公開日:2025.11.27 更新日:2025.11.27
NEW移住HOWTO|空き家を活用した地方移住の始め方ガイド
「自然に囲まれてのんびり過ごしたい」などの理由から、地方への移住を考えている方が近年増えています。しかし、憧れだけではさまざまなトラブルやミスマッチを招く要因になるため、具体的に目的をはっきりさせ、それに合わせた準備を行うことが欠かせません。
そこで本記事では、空き家を活用した地方移住の始め方について詳しく解説します。
目次
“空き家×地方移住”という選択肢がいま注目される理由

近年、地方移住への関心が高まる中、注目を集めているのが空き家を活用した移住です。2021年の調査では、移住先に地方を望む人が推計309万人とされ、低コストかつ自由度の高い暮らしを実現できる空き家活用は、有効な選択肢として存在感を強めています。また、2023年の法改正で空き家管理のルールが厳格化され、所有者側も「活用したい」という意識が上昇。国の移住支援制度の拡充も相まって、地方移住希望者のニーズと空き家問題を解消したい自治体の思惑が一致し、人気が加速しています。
*ふるさと回帰支援センター
【調査対象】1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に在住の20~74歳の男女 n=15,000
【調査方法】インターネット調査(調査会社の登録モニター活用)
【調査期間】2021年7月29日~8月4日
【セルフチェック】あなたにあってる移住スタイルは?

移住スタイルは、主に「空き家購入移住」「お試し移住」「二拠点生活」の3つに分けられます。まずはあなたにぴったりの移住スタイルをチェックしてみましょう。
以下、ご自身に当てはまる項目に✓を入れてみてください。
【A】
□ 資産形成を重視したい
□ 自分の家を好きにDIYしたい
□ 長く住む前提で拠点を持ちたい
□ 修繕費や維持費の発生は理解している
□ 地域とも積極的に関わっていきたい
□ 職探しや転職を含めて環境を変えたい
【B】
□ リスクを抑えて移住の可能性を試したい
□ まずは気候・生活環境・地域性を確かめたい
□ 地域理解を深めてから判断したい
□ 住民登録ができないケースがあっても問題ない
□ 一時的な生活費・宿泊費の増加を許容できる
□ 短期滞在中に仕事探しが難しくてもOK
【C】
□ 都市と地方を行き来しながら暮らしたい
□ 緊急時のバックアップ拠点を確保したい
□ ライフスタイルに柔軟性を持たせたい
□ 都市には残る必要がある(仕事・家族など)
□ 二重生活のコストや交通費を運用できる
□ 管理する物件が増えても対応できる
【A】が一番多かった方…空き家購入移住
【B】が一番多かった方…お試し移住
【C】が一番多かった方…二拠点生活
空き家購入移住・お試し移住・二拠点生活のメリット&デメリット

では、先ほどチェックした各移住スタイルがどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
【A】空き家購入移住
空き家購入移住は、自分で家を購入して移住するスタイル。資産形成ができる上、物件を自由にDIYできるところもメリットです。一方で修繕費や維持費がかかるため、しっかりとした資金計画を立てておくことが欠かせません。
【B】お試し移住
地方の物件を借りるなどして、一時的に滞在するのがお試し移住。自身で物件を所有するわけではないのでリスクを抑えながら地域理解を深められるため、空き家購入移住を見据えたプレ移住としておすすめです。ただし、その期間は住民登録ができず、仕事探しもできない点には注意しましょう。
【C】二拠点生活
都市にも拠点を持ったまま地方に移住するスタイル。生活コストや交通費はかさむものの、都市と地方のいいとこどりができる上、災害時のバックアップ拠点にもなります。滞在期間が短い分、地域になじみにくいというデメリットがあるため、近隣住民とのコミュニケーションをどのように取っていくかが充実した移住ライフのポイントになるでしょう。
| スタイル | コスト | リスク | 地域との関わり | 向いている人 |
| 空き家購入移住 | 中〜高 | 中 | 深い関係性が 築ける | 家を拠点に 資産形成したい人 |
| お試し移住 | 低 | 低 | 浅め | 試してから 判断したい人 |
| 二拠点生活 | 高 | 低 | 中 | 都市との繋がりを 保ちたい人 |
空き家を使った移住の注意点(トラブル回避)

空き家を利用した移住をする際は、次の3つに注意する必要があります。
- 再建築不可物件に注意する
- 修繕費が高額になるケースがある
- 地域とのミスマッチが起こる可能性がある
債権不可物件とは、建築基準法上の理由で新たに建物を建てることができない土地のこと。建築基準法制定(1950年)以前に建てられた物件や市街化調整区域に指定されている物件に当てはまることが多く、主な理由として建築基準法で定められた「接道義務」を満たしていないことが挙げられます。建て替えや増築ができないため、長期的にみるとリスクが大きいため注意が必要です。
また、古い家や鉄筋コンクリート造の物件は修繕費用が高額になることがあります。資金計画に大きな影響を及ぼすため、事前にインスペクションで見積もりを取っておくとよいでしょう。
そして、地域とのミスマッチもありがちなトラブルのひとつ。第一印象は良かったとしても、実際に住んでみると人間関係や自治体ルールなどで折り合いがつかず、移住が頓挫してしまうケースも少なくありません。移住体験やお試し滞在などを実施している自治体も多いため、移住を決める前にこれらのサービスを上手く活用してみましょう。
移住の具体的な進め方(全体の流れ)

ここからは、地方移住の具体的な進め方を確認していきましょう。
ステップ1:情報収集・移住先候補の選定
まずは、地方自治体の移住支援サイトや空き家バンク、移住フェアなどを利用して情報収集を行います。各地域の気候や医療・子育て制度、交通の利便性、仕事などもチェックしながら、移住先候補を絞り込んでいきましょう。
その際、“移住の目的”を明確にし、条件をリストアップした上で選ぶのがポイント。「農家を目指したい」「自然あふれる環境で子育てをしたい」など、「誰と・どこで・どのような」暮らしをしたいのか、具体的な目的を踏まえて移住先探しをすることで、理想の暮らしに近づけることができます。その際、家族やパートナーともしっかり相談することも大切。特に一緒に移住を考えている場合は、お互いの仕事の都合やライフスタイルの変化等を考慮した上で選ぶと安心です。
ステップ2:現地訪問・お試し移住
ある程度移住先を選定できたら、実際に現地を訪問してみましょう。
特に「地方で暮らした経験がない」「地域の人たちとうまくなじめるか心配」という方は、実際に宿泊や体験ができるプログラムに参加してみるのもひとつの手。例えば、岡山県では「晴れの国DAKARA移住体感ツアー」として移住希望者に現地での暮らしを体験してもらう1泊2日の体験ツアーを実施。先輩移住者や地域の人と交流しながら、岡山県のくらしの魅力を体感することができます。
もう少し長期間でしっかり体験してみたい方は、お試し移住もおすすめ。主に自治体が主体となって運営しているもので、事前の申し込みで1泊から年単位までフレキシブルに利用することが可能です。物件スタイルも一般的な一戸建てや公営住宅を利用したもの、土地の文化を伝える古民家などさまざま。福島県楢葉町・白河市や長野県立科町など各地で実施されているので、一定期間居住しながら、生活インフラや治安、近隣住民の方との距離感などを確認してみるとよいでしょう。
\あわせてチェック/
▶移住が気になったら、まずは「お試し移住」体験!(内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生)
▶まずは行ってみよう!お試し移住体験プログラム5選!(公益社団法人 ふるさと回帰・移住交流推進機構)
ステップ3:住まい探し(空き家の探し方)
地方の空き家は、自治体の相談窓口に問い合わせたり空き家バンクで探したりするのがおすすめ。不動産業者で探す方法もありますが、町村など小さな地域では民間の不動産業者が存在しないケースがあるので、住まいの情報収集に時間がかかることがあります。
見学したい空き家が見つかったら、事前に予約をして業者や担当者と物件を確認。一口に空き家といっても状態はさまざまで、定期的に人の手が入っている良好な物件もあれば、放置されて外壁や傷んでいたり雑草が生い茂っていたりする物件もあります。見学の際は外装・内装や水回りを中心に状態をしっかり確認しておくことが大切です。
\アキサポで空き家を探すなら/
ステップ4:仕事・収入の確保
住まい探しにある程度目途がついたら、移住後の仕事を探しておきましょう。
まず、拠点を問わないリモートワークなら、ネット環境さえ整っていればOK。これからこのような仕事を検討しているという方は、エンジニアや動画編集、WEBデザイナーなどがおすすめです。
現地で仕事を探したい場合は、自治体が用意している東京のUIターン転職の相談窓口や人材バンクシステムを利用してみましょう。地方の求人まで網羅した「ハローワーク・インターネットサービス」や、移住相談と就職相談をワンストップで対応してくれる「ふるさと回帰支援センター」などがあります。
また、地方であれば「地域おこし協力隊」制度を利用することも可能。都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動して概ね1年以上3年以下の期間、報酬を受けながら農林水産業の応援や地場産品の開発などの地域協力活動を行うもので、任期終了後約6割が同じ地域に定着しているのだそう。一定期間地域貢献しながらお試しで移住したいという方にもおすすめです。
ステップ5:購入・賃貸の手続き
購入や賃貸の手続きは、基本的に通常の不動産契約と同じです。売買もしくは賃貸契約を結び、売買の場合は住宅ローンやリフォームローンなども必要に応じて検討しましょう。また、空き家の場合は各自治体から補助金が出る場合もあります。
あわせて、購入の際はしっかり資金計画を立てておくことも重要。購入時は購入資金だけでなく、登録免許税や火災保険料、不動産取得税などの税金がかかります。また、登記を司法書士に依頼する場合は、プラスで5万円~15万円前後の費用が必要です。
そのほか、固定資産税や都市計画税など毎年固定でかかる税金や、5年後・10年後の修繕計画も見据え、中長期的な視点で無理のないプランを立てておくようにしましょう。
▶空き家購入のメリット・デメリットとは?物件を探す方法も解説
▶空き家の補助金制度は自治体により異なる!各自治体の制度を調べよう!
▶【事例多数】空き家のリフォーム・リノベーションの費用やDIYの注意点を解説
国・自治体の移住支援制度

移住時の負担を減らすためにも、各自治体の支援制度や補助金は積極的に活用してみましょう。主なものとして、以下の3つが挙げられます。
- 移住支援金
東京23区在住者又は23区への通勤者が地方へ移住し、起業や就業等を行う場合、世帯の場合は100万円以内(18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は18歳未満の者一人につき最大100万円を加算)、単身の場合は60万円以内の支援金が支給***されます。
- リノベーション補助制度
改修等に要する費用の一部を補助する制度のこと。空き家以外にも適用されるもので、耐震化からバリアフリー化、省エネルギー化など、目的にあわせたさまざまな制度が用意されています。
地方公共団体が実施する住宅リフォーム支援制度の検索はこちら>>
- 起業支援・空き家活用補助金
空き家を利用して起業したいという方に対し、賃料やリノベーション費用などを補助する制度が整備されています。自治体によって要件が異なるので、事前に確認しておくようにしましょう。
【地域別早見表】具体的な支援制度例
各地域で実施されている支援制度を10例ピックアップしました。具体的な適用要件や金額は、各公式サイトでチェックしてみてください。
| 地域 | 制度名 | 支援内容 |
| 長野県長野市 | 移住者空き家改修等補助金 | 空き家バンク登録物件を 購入または賃貸し、改修工事 ・家財処分を行う移住者を対象 に空き家改修等を補助。 |
| 山梨県山梨市 | 山梨市移住支援金交付事業 | 東京圏等から移住し、 就業または起業した方へ 支援金を交付。 |
| 京都府京丹後市 | 移住促進・空家改修支援事業補助金 | 空き家バンク登録物件を 取得または賃借し、居住目的で 改修を行う移住者を対象に 補助金を支給。 |
| 福岡県糸島市 | 空き家活用推進補助金 | 売却または賃貸を目的に 空き家バンク登録を行った 所有者に対して、登記・ 家財撤去費用等を補助。 |
| 福岡県八女市 | 空き家バンク登録物件改修補助 | 空き家バンク登録物件の 改修や家財撤去等の費用を 補助。 |
| 山形県遊佐町 | 空き家再生地域活性化推進事業 (空き家購入・賃貸+改修) | 空き家バンク登録物件を 購入または賃貸し、 改修・設備投資を行う 移住者を対象に補助金を支給。 |
| 栃木県足利市 | 空き家バンク改修費補助制度 | 空き家バンクを活用して 取得した空き家を改修し、 定住する市外から移住者 に対して改修費用を補助。 |
| 富山県射水市 | いみず住まい等応援事業補助金 | 市内に所在する1年以上 使われていない空き家を、 住居や住居兼店舗に利活用し、 5年以上の定住意思を 有する者へ補助。 |
| 大阪府泉佐野市 | 空家住宅利活用耐震改修補助事業 | 空き家住宅を利活用 (木造住宅の耐震改修など) し10年以上地域活性化に 資すると認定された場合、 改修費用の一部を補助。 |
| 広島県江田島市 | 空き家相続登記等補助 | 空き家の所有者または 相続人が司法書士等と 契約して相続登記等を 行った費用の一部を補助。 |
▶空き家の補助金制度は自治体により異なる!各自治体の制度を調べよう!
まとめ
地方移住は理想だけでなく、目的に合った準備が大切。空き家活用や支援制度、お試し移住などを組み合わせ、自分に合うスタイルで無理なく進めることが、移住後の満足度を高めるポイントになります。情報収集から資金計画まで一つずつ丁寧に進め、理想の地域で長く安心して暮らせる移住プランを描いてみましょう。
この記事の監修者
岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。