公開日:2022.02.22 更新日:2026.06.04
【2026最新】農地付き空き家とは?購入メリットと条件緩和で手軽に畑付き物件を探す方法
田舎暮らしをしながら家庭菜園を楽しむ「スローライフ」に憧れていても、農地付きの空き家を探すのは簡単ではありません。
そんな方に注目されているのが「農地付き空き家」です。農地と空き家がセットで手に入るこの物件形式は、地方移住を考える方にとって理想的な選択肢のひとつです。
この記事では、農地付き空き家の概要・メリット・探し方を解説します。
目次
農地付き空き家とは|家と農地がセットの空き家バンク登録情報
「農地付き空き家」とは、農地と空き家がセットになった空き家バンクの物件種別です。
2013年前後から一部市町村で使われていましたが、ニーズの増加を受けて2018年に国土交通省がガイドラインを制定。2020年には農地付き空き家を活用した移住促進事業「既存住宅活用農村地域等移住促進事業」もスタートし、近年注目度が高まっています。
買主は空き家と農地を一度に探せ、売主は同時に売却できる点が双方にとってのメリットです。ガイドライン制定の背景には、都市部からの移住ニーズの高まりがありました。総務省の2017年の報告書では、20〜60代の男女の30.6%が「農山漁村に移住してみたい」と回答しています。コロナ禍以降、地方移住への関心はさらに高まっており、農地付き空き家は「田舎でスローライフ」を考える方にとって一石二鳥の選択肢といえます。
農地と空き家が取得しやすくなる取り組みも
全国の市町村の中には、農地付き空き家を利用した「地域再生計画」という、移住促進に関する計画を定めているところがあります。そして、地域再生計画を策定している市町村では、農地と空き家が通常よりも取得しやすくなる2つの特例が適用されます。
農地などの権利取得に係る特例
農地を売買する場合、原則的に農地の取得には農地法3条に基づく許可が必要となります。3条の許可基準の中には、農地取得後の耕作面積が原則50アール以上、北海道は2ヘクタール以上になることが定められていますが、農地付き空き家を取得する場合においては、農地取得後の耕作面積を緩和できるようになっています。
既存住宅の取得などに係る特例
空き家が市街化調整区域にある場合、空き家の条件によっては取得に伴って都市計画法における用途変更の手続きが必要になるケースがあり、すべての人が許可を得られるわけではありません。
しかし、農地付き空き家の場合は地域振興を推進する観点から、許可審査の配慮をするものとされており、必要性が認められる場合は許可して差し支えないとされています。
農地付き空き家登録の流れ
【2026年最新版】農地付き空き家バンクの交渉・手続きフロー
※法改正により「下限面積(別段面積)の制限」が撤廃され、よりスムーズになりました
所有者が空き家バンクへ物件(農地含む)を登録申請。現地確認や農業委員会との確認(農地法3条適格の事前確認など)を経て台帳に登録され、「農地付き空き家」の情報がWeb上に公開されます。
移住や営農を希望する利用者がバンクへ登録し、物件情報の提供を受けます。希望者から具体的な「購入・賃借希望」が提出されると、空き家バンクが所有者側へマッチングの連絡調整を行います。
当事者間、または専門の宅地建物取引業者の媒介によって、不動産(建物および土地)の売買・賃貸借に関する具体的な交渉を行い、条件が合致すれば契約を締結します。
建物の契約後、付随する農地の権利を移動させるため、所有者(譲渡・賃貸)と利用者(取得・賃借)が共同で農業委員会へ申請を行います。**農地法第3条の許可**を得ることで、すべての移転手続きが完了します。
農地付き空き家は、空き家バンクへの登録と、農地を管轄する農業委員会への手続きの両方を経て登録されます。
農業委員会の手続きでは、条件がいくつかあり、一般的には「空き家と農地の所有者が同じこと」や「対象の土地が非農地でないこと」などを定めているケースがあります。
農地付き空き家に取り組んでいる市町村の例
農地付き空き家に積極的に取り組む自治体の例として、長野県を見てみましょう。
長野県では、県・各市町村・公益社団法人長野県宅地建物取引業協会が連携し、移住者向け空き家ポータルサイト「楽園信州空き家バンク・空き地バンク」を運営しています。物件検索では「家庭菜園・畑付き」などの条件で絞り込みができ、農地付きの空き家をまとめて探せます。
また、移住促進に積極的な例として群馬県があります。安中市・富岡市・桐生市は2020年に農地法3条許可における農地取得後の最低耕作面積を1アール以上に緩和しており、農地付き空き家を取得しやすい環境が整っています。ただし、制度の詳細や現在の運用状況は各市の農業委員会に直接確認することをおすすめします。
農地付き空き家の魅力とメリット

農地付き空き家の魅力は、憧れの「田舎でスローライフ」を手軽に実現できる点にあります。
通常、地方の空き家や農地の取得には複数の手続きと許可審査が必要ですが、農地付き空き家ではその条件が大きく緩和されています。ここでは、農地付き空き家ならではのメリットを3つ紹介します。
手軽に自然と触れ合いながらの生活をかなえられる
農地付き空き家の最大のメリットは、自然の中での暮らしをすぐに始められることです。家族で農業を楽しんだり、子供の食育に活用したり、自分で育てた作物を食卓に並べたりと、都市部では得られない体験が日常になります。
物件は空き家バンク経由のため一般相場より安く購入できるケースが多く、住み始めてすぐに畑を始められる点も魅力です。農地付き空き家を設けている自治体は田舎暮らしを推進しているところが多く、「スローライフ」のイメージにもマッチします。
空き家と農地をセットで取得できる
通常、市街化調整区域の空き家は建築した人とその親族専用とされているケースが多く、第三者が取得するには用途変更の許可が必要です。農地の取得においても、保有農地面積の下限(原則50アール、北海道では2ヘクタール)が設けられており、一般の方には高いハードルとなっています。
農地付き空き家では、地域再生計画が定められていれば、こうした条件が緩和される制度が設けられています。通常の手続きでは取得が難しい方でも、空き家と農地の両方を取得しやすくなっています。
農地だけでなく物置や農機具が付いてくることも
空き家バンクへの登録者が農機具や農業用物置を所有しているケースもあります。古民家と納屋がセットになった物件では、スコップやクワなどの基本的な農機具がそのまま残っていることも少なくありません。すぐに農業を始めたい方は、農機具や農業施設が充実した物件を優先的にチェックしてみましょう。
農地付き空き家物件を探す方法

農地付き空き家は一般的な空き家より条件が特殊なため、物件が掲載されている場所が限られています。主な探し方は「空き家バンク」と「空き家バンク対応の不動産ポータルサイト」の2つです。
空き家バンク
農地付き空き家は空き家バンクへの登録を前提とした制度です。全国の市町村が運営する空き家のマッチングサービスで、物件情報は各市町村のウェブサイトや窓口から確認できます。サービスは基本的に無料ですが、媒介契約は宅建業者が行うため仲介手数料が発生します。物件価格は一般的な相場より安い傾向があり、内覧も可能です。
空き家バンク対応の不動産ポータルサイト
複数の市町村をまとめて検索できる点が、各市町村サイトから探すより便利です。代表的なサービスとして「LIFULL HOME’S空き家バンク」があり、農地付き空き家だけを絞り込んで検索できる機能も備わっています。また「アットホーム空き家バンク」でも農地付き物件の掲載があります。問い合わせ先の市町村窓口も物件情報欄に記載されているため、スムーズに連絡が取れます。
農地付き空き家にはどんな物件がある?
実際に空き家バンクで農地付き空き家を探すと、農業を営む家ならではの特徴が見えてきます。ここでは、メリットになり得る特徴を2つ紹介します。
敷地面積が広い物件が多い
農機具の保管や苗の栽培スペースが必要なため、農地付き空き家は全体的に敷地面積が広い傾向があります。敷地内に複数の建物が建っているケースも珍しくなく、農地を除いても500㎡以上というのはよくある話で、1,000㎡を超える物件もあります。
広い敷地は駐車場としても活用でき、子供の遊び場やバーベキュースペースなど、さまざまな用途に使えます。
通常の空き家より古民家物件が多い
農家の方は昔からその地域で農業を営んでいるケースが多く、古民家に住んでいる場合もよくあります。そのため、農地なしの空き家に比べて古民家の割合が高くなっています。かやぶき屋根と囲炉裏があるような物件は少ないものの、瓦屋根の昔ながらの農家住宅は数多く見つかります。
ただし、農地付き空き家は農業を営む条件で取得する物件です。古民家を民泊施設などにリフォームしたい方には不向きなため、農地なしの物件から探しましょう。
農地付き空き家に関するよくある質問
農地付き空き家(畑付き物件)とはどのようなものですか?
「農地付き空き家」とは、建物(空き家)と隣接する農地(畑や田んぼ)がセットになった空き家バンクの物件種別のことです。2018年に国土交通省がガイドラインを制定し、2020年には国の移住促進事業が創設されたことで注目を集めました。さらに近年の農地法改正(下限面積要件の撤廃)によって、一般の方でも小規模な畑付き物件を非常に取得しやすくなっています。
「既存住宅活用農村地域等移住促進事業」とは何ですか?
過疎化や高齢化が進む農山村地域等において、地域に眠る既存の住宅(空き家)を有効活用し、都市部からの移住・定住を促すための国の支援事業です。これに連動して各自治体が独自の補助金制度(改修費の補助や家財道具の処分費支援など)や特例措置を実施しているケースが多いため、詳細や具体的な手続窓口については各自治体のホームページや相談窓口で確認することをおすすめします。
売りたい・貸したい場合の「農地付き空き家」の登録方法は?
空き家バンクへの登録申請と同時に、農地を管轄する「農業委員会」への確認手続きを行います。以前は別段面積の指定や個別の告示といった複雑なプロセスが必要でしたが、現在は下限面積制限が撤廃されたため手続きが簡素化されています。申請後に農業委員や事務局による現況調査(遊休農地になっていないか等の確認)や審査を経て、問題がなければ「農地付き空き家」としてバンクに一括登録・公開されます。
農地付き空き家で憧れの田舎生活を始めよう
農地付き空き家は、空き家と農地を同時に取得できる田舎スローライフへの近道です。両方の取得条件が緩和されているケースもあり、通常では取得が難しい地域の物件にもチャンスが広がっています。
広い敷地や古民家物件が見つかりやすい点も、人によっては大きな魅力です。
エリアによっては希望の物件が見つからない場合もあります。そんなときは、空き家活用サービス「アキサポ」にお気軽にご相談ください。独自の空き家ネットワークを活かし、農地付き空き家に条件の近い物件をお探しします。
リモートワークの普及により、田舎暮らしのハードルは以前より下がっています。ぜひこの機会に、憧れの田舎生活を始めてみましょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。