します。
教育費や通勤費、住宅ローンなど老後に減る支出と、医療費や介護費、趣味、固定資産税や修繕費など増える可能性がある支出を整理します。
この際に「最低限の生活」と「ゆとりのある生活」の2パターンで毎月の支出を見積もっておくと、自分たちに必要な老後資金の目安を把握しやすくなります。
ステップ2:老後の収入を洗い出す
続いて老後の収入を整理します。公的年金は夫婦それぞれの受給見込み額を合算し、繰り上げ・繰り下げ受給も含めて試算しておきましょう。
あわせて、企業年金やiDeCo、退職金、資産運用による収益、就労収入なども、「いくら」「いつ受け取れるか」を整理します。収入が少ない期間は、貯蓄を取り崩す前提で考えておきましょう。
ステップ3:不足額と必要な準備額を出す
毎月の支出から収入を差し引き、不足額を計算します。
例えば、毎月3万円不足する場合、年間では36万円、20年間で約720万円、30年間で約1,080万円が老後資金の目安になります。
ただし、この金額とは別に、持ち家の修繕費や車の買い替え、医療・介護費などの一時的な支出も見込んでおく必要があります。生活費とは別に生活防衛資金を現金で確保しておくと、急な出費にも慌てず対応しやすくなります。
老後の支出で想定しておくべき費用

老後の生活では、毎月の生活費だけでなく、医療・介護費や住まいの修繕費、冠婚葬祭費など、まとまった支出が発生する可能性についても考えておくと良いでしょう。
公的制度で補える費用と、自己負担が必要な費用を分けて整理すると、備えるべき金額を把握しやすくなります。
医療費
老後は通院や入院の機会が増える可能性も考えなければなりません。窓口で支払う医療費だけでなく、通院の交通費や差額ベッド代なども含めて見積もっておきましょう。慢性疾患を抱えている場合は、薬代や検査代も継続的な支出として見込んでおきます。
日本には高額療養費制度があり、医療費の自己負担額には上限が設けられています。とはいえ、差額ベッド代や先進医療にかかる費用は公的制度の対象外。どこまで自分たちで備えるか、老後生活を具体的にイメージしながら検討しておく必要があるでしょう。
医療保険は加入することが目的ではありません。貯蓄で対応できる範囲を確認したうえで、それでも不安な場合は、入院一時金など必要な保障に絞って選ぶと、保険料を抑えられます。
介護費用
在宅介護でも介護サービスの自己負担に加え、住宅改修や福祉用具の購入・レンタル費用がかかる場合があります。介護施設の場合は、毎月の利用料に加えて、入居一時金が必要になるケースも。
夫婦のどちらかが先に介護が必要になると、生活費と介護費用が同時にのしかかり、家計への負担が大きくなる可能性もあるでしょう。
さらに、介護のために仕事を辞める「介護離職」の可能性も考えておく必要があります。こうした事態に備えるには、保険や資産運用に加え、自宅を活用したリースバックなど、住まいを資金源として考える方法も選択肢のひとつになります。
冠婚葬祭・お祝い費用
冠婚葬祭や子・孫へのお祝いなどは、毎月発生する支出ではありませんが、毎月の生活費とは別に予算を確保しておくと、家計への影響を抑えやすくなります。
特に子どもや孫への支援は、想定より支出がふくらみやすいもの。夫婦で無理のない金額や上限をあらかじめ決めて、積み立てをしたり専用の口座を用意したりしておく工夫をしましょう。
住宅の大規模修繕・リフォーム費
持ち家に暮らし続ける場合は、大規模修繕やリフォーム費用も見込んでおく必要があります。マンションでは修繕積立金の増額や一時金、戸建てでは外壁や屋根の塗装、設備の更新など、まとまった支出が発生しやすくなります。バリアフリー化や断熱改修を検討するケースも出てくるでしょう。
こうした費用は、現役のうちに前倒しで実施するか、老後に向けてコツコツ積み立てるか、方針を決めておきたいところ。住み替えの選択肢も視野に入れながら、優先順位をつけましょう。
老後資金はいくらあれば安心かの考え方
老後に必要な金額は、夫婦がどのような老後生活を送りたいかによって変わります。まずは生活費を「最低限の生活」と「ゆとりのある生活」に分け、公的年金でまかなえる分とそうでない分を洗い出すところから始めます。
老後は物価上昇など先の変化を予測しづらいもの。そのため、調整しやすい支出と減らしにくい固定費を分け、固定費をできるだけ抑えるのが基本の考え方になります。
持ち家は家賃負担を抑えられるメリットがありますが、固定資産税や修繕費などの支出は続きます。毎月の生活費に加えて、こうした一時的な費用も含めて老後資金を見積もりましょう。
生活レベル別の不足額シミュレーションの見方
| 老後の生活レベル | 夫婦2人の毎月の支出目安 | 持ち家特有の備えておくべき内訳 |
|---|---|---|
| 最低限の生活(平均値) | 約22万円〜25万円 | 固定資産税(月割分)、火災・地震保険料、日々の食費・光熱費 |
| 標準的な生活(少しゆとり) | 約28万円〜30万円 | 上記 + 車の維持費(車検・保険)、5〜10年ごとの家電買い替え費用 |
| ゆとりのある生活(旅行等) | 約35万円以上 | 上記 + 10〜15年周期の住宅大規模修繕(外壁・防水)、趣味・娯楽費 |
「最低限」「標準」「ゆとりのある生活」など、生活レベルごとに毎月の支出を設定し、公的年金などの収入との差額を洗い出していきます。赤字額の大きさだけでなく、「いつ不足が大きくなるのか」という時期まで見ておくのがポイントです。
さらに、医療費や住宅の修繕費など、突発的な支出も見込んでおきましょう。
長生きリスクとインフレへの備え
長生きによって老後生活が長引く可能性や、物価上昇による生活費の増加も見込んでおく必要があります。老後期間は少し長めに設定し、家計収支や資産状況を定期的に見直します。
インフレへの備えとして、資産をすべて現金で持っておくのも、運用だけに偏らせるのもリスクが伴います。数年分の生活費は現金で確保し、残りは分散投資に回すと、バランスの取れた資産管理につながります。
さらに、公的年金の繰り下げ受給や定年後の就労、固定費の見直しなどを組み合わせるのも有効です。
持ち家を老後資金に活用する方法
持ち家は家賃負担を抑えられるだけでなく、老後資金を確保するための資産にもなります。
ただし、住み替えや賃貸活用、リバースモーゲージなどの利用は、老後の暮らしや相続にも関わります。今すぐに決断する必要はないものの、選択肢のひとつとして家族で共有しておくと、いざというときに安心です。
✅持ち家の資金化を考えるべき?チェックリスト
チェック数でわかる資金化検討の目安
3個以上:維持費や将来リスクの負担が大きめです。売却・住み替え・賃貸・リースバックなど、持ち家を資金化する方法を前向きに検討する価値があります。
1〜2個:今すぐ動く必要はありませんが、情報収集のフェーズ。維持費を可視化し、選択肢を家族で共有しておくと安心です。
0個:今は現状維持で問題なさそうです。定期的に家計と資産状況を見直していきましょう。
売却して住み替える
家が広すぎる、階段の上り下りが負担になってきた、車がないと生活しにくい立地などの場合、自宅を売却して住み替えるのも有効です。
住まいをコンパクトにすれば、光熱費や維持費を抑えられます。ただし、売却時に注意したいのが「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」です。引き渡し後に雨漏りやシロアリ被害などの欠陥が見つかると、買主から修繕費用や損害賠償を請求されることがあります。ホームインスペクションなどで建物の状態を確認し、契約書で責任の範囲を明確にしたうえで売却を進めましょう。
リバースモーゲージ・リースバック
自宅を担保に資金を借り入れ、契約者の死亡後などに自宅を売却して返済する仕組みをリバースモーゲージと言います。住み慣れた家に住み続けられるメリットがありますが、借入可能額は金利や不動産の評価額によって変わります。
リースバックは、自宅を売却して現金化した後も、家賃を支払いながらそのまま住み続ける方法です。固定資産税や大規模修繕費の負担を抑えられますが、毎月の家賃が発生し、一般的な売却より価格が低くなるケースもあります。
どちらの方法も相続や今後の住まいに影響します。家族と方針を共有したうえで複数のサービスを比較し、専門家へ相談しながら進めましょう。
賃貸に出す(収益化)
転居や家族との同居などで自宅が空く場合は、賃貸に出して家賃収入を得る方法もあります。公的年金に加えて毎月の収入を確保できるため、老後の家計収支を安定させる助けになるでしょう。
ただし、空室や家賃の下落、入居者トラブルなどのリスクがあるほか、貸し出すための修繕費や管理委託費、固定資産税、確定申告なども発生します。老後でも無理なく管理できる運用体制を整えられるかがポイントです。
また、家賃収入の額面ではなく、手取り額で判断しましょう。管理費や修繕費、税金などを差し引いた実際のキャッシュフローを把握し、不足する生活費をどう補うかまで計画しておくと、想定とのギャップが生じにくくなります。
老後資金を準備する方法

必要な老後資金が見えてきたら、不足額に応じて家計の見直しや資産運用、保険、定年後の就労などを組み合わせながら準備していきます。
早めに準備を始めるほど資産運用にかけられる期間が長くなり、働き方の選択肢も広がっていくでしょう。
家計の見直しと先取り貯蓄
通信費や保険料、サブスクリプション、住宅関連の支出などは、一度見直すだけで節約効果が続きやすい費用です。
食費や娯楽費といった変動費は、無理に切り詰めるのではなく、外食の回数や年間の予算を決めるなど、続けやすいルールを作るのがコツです。
貯蓄は目的別に口座を分けて管理しておくと、いざというときの取り崩し判断がしやすくなります。
資産運用(NISA・iDeCoの考え方)
老後資金を貯蓄だけで準備すると、インフレによってお金の価値が目減りする可能性があります。長期・積立・分散を基本とした資産運用を取り入れることも有効です。
NISAは運用益が非課税になる制度です。必要なタイミングで売却しやすいのが特徴で、柔軟に資産を活用したい人に向いています。
iDeCoは掛金が所得控除の対象になるといった節税メリットがありますが、原則60歳まで引き出せません。そのぶん、計画的に老後資金を準備したい場合に適した制度と言えます。
基本的には、生活防衛資金や住宅の修繕費など近いうちに使う予定のあるお金は現金で確保し、長期資金のみを運用に回すと良いでしょう。
個人年金保険
将来、決まった金額の年金を受け取れるため、安定志向で老後資金を準備したい人に向いているのが個人年金保険です。加入する際は、受取方法や生命保険料控除の対象になるかどうかをチェックしておきましょう。
デメリットとしては、途中解約すると元本割れする可能性があり、インフレにも対応しにくいことが挙げられます。老後資金の主軸にするのではなく、貯蓄やNISA・iDeCoなどと組み合わせる補助的な活用がおすすめです。
定年後も働く選択肢
定年後も働くことは、収入を確保できるだけでなく、貯蓄を取り崩す時期を先延ばしにすることにもつながります。再雇用やパートなどを前提に、現役時代と同じ収入を見込むのではなく、生活費のどの部分を補うのかを決めておきましょう。
また、公的年金の繰り下げ受給も選択肢のひとつです。「働く」「年金を繰り下げる」「支出を見直す」を組み合わせることで、無理なく老後資金を計画できます。
まとめ
持ち家がある場合、老後の生活費以外に、固定資産税や保険料、修繕費など住まいの維持費を見込む必要があります。
まずは支出と収入を整理し、公的年金との差額から不足額を把握しましょう。「最低限」と「ゆとり」の2パターンで試算し、長生きや物価上昇も考慮して余裕を持った資金計画を立てましょう。
不足額が見えてきたら、家計の見直しや先取り貯蓄を基本にしつつ、NISA・iDeCoなどの資産運用、必要に応じて定年後の就労や持ち家の活用も検討していくと良いでしょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






