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公開日:2025.10.16 更新日:2025.09.26

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インスペクションとは?中古住宅購入前に知るべき種類・費用・メリットを徹底解説

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インスペクション(建物状況調査)は、中古住宅をはじめとする不動産の売買を安心して進めるために欠かせないプロセスです。専門家が第三者の立場で建物の劣化や不具合を確認することで、取引後のトラブルを未然に防ぐことができます。

この記事では、インスペクションの基本的な仕組みや実際の検査ポイント、費用や補助制度、専門家の選び方などを網羅的に解説していきます。

インスペクションの定義と基本的な仕組み

建物の状態を第三者が確認するインスペクション(建物状況調査)は、中古住宅の売買や購入を検討する際の安心材料のひとつ。欧米ではすでに不動産取引に欠かせない手続きとして定着しており、日本においても宅建業法の改正を契機に本格的な普及が始まっています。

まずはインスペクションの定義や仕組み、建物状況調査とホームインスペクションの違いについて押さえておきましょう。

建物状況調査とホームインスペクションの違い

建物状況調査は、国土交通省が策定した「既存住宅状況調査方法基準」に基づいて行われる検査を指します。既存住宅状況調査技術者の資格を持つ建築士が、屋根や基礎、外壁の劣化を目視や簡易器具で確認し、結果は不動産取引時に説明されるケースが一般的です。

一方、ホームインスペクションは、民間サービスとして提供される住宅診断です。建築士資格を持つインスペクターが、室内設備や排水管の動作まで確認することもあります。

両者の大きな違いは、調査結果の扱い方です。建物状況調査は不動産取引に紐づくのに対し、ホームインスペクションは購入後の維持管理やリフォーム提案など、暮らしを見据えた情報も得られるのが特徴です。

不動産取引で求められるインスペクションの背景

新築偏重から既存住宅の活用へとシフトしている日本の住宅市場。そんな変化に伴い、築年数が経過した住宅でも安全・快適に暮らせるよう、第三者が状態を確認するインスペクションの重要性が高まっています。

平成28年の宅地建物取引業法(宅建業法)改正により、平成30年4月から不動産取引における媒介契約時・重要事項説明時に、宅地建物取引業者はインスペクションに関する説明を行う義務を負うようになりました。これによって、購入前に建物状態を把握しやすくなり、トラブル防止や円滑な売買につながっています。

さらに、国の施策により専門インスペクターの育成制度が整ったことも普及を後押ししています。住宅の安全性や品質を重視する意識の高まりとともに、インスペクションは不動産取引の重要な要素となっています。

インスペクションが注目される主な理由

住宅の売買において、購入後の思わぬ修繕やトラブルを避けるために重要視されているインスペクション(建物状況調査)。そもそも、なぜここまで注目されているのでしょうか?その理由を、市場の動向や法改正の影響を踏まえて解説します。

中古住宅市場の活性化と品質意識の高まり

日本では新築住宅一辺倒から、既存の住宅を長く活用する流れが進んでいます。その背景には新築価格の高騰のほか、環境保護・資源活用といった社会的要請があり、中古住宅の再生やリノベーション市場は拡大傾向にあります。

既存住宅を選ぶ消費者が懸念するのは、入居後に想定外の修繕費が発生しないかどうか。そこで、専門家によるインスペクションで劣化状況を可視化することが一段と求められるようになりました。

実際に、インスペクションを活用することで、建物の劣化状況だけでなく、メンテナンスやリフォーム計画も立てやすくなります。これが中古住宅の価値向上と流通の促進につながり、市場の活性化にも寄与しているのです。

法律改正による説明義務化の影響

平成28年の宅建業法改正により、平成30年4月から媒介契約の際にインスペクションの斡旋に関する説明が義務化されました。不動産会社は売主・買主に対して、調査の有無や内容を明示する必要があり、契約後に補修費用が発生してトラブルになるリスクを大幅に軽減できるようになりました。

さらに国土交通省は、住宅性能評価制度や長期優良住宅化リフォーム推進事業と連携して、インスペクションの活用を推奨しています。これにより、取引の安心感が増すだけでなく、中古住宅市場全体の活性化にもつながる好循環が生まれつつあります。

インスペクションの検査項目

インスペクションでは、建物の安全性や快適性を左右する重要な部分を幅広く確認します。屋根や外壁といった外装だけでなく、基礎や構造躯体、配管や設備の状態、さらには雨漏りやシロアリ被害まで多角的にチェックします。将来の修繕リスクや費用を見据えることで、安心して住まいを選べる指標となるのです。

屋根・外壁、基礎・構造躯体のチェック

屋根では雨漏りや瓦の破損。外壁ではひび割れや塗装剥がれといった劣化を確認します。木造住宅では特に、屋根材の損傷や外壁の亀裂が雨漏りリスクを高めるため、専門家の診断が欠かせません。

基礎や構造躯体は、建物の安全性を支える最重要部分。コンクリートのひび割れや鉄筋の腐食、木材の劣化状況などを点検し、補強の要否を判断します。

これらの評価結果は、住宅の耐震性能や補強の要否を判断するうえでも重要な資料です。築年数が古い物件ほど基礎や構造部分の状態によってリフォームや補強工事の優先度が大きく変わるため、慎重な診断が求められます。

設備・配管の確認

水回り設備の不具合は生活に直結します。インスペクションではキッチン・浴室・トイレのほか、給排水管の腐食や詰まりなども含めてチェックを行うことが一般的です。

ガス管や電気設備についても、漏電やガス漏れのリスクを防ぐため入念な点検が必要です。 老朽化が進んでいる場合には、交換や修繕の費用を早めに試算できる点もメリット。こうした点検は単なる動作確認にとどまらず、将来的なリフォーム時期を把握する意味でも重要な調査といえるでしょう。

雨漏りやカビ・シロアリ被害などの調査

雨漏りは建物の内部に深刻なダメージを与え、カビや木材の腐食を招く要因に。インスペクションでは天井裏や壁の内部など、目に見えにくい箇所の湿気や漏水跡もチェックします。

木造住宅ではシロアリ被害が大きなリスクです。食害が進めば建物の構造そのものを脅かすため、侵入経路や被害跡を確認することが欠かせません。

インスペクションによる診断結果を踏まえれば、防水工事やシロアリ対策を適切なタイミングで検討でき、将来の修繕費や健康被害の予防につながります。

瑕疵保険の検査との違い

インスペクションと瑕疵保険は、いずれも建物の状態把握や安心につながる制度ですが、対象範囲や目的には大きな違いがあります。両者の特徴を整理することで、住宅購入や売却の際にどの段階でどちらを活用すべきかを判断しやすくなります。

保険対象部位とインスペクションの検査範囲

既存住宅売買瑕疵保険は、主に住宅の構造耐力上主要な部分や、雨水の浸入を防止する部分が対象です。

これに対し、インスペクションでは瑕疵保険の対象外であるシロアリ被害や配管設備の劣化なども点検範囲に含まれます。 より幅広い調査を行うことで、将来的な修繕計画が立てやすくなり、取引の安心感が高まるのが特徴です。

そのため、瑕疵保険だけでは把握できないリスクや不具合をインスペクションによって補完できるため、併用することで住宅の状態を多角的に理解することができます。

費用や手続きの違い

既存住宅売買瑕疵保険に加入する場合、保険料は建物の規模や築年数、保険期間などにより異なります。さらに保険会社や保証内容によっても費用が変わるため、複数のプランを比較検討する必要があります。

一方、インスペクションの基本的な調査費用は、一戸建てで6万円前後、マンションで5万円前後が一般的な費用相場です。調査範囲やオプションの有無によっても金額は上下します。報告書の作成や追加の検査を依頼する場合には、さらに費用がかかる点に留意が必要です。

また、手続き面でも違いがあります。瑕疵保険は加入契約時の申請手続きや書類提出を経て補償がスタートしますが、インスペクションは依頼・日程調整後に実際に専門家が現地調査を行い報告書を作成して完了します。それぞれの目的に応じて、比較検討しながら手続きを進めるのが望ましいでしょう。

インスペクションのメリット

住宅の売主・買主の双方に安心をもたらすインスペクション。建物の状態を客観的に把握することで、価格交渉や修繕計画を明確にでき、トラブル回避にもつながります。ここでは売主・買主それぞれの利点と、両者に共通するメリットを整理します。

売主側が得られるメリット

インスペクションを実施しておくことで、売主は物件の現状を把握でき、買主への説明責任を果たしやすくなります。不具合や経年劣化が明らかな場合でも、補修やリフォームの必要性をあらかじめ説明できるため、後々のトラブル回避につながります。

さらにインスペクション報告書を提示することで、物件情報の透明性が高まるというメリットも。売却活動がスムーズに進みやすくなり、価格説明や交渉も客観的データに基づき進められるのは、取引において大きな利点と言えるでしょう。

買主側が得られるメリット

買主は、目に見えない部分を含めて建物の実態を客観的に確認でき、安心して購入を検討できます。修繕時期や費用の見通しを立てやすくなり、資金計画の精度も向上します。

また、インスペクションによって明らかになった部分をもとに売主と価格や補修範囲について交渉することも可能。長期的な住まい方を見据えて、より適切な条件で購入判断できるのは、買主にとって大きな魅力です。

売主と買主が共通して得られるメリット

インスペクションは、売主と買主の情報格差を解消し、取引の透明性を高める役割を果たします。同じ情報を共有することで互いに信頼関係を築きやすくなり、価格交渉やリフォーム計画も円滑に進むのが特徴です。

その結果、契約後のクレームや不安が減少。売主にはスムーズな売却、買主には安心感がもたらされます。双方が満足できる取引を実現するうえで、大きな価値を持つ仕組みといえるでしょう。

インスペクションの費用と補助金制度

売主と買主の安心材料になるインスペクションですが、依頼する際に気になるのは費用と補助制度ではないでしょうか。実際に調査範囲や機材によって金額は大きく変動し、場合によっては数万円の差が生じることもあります。

しかし、自治体や国の補助金を活用することで、費用を抑えつつ質の高い調査を受けられる可能性も。ここでは費用の相場と補助金制度を詳しく解説します。

調査費用の相場とオプション料

標準的なインスペクションでは、建物の構造や設備を中心とした目視点検が行われます。設計図面があれば、建物の施工内容や特徴を踏まえたチェックが可能になり、より診断の精度が高まる傾向があります。

オプションとして、赤外線カメラやドローンを使った検査を依頼する場合は、追加費用が必要です。特に雨漏りの疑いがある場合や高所調査が必要なケースでは、こうした機材の導入が一般的です。

依頼前に目的と予算を整理してから依頼することで、不要なオプション費を抑え、効率よく必要な情報を得られるでしょう。複数の業者に見積りを依頼して比較検討するのも有効です。

自治体や国の補助金を活用する方法

多くの自治体では、中古住宅の流通促進やリフォーム支援を目的に、インスペクション費用の一部を助成する制度を設けています。国の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「既存住宅購入支援制度」などが代表的な例です。

ただしこうした補助金制度は、申請期限や対象住宅の条件が細かく定められており、最新情報の確認は必須。申請時には見積書や調査報告書の提出が求められることもあります。

補助制度を活用することで、インスペクション調査費用を抑えつつ、リフォームや設備更新への資金に回す余裕が生まれるのは大きなメリット。結果として住宅の安全性や快適性の向上につながるため、補助金の活用は前向きに検討すると良いでしょう。

インスペクションの流れとポイント

インスペクションは依頼から検査、報告書の確認まで段階を踏んで進められます。各ステップで必要な準備や確認を怠ると、期待する調査結果が得られない可能性も。新築物件と中古物件とでは着目すべきポイントも異なります。適切な手順を理解し、依頼時には物件の概要を正確に伝えられるよう準備しておきましょう。

依頼から検査までのステップ

はじめに複数のインスペクション会社や建築士を比較し、実績や対応エリア、費用面を確認します。候補が見つかったら建物概要や希望内容を伝え、見積りを取得しましょう。

契約に進む際は見積価格だけでなく、検査範囲や方法、報告書の形式も必ず確認を。契約後は検査日を決定し、当日までに建物の図面や修繕履歴を準備しておくとスムーズです。

検査後、数日から数週間で報告書が届くのが一般的です。内容を確認し、疑問があれば専門家に質問し、必要に応じて修繕やリフォーム計画を立てましょう。

新築住宅・中古住宅それぞれの調査項目と注意点

新築住宅の場合は、インスペクションは大きなトラブルを防ぐ予防策として活用されます。施工不具合を早期に発見し、引き渡し前に修正を促すことも可能です。瑕疵保険との併用で予防策としての効果も高まります。

中古住宅の場合は、屋根や外壁の劣化、設備不良など長年の使用による不具合が複数見つかる可能性があります。特に築年数が古い場合は、基礎や構造部分の診断が重要です。

物件ごとに必要な検査項目は異なるため、インスペクション会社と相談しながら最適な調査プランを選ぶようにしましょう。

インスペクション会社・専門家の選び方

インスペクション調査の質は、依頼先となる専門家の力量に大きく依存します。そのため、建築士やインスペクターの経験や実績、費用体系の透明性などをきちんと確認しておくことが、安心かつ精度の高い調査を受けるための基本になります。契約前に検査内容や報告書の形式まで把握し、納得感を持って依頼できる体制を整えましょう。

経験豊富な建築士への依頼が重要

精度の高い調査には、豊富な実務経験を持つ建築士やホームインスペクターへの依頼が欠かせません。多くの物件を診てきた専門家ほど、劣化や施工不良の傾向を把握しており、見落としを最小限に抑えられます。

さらに建築基準法や宅建業法などの法律知識に精通している専門家は、不動産取引上のリスク回避に対しても的確な助言を提供してくれます。中古住宅の売買では特に、こうした法的知見がトラブル防止に役立ちます。

資格や実績、過去の調査報告書サンプルなどを事前に確認し、信頼できる専門家に依頼することが安心への近道です。

費用や対応の透明性をチェック

インスペクション費用は業者や調査範囲によって差がありますが、見積り内容が分かりやすく提示されているかは重要な判断材料です。不明瞭な設定や説明不足のまま契約すると、追加費用が発生する恐れがあります。

依頼前に、基本調査の範囲、オプション費用、報告書の納期などをきちんと確認しましょう。 誠実な業者であれば調査根拠を丁寧に説明し、質問にも迅速に対応してくれます。

また、「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士への依頼が大切です。宅建業法上の重要事項説明に際して使用される「建物状況調査」は、同資格を持つ者が行う必要があります。

事前に検査内容をしっかり確認する

インスペクションの検査範囲や手順は、契約前に具体的に把握しておきましょう。目視確認と機器使用の範囲、屋内外での調査内容を事前に合意しておくことが安心につながります。

また、報告書に写真や図解が盛り込まれているかどうかも重要なチェックポイント。視覚的に理解できる資料であれば、その後の補修計画や費用試算にも役立ちます。

疑問が残っている場合はそのまま進めず、納得できるまで遠慮せずに専門家へ質問を。不明点を解消してから契約することが大切です。

インスペクションで透明性のある取引を実現

インスペクションは、建物の劣化や欠陥を早期に把握し、売主と買主双方に透明性のある取引をもたらす重要な仕組みです。調査結果を正しく理解し、修繕計画やリフォームに生かせば、契約後のトラブルを防ぐだけでなく、快適な暮らしの実現にもつながります。

その一方で、調査の質は依頼する専門家によって差が出やすいため、信頼できる建築士やインスペクターを選ぶことが不可欠です。費用や調査範囲を事前に確認し、納得感を持って依頼する姿勢が、後悔のない取引へとつながるでしょう。

専門家に相談できるアキサポの活用

空き家や不動産の売却・活用を検討する際、インスペクションの知識だけでは判断が難しい場面も多くあります。そんなときは、専門家に直接相談できるサービスを利用するのが安心です。

アキサポでは、空き家の管理から売却・活用方法まで幅広いサポートを提供しています。複雑な手続きや費用計画も含めてアドバイスを受けられるため、自分だけでは気づけなかった選択肢が見えてくるはずです。将来のトラブルを防ぎ、納得感のある判断を下すためにも、お気軽にアキサポへご相談ください。

この記事の監修者

山下 航平 アキサポ 空き家プランナー

宅建士/二級建築士

ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。

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