公開日:2025.12.27 更新日:2026.08.31
不動産取得税を払わなくてよいケースは?免除・非課税の条件を解説

不動産取得税は不動産を取得すると必ず発生するものと思われがちですが、実は一定の条件を満たすことで「非課税・不課税になる」「軽減措置の結果として税額が0円になる」ケースが存在します。
住宅購入では軽減措置が注目されがちですが、相続や不動産の評価額、建物の状況などによっては、減税ではなく、はじめから課税されない「非課税」となることもあります。こうした制度を知らないまま取得を進めてしまうと、本来払う必要のない税金まで負担してしまうことになりかねません。
そこで本記事では、実際に不動産取得税が免除されるケースに焦点をあて、条件・判断基準・確認方法について整理しました。「自分の場合は対象になるのか?」が分かるように、チェックポイントも交えながら解説します。
目次
不動産取得税の基礎知識

不動産取得税は、土地や建物を取得したときに都道府県から課される地方税です。売買だけでなく、贈与・交換・新築・増改築など、名義が変わる多くのケースが対象になります。
納税義務者は不動産を取得した個人または法人で、税額は、自治体が定める固定資産税評価額に以下の税率を掛けて求められます。
- 土地:4%(税率の特例により2027年3月31日まで3%)
- 住宅:4%(税率の特例により2027年3月31日まで3%)
- 住宅以外の建物:4%(特例無し)
不動産取得税が課税されるタイミングと回数は?
不動産取得税が課税されるタイミングは、土地や建物を取得したときに一度だけです。多くの場合、不動産登記(所有権移転)後、取得から数か月後に納付書が届き、記載された期限までに支払います。
同じく不動産に課税される税金に固定資産税がありますが、こちらは保有している限り毎年課税されるのに対し、不動産取得税が発生するのは取得に対して一度だけです。
不動産取得税が免除されるケースとは

不動産取得税が免除されるケースは大きく「非課税(相続・免税点)」と「軽減措置の結果として税額0円」の2種類があり、相続による取得は申請不要で自動的に非課税となります。
・評価額が免税点未満(土地16万円/家屋34万円・新築等66万円)
・中古住宅:築年数に応じた控除
・住宅用の土地:税額控除
代表的な免除・非課税の対象は次のとおりです。
ここでは、一般の方が関わる可能性が高い上から2つのケースについて詳しく見ていきます。
相続による取得
相続によって不動産を取得した場合は、不動産取得税は非課税になります。これは、相続税と二重課税になることを防ぐためです。
ただし、以下のような場合は不動産取得税の対象になるので注意が必要です。
- 相続人以外(第三者)に対して特定遺贈を行った場合
- 生前贈与を行った場合(※死因贈与含む)
「相続」と「遺贈・贈与」は税務上まったく別扱いで、税負担も大きく変わります。不動産をどう引き継いでいくか検討している場合は、不動産取得税の負担も含めて検討しておきましょう。
評価額が基準未満の場合(免税点)
不動産取得税には、小規模すぎる不動産に税金をかけないための最低ラインである「免税点」が設けられており、以下の評価額を下回る場合は課税されないようになっています。
| 区分 | 免税点(2026年4月1日以降の取得) | 改正前 |
|---|---|---|
| 土地 | 16万円未満 | 10万円未満 |
| 家屋(売買・贈与など=承継分) | 34万円未満 | 12万円未満 |
| 家屋(新築・増築・改築=建築分) | 66万円未満 | 23万円未満 |
ただし、一般的な住宅土地や建物でこの評価額を下回ることはほとんどありません。該当するのは、山林の一部や農地の端など、非常に規模が小さく評価額が低いケースが中心です。住宅取得において免税点の適用で税額0円になるケースはまれだと考えてよいでしょう。
不動産取得税の軽減措置にはどんな制度がある?

不動産取得税には、住宅の取得や土地の購入を後押しするための軽減制度が複数用意されており、地方税法の特例として条件を満たせば税額を大きく削減できます。ここでは、一般の住宅取得で利用される主な制度として、以下の4つを紹介します。
- 新築住宅に対する課税標準の特例
- 中古住宅に対する軽減措置
- 土地取得時の税額控除
- 認定長期優良住宅の特例
新築の場合の軽減措置
新築住宅を取得した場合、建物の課税標準額から 最大1,200万円の控除を受けられます。控除後の額に税率を掛けて計算するため恩恵が大きく、実質的に免除になるケースも珍しくありません。
対象となるのは、床面積が40〜240㎡(2026年4月1日以降の取得。※東京都特別区内の特定都市再生緊急整備地域は当面50㎡以上に据置)の住宅で、長期優良住宅の認定を受けた場合はさらに100万円が上乗せとなり、1,300万円の控除を受けられるようになります。
中古住宅の場合の軽減措置
中古住宅を取得した際にも不動産取得税の軽減措置が受けられます。ただし、前提条件として1982年1月1日以降に新築されたもの、または現行の耐震基準に適合していることを求められます。耐震性が確認できない住宅は原則として軽減を受けられません。
措置を受けられる住宅の面積は40~240㎡(2026年4月1日以降の取得)で、その他にも以下の要件に該当する必要があります。
- 取得者が取得した住宅に居住すること
- 次のいずれかに該当すること
- 1982年1月1日以降に新築された住宅であること(新耐震基準)
- 建築士などの証明書により、新耐震基準に適合している事が証明されている住宅であること
また、控除額は取得した住宅の築年数によって以下のように変わってきます。なお、以下の表より前に建築された住宅の場合は、直接窓口で控除額を確認しましょう。
| 新築年月日 | 控除額 |
|---|---|
| 1982年1月1日〜1985年6月30日 | 420万円 |
| 1985年7月1日〜1989年3月31日 | 450万円 |
| 1989年4月1日〜1997年3月31日 | 1,000万円 |
| 1997年4月1日以降 | 1,200万円 |
土地取得時の税額控除
住宅と合わせて土地を取得した場合には、その土地に対しても不動産取得税の軽減措置が適用されます。控除額は、4万5,000円または「土地1平方メートルの価格(※1) × 住宅の床面積の2倍 (※2)× 3%」の計算式で求められた額のうち、高い方が適用されます。
※1 宅地及び宅地比準土地の場合は価格の2分の1相当額
※2 200㎡が限度
また、この制度が適用できるのは、以下のいずれかに該当する場合です。なお、土地取得後、原則3年以内に住宅を新築する必要があります。
- 新築住宅を建てるために土地を購入した場合
- 土地と建物を同時に取得した場合
- 既存建物付き土地を購入し、その住宅に住む場合
認定長期優良住宅の特例
耐震性・省エネ性など、国の基準を満たした「認定長期優良住宅」を新築した場合は、通常の1,200万円控除に100万円が上乗せ され、合計1,300万円の控除が適用されます。なお、本特例は新築のみが対象で、中古住宅では適用されません。
申告には認定通知書が必要となるため、建築段階からスケジュールを確認し、引き渡し時点で書類を揃えられるよう準備しておきましょう。
不動産取得税の軽減措置を受ける場合の手続き

軽減措置は原則として申請が必要だが、相続や免税点に該当する非課税のケースは申請不要で、手続きなしに課税されません。
軽減措置を受けるための流れをまとめると以下のようになります。
- 1. 不動産を取得
- 2. 条件に該当しそうか確認する
- 3. 手続きや条件について窓口で相談する
- 4. 必要書類をまとめる(制度ごとに異なる)
- 5. 都道府県税事務所へ申告書類を提出
- 6. 審査ののち、軽減後の金額が反映された納付書が届く
また、必要書類は適用される条件ごとに異なりますが、以下のものが良く求められます。
- 納税通知書
- 建築確認済証や検査済証
- 登記事項証明書
- 耐震基準適合証明書
- 建物の図面
- 長期優良住宅の認定通知書
など
払いすぎた不動産取得税の還付を受けるには
すでに不動産取得税を納めたあとで軽減措置が受けられることに気づいた場合は「不動産取得税の還付」の手続きを行うことで、払いすぎた税金を取り戻せる可能性があります。
まずは都道府県税事務所に問い合わせをして、還付が受けられる見込みがあるか確認しましょう。その後、直接相談しながら還付申請書の書き方や必要書類を確認し、言われたとおりに書類を用意します。
なお、よく求められる書類としては、不動産の固定資産税評価証明書や登記事項証明書があります。また、軽減措置の要件に応じた、要件に該当することを証明する書類も必要になります。
還付金が支払われるまでの期間と注意点
還付申請が受理されてから還付金が支払われるまでの期間は、数か月程度かかるのが一般的です。自治体によって処理スピードが異なるため、正確な時期を知りたい場合は担当窓口へ直接確認しましょう。
また、還付には不動産を取得してから5年の申請期限が設けられており、この期間を過ぎると要件を満たしていたとしても、還付が受けられなくなってしまいます。要件が判明した時点で早めに申請手続きを進めておきましょう。
❓不動産取得税に関するよくある質問
Q. 不動産取得税を払わなくてよいのはどんなケースですか?
A. 相続による取得と、評価額が免税点(土地16万円未満・家屋34万円未満※新築・増改築の家屋は66万円未満)を下回るケースは、申請不要で非課税になります。また、新築・中古住宅の軽減措置を適用した結果として税額が実質0円になるケースもあります。
Q. 相続で不動産を取得した場合、手続きは必要ですか?
A. 相続による取得は非課税のため、不動産取得税の申告手続きは不要です。ただし、相続人以外への特定遺贈や生前贈与(死因贈与含む)は課税対象となるため注意が必要です。
Q. 不動産取得税を払いすぎた場合、取り戻せますか?
A. はい、還付申請により取り戻せる可能性があります。まず都道府県税事務所に問い合わせ、還付の見込みを確認しましょう。なお、申請期限は取得から5年以内のため、気づいた時点で早めに手続きを進めることが重要です。
まとめ
不動産取得税が「払わなくてよい」ケースは、大きく2つあります。相続による取得は申請不要で非課税、評価額が免税点を下回る場合も自動的に課税されません。住宅取得では軽減措置の活用により税額が実質0円になるケースもありますが、こちらは原則として申告手続きが必要です。
制度の適用可否は評価額・用途・築年数・取得方法によって細かく変わるため、「自分の場合はどうなるのか」が分かりにくいと感じる方も多いでしょう。
相続した不動産の扱いに迷っている場合、税負担の整理だけでなく、活用・売却・管理のご相談もアキサポで承っています。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






