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公開日:2022.02.24 更新日:2023.10.02

太陽光発電を設置した空き家活用術!メリット・デメリット、注意点などを解説

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2012にはじまった「固定価格買取制度(FIT制度)」によって誰でも手軽に売電が可能となった影響もあり、日本の太陽光発電導入量は右肩上がりの状況が続いています。

IEA(国際エネルギー機関)によると累計の太陽光発電導入量は、1999年が20.9万kWhであったのに対し、2019年には5,900万kWhを記録。わずか20年で約280倍以上にまで増加しており、その勢いは留まるところを知りません。

そんな太陽光発電について、今回は「太陽光発電による空き家活用」をテーマに、太陽光発電の基礎知識、他の活用方法と比べたメリット・デメリット、太陽光発電の注意点などを分かりやすくまとめます。

空き家での太陽光発電の活用方法

ソーラーパネル

まずは、太陽光発電を用いた空き家の活用方法について、基礎知識や設置方法などを解説します。

太陽光発電の基礎知識

太陽光発電とは、読んで字のとおり「太陽の光エネルギーを用いて発電する仕組み」のことです。発電方法には、原子力や火力などさまざまな方法が存在していますが、太陽光発電は風力発電と同じく自然エネルギーを利用するタイプの発電方法です。

【太陽光発電の特徴】

・太陽の光は利用しても枯渇しないため、再生可能なエネルギーである
・発電中に二酸化炭素などの有害物質が出ないため、環境にやさしい
・さまざまな発電方法の中でも仕組みが単純なため、個人でも管理できる

ちなみに太陽光発電の発電は、光が当たると電気が生まれるソーラーパネル(太陽電池)と呼ばれる設備を用いて行われます。ソーラーパネルの設置については、次項で引き続き解説しますのでご覧ください。

ソーラーパネルの設置について

太陽光発電に欠かせないソーラーパネルは、専用の用地に設置することも可能ですが、建物の屋根・壁など未利用スペースに設置できることが大きな特徴です。

空き家の場合、ソーラーパネルの設置方法には以下のような選択肢があります。

・空き家の屋根や壁に設置する
・敷地内の庭などに設置する
・空き家を解体して更地にした上で設置する

どの方法で設置するべきなのか見極める上で重要となるのは「リスク」「コスト」の2点です。

例えば、空き家の屋根や壁にそのまま設置したい場合でも、建物がソーラーパネルの荷重に耐えられず倒壊してしまう可能性があるなら、その選択肢はリスキーといえます。

とはいえ、空き家を解体してソーラーパネルを設置するには、別途解体・整地費用がかかるため、コストがかさみ過ぎてしまう可能性もあるでしょう。

つまり、リスク・コストの両面を吟味した上で、所有する空き家にとって最も効果的な太陽光発電の設置方法を決めることが重要だといえます。

太陽光発電システムの設置にかかる期間・手続きの流れ

太陽光発電を空き家に設置する場合、工事自体にかかる期間は2日〜1週間程度ですが、すべての手続きを含めると、1カ月半〜長くて数カ月かかることもあります。

では実際にどのような手続きが必要なのか、順を追って紹介しましょう。

1.現地調査および設置のプランニング:物件の構造や屋根の形などを調査し、設置規模や機器を決めます。

2.支払い計画:業者からの見積書などをもとに、支払い計画を立てます。活用できる補助金の有無を確認するとともに、活用可能な場合は申請手続きを進めましょう。

3.電力会社・経産省への申請:売電のためには、あらかじめ電力を買い取ってくれる電力会社と経済産業省へ申請を行い、FIT(詳しくは後述)の適用認可を得る必要があります。

4.設置工事:工事自体が2日〜1週間程度で終わることを考えると、ご覧のとおり工事の前に必要な手続きに多くの時間がかかるのが分かります。

手続きの中には、機器選定や支払い計画など、利用者側の対応・判断が求められる場面も多いため、いかにスムーズに対応できるかが期間短縮のカギといえます。

太陽光発電を用いた収入の仕組み

空き家は人が住んでいないわけですから、太陽光発電を行う場合は発電された電気を空き家で使うのではなく、「売却して収入を得る」ことが大きな目的となります。

では肝心の、電気を売却して収入を得る方法についてですが、日本では国の「固定価格買取制度(FIT制度)」と呼ばれる仕組みを用いて電気を売却します。

【FIT制度の概要】

・再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度

・対象となる再生可能エネルギーは、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」の5つ

・1kWあたりの買取価格は毎年決められるが、主に家庭用発電である容量10kW未満の太陽光発電の場合、契約時の単価で10年間の買取が実施される(固定価格)

・10年間の買取期間が満了した後、契約が自動継続となっている場合は新たな単価での継続的な買取、自動契約となっていない場合は新たな買取契約を結ばない限り、一般送配電事業者が余剰電力を無償で引き取ることになる。

つまり、FIT制度は分かりやすく言えば、「太陽光発電で生まれた電気を10年間同じ単価で買い取ってもらえる制度」です。

ただし、これはあくまで「家庭用発電である容量10kW未満の太陽光発電」の話で、事業用太陽光発電(10kW以上)などの場合は20年間固定価格で買い取ることが定められています。

空き家で太陽光発電を活用するメリットとデメリット

空にひらめきアイコン

太陽光発電に限らず、空き家を何らかの形で活用する際には、活用方法ごとのメリット・デメリットを理解した上で適切なプランニングを行うことが大切です。

そこでここからは、空き家で太陽光発電を活用するメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。他の空き家活用方法と比較した上でのメリット・デメリットですので、複数の活用方法を検討中の方もぜひ参考にしてください。

空き家で太陽光発電を活用するメリット

まずは空き家で太陽光発電を活用する6つのメリットを紹介します。

1.少ない手間で収入を得られる
2.収益の安定性が高い
3.環境にやさしい
4.「人」とのトラブルを回避できる
5.ランニングコストがほとんどかからない

少ない手間で収入を得られる

太陽光発電に必要なのは、「ソーラーパネルと太陽光」だけです。つまり、ソーラーパネルさえ設置してしまえば、太陽光がある限りは収入の元となる電気が生み出されるため、少ない手間で収入を得ることが可能です。

他の空き家活用方法の中には、店舗経営や民宿など、収入を得るための運営に労力を伴うものも多いですから、これらの方法に比べると太陽光発電は圧倒的に少ない手間で収入を得られるメリットがあります。

収益の安定性が高い

コインパーキング、レンタルスペース、コインランドリー、民泊など、ほとんどの空き家活用では「集客」が収益に大きな影響を及ぼします。

一方の太陽光発電は、設備と太陽光さえあれば収益につなげられますので、集客の必要がありません。また賃料による収益と異なり、地価が変動しても収益に影響が及ばない点も特徴の一つです。

また、電気の買取自体も国が定めた仕組みである「固定価格買取制度(FIT制度)」を利用するため、信頼性は非常に高いものであるといえます。

これらの特徴は収益の安定性を高める上で非常に重要な要素ですから、太陽光発電を用いた空き家活用方法は、リスクが低く、安定的に収益をあげたい方におすすめです。

環境にやさしい

太陽光発電は、エネルギー源が太陽という自然の力であるだけでなく、発電時に温暖化の原因となる二酸化炭素などが出ない仕組みとなっています。

官民問わず、年々環境への配慮に対する必要性は高まっていますから、環境へのやさしさという観点においても太陽光発電は優れた性質を備えています。

「人」とのトラブルを回避できる

ほとんどの空き家活用では、「人」とのトラブルのリスクが付きものです。

・空き家を貸し出す際の貸主・借主間でのトラブル
・空き家を用いた事業を行う際の、利用客によるトラブル

しかしながら太陽光発電を用いた空き家活用では第三者が関わらない(初期の設置やメンテナンスは除く)ため、こうした「人」とのトラブルのほとんどを回避できるメリットがあります。

ランニングコストがほとんどかからない

太陽光発電をはじめるには、ソーラーパネルをはじめとした設備を設置する必要はありますが、一度設置してしまえばランニングコストはほとんどかかりません。

資源エネルギー庁によれば、太陽光発電のランニングコストは住宅用「で「3,000円/kW・年」とされており、少ないランニングコストでの運用が可能です。

また、太陽光発電システムは基本的に無償で10年保証が付いていますが、メーカーによっては20年間の無償保証が付いていたり、有償で保証期間の延長ができたりするところもあるため、故障発生時のコストについてもリスクを抑えながら運用できます。

空き家で太陽光発電を活用するデメリット

次は、空き家で太陽光発電を活用する際の4つのデメリットを紹介します。

1.まとまった初期費用がかかる
2.FITによる売電価格が低下している
3.発電量は天候に左右される
4.初期費用の回収に時間がかかる

まとまった初期費用がかかる

太陽光発電をはじめるには、ソーラーパネルを含む太陽光発電システムを導入するためにまとまった初期費用が必要となります。

ただし、従来は5kWの太陽光発電システムを設置するのに200〜250万円程度の費用がかかっていましたが、年々右肩上がりを続けた結果、現在では150万円程度にまで下がっています。

FITによる買取価格が低下している

従来に比べて太陽光発電システムの設置費用が大幅に下がったことにより導入のハードルが低くなった一方で、FITの買取価格も年々低下の一途を辿っています。

多くの空き家が該当する「10kW未満の買取価格」に関して、2016年度は「31円/kWh」でしたが、2022度は「17円/kWh」にまで下落。買取価格が下落したということは、同じ量の電気を売っても収入が少なくなるわけですから、導入が手軽になったからといって状況が好転したとはいえません。

発電量は天候・環境に左右される

太陽光発電は光がなければ発電できないため、天候や設置環境に大きく左右される性質を持っています。

・晴れの日に比べて天候が悪い日は発動量が50%以下にまで減ることが多い
・周辺の建物や自然環境によって光が遮られる場合は発電量が落ちる

こうした天候だけでなく、周囲の環境によっても発電量は左右されるため、収入にばらつきが出る可能性があることは留意しておきましょう。

初期費用の回収に時間がかかる

ここでは具体的な例をもとに、太陽光発電による初期費用の回収にどの程度の時間がかかるのかを紹介します。

【初期費用回収のシミュレーション】

・初期費用(設備代・工事費込み・ソーラーパネル20枚設置(5kw分)):150万円
・発電量:1kwあたり1,000kwh/年間
・FITの買取価格(2022年度):17円/kWh
・年間売電価格:5,000kwh×17円=85,000円
◇150万円(初期費用)÷85,000円(年間売電価格)=17.6年

こちらはあくまで発電量を少なく見積もった上での簡単な計算ですが、初期費用を回収するのに約17年半の時間がかかることになります。

実際にはもっと発電できるケースが多いといわれていますが、それでも初期費用を回収するのに10年程度はかかると考えておいたほうが良いでしょう。

太陽光発電の設置に向いている場所と注意点

大型ソーラーパネル

太陽光発電は、光によって電気を生み出す仕組みであるため、設置場所が非常に重要です。

そこでここからは、太陽光発電設置に向いている場所の解説に加え、太陽光発電を用いて空き家活用を行う際の注意点を解説します。

太陽光発電設置に向いている場所とは

太陽光発電に向いている場所の特徴を以下にまとめます。

・日当たりが良い
・周囲に光を遮る建物や山などが少ない(より長時間光が当たる場所)
・南向きに設置するのが最も効率的
・屋根の傾斜は30%程度が理想
・周囲に電柱がある(電柱を新設する場合は高額請求が発生する場合も)

ご覧のように、太陽光発電で重要なポイントの多くは「環境」であるため、田舎の空き家でも十分に運用が可能です。周囲に人の少ない立地にある空き家はニーズが限定的となり、空き家活用の選択肢が少なくなってしまうものですが、太陽光発電なら立地を気にせず空き家を有効活用できるかもしれません。

逆に以下のような特徴を持つ場所では、状況に応じて対策が必要となります。

・積雪が多い(発電量の低下、雪の重みによる設備損傷などのリスクがある)
・海岸沿い(塩害による設備の故障リスクがある)

これらのポイントを踏まえて所有する空き家が太陽光発電に適しているか、また太陽光発電を効果的に行うためにはどのような工夫が必要であるかを検討しましょう。

太陽光発電の注意点①:税金

太陽光発電で得た売電収入には所得税が課税される可能性があるため注意が必要です。

多くの空き家が該当する「容量10kW未満の太陽光発電」では所得税が課税されるケースはほとんどありませんが、年間20万円以上の売電所得がある場合(給与所得者で売電収入が雑所得にあたる場合)は課税対象となるため確定申告しなければなりません。

ちなみに売電所得と売電収入はイコールではなく、「売電収入から経費を差し引いた額が売電所得」として扱われるため、収入が20万円以上でも経費を差し引いた所得が20万円以下の場合は所得税の課税対象外となります。

ただし、所得税とは別に市県民税の申告が必要なケースもありますので、お住いの市町村に確認した上で、必要な場合は手続きを行いましょう。

太陽光発電の注意点②:出力抑制(出力制御)

出力抑制(出力制御)とは、安定した電気供給のために、規定された条件下で電力会社が発電事業者(太陽光発電を行っている人)に対して、発電設備からの出力を停止/抑制要請できる制度です。

この出力抑制が行われると発電所と電力系統の接続が制限されるため、制限中は売電収入が得られなくなってしまいます。

実際には、出力制御による損失はわずかだといわれていますが、小さなリスクのひとつとして太陽光発電システム導入に伴うローンを組む際の審査などで不利に働く可能性が考えられます。現在ではそのための対策として、「出力制御保険」「出力制御補償」といったものが用意されているため、必要に応じて加入を検討すると良いでしょう。

太陽光発電の注意点③:補助金

空き家のリフォーム・リノベーション・解体などにはさまざまな補助金が用意されていますが、太陽光発電を始める際にもこうした補助金を交付してもらえる可能性があります。

太陽光発電は、少しずつ安定的に収益を積み重ねていく特徴を持っているため、初期費用が少なければ少ないほど、初期費用の回収にかかる時間は短くなります。

ただし、実際に補助金が使えるかどうかは補助金の要件や各自治体の判断によって変わりますので、太陽光発電の導入前に自治体に直接確認してみると良いでしょう。

空き家の太陽光発電に関するまとめ

太陽光発電は、収益の安定性が高いだけでなく、「人が関わるニーズ」に左右されない性質を持っているため、田舎で空き家活用したい方には特におすすめです。

ただし、設置場所によって発電量が大きく異なるため、所有する空き家との相性は慎重に見極めなければなりません。

私たちアキサポでは、太陽光発電を含む多種多様な空き家活用方法の中から、一軒一軒にマッチした活用の仕方をご提案できるだけでなく、ご相談からリノベーション・空き家活用開始・運用までをワンストップでサポート可能です。

空き家に関する疑問やお悩みのある方は、まずは一度お気軽にご相談ください。

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