公開日:2020.10.29 更新日:2026.06.17
親が倒れたら何をする?必要な手続きと生前整理のポイント
「親が倒れたら…」という不安は、親を持つすべての人に共通する悩みです。
実際に親が倒れると、入院・手術の手続きに始まり、万が一の場合には遺品整理や相続まで、対応しなければならない手続きは想像以上に多岐にわたります。
こうした事態に備えるため、近年では「終活」「生前整理」という言葉もすっかり定着してきました。
本記事では、親が倒れた際に必要な手続きと、生前整理・実家の片付けで押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
親が倒れた際のよくある悩み

親が倒れた際、実際にどのような悩みが生じるのか、具体的に見てみましょう。
・入院・手術など、医療関係の手続き方法がわからない
・税金・年金・光熱費・生活費など、親のお金に関する情報がわからない
・親しい親戚や地元の知人の連絡先・住所がわからない
・実家の掃除や今後の管理をどうすべきかわからない
・生前整理をいつ・何から始めればよいかわからない
共通するのは、「親の情報を事前に把握していれば防げた」という点です。医療手続きでもお金の管理でも、親が倒れてコミュニケーションが取れなくなってからでは、必要な情報を確認することが難しくなります。
余裕があるうちに親と話し合い、もしもの時に備えた準備を進めておくことが重要です。
親が倒れた時にまず必要な手続き

親が倒れた場合は状況に応じてさまざまな対応が求められますが、対応の緊急性・必要性の高さは以下の3つに分類することができます。
親が倒れたときの対応ロードマップ
なかでも緊急度が高いのが、倒れた直後に対応を求められる「短期的な手続き」です。事前に流れを把握しておくだけで、いざという時の慌てを大きく減らせます。
親が倒れてからの対応は、大きく3つの時期に分けられます。
以下では、特に優先度の高い短期の対応3点を詳しく解説します。
| 時期 | 主な対応内容 | 緊急度 |
|---|---|---|
| 短期(直後) | 入院手続き・手術同意・治療費の用意 | 高 |
| 中期(入院中〜退院後) | 今後の治療方針の確認・介護の手配 | 中 |
| 長期(退院後〜万一の際) | 相続手続き・生前整理・実家の活用方針検討 | 低〜中 |
入院手続き

入院の際、病院によっては緊急連絡先や費用支払い・身柄引き取りを保証する「入院保証人」を求められます。保証人は1〜2名が一般的で、2名の場合は1名が「別世帯」であることを条件とするケースが多いため、事前に確認しておきましょう。
あわせて「入院保証金」も把握しておくと安心です。退院時に精算されますが、相場は5〜10万円程度。病院によっては現金払いのみの場合もあります。
手術関連の手続き

手術が必要な場合、医師から十分な説明を受けたうえで署名する「同意書」の手続きが発生します(インフォームドコンセント)。本人の判断が難しい状況では、家族が代わりに同意手続きを行うことになります。
説明を受けて他の意見も聞きたい場合は、セカンドオピニオン(専門的な知識を持つ第三者への意見照会)を検討することも選択肢のひとつです。
治療費の用意
費用面は特に注意が必要なポイントです。入院保証金や治療費は突然請求されるケースも多く、「誰が支払うか」を事前に決めていないと、親族間のトラブルに発展することもあります。
手術費用や退院後の介護費用まで含めるとまとまった金額になる可能性もあるため、費用負担については親族間で事前に話し合っておくことをおすすめします。
親が倒れた際、困らないために知っておきたい情報
親が倒れた際の悩みの多くは、「事前に親の情報を把握していれば防げた」ことばかりです。ここでは特に押さえておきたい情報をまとめます。
お金に関する情報
治療費の支払いから、万が一の際の相続手続きまで、お金に関わる場面は数多くあります。以下の情報を親が元気なうちに確認しておきましょう。
| カテゴリー | 把握しておきたい情報 |
|---|---|
| お金 | 銀行口座・クレジットカード・各種暗証番号・資産内訳・権利書・印鑑の保管場所・毎月の固定費 |
| 人間関係 | 親しい知人・親戚の連絡先と住所 |
| 実家・不動産 | 所有不動産の有無・ローン残高・固定資産税の納付状況 |
| 医療・保険 | かかりつけ医・持病・服薬情報・加入保険の内容 |
貯蓄や資産だけでなく、毎月の出費まで把握しておくことが重要です。
親が入院した後も、実家の光熱費・保険料・各種支払いは止まりません。収入と支出の両面をセットで確認しておきましょう。
親しい友人・親戚の連絡先
容体の急変や万が一の際には、親が親しくしていた知人・親戚への連絡が必要になります。
「誰に・どのタイミングで連絡してほしいか」は本人に直接確認するのが確実です。倒れてからでは聞き出せないことも多いため、元気なうちに交友関係と連絡先をあわせて把握しておきましょう。
実家の片づけや生前整理で大切なポイント

ここまで解説してきた対処法や事前準備の集大成となるのが「生前整理」です。生前整理とは、元気なうちに老後・死後に備えて身辺や財産を整理する取り組みで、近年は20〜30代から始める人も増えている「終活」のひとつです。
生前整理は「よりよく生きる」ための整理
生前整理には「死を想定した片付け」というネガティブなイメージがありますが、本質は異なります。親が亡くなった後、生前整理をしていなかったために手続き・片付け・相続問題が一度に押し寄せるのはよくあることです。生前整理は、残された家族の負担を減らし、親子ともに安心して暮らすための準備です。
親の理解と協力を得たうえで、一緒に進めることが大切なポイントです。
相続するのは資産だけではない
相続というと預貯金や不動産をイメージしがちですが、実際には親の所持品や不用品なども含まれます。「何を残して何を処分するか」は本人にしか判断できないことも多いため、元気なうちに親と一緒に仕分けを進めておくことが重要です。
実家の相続と固定資産税リスク
実家を相続すると相続税に加え、保有している限り毎年固定資産税が発生します。
空き家として放置した場合、管理が不十分と判断されて「管理不全空家」や「特定空家」に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税額が最大6倍になるリスクがあります(2023年空家法改正)。
更地にすれば管理の手間は省けますが、住宅用地特例が外れ、かえって税負担が増す点に注意が必要です。実家に住み続けることが難しい場合は、活用という選択肢も検討してみましょう。
空き家となった実家の主な活用方法には、以下のような選択肢があります。
- 修繕・リノベーションを行い第三者に貸し出す
- アキサポにリノベーション費用を負担してもらい第三者に貸し出す
- 建て替えを行い、アパート経営などに切り替える
実家を有効活用することで、負担だった資産を収益を生む資産へと転換できます。
なお、相続放棄という選択肢もあります。相続放棄をすれば税金などのコスト負担は回避できますが、実家だけでなく預貯金・株式などすべての遺産を放棄することになる点に注意が必要です。
まとめ
人がいつ倒れるかは誰にも予測できません。事前準備なしに動き出すと、手続き・片付け・費用負担が一度に押し寄せ、家族全員に大きなストレスがかかります。
大切なのは、親が元気なうちに情報を共有し、生前整理を一緒に進めておくことです。「早すぎる」ということはなく、20代・30代から始める人も増えています。
実家の相続が見込まれる場合は、「相続後にどう活用するか」をあらかじめ想定しておくと、いざという時にスムーズに動けます。アキサポでは空き家の有効活用から相続前の不動産相談まで幅広くサポートしていますので、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。