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公開日:2025.08.14 更新日:2025.07.29

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行政代執行のすべて:要件・手続き・回避策を徹底解説

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空き家を放置するとどうなるの?——実は最悪の場合、行政が強制的に撤去する「行政代執行」が行われ、費用もすべて自己負担に。行政代執行の流れや対象になるケース、費用の内訳から回避策までを関連する法律や実際の事例も踏まえて解説します。知らないうちに大きなトラブルを招かないためにも、正しい知識を身につけましょう。

行政代執行とは何か

空き家をいつか片づけようと思ってるけど、今は忙しくて手が回らない……と思っていたら要注意。行政代執行とは、行政代執行法に基づき、立法で定められた義務を当事者が履行しないときに、行政が強制的にその義務を履行させるための手続きのこと。特に、老朽化して危険な空き家や放置されたゴミが近隣の安全や衛生を脅かすようなケースで適用されます。

ただし、いきなり強制的に進められるわけではなく、事前に通知があり弁明の機会も与えられます。それでも対応しない場合、行政が作業を行い、その費用はすべて所有者負担に。支払いが滞れば、国税徴収法または地方税法の規定に基づき、財産の差押え(滞納処分)に発展することも。こうなる前に、少しでも早く手を打つことが重要です。

行政代執行が用いられる典型的なケース

たとえば、ボロボロになった空き家が今にも倒れそうだったり、敷地から伸びた木が隣の家に越境していたり。そんな時に空き家の所有者が対応しない場合、行政が代わりに動くのが「行政代執行」です。

放置されたゴミや危険な建物が近隣に悪影響を与えると判断されれば、所有者の意思に関わらず、強制的に作業が行われ、その費用も請求されることになります。まさに、知らなかったでは済まされない事態です。

行政代執行の法的根拠と必要性

勝手に壊されたら困る!と思うかもしれませんが、行政代執行は、行政代執行法や地方自治法(第2条第2項、第245条の9)などに基づいて行われる、れっきとした法的手続きです。空き家の放置などで所有者が義務を果たさない場合、公共の安全や衛生を守るため、行政が代わりに対応する仕組みです。

たとえば、倒壊の危険がある建物や放置されたゴミが周囲に悪影響を及ぼすと判断されれば、所有者の同意がなくても執行されるケースがあります。強制的とはいえ、地域の暮らしを守るための最後の手段。法律の裏付けがあるからこそ、強制力をもって実施できる重要な手続きといえます。

行政代執行と略式代執行の違いとは?

行政代執行と似た制度に、略式代執行がありますが、実はそれぞれに明確な違いがあります。通常の行政代執行は、通知や警告、弁明の機会などを経て実施されるため、ある程度の時間と手順が必要です。

一方、略式代執行は緊急性が高い場合に使われ、事前の警告を省略して即座に執行されるのが特徴。たとえば、災害時に崩落寸前の建物を即座に解体しなければならないようなケースです。権力行使としては強い措置ですが、あくまでも人命保護など公益性が高い場合に限定されます。

どちらも最終的な費用は所有者が負担することになるため、行政代執行法第5条に規定される費用徴収の対象となります。放置せずに早めの対策を取ることが望まれます。

行政代執行の流れと手続き

空き家を放置していると、ある日突然行政から通知が届いた……なんてことも。しかし、行政代執行は突然始まるわけではありません。書面での通知や警告が行われ、所有者には相当の履行期限と弁明の機会(行政手続法に基づく聴聞または弁明の機会付与)も用意されています。

この段階で誠実に対応すれば、行政代執行を避けられる可能性は少なくありません。ですが、対応が不十分だと執行令書が発行され、強制的な作業と費用請求へと進むケースも。特に緊急性が高いと判断された場合は、手続きが簡略化される「略式代執行」が適用されることもあります。

ここからは事前通知と弁明の機会や、執行令書の発出・執行完了について詳しく説明していきます。

事前通知と弁明の機会(聴聞)

行政代執行が始まる前には、必ず書面での通知があります。その段階で、所有者は自主的に対応を進めるか、または行政に対して事情を弁明する機会が与えられます。改善の計画を伝えることで、代執行を回避できる可能性も。いきなり強制的に……なんてことにはなりません。

このプロセスは、行政側が一方的に進めないための大切な仕組み。この最後の調整の場を誠実に対応することで、余計な出費やトラブルを避けることができるでしょう。

執行令書の発出から執行完了まで

通知や弁明をしても改善されない場合、いよいよ行政から執行令書が届きます。そこには、いつ・どんな作業が行われるかが明記されています。

この時点で残された対応猶予はごくわずか。作業当日は、行政や委託業者が現地に入り、解体や撤去を実施。完了後には費用の請求が届きます。支払いを怠ると、国税徴収法または地方税法の例により、財産の差押え(滞納処分)が行われる可能性もあります。

行政代執行の費用負担と支払い方法

行政代執行が行われた場合、その費用は基本的に空き家の所有者が全額負担することになります。たとえ緊急対応でも例外ではなく、支払いを怠ると税金と同様に差押えなどの強制徴収に発展するケースも。請求内容には、実際の作業費だけでなく、事務手数料や業者への委託料なども含まれるため、思った以上の金額になるケースも珍しくありません。

では実際に、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?具体的な解体・撤去費用の目安をご紹介します。

具体的な解体費用・建物撤去費用のケース

たとえば老朽化した木造住宅を解体する場合、規模や構造が複雑になるほど費用は高額になります。建材の分別や処分コストもかさみ、地域や業者によっても金額差は意外と大きいもの。複数社に見積もりを取って比較するのが理想的です。

さらに行政代執行での解体は、一般的に競争原理が働きにくく、安全性や緊急性を重視するため、市場より高額になるケースも少なくありません。もっと早く動いておけば…と後悔しないためにも、自主対応は金銭的にも賢明といえるでしょう。

行政代執行の実例

強制的に解体されるなんて現実味がない……と感じるかもしれませんが、行政代執行は実際に行われています。

たとえば、危険な空き家の解体や大量の放置ゴミの撤去など、地域の安全や衛生を守るために実施されたケースも。こうした事例は、地域住民の安全や衛生環境の改善に大きく貢献するだけでなく、周囲の空き家問題への意識を高めるきっかけにもなっています。

ここでは、特定空家の解体事例や行政による具体的な対応策を詳しく紹介します。

特定空家の解体事例

うちはまだ大丈夫と思っていても、放置が続けば特定空家等に指定され、行政が強制的に解体を行うケースも。

実際、老朽化が進み倒壊リスクの高い空き家が、行政代執行により短期間で取り壊された事例があります。安全確保や害虫被害の防止、地域の景観改善など、周囲にとってはプラス面も多いですが、所有者には解体費用の全額負担がのしかかります。気づいたときには手遅れ…なんてことにならないよう、早めの対応が大切です。

空き家問題への対策としての行政代執行

空き家の放置が増えるなか、行政代執行は、特定空き家問題への対策として地域を守るための有力な手段となっています。特に、所有者が分からない物件や相続登記が未了の家(不動産登記法)は、放っておくと近隣に悪影響を及ぼすことも。実際に撤去が進むことで、火災や防犯リスクが減り、周囲の環境改善にもつながっています。

とはいえ、代執行に頼る前に、行政と住民が協力して空き家を管理・活用できれば、もっと前向きな解決も可能です。放置する前に、できることから始めてみませんか?

行政代執行を回避するには

行政代執行を回避するためには、空き家を放置せず、所有者自身が日頃から建物の状態をチェックし、危険な箇所があれば早めに修繕や対応を進めることが大切です。

行政から指導が入った場合も、無視せずしっかり話し合いをすることで、強制的な代執行を防げる可能性があります。対応が難しいと感じたら、建築士や弁護士といった専門家の力を借りるのも有効。自分から動くことで、周囲からの信頼や行政との関係改善にもつながります。

続いて、自主的な改善や相談先として役立つ専門家の活用や空き家ワンストップ相談窓口についてご紹介します。

自主的な改善と専門家への相談

ちょっと古くなってきたかも……と感じたら、まずは専門家に相談を。老朽化や敷地の不備に気づいた段階で調査を依頼すれば、必要な修繕内容が明確になり、行政代執行に至る前に安全な方法で対応できます。

さらに、リフォームや別用途への活用を検討すれば、空き家を資産として生まれ変わらせられることも。費用はかかりますが、放置して高額な代執行費を払うより、将来的な安心や収益を得られる可能性もあるでしょう。

空き家ワンストップ相談窓口の活用

空き家ワンストップ相談窓口では、建物の管理や税金のこと、解体業者の紹介まで、幅広くサポートしてもらえます。自治体によって設置状況は異なりますが、行政代執行に進む前にできる対策や補助金の情報も手に入る貴重な窓口。専門家とも連携しているため、法的な相談や費用面のアドバイスもスムーズです。一人で抱え込まず、まずは気軽に相談してみましょう。

行政代執行に関連する法律と規定

行政代執行は、法的根拠に基づいて進められます。特に空き家の管理や解体に関わるのが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」や「建築基準法」。これらは建物の安全確保や、所有者の責任を明確にするための大切なルールです。

さらに、実際の手続きを支えているのが「行政代執行手続法」と「地方自治法」。行政の動きには明確な根拠があり、勝手な強制執行がされないように枠組みが設けられています。これらを十分に理解して不要なトラブルを避けるために、それぞれの法律がどう関わっているのかを詳しく見ていきましょう。

空家等対策特別措置法と建築基準法

空家等対策特別措置法は、増え続ける空き家への対応を定めた法律で、特定空家の指定や行政代執行の根拠となる重要なルールです。老朽化が進み、倒壊や衛生面で危険な建物を放置していると、自治体が強制的に動くことも。

一方、建築基準法は建物の構造や管理基準を定め、安全な街づくりを支える役割があります。両法律は連携して運用されており、建築基準法(例:第8条の維持保全義務)に違反した空き家が特定空家と判断され、最終的に行政代執行の対象となるケースもあります。

行政代執行手続法と地方自治法の位置づけ

行政代執行は、行政代執行手続法によって通知の出し方や期限の設定など、手続きのルールが細かく決められています。これは所有者の権利をしっかり守るための仕組みです。

また地方自治法は、各自治体が代執行を行うための法的な根拠となるもの(地方自治法第2条第2項、第245条の9など)。自治体ごとにこれらの法律をもとにした条例や運用ルールを整えて、地域の安全や衛生を守っているのです。

行政代執行を“自分ごと”として向き合うために

行政代執行は、空き家や老朽建物の放置が地域に与えるリスクを減らすための最後の手段。強制的に行われるイメージがありますが、実際には通知や弁明の機会などのプロセスを経て実施されます。

ただし、執行後の費用は所有者が負担するため、タイミングを逃すと経済的なダメージも大きくります。だからこそ、専門家への相談や早めの自主対応がカギに。

今は大丈夫と思っていても、空き家がいつ行政の対象になるかは分かりません。そうなる前にできることを始めてみませんか?

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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