公開日:2025.10.23 更新日:2026.07.31
3000万円特別控除の確定申告の書き方|必要書類と記入手順を解説
3,000万円特別控除とは、マイホームを売却したときの売却益(譲渡所得)から最高3,000万円を差し引ける減税制度です。課税対象額を大きく減らせるため、譲渡所得にかかる高い税金を軽減できます。ただし、税額がゼロになる場合でも、控除を受けるには確定申告が必須です。
この記事では、3,000万円特別控除の仕組みや適用条件から、確定申告の書き方と必要書類、住宅ローン控除など他の特例との併用可否、税額シミュレーションまでを解説します。売却を検討している方は、控除を使えるかどうかを確認して、賢い節税につなげましょう。
目次
3,000万円特別控除とは?

3,000万円特別控除とは、マイホーム(居住用財産)を売却した際の譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける減税制度です。課税対象額をそのまま減らせるため、税金を大幅に軽減できます。なお、相続した空き家を売る場合は本制度の対象外ですが、要件を満たせば別枠の「被相続人の居住用財産(空き家)に係る3,000万円特別控除」(令和9年12月31日までの譲渡が対象)を使える場合があります。
たとえば、課税対象となる譲渡所得が2,800万円だった場合、3,000万円控除を使えば譲渡所得はゼロとなり、結果として課税される所得税・住民税は発生しません。
不動産を譲渡した際の税率は、所有期間によって異なり、譲渡所得税・住民税の合計税率は以下のとおりです。
不動産を譲渡した際の税率表
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 合計税率(復興特別所得税含む) |
|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得(所有期間5年超) | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 短期譲渡所得(所有期間5年以下) | 30.63% | 9% | 39.63% |
3,000万円特別控除の適用要件
3,000万円控除を受けるための要件は以下のとおりです。
🏠家屋に関する条件(いずれかに当てはまればOK)
売る物件が次の5パターンのどれかに該当することが条件です。
今住んでいる家
現に自分が住んでいる家屋を売る。
以前住んでいた家
住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売る。
家と一緒に売る敷地
1または2の家屋とともに売る敷地や借地権。
取り壊して更地で売る
取り壊しから1年以内に譲渡契約を結び、かつ住まなくなって3年を経過する年の12月31日までに売る。取り壊し後は駐車場などに使っていないこと。
災害で滅失した敷地
今住んでいた家の敷地は災害の日から、以前住んでいた家の敷地は住まなくなった日から、それぞれ3年を経過する年の12月31日までに売る。
📋申請する人に関する条件(すべて満たす必要あり)
次の4つをすべて満たすことが必要です。1つでも外れると適用できません。
前年・前々年に、この特例やマイホームの譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例を受けていない(被相続人の居住用財産の特例は除く)。
売った年・前年・前々年に、マイホームの買換えや交換の特例を受けていない。
売った家屋や敷地について、収用等の特別控除など他の特例を受けていない。
親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売ったものではない。
基本的には、自分が住んでいた住宅とその敷地で、住まなくなってから3年を経過する日の属する年末までに売却した場合に対象になると考えておけばOKです。この条件に該当する場合、すでに売却していても対象になります。
住宅を取り壊して更地で売却した場合であっても、家屋に関する条件の4に当てはまれば対象になるため、忘れずチェックしておきましょう。
適用除外となる場合
3,000万円の特別控除が適用されないのは以下のケースに該当する場合です。
- 1.この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
- 2.居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
- 3.別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋
1は制度を悪用しようとした場合。2は一時的な住宅の場合。3は別荘やセカンドハウスなどの場合が該当します。本制度はあくまで自分がメインで住んでいた住宅を売却した場合に受けられる制度なので、上記のようなケースでは対象になりません。
3,000万円特別控除は他の特例と併用できる?

住宅に関する減税制度はさまざまな種類があり、いずれも節税効果が高いことで知られています。しかし、各制度は必ず併用できるわけではなく、制度ごとに可・不可が異なります。
そこでここでは、3,000万円控除と関わりが強い「住宅ローン減税」と「10年超所有軽減税率」との関係を整理しておきましょう。
住宅ローン減税は基本的に併用不可
住宅ローン減税とは、住宅の新築や取得、または増改築等に伴って住宅ローンを借り入れた場合に、翌年から最大13年間、年末のローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。その節税効果の高さから、住宅ローンを組んだほとんどの人が利用しています。
住宅ローン減税は確定申告時に利用しますが、この際に3,000万円特別控除との併用は認められていません。どちらか一方のみの適用となります。
そのため、住み替えを予定していて「売却」と「購入」の双方に関わる場合は、どちらを優先するかを慎重に検討する必要があります。たとえば、売却益が大きい場合は3,000万円特別控除のほうが有利になることが多く、逆に購入後のローンが大きい場合は住宅ローン控除の恩恵が大きくなる可能性があります。
ちなみに、長期優良住宅を対象とした、認定住宅新築等特別税額控除との併用も認められていません。
10年超所有軽減税率の特例は併用可能
| 特別控除後の課税長期譲渡所得金額 | 軽減税率(所得税+住民税の合計) |
|---|---|
| 6,000万円以下の部分 | 14.21%(所得税10.21%+住民税4%) |
| 6,000万円を超える部分 | 20.315%(所得税15.315%+住民税5%、通常と同じ) |
「10年超所有軽減税率の特例」とは、10年以上所有していたマイホームを売却した場合に、通常の譲渡所得税率よりも低い税率が適用される制度のことです。この制度は、長期保有者の税負担を軽減するために設けられたもので、3,000万円特別控除と併せて使うことが可能です。
本制度により受けられる軽減税率は以下のとおりです。
- 6,000万円以下:課税長期譲渡所得金額(※) × 10%
- 6,000万円超: (課税長期譲渡所得金額 - 6,000万円) × 15% + 600万円
※:(土地建物を売った収入金額) - (取得費+譲渡費用) - 特別控除
両制度を併用する場合は、まず譲渡所得から3,000万円を控除し、その残りの金額に軽減税率を適用します。たとえば、譲渡所得が4,000万円あった場合、控除後の1,000万円に軽減税率がかかるため、通常の税率よりも大きな節税効果を期待できます。
3,000万円控除を利用した確定申告の方法
3,000万円特別控除を受ける場合は、マイホームを売却した翌年の確定申告で申告する必要があります。申告の大まかな手順は以下のとおりです。
📝3000万円特別控除の確定申告 5ステップ
売却した翌年の申告期間(原則2月16日〜3月15日)に申告します。控除で税額ゼロでも申告は必須です。
譲渡所得の計算
売却額から取得費や仲介手数料などの譲渡費用を差し引く。
控除額の適用
計算した譲渡所得から3,000万円を差し引く。
税額の算出
残額に所有期間に応じた税率をかけ、所得税・住民税を計算する。
申告書の作成
確定申告書と譲渡所得の内訳書に、売却情報や経費内訳を記載する。
書類の添付・提出
各種証明書を添えて税務署へ提出。e-Taxなら自宅から申告できる。
| 必要書類 | 主な内容・入手先 |
|---|---|
| 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書) | 売却額や取得費の内訳を記載する基本書類。税務署や国税庁HPで入手 |
| 売却時の売買契約書のコピー | 売買価格・契約日・引き渡し日を確認するために提出 |
| 購入時の売買契約書や領収書のコピー | 当時の物件購入価格(取得費)を証明するために必要 |
| 譲渡費用の領収書のコピー | 仲介手数料・印紙税・解体費など、売却に直接かかった経費の証明 |
| 登記事項証明書 | 所有期間・名義・売却の事実の確認用(必要な場合のみ、法務局で取得) |
なお、申告期限は通常2月16日から3月15日まで、3月15日が土日祝日の場合はその翌日までです。
不動産売却に関する申告は添付書類が多く、初めての場合は特に時間がかかるため、早めの準備を心がけましょう。あらかじめe-Taxによる電子申告ができるように準備しておけば、家にいながらでも申告が可能になります。
申告内容に誤りがあると修正申告や追徴課税のリスクが生じるため、仲介を依頼した不動産会社や税理士などの専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。
3,000万円控除を適用した場合の税額シミュレーション
3,000万円特別控除を実際に利用した場合を想定して、具体的な条件を決めたシミュレーションをしてみましょう。今回の条件は以下のとおりです。
条件
- 売却物件:マイホーム(居住用財産)
- 売却額:5,000万円
- 取得費・譲渡費用の合計:1,000万円
- 所有期間:10年超(長期譲渡所得)
譲渡所得の計算
売却額5,000万円 −(取得費+譲渡費用1,000万円)= 4,000万円。これにより、元の譲渡所得は4,000万円となります。今回は所有期間10年超の長期譲渡所得のため、税率は20.315%で計算します。
3,000万円控除を適用した場合
4,000万円 − 3,000万円 = 1,000万円。課税対象は1,000万円に縮小され、税額は次のようになります。
1,000万円 × 20.315% ≒ 約203万円
3,000万円控除を適用しなかった場合
譲渡所得4,000万円の全額が課税対象となり、税額は次のようになります。
4,000万円 × 20.315% ≒ 約813万円
両者の差額は約610万円にのぼり、その節税効果の大きさがわかります。3,000万円特別控除を適用できる場合は、手間をかけてでも利用するメリットが十分にあるといえるでしょう。
🏠3000万円特別控除の確定申告に関するよくある質問
Q. 3000万円控除で税額がゼロなら確定申告は不要ですか?
いいえ、確定申告は必須です。申告をして初めて控除が適用されるため、「税額ゼロだから申告しない」と、控除が受けられず課税されてしまいます。売却した翌年の申告期間(原則2月16日〜3月15日)に必ず申告しましょう。
Q. 確定申告に必要な書類は何ですか?
譲渡所得の内訳書(計算明細書)を基本に、売却時と購入時の売買契約書のコピー、譲渡費用の領収書のコピーなどが必要です。所有期間や名義の確認のため登記事項証明書を求められる場合もあります。国税庁HPで書式を入手でき、e-Taxでの電子申告も可能です。
Q. 3000万円控除は住宅ローン控除と併用できますか?
併用できません。どちらか一方のみの適用です。住み替えで売却と購入が重なる場合は、売却益が大きいなら3000万円控除、購入後のローンが大きいなら住宅ローン控除、と有利な方を選びましょう。なお10年超所有軽減税率とは併用できます。
まとめ
3000万円特別控除は、マイホームを売却したときの譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける、税負担を大きく減らせる制度です。ポイントは3つ。まず、居住実態や売却相手との関係など適用要件を満たすこと。次に、住宅ローン控除とは併用できない一方、10年超所有軽減税率とは併用できること。そして、税額がゼロになる場合でも、控除を受けるには確定申告が必須であることです。
申告では譲渡所得の内訳書などの書類をそろえ、売却の翌年の申告期間に手続きします。とはいえ、相続した実家や空き家の売却では、どの控除が使えるか(居住用か、相続空き家特例か)の判断が難しく、数百万円単位で税額が変わることもあります。
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この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。