公開日:2021.10.27 更新日:2026.07.22
路線価とは?調べ方・見方から相続税評価額の計算まで図解で解説
路線価とは、相続税や贈与税を計算するときに使う、土地の評価額の基準となる価格です。国税庁が毎年7月に公表しており、この数字がわかれば、専門家に頼らなくても、ご自身でおおよその土地の評価額を算出できます。「うちの土地に相続税はいくらかかるのか」を知りたいとき、まず確認したいのが路線価です。
本記事では、国税庁サイトでの路線価の調べ方から、路線価図の見方や記号の意味、相続税評価額の計算シミュレーション、そして固定資産税評価額との違いまで、はじめての方にもわかりやすく図解で解説します。
不動産の「評価額」4つの違い早見表
| 評価額の種類 | 主な目的 | 価格の目安(公示価格を100とした場合) |
|---|---|---|
| 公示価格 | 土地売買の指標 | 100(基準) |
| 路線価(相続税評価額) | 相続税・贈与税の計算 | 約80 |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税の計算 | 約70 |
| 実勢価格 | 実際の取引価格 | 市場動向で変動 |
1.路線価とは何か?路線価が分かると何が分かるか

路線価とは、道路に面する土地の1平方メートルあたりの評価額で、相続税や贈与税を計算する際の基準となる価格です。国税庁が毎年7月1日に公表し、地価公示価格の約80%を目安に定められています。
1-1. 路線価とは
路線価は、千円単位で表示されます。相続税や贈与税を計算する際の、土地評価の基準となる価格です。
路線価図では、それぞれの道路の上に「870」のような数字が記載されています。この数字は千円単位で表されるため、「870」と書かれた道路に面する土地は、870×1,000=870,000円、つまり1平方メートルあたり870,000円が路線価ということになります。数字の隣にあるアルファベット(例:870D)は借地権割合を示す記号で、土地を借りている場合の評価に用います。
路線価図は国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で公開されており、地域や年分を選んで誰でも無料で確認できます。
1-2.路線価は税金の計算や不動産の価値が分かる
路線価は相続税、贈与税の計算に使用したり、不動産の購入を検討している場合に実際の取引価格を推測するときに使用したりします。
土地につけられる公的な価格は一物四価といわれ、4種類あります。
| 種類 | 内容 | 決定機関 | 評価時点 | 公表時期 |
|---|---|---|---|---|
| 公示価格 | 一般の土地取引価格の指標 | 国土交通省 | 1月1日(毎年) | 3月下旬 |
| 基準地標準価格 | 公示価格を補う取引指標 | 都道府県 | 7月1日(毎年) | 9月下旬 |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税などの計算基礎 | 市町村 | 1月1日(3年に1度) | 3月または4月 |
| 相続税評価額(路線価) | 相続税・贈与税の計算基礎 | 国税庁 | 1月1日(毎年) | 7月1日 |
路線価は、土地の公的価格のうち「相続税評価額」にあたり、地価公示価格の約80%を目安に定められています。この関係を使えば、路線価から逆算して、その土地のおおよその市場価格(実勢価格)を推測することも可能です。
たとえば、路線価が公示価格の約8割にあたることを踏まえると、「路線価 ÷ 0.8」でおおよその公示価格水準が見えてきます。ただし、実際の取引価格は需要や周辺環境、売買のタイミングなど、さまざまな要因で変動するため、あくまで目安として捉えることが大切です。
2.路線価の調べ方や手順
路線価は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のサイトで、誰でも無料で調べられます。
国税庁のサイトにアクセス
「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のページを開きます。
▼
都道府県・市区町村を選ぶ
調べたい土地のある都道府県、続いて市区町村を選択します。
▼
町名・丁目を選んで路線価図を表示
調べたい町名・丁目を選ぶと、その地域の路線価図(地図)が表示されます。
▼
道路上の数字を確認する
対象の土地が面する道路に記載された数字が路線価です。単位は千円で、「140」なら1平方メートルあたり14万円を表します。
ポイント:国税庁サイトには平成30年分から最新年分までが掲載されています。相続や贈与では、取得した年の路線価を使うため、年分の選択に注意しましょう。
たとえば東京都中央区銀座の路線価を調べる場合は、「東京都」→「中央区」→「銀座1丁目」「銀座2丁目」など目的の町名を順に選んでいきます。すると、その地域の路線価図(地図)が表示され、各道路の上に路線価を示す数字が記載されています。あとは、調べたい土地が面している道路の数字を読み取れば、その土地の1平方メートルあたりの路線価がわかります。
3.路線価の具体的な計算方法

路線価による土地の評価額は、基本的に「路線価×土地の面積」で計算します。路線価は毎年7月1日に国税庁・各国税局で公表されるため、贈与や相続で土地を取得した場合は、取得した年の路線価を使って計算します。
注意したいのは、年の前半に相続や贈与があったケースです。たとえば1月や2月に相続が発生した場合でも、その年の路線価が公表される7月1日を待ってから計算する必要があり、前年の路線価を使うことはできません。
3-1. 路線価図の見方、記号の意味
路線価図は、記号や数字が並んでいて一見とっつきにくく見えますが、読み取るポイントは「地区の記号」「路線価の数字」「借地権割合のアルファベット」の3つだけです。それぞれの意味を押さえれば、誰でも読み解けます。
3-1-1. 路線価図の記号は地区を表す
路線価図の左上には、その地図で使われる記号の凡例が示されています。記号は「ビル街地区」「高度商業地区」「工場地区」といった土地の用途区分を表し、特別な記号のない普通の線で囲まれた区域は、通常の住宅地区を示します。地区によって、土地の形状に応じた補正の計算方法が変わります。
3-1-2. 路線価に並ぶ数字は路線価を表す
道路の上に並んでいる数字が、その道路に面する土地の路線価です。数字の単位は千円で表されるため、「140D」と記載されていれば140×1,000=140,000円、つまり1平方メートルあたり140,000円が路線価となります。
3-1-3. 路線価図の右側にあるのは借地権割合
数字の後ろに付くアルファベット(例:140D の「D」)は、借地権割合を表します。路線価図の上部・右側には、各アルファベットが示す借地権割合の一覧が記載されています。借地権割合は、土地を借りて使っている場合の評価額を計算する際に使います。
| 記号 | 借地権割合 |
|---|---|
| A | 90% |
| B | 80% |
| C | 70% |
| D | 60% |
| E | 50% |
| F | 40% |
| G | 30% |
借地権とは、建物を建てる目的で地代を払い、他人から土地を借りる権利のことです。土地そのものを所有する「所有権」とは異なり、借地権はあくまで「土地を借りる権利」であるため、建てた建物を売却する際に地主の承諾が必要だったり、契約更新の手続きがあったりと、所有権に比べて自由度は低くなります。
借地権割合とは、借地権が設定された土地の財産価値のうち、借地人が持つ「借地権」が占める割合のことです。借地権が設定された土地には、地主側の権利である「底地(そこち)」と、借地人側の権利である「借地権」の2つがあり、その土地の価値を両者で分け合う形になります。借地権割合は、この分け合う比率を示すものです。
たとえば借地権割合が60%の土地なら、土地の財産価値のうち60%が借地人の借地権、残りの40%が地主の底地の価値にあたります。借地権割合が大きいほど、借地人が持つ借地権の評価額は高くなります。この割合は、路線価図に記載されたアルファベット(A〜G)で確認できます。
3-2.路線価図を基にした相続税評価額の計算方法

ここでは実際の路線価図を基に、相続税評価額を計算します。
例として千葉県松戸市の路線価図にある、赤で印をつけているところの相続税評価額を出してみましょう。
3-2-1. 自用地の場合
自用地(自分で使う土地)の相続税評価額は、「路線価×土地の面積」で計算します。たとえば路線価図で「140D」と記載された道路に面する、面積100平方メートルの土地なら、次のように計算します。
140,000円 × 100平方メートル = 1,400万円
「140D」のうち「D」は借地権割合(60%)を示す記号ですが、自用地の場合は土地を貸しているわけではないため、借地権割合を考慮する必要はありません。そのまま「路線価×面積」で評価額が求められます。
なお、土地の形状によっては、評価額を減額できる「補正」が認められています。「道路からの奥行が深すぎる」「形がいびつ」といった使いにくい土地は、その分だけ利用価値が下がると考えられるため、評価額も減額できる仕組みです。補正には主に次の5種類があり、1つの土地に複数の補正が組み合わさることもあります。
| 補正の種類 | 対象となる土地の特徴 |
|---|---|
| 奥行価格補正 | 道路からの奥行が短い、または長い |
| 不整形地補正 | 形状がいびつ |
| 間口狭小補正 | 用途に対して間口が狭い |
| 奥行長大補正 | 間口に対して奥行が長い |
| がけ地補正 | 敷地内にがけがある |
3-2-2. 借地の場合
借りている土地(借地)の相続税評価額は、「土地全体の評価額 × 借地権割合」で計算します。まず土地全体の評価額を求め、そこに借地権割合を掛けることで、借地人が持つ借地権の価値を算出します。
土地全体の評価額は、自用地と同じく「140,000円 × 100平方メートル = 1,400万円」です。「140D」の「D」は借地権割合60%を示すため、借地人の相続税評価額は次のようになります。
1,400万円 × 0.6 = 840万円(借地人の評価額)
一方、その土地を貸している地主(底地の所有者)側は、土地全体の評価額から借地権の分を差し引いた、残りの割合で評価します。借地権割合が60%なら、地主側は残りの40%です。
1,400万円 ×(1 − 0.6)= 560万円(地主の評価額)
このように、1つの土地でも借地人と地主で評価額が分かれ、両者を合計すると土地全体の評価額(1,400万円)になります。なお、上記はいずれも土地の形状による補正を考慮しない場合の計算です。
4.まとめ

路線価は普段あまり耳にせず、難しく感じるかもしれませんが、計算式さえ理解すれば一般の方でも計算できます。路線価は国税庁のホームページでいつでも誰でも確認ができますので、路線価を調べたい住所を入力してチェックしてみてください。
路線価が計算できるようになると、相続や贈与を受けた際の相続税・贈与税のおおよその金額を把握できるだけでなく、その土地を売却する際の価格の目安をつかむヒントにもなります。
ただし、路線価から算出した金額は、あくまで税金計算のための評価額であり、実際の売買価格とは異なります。実際の取引では、近隣の成約事例や需要、周辺環境などさまざまな要因を加味して価格が決まるため、「路線価=売れる金額」ではない点に注意が必要です。相続した土地や使っていない土地を「実際にどうするか」となると、想像以上に判断が難しいのも事実です。
空き家活用サービス「アキサポ」を運営する株式会社ジェクトワンは、空き家だけでなく、土地の買取や活用にも力を入れています。売却すべきか、活用して収益化すべきか——アキサポならではの土地活用のノウハウも踏まえて、お客様一人ひとりにとってのベストな選択肢をご提案します。
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この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。