公開日:2026.01.13 更新日:2026.01.07
NEW空き家を民泊に活用する完全ガイド~基礎知識から運営ノウハウまで~
持て余している空き家の活用方法として、民泊に関心を持つ人は少なくありません。空き家の管理負担を軽減しながら収益化でき、地域活性化にもつながる可能性がある点に魅力を感じる方もいるでしょう。
一方で、民泊には法的な手続きや運営上のルールがあるため、本当に自分で運営できるのかと不安を感じやすいのも事実です。特に空き家を活用する場合は、建物の状態や周辺地域への配慮が欠かせず、事前の整理が不十分なまま進めてしまうと、思わぬトラブルにつながることもあります。
そこでこの記事では、空き家を民泊として活用するための基礎知識から、制度の違い、メリット・デメリット、実際の再生事例、運営を成功させるためのポイントまでを整理して解説します。
目次
なぜ空き家の民泊活用が注目されているのか?その背景と市場ニーズ

そもそも、なぜ空き家の民泊施設への活用が注目されているのでしょうか?
その背景にあるのが全国的な空き家問題です。人口減少や高齢化によって放置された空き家が増え続けているこの現象は、景観の悪化や犯罪リスクの上昇、地域コミュニティの衰退など、さまざまな悪影響を及ぼしています。
総務省が発表した令和5年住宅・土地統計調査によると2023年時点の全国の空き家数は約900万戸と過去最多を更新しました。空き家率は13.8%に達し、約7〜8軒に1軒が空き家という計算になります。この数は30年前の約2倍に相当し、今後も増加傾向が続くと見込まれています。
そんな空き家の利用先として見いだされたのが、インバウンド需要の高まりによって需要が急増している宿泊施設への活用です。民泊施設がホテルや宿などに比べて少ない手間で始められる点に着目し、空き家問題と宿泊施設不足という2つの社会課題を同時に解決する有効な手段として期待されています。
空き家を民泊施設にした事例を紹介

空き家の民泊施設への活用法を学ぶ前に、実際に空き家を民泊施設に活用した事例を見てみましょう。こちらは、アキサポが手がけた渋谷区の物件「アキサポステイ初台」です。

この物件は元々、約5年間放置されていた築48年の空き家でした。立地は渋谷区本町、京王新線「初台」駅から徒歩7分とアクセスが良く、観光客だけでなくビジネス利用の需要も見込めるエリアです。
リノベーションの内容は、ゲストが快適に滞在できるよう、水回りの全面刷新やトレンドに合わせた家具の刷新、リモートワーク需要に応えるWi-Fi・ワークデスクの設置など、宿泊ニーズに直結する設備強化が中心になっています。また、訪日客の多様な体格に合わせた寝具配置など、細かな使いやすさの改善も行われました。
なお、本物件のリノベーション費用はアキサポが全額を負担しています。アキサポでは運営の収益から利益を得て、その一部を所有者に還元するという形をとっているため、所有者は負担を負うことなく空き家活用が可能となっています。
- 建築年月:築48年(お問合せ時)
- 駅徒歩:京王新線「初台」駅より徒歩7分
- 延床面積:75.24㎡
- 構造:軽量鉄骨陸屋根2階建
より詳しい情報が見たい場合は以下のページをご覧ください
インバウンド需要の急回復を踏まえ「アキサポ」初となる民泊施設として再生
民泊施設の3つの種類を知ろう
同じ民泊施設でも、じつは許可の根拠となる制度は複数あり、それぞれ許可基準や営業可能日数などが異なります。それぞれの概要は以下のとおりです。
- 旅館業法上の簡易宿所
許可制。年間の営業日数に制限がなく、ホテルや旅館と同様に常時営業できる。ただし原則として住居専用地域での営業は禁止されており、最低床面積や衛生措置などの基準が厳しい - 国家戦略特区法による特区民泊
国家戦略特区に指定された地域でのみ利用できる制度。営業日数の上限はないが、2泊3日以上の滞在が条件となっていることや、最低床面積は1室あたり25㎡以上など別の制限がある - 住宅宿泊事業法(民泊新法)
一般的な民泊施設。住宅を年間180日まで宿泊施設として貸し出すことができる。各種制限は比較的ゆるやか
空き家を民泊として運営するメリット

空き家を民泊として活用するメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 民泊収益で空き家の維持費・固定資産税をカバーできる
- 物件価値を高められる可能性がある
- 物件の調達費用を節約できる
使われていない空き家でも、民泊施設にできれば「費用を生む資産」への転換が可能です。では、具体的にどのような効果が見込めるのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
民泊収益で空き家の維持費・固定資産税をカバーできる
空き家は所有しているだけで固定資産税や修繕費、設備点検などの維持コストが発生します。維持コストは物件によって異なりますが、空き家を健全な状態に保とうとした場合、年間で10万~数十万円かかるのが一般的です。
空き家を民泊施設にできれば、宿泊料でこれらの経費を補えるうえ、観光需要が高い地域では事業として成り立つ見込みもあります。
空き家の活用には物件価値を高める可能性もある
空き家は放置すると傷みやすくなる特徴があります。これは通水や換気などが行われなくなることで、水道管が錆びたり、木材が湿気で傷んだりすることが大きな要因です。
民泊として活用できた場合は、これらの問題が自然と解決されます。特に、建物に大きなダメージを与えるカビやシロアリを防げるという点は大きなメリットといえるでしょう。
また、民泊施設に活用する際にはリフォームやリノベーションを施すことが多く、これによって資産価値そのものが上昇する場合もあります。なかでも古民家は、特徴ある構造や素材を活かすことで高付加価値を生みやすく「宿泊施設として魅力のある物件」へと生まれ変わる見込みがあります。
物件の調達費用を節約できる
物件探しから民泊を始める場合、物件の購入に多額の費用がかかりますが、空き家を持っている人であれば、この費用をカットできます。これにより、民泊を始めやすくなるのはもちろん、費用をリノベーションや広告などに集中させられるというメリットもあります。
自治体によっては空き家活用のためのリノベーション費用を数十万~100万円程度補助しているケースもあります。この制度を活用できれば、費用負担を大きく抑えて民泊を始められる可能性があります。
空き家を民泊として運営するデメリット・リスク
空き家の民泊利用には魅力的なメリットがありますが、一方で近隣との関係づくりや法令遵守、物件管理といった独自のリスクも伴います。特に、以下の3点には注意が必要です。
- 近隣住民とのトラブル
- 物件の傷みや衛生面の管理が大変
- インバウンド(外国人旅行者)への対応が難しい場合がある
近隣住民とのトラブル
民泊施設の大きな課題として挙げられるのが、宿泊客による騒音やごみの放置などを原因とする近隣住民とのトラブルです。特に海外からのゲストは生活習慣や文化が異なるため、ルールを丁寧に説明しておかないと、予想していなかった問題が起こる可能性があります。
宿泊客が問題を起こした場合、近隣住民との間でトラブルとなり、大きなクレームにつながったり、地域からの信頼を失うことで営業継続が難しくなったりする場合もあります。
こうしたトラブルを避けるには、あらかじめ自治会や近隣に運営方針を伝えて、相談しやすい関係を築いておくことが大切です。長く運営を続けるためにも、地域に受け入れられる施設を目指しましょう。
物件の傷みや衛生面の管理
短期間で多くのゲストが出入りする民泊施設は、設備や家具の消耗が通常より早く進みます。そのため、定期的な清掃やこまめな修繕を怠ると、宿泊環境が悪化し、宿泊者からの評価が下がる原因にもなります。
また、施設の衛生面にも注意が必要です。寝具の交換や清掃など衛生管理は、旅館業法や自治体条例で求められる場合があり、怠ると行政指導の対象となる可能性があります。
インバウンド(外国人旅行者)への対応が難しい場合がある
外国人旅行者によるインバウンド需要はチャンスに働く一方で対応負担が大きくなるリスクもあります。海外旅行者は文化や生活習慣が日本と異なるため、騒音・ごみ出し・設備の使い方などでトラブルが起きやすく、事前案内を丁寧に行わないとクレームや近隣トラブルにつながる可能性があります。
また、多言語対応が必要になる場面も多く、英語や中国語での案内文作成、チェックイン時の説明、緊急時のコミュニケーションなど、オーナー側の準備項目が大幅に増えます。このとき、誤訳による誤解が生じてしまうと、設備やルールを正しく伝えきれずに、思わぬ事故や破損につながるリスクもあります。
空き家で民泊を始めるために必要な手続き

ここからは、空き家で民泊を始めるまでの手順を見ていきましょう。一般的な流れは以下のとおりです。
- 運営形態の選択(住宅宿泊事業法・旅館業法・国家戦略特区法)
- 物件の法令チェック(用途地域、建築基準、防火設備の要件など)
- 必要書類の準備と行政手続き
- 民泊新法:住宅宿泊事業の届出
- 簡易宿所:旅館業法の許可申請・施設検査
- 設備・管理体制の整備
- 消防用設備(自動火災報知設備等)の設置
- 清掃体制、住宅宿泊管理業者への委託検討(家主不在型の場合)
- 自治体の条例の確認(営業日数制限や独自ルールなど)
一覧で紹介すると、意外と手順が少ないように見えますが、実際は都市計画法や建築基準法などの専門知識が必要だったり、消防設備に関する細かな協議が発生したりと、各手続ごとに多くの手間がかかります。
以下の記事では、根拠法や細かな要件など、より具体的に民泊を始めるための手続きや条件を解説していますので、詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
民泊運営を成功させるポイント
民泊運営を成功させるために欠かせないのが「集客」「管理」「トラブル防止」という3要素をバランスよく整えることです。ここでは、特に重要なポイントとして、以下の3点を紹介します。
- 空き家活用サービスを利用する
- 民泊仲介サイトや旅行予約サイトを活用する
- 外国人ゲストへの対応や多言語化の徹底
空き家活用サービスを利用する
空き家活用というニッチなジャンルに取り組む場合、まず必要になるのは多くのノウハウを持った専門家の存在です。
そこで有効なのが「アキサポ」を始めとする空き家活用サービスの利用です。空き家活用サービスとは、空き家に最適な活用方法を提案して、利用希望者とのマッチングを行うサービスのことで、専門家ならではの視点から、空き家を収益化するための用途やリノベーションのプラン提案が可能です。
たとえば「アキサポ」では、空き家の現状や所有者の意向を踏まえた活用提案から、リノベーション、運営までを一貫してサポートしています。しかも、それらに必要な費用はアキサポが負担するので、金銭的な負担を気にすることなく空き家活用に取り組めます。
ウェブサイトでは民泊施設を含む活用事例を掲載しています。実際の雰囲気が知りたい方はこちらをチェックしてください。
民泊仲介サイトや旅行予約サイトを活用する
集客の中心となる手段が、民泊プラットフォームや旅行予約サイトへの掲載です。掲載する際には、単に写真や情報を載せるだけでなく、泊まりたくなる写真と魅力が伝わる説明文を添えましょう。
ここのクオリティで成果が大きく変わるため、プロの写真家やライターに依頼するのもよいでしょう。物件の雰囲気や特徴を的確に伝えられれば、競合との差別化がしやすくなります。
また、料金設定では周辺相場を参考にしつつ、季節・イベント・需要に応じて料金を変動させるダイナミックプライシングが効果的です。割引やキャンペーンの活用も稼働率の底上げにつながります。
外国人ゲストへの対応や多言語化の徹底
訪日客が増える中、外国語対応は民泊運営で欠かせない要素となっています。英語や中国語、韓国語などの基本的な案内文を準備し、必要に応じて翻訳アプリを併用するだけでも、ゲストとのコミュニケーションはスムーズになります。
文化・習慣の違いによる誤解を防ぐためには、ハウスルールを「短く・明確に・多言語で」提示することが大切です。自動翻訳では完全な翻訳ができていない場合もあるため、スポットで翻訳家の方に監修を依頼してもよいでしょう。
また、多言語対応は集客面でも強みとなります。海外の口コミやSNSで好評価を得られれば、外国人客のリピーター獲得や、ひいては稼働率の安定につながります。
まとめ|空き家民泊を成功させるために
空き家の民泊施設への活用を成功させるためには、利益ばかりに目を向けるのではなく、物件の条件や地域性、自分が関われる範囲などを冷静に整理することが重要になります。
そのため「アキサポ」のように空き家や不動産活用に詳しい専門家を見つけられるかどうかは大きなポイントになります。空き家の権利関係や法規制は複雑で専門知識が不可欠です。実績豊富な専門家をパートナーに選ぶことが、プロジェクト成功の鍵となります。
「アキサポ」では民泊施設を含めた数多くの空き家活用に成功しています。無料で相談できますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。