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公開日:2026.09.15 更新日:2026.08.25

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相続で未登記建物が見つかったときの手続きと注意点

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相続における未登記建物とは、固定資産税の課税対象になっているにもかかわらず、法務局に建物の登記がされていない建物のことをいいます。

未登記建物は通常の相続登記(名義変更)ができません。表題登記や所有権保存登記が必要なため、一般的な不動産とは手続きが異なります。放置すると売却や融資が難しくなるほか、遺産分割協議や相続手続きが滞る原因になります。

この記事では、未登記建物の基本から、放置するリスクや過料の可能性、遺産分割協議書での扱い、表題登記から所有権保存登記までの流れ、解体・売却時の注意点までを解説していきます。

未登記建物とは?相続で問題になるポイント

相続発生時に未登記建物が問題となる理由や課題を表現した「相続」の文字ブロックと建物のオブジェ

未登記建物は相続できる?相続登記は必要?過料の対象になる?など、相続が始まって初めて未登記建物の問題に直面するケースは珍しくありません。特に昭和40年代から50年代に建てられた住宅では、建物が未登記のままになっていることも。

未登記のまま放置すると、売却が止まる、相続手続きが進まない、銀行融資が受けられないといったトラブルにつながる可能性があります。まずは、未登記建物の定義や発生する理由、確認する方法から知っておきましょう。

未登記建物の定義

そもそも未登記建物とは、法務局に建物の登記記録が作成されていない建物のことです。具体的には、所在地や種類、構造、床面積などを記載する表題部が存在しない状態を指します。

登記記録がないため、建物の登記事項証明書を取得できず、通常の相続登記(所有権移転登記)をそのまま進めることができません。実務のうえでは、登記簿で建物を特定できず、買主や金融機関が所有権を確認できなくなります。そのため、相続手続きや売却、融資に支障が生じてしまいます。

未登記は単なる書類上の問題ではありません。不動産取引や相続の妨げになりかねないこと自体が、大きなリスクといえます。

未登記建物が発生する主な理由

未登記建物は、次のような理由で発生するケースが多く見られます。

  • 住宅ローンを利用せず自己資金で建築し、抵当権設定などの手続きがなかったため、登記を後回しにしてしまった
  • 築年数が古く、当時の登記手続きが十分でなかったり、資料の紛失や増改築によって登記内容と現況が一致しなくなった
  • 増築部分だけ未登記と思っていたものの、実際は建物全体が未登記だった
  • 相続後に誰も登記手続きを行わず、そのまま放置された

建物が未登記か確認する方法

登記建物かどうかは、次の方法で確かめることができます。

1.固定資産税の納税通知書・課税明細を確認する
家屋番号欄が空欄、または「未登記」とあるときは、未登記建物の可能性があります。表示方法は自治体で異なるため、これだけで判断はできません。

2.市区町村で名寄帳や固定資産評価証明書を取得する
課税台帳の情報を確認します。自治体が独自に課税把握している「名寄帳」には、未登記であっても現存する建物が記載されているため、未登記建物の特定において最も確実な一次資料となります。

なお、2026年2月2日にスタートした法務局の「所有不動産記録証明制度」は、被相続人名義の全国の登記済み不動産を一括リスト化する制度です。未登記建物自体は登記簿がないためこの証明書には直接載りませんが、「同制度で把握した登記済みの土地・建物」と「自治体の名寄帳(課税情報)」を突き合わせることで、登記から漏れている未登記建物をあぶり出すという調査の併用が実務上非常に有効です。

3.法務局で登記記録を確認する
建物の所在地をもとに登記事項を調べ、該当する登記記録が見当たらなければ、未登記建物である可能性が高いと考えられます。

課税台帳の情報と、実際の建物の構造や床面積が大きく異なる場合は、増改築による登記漏れの可能性もあります。その場合は、現地の状況もあわせて確かめておきましょう。

未登記建物のままにしておくのは違法?過料の可能性

建物を新築・取得した所有者は、不動産登記法第47条により1カ月以内に「建物表題登記」を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります。つまり、未登記建物は「未登記=グレーゾーン」ではなく、本来行うべき登記が済んでいないという状態です。

過料が科されるかどうかはケースによって異なりますが、相続をきっかけに未登記が判明した場合、放置するメリットはありません。売却や次の相続で手続きが滞るなど、実務上のデメリットが生じやすいのが、未登記のリスクといえます。

未登記建物を放置するリスク

未登記建物を放置するリスクは、過料の可能性だけではありません。売却や融資、相続手続きなどさまざまな場面で支障が生じるおそれがあります。

未登記建物を放置する3大リスク
1. 売却・融資(ローン)が利用できない
権利関係が証明できないため不動産買主が現れず、金融機関の担保(抵当権)も設定できません。
2. 10万円以下の過料・固定資産税増大のリスク
不動産登記法上の過料対象となるほか、管理不全空き家に指定されると土地の固定資産税特例が除外されます。
3. 次の相続で関係がさらに複雑化する
数代にわたって未登記が放置されると、ねずみ算式に数多くの相続人が発生し、協議自体が不可能になります。

第三者に所有権を対抗できない

不動産は、登記があることによって、第三者に対して所有権を主張できます。未登記建物の場合、登記による公示ができないため、外部の相手に自分の建物であることを証明しにくくなってしまいます。

特に、借地上の建物では注意が必要です。建物の登記は、借地権を第三者に主張するための要件となる場合があり、未登記のままだと、地主や第三者とのトラブルで不利になる可能性があります。

また、境界問題や土地の売却、近隣トラブルなどが起きた際にも、権利関係を整理しにくくなり、解決までに時間や費用がかかる点にも注意が必要です。

売却・担保設定・融資で支障が出る

未登記建物のままでは所有権移転登記ができないため、一般的な不動産売買は成立しません。また、売却時に建物の不具合を巡る「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」の範囲があいまいになり、損害賠償トラブルへ発展する恐れもあります。実務上は、売主側で表題登記・所有権保存登記を完了させてから引き渡すのが原則です。

また、建物に抵当権を設定するには権利登記が必要です。未登記のままでは、金融機関が担保価値を評価できず、融資を受けられない可能性があります。

固定資産税の過払い・追徴が起きることがある

未登記建物であっても、多くの場合は固定資産税の課税対象です。しかしながら、登記と課税台帳の情報が一致していない場合、住宅用地特例が適用されず、土地の税負担が増える可能性があります。未登記建物が後から判明すると、過去にさかのぼって課税内容が見直され、追加の負担が生じるケースもあります。

未登記建物も遺産分割の対象になる

未登記建物の遺産分割協議や相続税・固定資産税の対象を表す家系図と一万円札・TAXブロック

未登記建物でも、建物として存在し財産的価値があれば相続財産に含まれ、遺産分割の対象になります。登記を後回しにしてしまうと、誰が取得するのか、登記費用を誰が負担するのかが曖昧になり、相続人同士のトラブルにつながります。

ここからは、遺産分割協議の進め方と未登記建物を遺産分割協議書に記載する方法を解説していきます。

遺産分割協議の進め方

遺産分割協議では、次の流れで話し合うとスムーズです。

1.相続人を確定し、財産目録を作成する
未登記建物も相続財産に含め、建物の利用状況や課税資料を確認します。

2.建物の利用方針と取得者を決める
住み続ける・貸す・売る・解体するなどの方針を決め、それに応じて建物を取得する相続人を決定します。

3.登記手続きと費用負担を決める
表題登記や所有権保存登記を誰が申請するのか、費用を取得者が負担するのか、相続人全員で分担するのかまで話し合います。

4.売却する場合は手続きの順番も決める
建物の評価が難しい場合は、課税資料や現況を参考に概算を把握します。「登記後に売却して清算する」など、手続きの流れまであらかじめ決めておくと、その後の協議も滞りなく進むでしょう。

遺産分割協議書の書き方(未登記建物の特定方法)

未登記建物は登記簿がないため、固定資産評価証明書や名寄帳などの課税資料をもとに、建物を特定します。所在地や種類、構造、床面積など、将来の表題登記や所有権保存登記でも使える内容を記載しておきましょう。

また、未登記建物であることを明記し、課税資料にもとづいて特定した建物であることも記載しておくと、そのあとの手続きがスムーズです。

増改築によって課税資料と現況が一致しない場合は、相続人全員で認識をすり合わせるために、現況調査や図面作成を行ったうえで協議書を作成しましょう。

未登記建物を相続したときの手続きの流れ

実際に未登記建物を相続した場合、どのように対処すればよいのでしょうか。以下では、手続きの一般的な流れを解説します。

未登記建物を相続したときの手続き 4ステップ
STEP 1
現況・課税資料の確認
固定資産税の課税明細書や名寄帳を取得し、未登記の範囲や建物の概要を把握します。
STEP 2
遺産分割協議と協議書の作成
未登記建物を誰が取得するか話し合い、課税情報等で特定して遺産分割協議書を作成します。
STEP 3
建物表題登記(土地家屋調査士)
現地調査や測量を行い、法務局に建物の表題部(登記記録)を新しく作成します。
STEP 4
所有権保存登記(司法書士)
甲区に所有者を登記します。これにより売却や融資のための担保設定が可能になります。

建物表題登記を申請する

未登記建物では、まず建物の登記記録を作成する建物表題登記を行います。建物の形状が複雑な場合や増改築を繰り返している場合は、現況調査や図面作成が必要になることがあります。

項目内容
手続きの目的建物の所在地・種類・構造・床面積などを登記し、登記記録を新たに作成する
申請先建物所在地を管轄する法務局
主な必要書類建物図面、各階平面図、建築確認関係書類、引渡証明書、固定資産税関係資料、住所証明書など
主な依頼先土地家屋調査士

所有権保存登記を申請する

表題登記が完了したら、所有権保存登記を行い、建物の所有者を登記します。所有権保存登記は義務ではありませんが、売却や抵当権設定、融資を予定している場合は実質的に必要です。

項目内容
手続きの目的建物の所有者を登記する
申請先建物所在地を管轄する法務局
主な必要書類登記申請書、住所証明書、遺産分割協議書など(ケースによる)
主な依頼先司法書士

解体する場合の扱い(家屋滅失届の提出)

建物の解体のみを行い、売却や担保設定の予定がなければ、必ずしも表題登記や所有権保存登記を行う必要はありません。

ただし、未登記建物であっても固定資産税が課税されているケースは多く、解体後に届出をしないと、翌年度以降も課税が続いてしまう可能性があります。解体したあとは、自治体へ家屋滅失届を提出し、課税停止の手続きを行いましょう。

家屋滅失届は、自治体の資産税担当部署(税務課など)へ提出します。解体業者による証明を求められることもあるため、契約時に対応できるかどうかを確認しておきましょう。

土地の相続登記との関係(未登記建物は相続登記できない)

土地が登記済みであっても、未登記建物は相続登記(名義変更)ができません。土地は通常どおり相続登記を行い、建物は表題登記と所有権保存登記によって登記を整える必要があります。手続きの流れを相続人全員であらかじめ共有しておくことで、その後の協議や手続きを円滑に進めやすくなるでしょう。

土地と建物の手続きを別々に考えていると、売却や相続税申告、管理の場面で支障が生じることがあります。相続手続きは、土地と建物をあわせて進めることが大切です。

相続登記の申請義務化で注意する点

相続登記の申請義務化における注意点や過料リスクの注意喚起を表すびっくりマークのカード

2024年4月1日から相続登記が義務化され、登記された土地や建物を相続した場合は、取得を知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。

一方、未登記建物は登記記録(権利部)が存在しないため、法律上「相続登記の義務化」の直接の対象にはなりません。ただし、未登記建物を相続した場合でも「建物表題登記(取得から1カ月以内)」の申請義務があります。

そのため、手続きを進めるにはまず表題登記で登記記録を作成し、そのうえで相続人名義の所有権保存登記を行う必要があります。相続した建物が未登記になっていないか、早めに確認しておきましょう。

未登記建物の手続きは誰に依頼する?

未登記建物の相続では、遺産分割・表題登記・所有権保存登記で依頼する専門家が異なります。相談先に迷った場合は、まず土地家屋調査士へ相談するのがおすすめです。土地家屋調査士と司法書士が連携して対応する事務所も多く、手続き全体を通して案内してもらえることがあります。

相続人間で意見がまとまらないなど、法律上のトラブルがある場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。

未登記建物の相続に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 未登記建物の表題登記にかかる費用と期間はどれくらいですか?
A. 土地家屋調査士への報酬相場は約8万〜15万円程度です。資料収集や現地測量、法務局での審査を含め、完了までに約1ヶ月〜2ヶ月程度の期間がかかります。
Q2. 遺産分割協議書に家屋番号がない未登記建物をどう記載すればよいですか?
A. 固定資産税の「課税明細書」や「名寄帳」の記載通りに所在地・構造・床面積を転記し、「固定資産評価証明書記載の未登記建物」と明記して特定を行います。
Q3. 未登記建物を解体する場合でも、わざわざ表題登記をする必要がありますか?
A. 建物を解体して更地にするだけなら、表題登記をしなくても問題ありません。解体後に役所の税務課へ「家屋滅失届」を提出すれば固定資産税がストップします。

相続の未登記建物は早めに現状確認して手続きを進めよう

未登記建物も相続財産の一つです。放置すると売却や相続手続きが滞るだけでなく、相続人が増えることで話し合いがまとまりにくくなる可能性もあります。

まずは固定資産税の納税通知書や固定資産評価証明書などで建物の情報を確認し、法務局で未登記かどうかを特定しましょう。

未登記であることが分かったら、相続人全員で取得者や今後の方針(保有・売却・解体)を話し合い、必要に応じて表題登記や所有権保存登記、家屋滅失届などの手続きを行います。

判断に迷う場合は、土地家屋調査士や司法書士などの専門家へ早めに相談し、状況に合った方法で手続きを進めましょう。

この記事の監修者

宅建士 二級建築士 岡崎 千尋

岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー

宅建士/二級建築士

都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。

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