公開日:2025.07.18 更新日:2026.08.27
なぜ解体費用が高くなる?構造別・坪数別の目安と補助金を解説

家の解体費用相場を調べて、画面に並ぶ「100万円」「200万円」という数字に思わず手が止まる。古くなった家を取り壊したいだけなのに、なぜこれほど費用がかかるのかと疑問に感じる方もいるでしょう。
じつは家の解体費用は、木造・鉄骨造・RC造といった構造や坪数だけでは決まりません。重機が入れるか、処分する廃材や家財がどれくらいあるか、アスベストが使用されているかなどによって、同じ広さの家でも最終的な金額には大きな差が出ることがあるのです。
この記事では、家の解体費用を構造別・坪数別に整理し、実際の費用事例や見積もりの内訳、費用が高くなる条件、補助金・助成制度まで詳しく解説します。また、「家を壊して更地にする」以外に、空き家を残して活用する選択肢も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
家の解体費用の相場|構造別・坪数別の目安

家の解体費用は、建物の構造と延べ床面積によって大きく変わります。おおよその費用は「1坪あたりの解体費用×延べ床面積」で計算できますが、坪単価に含まれる工事の範囲は解体業者によって異なるため、あくまで概算として捉えましょう。
なお、ここでいう坪数は土地の広さではなく、建物各階の床面積を合計した「延べ床面積」である点には注意してください。
木造・鉄骨造・RC造の坪単価目安
家の解体費用は、建物が頑丈で解体に手間がかかるほど高くなる傾向があります。構造別の坪単価の目安は、次のとおりです。
| 建物の構造 | 坪単価の目安 |
|---|---|
| 木造 | 3万~5万円程度 |
| 鉄骨造 | 4.5万~9万円程度 |
| RC造(鉄筋コンクリート造) | 6万~10万円程度 |
木造住宅は、鉄骨造やRC造と比べて建物を取り壊しやすく、解体費用も比較的安くなる傾向があります。
鉄骨造は、鉄骨の切断や分別に手間がかかるため、木造より坪単価が高くなりやすい構造です。同じ鉄骨造でも、使用する鉄骨が薄い軽量鉄骨造と、太く頑丈な重量鉄骨造では解体費用が異なります。
RC造は、鉄筋とコンクリートを組み合わせた頑丈な構造です。コンクリートの破砕や鉄筋の切断に大型重機を使用し、工期や廃材の量も増えやすいため、3つの構造のなかでは解体費用が高くなる傾向があります。
20坪・30坪・40坪の解体費用目安
先に紹介した構造別の坪単価に、建物の延べ床面積を掛けると、おおよその解体費用を計算できます。
- 解体費用の目安=構造別の坪単価×建物の延べ床面積
坪単価を木造3万~5万円、鉄骨造4万5,000~9万円、RC造6万~10万円として計算した場合、坪数別の目安は次のとおりです。
| 延べ床面積 | 木造 | 鉄骨造 | RC造 |
|---|---|---|---|
| 20坪 | 60万~100万円 | 90万~180万円 | 120万~200万円 |
| 30坪 | 90万~150万円 | 135万~270万円 | 180万~300万円 |
| 40坪 | 120万~200万円 | 180万~360万円 | 240万~400万円 |
たとえば、延べ床面積30坪の家なら、木造で90万~150万円、鉄骨造で135万~270万円、RC造で180万~300万円が目安になります。
では、実際の工事ではどのくらいかかっているのでしょうか。
一般社団法人あんしん解体業者認定協会では、同協会を通じて実際に行われた解体工事の費用を公開しています。20坪・30坪・40坪のデータをまとめると、以下のとおりです。
| 延べ床面積 | 木造(※平屋・2階建込) | 鉄骨造 | RC造 |
|---|---|---|---|
| 20坪 | 64万~120万円 | 90万~200万円 | 140万~240万円 |
| 30坪 | 90万~150万円 | 135万~270万円 | 195万~300万円 |
| 40坪 | 120万~200万円 | 168万~320万円 | 240万~400万円 |
参考:一般社団法人あんしん解体業者認定協会「解体無料見積ガイド」
※木造は、平屋と2階建ての公開データを合わせた金額幅です。
金額に幅が出るのは、建物の階数や基礎の構造、重機が入れるかどうか、隣家との距離、処分する廃材の量などが家ごとに違うためです。ブロック塀や庭木、物置の撤去、残置物の処分、アスベストの調査・除去などが必要になれば、その分の費用も加わります。
まずは「坪単価×延べ床面積」で大まかな予算をつかみ、実際の工事データも参考にしながら、余裕を持って資金を準備しておくと安心です。正確な金額は、解体業者に現地を確認してもらい、見積もりを取って確認しましょう。
実際の家の解体費用事例

ここで、実際の解体費用を、自治体が公表している事例から見てみましょう。今回紹介するのは茨城県古河市と桜川市の事例です。
| 事例 | 工事の内容 | 公表された費用 |
|---|---|---|
| 茨城県古河市 | 不良住宅等にあたる空き家の除却 | 約329万円 |
| 茨城県桜川市 | 特定空家を略式代執行により除却 | 115万5,000円 |
古河市の事例:約329万円

古河市大和田で行われた、不良住宅等にあたる空き家の除却例です。写真でも建物全体がたわんで危険な状態にあることがわかります。
総額は約329万円で、古河市から交付された補助金で50万円を補っています。所有者等の負担額は279万円でした。
桜川市の事例:115万5,000円
桜川市では、西小塙にあった特定空家を略式代執行によって除却し、工事請負費として115万5,000円を支出しています。
略式代執行とは、所有者を特定できない場合などに、自治体が所有者に代わって危険な空き家の除却などを行う手続きです。一般の所有者が解体業者へ依頼した工事とは条件が異なるため、通常の解体費用と単純には比較できませんが、実際に100万円を超える費用がかかった例として参考になります。
2つの事例を見ると、実際の解体費用には100万円単位の差があることがわかります。ただし、どちらの資料にも建物の構造や延べ床面積などは記載されていないため、金額だけを比べて高い・安いと判断することはできません。
解体費用に差が出る背景には、建物の構造や大きさだけでなく、重機の搬入条件、隣家との距離、建物の傷み具合、処分する廃材の量などがあります。次に、家の解体費用が高くなりやすい条件を詳しく見ていきましょう。
家の解体費用が高くなる主な条件

家の解体費用は、構造や坪数だけでなく、重機を使えるか、十分な作業スペースがあるかといった現場の条件によっても変わります。
重機が使えず「手壊し」になると、作業員の人件費と工期が大幅に増えます。
建物を傷つけない慎重な作業が求められ、防音・防じん用の厚手な養生費が追加でかかります。
調査・飛散防止対策・特別管理産業廃棄物としての処分費が発生し、数十万円単位の増額になります。
重機やトラックが入りにくい立地
前面道路が狭い、道路と敷地に高低差がある、細い路地の奥に家が建っているといった立地では、大型重機やトラックが入るのが難しいことがあります。
その場合は、小型重機や人の手で少しずつ壊し、廃材も小さな車両で何度も運ばなければなりません。作業員の人数や工期、車両の往復回数が増えるため、解体費用も高くなります。
隣家との距離が近く作業スペースが狭い
敷地いっぱいに家が建っている場合は、重機を置いたり廃材を一時的に保管したりする場所を確保するために一部を手作業で壊し、重機を入れるスペースをつくってから工事を進めることがあり、追加費用がかかるケースがあります。
この際に隣家との距離が近い場合は、建物を傷つけないよう慎重に作業し、防音・防じん用の養生も増やす必要があります。作業効率が下がり、養生費や人件費もかかるため、費用が高くなりやすいです。
3階建て・地下室など解体に手間がかかる建物
3階建てなど高さのある家では、上層階まで届く重機や広い範囲の足場・養生が必要になることがあります。上の階から順番に慎重に壊すため、工期も長くなりがちです。
また、地下室がある場合は、地中の壁や床を掘り起こして撤去し、その後に土を入れて埋め戻しをする必要があります。そのため、通常の解体費用に加えて、掘削費やコンクリートの処分費、埋め戻し・整地費などがかかります。
見積もりに含まれる費用内訳と比較のポイント

解体工事の見積もりは、総額と内訳をセットで確認すると比較しやすくなります。建物本体の解体費だけでなく、廃材処分や養生、付帯物の撤去など、どこまで含まれているかを押さえておきましょう。
まずは表で全体的なポイントを確認してから、個別のポイントを見ていきましょう。
| 費用項目 | 主な内容 | 比較するときのポイント |
|---|---|---|
| 建物本体の解体費用 | 建物・内装・屋根・基礎などの解体 | 基礎の撤去まで含まれているか |
| 廃材の分別・運搬・処分費用 | 木材・金属・コンクリートなどの分別と処分 | 解体費に含まれるか、別料金か |
| 仮設・養生などの諸経費 | 足場、養生シート、散水、重機の運搬など | 「一式」の内容が明記されているか |
| 付帯物・残置物・整地などの追加費用 | 塀、庭木、物置、家具、家電、整地など | 撤去する範囲と数量が合っているか |
| アスベスト調査・除去費用 | 事前調査、分析、除去、運搬・処分 | 調査費と除去費が分けられているか |
建物本体の解体費用
建物本体を取り壊すための人件費や重機費用です。屋根や内装、基礎の撤去費が含まれることもあります。
特に確認したいのが、基礎の撤去です。見積もりに含まれていない場合は、工事後に追加費用が発生する可能性があります。
廃材の分別・運搬・処分費用
解体工事で出た木材、金属、コンクリートなどを分別し、処分場まで運ぶ費用です。解体費に含める業者もあれば、別項目で計上する業者もあります。
見積もりを比べるときは、廃材の種類や量、運搬・処分費がどこに含まれているかを確認しましょう。
仮設・養生などの諸経費
安全に工事を進めるための足場や、防音・防じん用の養生シート、粉じんを抑える散水設備などにかかる費用です。重機回送費や交通誘導員の費用が含まれることもあります。
「仮設工事一式」「諸経費一式」とだけ書かれている場合は、具体的に何が含まれているか確認しましょう。
付帯物・残置物・整地などの追加費用
ブロック塀や庭木、庭石、物置、カーポートなど、建物以外のものを撤去する費用です。室内に残された家具・家電の処分や、解体後に土地を平らにする整地費も追加されることがあります。
「残すもの」と「撤去するもの」を現地調査で伝え、見積書に反映されているか確認することが大切です。
アスベスト調査・除去にかかる費用
建物を解体するときは、工事の規模や金額にかかわらず、アスベストが使われているか事前に調査する必要があります。
書面や目視だけでアスベストの有無を判断できない場合は、分析調査が必要になることがあります。 アスベストが見つかれば、通常の解体とは別に除去・運搬・処分費用も必要です。見積書では、事前調査、分析、除去工事のうち、どこまで含まれているかを確認しましょう。
家の解体費用を抑える3つの方法

家の解体費用は、工事前の準備や見積もりの取り方を工夫することで抑えられる可能性があります。ここでは、取り組みやすい3つの方法を紹介します。
残置物(家具・家電等)を自分で撤去する
家の中に家具や家電、衣類などが残っていると、解体費用とは別に残置物の処分費がかかります。処分する量が多いほど費用も増えるため、できる範囲で工事前に片付けておきましょう。
家具や日用品は自治体の粗大ごみ回収などを利用し、まだ使えるものは売却や譲渡も検討できます。ただし、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は家電リサイクル法の対象になるので、購入した販売店や自治体が案内する方法で処分してください。
複数社から同じ工事条件で相見積もりを取る
解体費用は、業者によって計算方法や見積もりに含める範囲が異なります。複数社に現地を確認してもらい、金額と工事内容を比較しましょう。
比較するときは、建物の解体範囲、基礎や塀の撤去、残置物処分、整地方法などの条件をそろえることが大切です。条件が違うままでは、見積金額の差が業者によるものなのか、工事内容によるものなのか判断しにくくなります。
解体業者のスケジュールに合わせて工期を調整する
解体を急いでいないなら、「工事の時期はお任せできます」と解体業者に伝えてみるのも一つの方法です。
解体業者にも、工事が立て込んでいる時期と、予定に余裕がある時期があります。業者の都合のよいタイミングに合わせることで、作業員や重機を効率よく手配でき、見積金額を抑えてもらえることがあります。
まずは「急いでいないので、費用を抑えやすい時期があれば教えてください」と相談してみましょう。売却や建て替えの予定がある場合は、その日程も伝えながら工事時期を決めると安心です。
家の解体費用を抑えるための補助金・助成制度
全国の自治体では、老朽化した空き家などを対象に、解体費用の一部を補助する制度を設けていることがあります。補助率や上限額は自治体によって異なりますが、30万~100万円程度を補助するケースが多いです。
また、対象となるのは、倒壊のおそれがある空き家や、不良住宅と判定された建物などが中心です。
たとえば茨城県古河市では、不良住宅と判定された空き家の解体費用について、対象経費の2分の1、最大50万円を補助しています。また、茨城県桜川市にも、空き家の解体・運搬・処分にかかる費用の2分の1、最大50万円を補助する制度があります。
なお、多くの制度では、解体工事の契約や着工前に申請する必要があります。対象条件や受付期間、予算枠も自治体ごとに異なるため、まずは空き家がある自治体の窓口や公式サイトで確認してみましょう。
支払う時期や方法は、契約前に見積書や契約書で確認しておきましょう。追加費用が発生した場合の扱いについても決めておくと安心です。
また、建物を残したまま売却する、空き家として活用するといった選択肢もあります。費用を工面してすぐに解体するのではなく、その後の土地の使い方も含めて検討することが大切です。
実際の税額は土地の広さや評価額、解体する時期などによって異なります。建て替えでは特例が継続される場合もあるため、解体前に自治体の税務担当窓口へ確認しておきましょう。
アキサポなら解体費用をかけずに空き家活用ができる
補助金を使っても解体費用を用意するのが難しい場合、別の選択肢として「アキサポで空き家を活用する」という方法があります。
アキサポとは、空き家を一定期間借り上げ、アキサポの負担でリノベーションを行ったのちに、利用希望者へ貸し出すサービスです。利用者の募集や契約、建物の管理もアキサポが行い、所有者は利用料の一部を賃料として受け取れます。
つまり所有者にとっては、解体費用を負担せずに建物を残せるうえ、原則として自己負担なしでリノベーションと空き家活用を実現できるというわけです。
さらに契約が終われば、リノベーションによって新しく生まれ変わった建物が所有者のもとへ戻ります。費用をかけて壊す予定だった家を、将来につながる資産として残せる可能性がある、前向きな選択肢です。
アキサポを利用して活用に成功した空き家の事例
実際に、アキサポによって空き家が生まれ変わった事例を見てみましょう。
これは、東京都練馬区旭町にある築56年の木造平屋の事例です。空き家になってから約1年半が経過し、ネズミやシロアリがすみ着いていました。床にはシロアリによる被害があり、天井には害獣の糞尿による汚れやシミ、屋根には雨漏りも見つかっています。
この問題を解決するために、建物状況調査を行ったうえで、害獣の駆除やシロアリ対策を実施。傷んでいた床や天井、屋根も補修しました。
そして、約118㎡の広さと7つの部屋がある間取りを活かし、「共用スペースで本を楽しめる」女性専用の古民家シェアハウス「ソシア成増」へ再生しました。
築年数が古く、害虫や雨漏りの被害がある家でも、必要な補修を行うことで新たな使い道を見つけられる場合があります。解体を決める前に、建物を残して活用できる可能性も確かめてみましょう。
事例の詳細はこちら
アキサポ「築56年の空き家は女性専用古民家シェアハウスへ再生」
まとめ|家の解体費用は総額で比較しよう
家の解体費用は、建物の構造や広さ、立地条件、付帯物の有無などによって変わります。相場からおおよその予算をつかんだら、複数の解体業者に同じ条件で見積もりを依頼しましょう。
見積もりを比べるときは、建物本体の解体費だけでなく、廃材の処分費や養生費、残置物の撤去費、アスベスト関連費用などを含めた総額で確認することが大切です。自治体の補助金を利用できれば、自己負担を抑えられる可能性もあります。
また、建物が残っているうちなら、解体と空き家活用の両方を検討できます。アキサポで活用できる物件なら、解体費用をかけず、原則自己負担なしでリノベーションできる可能性があります。解体するか活用するか迷っている段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。






