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公開日:2026.04.01 更新日:2026.04.01

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特定空き家の固定資産税は6倍になる?「管理不全空家等」の増税リスクと回避策を解説

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空き家を放置すると固定資産税が上がるという話を聞いたことがあると思います。これは「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定され、さらに自治体から「勧告」という対応を受けると、土地に適用されている住宅用地特例が外れる可能性があるためです。

空き家を放置し続けると、この「勧告」を受けるリスクが高まるので「空き家を放置すると損をする」と言われることがあるのです。

では、これらのリスクを避けるにはどうすればよいのでしょうか?この記事では、特定空き家・管理不全空き家で固定資産税の負担が増える仕組みと流れ、避けるための管理方法、指定された場合の解除手順などを解説します。

特定空き家を放置すると固定資産税が6倍に?損をする理由とは

特定空き家とは、放置すると周囲に実害が出るおそれが高く、自治体が是正を促す対象として位置づける空き家のことです。指定されると行政による対応を受けることになり、助言・指導→勧告→命令→代執行と段階的に対応が強くなります。

特定空き家を放置すると損をするといわれるのは、固定資産税の優遇が外れるリスクと、命令・過料のリスク、行政代執行で強制対応され費用を請求されるリスクという3つのリスクが重なりやすいからです。

それぞれ、具体的に以下のようなことが起こる可能性があります。

  • 固定資産税の優遇が外れるリスク
    手続きが進んで自治体から「勧告」を受けると、住宅が建っている敷地の固定資産税が減額される「住宅用地特例」の対象外になる。200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は6分の1から等倍に戻り、200㎡を超える部分(一般住宅用地)は3分の1から等倍に戻る。また、都市計画税の住宅用地特例も解除される
  • 命令・過料のリスク
    助言・指導の段階で改善が見られないと命令に進むことがある。「命令」に従わない場合、50万円以下の過料(管理不全空家等の場合は20万円以下という行政罰を科される不利益を被る可能性がある)
  • 行政代執行で強制対応され、費用を請求されるリスク
    危険性が高い状態で放置が続くと、最終的に自治体が行政代執行に踏み切り、解体などの強制対応が行われる可能性があります。解体にかかった費用は税金と同様に「強制徴収」の対象となる。滞納処分の例により強制徴収される可能性があるため、リスクが極めて高い

このように、特定空き家は放置するほど損をしやすい仕組みになっています。大事になってからでは払えないほどの費用を求められることもあるので、可能な限り早めに対応しましょう。

管理不全空き家でも固定資産税の負担増や罰則を受ける可能性がある

2023年12月の法改正で新設された「管理不全空家等」は、いわば「特定空家の予備軍」です。放置すれば、特定空家等と同様に増税の対象となります。

特定空き家の手前とはいえ、場合によっては固定資産税の負担増や罰則を受ける可能性があります。まず税金面では、手続きが進んで自治体から勧告を受けると、住宅用地特例の対象から外れてしまいます。

さらに、命令まで進んだ場合は、特定空き家と同じように過料(罰金)の対象となることがありますし、危険性が高い状態で放置が続けば、最終的に行政代執行(強制対応)により解体などが行われ、その費用を請求される可能性もあります。

固定資産税が「実際に増額される」までの4ステップ

特定空き家で固定資産税が増えるのは「特定空き家に認定された瞬間」ではなく、手続きが進んで「勧告」を受け、住宅用地特例が外されたときです。また、住宅用地特例が外れた額が適用されるのは、翌年分からです。

では、どのような流れで固定資産税の住宅用地特例が外されるのか、順を追ってみていきましょう。

固定資産税の計算方法を詳しく知りたい方はこちら

【税額早見】空き家の固定資産税とは?計算方法と減免制度、対策を解説

1. 自治体による立入調査と「特定空家等」への認定

まずは行政が現地調査を行い、特定空き家に認定するところから始まります。近隣からの苦情や自治体のパトロール、空き家実態調査などをきっかけに、特定空き家の候補がピックアップされ、倒壊の危険や衛生上の問題、周辺環境への悪影響が認められると、特定空き家に認定され、その所有者に通知が送られます。

この時点で大事なのは、認定されてすぐに固定資産税が増えるわけではないということです。認定はあくまで是正を求める手続きの入口であり、税負担が増えるかどうかは、この後の対応で決まります。

2. 助言・指導

次に、自治体から助言・指導が入ります。これは、自主的な改善を求めるフェーズで、建物の補修や一部撤去、敷地の管理改善などを求められます。

このフェーズで改善できれば勧告に進まずに済むため、住宅用地特例が外れるリスクを避けられます。

3. 勧告(住宅用地特例が外れる分岐点)

助言・指導を受けても改善が見られない場合、自治体は期限を区切って是正を求める「勧告」を行います。ここが固定資産税の面で最も重要な分岐点で、勧告を受けると、固定資産税が軽減される住宅用地特例が適用されなくなります。

4. 固定資産税の増額(翌年分から反映)

住宅用地特例が外れたからといって、その場ですぐ固定資産税が増えるわけではなく、実際は翌年分から反映されます。より正確には、翌年1月1日時点で勧告が継続している場合に、その年度から住宅用地特例が適用されなくなります。

そして、税負担が増えた後も改善しない場合は、手続きがさらに進んで命令が出され、従わなければ過料(罰金)の対象になることがあります。危険性が高い状態で放置が続けば、最終的に行政代執行(強制解体など)が行われ、費用を請求される可能性もあるため、どんなに遅くとも「勧告までに止める」ことが重要です。

 特定空家等・管理不全空家等の指定を回避するための具体的メンテナンス術

特定空き家に指定されないためには、特定空き家となる条件である以下の4つの条件に該当しないように管理することが大切です。

1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態

3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

これらは決して難しいことではなく、逆に言えば、問題無く管理されている状態を保てばよいことになります。では、そのような状態を保つにはどういった管理を行えばよいのか、3つのポイントを見ていきましょう。

定期的なメンテナンスと点検で状態を維持する

定期的なメンテナンスと点検は、特定空き家の指定を避けるうえで基本になる対策です。特定空き家は「空き家であること」自体が問題なのではなく、放置によって危険・不衛生・迷惑が表に出ている状態が問題視されます。だからこそ、外から見て「管理されている」と判断できる状態を保つことが重要です。

点検で意識したいのは、家の中を完璧に整えることよりも、近隣に影響が出やすい部分の悪化を止めることです。小さな不具合でも見逃すと劣化が加速し、結果的に修繕費が膨らみやすくなるので、早めに「劣化の芽」を摘んでおきましょう。

特にチェックしておきたいのは以下のポイントです。

  • 外周チェック:屋根・軒天・雨樋・外壁の剥がれ、傾き、ひび割れ、破損
  • 雨漏りの兆候:天井のシミ、カビ臭、床が沈む・ふかふかする
  • 敷地管理:雑草・樹木の繁茂、越境、落ち葉、害虫や害獣の誘因
  • 防犯・安全:窓や扉の破損、施錠不良、郵便物の滞留

空き家管理サービスを活用する

空き家管理サービスとは、空き家の所有者に代わって空き家の管理を行ってくれるサービスのことです。月額5,000~1万5,000円程度で利用できます。遠方で通えない人が「管理放棄」と見られる状態を避けるための現実的な手段といえるでしょう。

依頼できる内容は、次のようなものです。

  • 通風・換気、簡易清掃(湿気・カビの進行を抑える)
  • 通水、排水確認(封水切れによる臭気や配管トラブル予防)
  • 外観・敷地の点検(破損・雨漏り兆候、雑草・越境、ゴミの散乱など)
  • 郵便物の確認・整理、簡易防犯チェック
  • 写真付き報告書の作成

なお、空き家管理サービスを頼んでいるからといって、管理を丸投げにするのは危険です。報告書を見て対応が必要な箇所が見つかったら、さらなる悪化を避けるために早めに手を打ちましょう。

維持が難しい場合は解体・売却・活用も検討を

維持が難しい場合は、管理を続けること自体がリスクになっていきます。固定資産税や修繕費よりも、近隣トラブルや行政手続きの進行で選択肢が削られるほうが痛手になりやすいので、これ以上維持できないと感じた時点で、以下のような別の対応策を検討するのが無難でしょう。

  • 解体:危険性を一気に消せるが、まとまった費用が必要になる。建物がなくなると建物の敷地に適用されていた、固定資産税の住宅用地特例が解除される可能性があるため、解体後の対応とセットで考えた方がよい
  • 売却:建物を手放すことになるが、管理の手間もなくなる。残置物や境界、所有権などに問題があると手続きが止まりやすいので、先に整理しておくとよい
  • 活用:借り手が見つかれば、賃料で維持費をまかなえる。ただし運営と管理の負担は残るため、続けられる設計が前提になる

特定空き家を解除するための手続きは?

特定空き家の解除は「直したから自動的に外れる」ものではなく、自治体が改善状況を確認して判断する流れになります。やること自体はシンプルで、原因の特定 → 改善 → 報告 → 再調査の順で進めるのが基本です。

では、具体的な流れを追って見ていきましょう。

1. 自治体の調査結果・指導を確認する

特定空き家に指定された通知が届いたら、まずは自治体の調査結果や指導内容を確認しましょう。解除に向けて動くには、自治体が「どこを問題視しているのか」を押さえる必要があります。ここが曖昧なまま対応しても、自治体が指摘した部分が改善されていないと判断される恐れがあります。

自治体に連絡をするのは怖いかもしれませんが、担当部署に連絡して、解除に向けて必要になる手続きも確認しておきましょう。ここで改善後に提出する資料や、改善期限の有無を聞いておけば、今後の迷いが減るでしょう。

2. 問題を改善する

次に、自治体が示した改善ポイントに沿って、実際の手当てに入ります。ここでは、空き家を完璧に直すことよりも、危険・不衛生・迷惑につながっている状態を止めることが優先です。

改善の方法は、大きく分けると次の3つです。

  • 修繕(補修・補強)
    倒壊や部材落下の危険がある場合は、屋根・外壁・軒天・雨樋などの破損箇所を補修し、必要に応じて補強を行う。雨漏りがあるなら先に止めて腐朽の進行を防ぐ
  • 除去(解体)
    劣化が進んでいて修繕費がかさむ、危険性を短期間で消したい、今後も使う予定がないといった場合は、建物を解体して更地にする選択肢もある。危険や迷惑の原因を一気に消せる反面、まとまった費用が必要になる
  • 清掃・管理(敷地の手入れを含む)
    ゴミの撤去、敷地内の草木伐採、越境の解消、害虫・害獣対策、簡易な施錠や破損部の応急処置などを行う。衛生面や景観・近隣迷惑が理由になっている場合は、ここを改善するだけでも状況が大きく変わることがある

3. 自治体に報告し、再調査を依頼する

指摘された箇所の対応が終わったら、自治体の空き家対策担当部署に報告し、再調査を依頼します。報告の際は、対応内容が伝わるように情報を整理しておくとスムーズです。たとえば、次のようなものを用意しておくと、確認のやり直しが減ります。

  • 改善した内容(どこを、何を、どう直したか)
  • 作業日・工事日(いつ対応したか)
  • 業者名や工事内容(業者に依頼した場合)
  • 改善前後の写真(外観と指摘箇所が分かるもの)
  • 今後の管理方針(再発防止として、点検頻度や管理委託の予定など)

再調査の結果、自治体が「特定空き家に該当しない状態になった」と判断すれば、指定解除へ進みます。自治体ごとに運用や確認ポイントに差があるため、提出すべき資料や調査の流れは事前に確認しておくと安心です。

特定空き家の回避は相続時から始めよう

ここまで、特定空き家に指定された場合や、指定されそうな場合の対処法を見てきましたが、それ以前に意識しておきたいのが「相続した直後こそ、固定資産税リスクが膨らむ前に手を打てるタイミング」だという点です。

空き家は放置が続くほど劣化が進み、いずれ勧告に至れば住宅用地特例が外れて固定資産税が増える可能性があります。だからこそ、相続の段階で「動ける状態」を作っておくことが、結果的に余計な支出を抑える近道になります。

相続直後にまず意識したいのは、次の3点です。

  • 相続登記を進める
    土地・建物の名義が整理されていないと、売却・解体・管理委託などを行う場合に支障になりやすい。2024年4月から義務化されている
  • 現状を把握して、危険ポイントだけ先に止める
    相続時点ですでに劣化している場合は、危険なポイントを先に対応しておく。特に外から見える問題点を優先すると予防効果が高い
  • 売却・解体・活用の方向性を決める
    相続した建物の使い道を決めないままでいると、その間に劣化が進んで修繕費が上がる恐れがある。売却や活用がしにくくなることにもつながるので、今後の方向性だけでも決めておきたい

相続は、空き家のコストが増えるかどうかを左右する分岐点になりがちです。名義と現状、出口の方向性を早めに整えておけば、管理費や修繕費の膨張を抑えつつ、住宅用地特例が外れるような事態も避けやすくなります。

まとめ・総括

空き家の固定資産税が上がるリスクを避けるためには、いきなり大きな決断をするよりも、まず問題になりそうな箇所を項目ごとに洗い出し、すぐ対応できる作業から順番に片付けるのが現実的です。

自治体が特に見ているのは、倒壊の危険や衛生面、景観、近隣への迷惑といった外から見える部分なので、月1回の巡回や換気、庭木の管理、破損の早期補修を回しておくだけで、問題になりやすい部分をケアしやすいです。

まずは「現状」「すぐ直せる点」「外注が必要な点」を3つに分けてメモし、費用感と手間を見える化したうえで、管理を続けるのか、売却・賃貸・解体へ進むのかを判断していきましょう。

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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