公開日:2026.06.20 更新日:2026.07.30
不動産取得税の軽減措置とは?新築・中古・土地の控除額と申請方法を解説
不動産を購入・新築などで取得すると、原則として不動産取得税がかかります。ただし、住宅や住宅用の土地には軽減措置があり、要件を満たせば税額が大きく下がり、条件によっては0円になることもあります。
この記事では、不動産取得税の軽減措置について、新築住宅・中古住宅・住宅用土地それぞれの控除額と要件、申請の流れや必要書類を中心に解説します。あわせて、通知が届く時期や、すでに納めた税金の還付についても触れていきます。
🏠不動産取得税の軽減措置 早見表
住宅・住宅用土地の取得で税額が下がる主な軽減措置(2026年度)
出典:総務省「不動産取得税」・各都道府県 ※床面積要件は2026年4月1日以降の取得で40〜240㎡(それ以前の取得は下限50㎡)。控除額・要件は自治体により異なる場合があります。
目次
不動産取得税とは(課税対象・納税義務者)
まずは不動産取得税の基本を理解しましょう。不動産取得税とは、土地や建物を取得したときに一度だけ課税される都道府県税です。固定資産税のように毎年かかる税金ではなく、不動産を取得したタイミングで発生します。
なお、売買だけでなく、新築や増改築、贈与、交換などによって不動産を取得した場合も対象です。「タダでもらったから税金はかからないだろう」と思いがちですが、無償で譲り受けた(贈与された)場合でも、不動産を取得した事実があれば課税されます。
不動産取得税の基本
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税される人 | 不動産を取得した人 |
| 課税対象 | 土地・建物の取得 |
| 主な取得原因 | 売買、新築、増改築、贈与、交換など |
| 課税されない主な例 | 相続による取得など |
| 課税する自治体 | 不動産がある都道府県 |
不動産取得税は基本的に以下の計算式で求められます。
- 不動産取得税 = 課税標準額 × 税率
課税標準額は、原則として固定資産税評価額をもとに計算されます。購入価格ではないため、売買契約書の金額と税額計算の基準額が一致するとは限りません。
また、税率は以下のとおりです。住宅や土地には特例税率が適用される場合があります。
| 不動産の種類 | 税率の目安 |
|---|---|
| 土地 | 3% |
| 住宅 | 3% |
| 非住宅用家屋(店舗・事務所・工場など) | 4% |
不動産取得税はいつ払う?通知が届く時期

不動産取得税は、都道府県から税額や納付期限が記載された「納税通知書」が届いたあとに納付します。登記情報の確認や評価額の決定を経て送付されるため、一般的には不動産の取得から数か月後に届きます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 納付方法 | 都道府県から届く納税通知書に従って納付 |
| 通知が届く目安 | 取得から3か月〜半年程度 |
| 遅れるケース | 新築建物、評価に時間がかかる物件、自治体の処理状況など |
| 注意点 | 土地と建物で通知時期が分かれることがある |
なお、新築住宅の場合は、建物の評価に時間がかかるため、土地分の通知が先に届くことがあります。また、軽減措置によって税額が0円になる見込みでも、申請が済んでいない場合は一度通常どおり課税されることがあります。
通知がこない・遅れるケース(住所変更・海外居住など)
不動産取得税の通知がこない、または遅れる主な理由には以下のようなものがあります。
| 住所変更をした | 登記上の住所や旧住所に通知が送られ、手元に届かないことがある |
| 新築建物を取得した | 評価額の決定に時間がかかり、通知が遅れることがある |
| 土地と建物を取得した | 土地分と建物分で通知時期が分かれることがある |
| 海外居住・長期出張中 | 国内で通知を受け取れず、確認が遅れることがある |
| 税額が0円になる | 非課税や軽減措置により、通知自体が送られない場合がある |
なかでも注意が必要なのは住所変更です。住民票を移していても、不動産取得税の通知が自動的に新住所へ届くとは限りません。取得時の住所や登記上の住所に送付され、気づかないうちに納付期限を過ぎる可能性があります。
海外居住や長期出張などで通知を受け取りにくい場合は、納税管理人の設定が必要になることもあります。通知を確認できないまま放置すると、延滞金が発生する可能性もあるため、事前に管轄の県税事務所に相談しておいた方がよいでしょう。
不動産取得税がかからない・0円になる3つのパターン

不動産取得税が発生しない、または0円になるパターンは、大きく3つに分けられます。
①法律上の非課税、②課税標準額が免税点未満、③住宅の軽減措置です。相続などの「そもそも課税されない非課税ケース」の詳細は別記事に譲り、本記事では③の軽減措置を中心に、控除額と申請方法まで掘り下げます。
①法律上の非課税に当たる(相続など)
相続による取得や公衆用道路の取得などは、法律上そもそも課税対象になりません。一方で、生前贈与や特定遺贈は課税されるなど、判断を誤りやすいケースもあります。非課税に当たる具体的な要件は、不動産取得税を払わなくてよいケースとは?非課税の条件を解説で詳しく整理しています。
②課税標準額が免税点に満たない
取得した不動産の固定資産税評価額が一定額を下回る場合、不動産取得税はかかりません。目安は土地が10万円未満、新築・増改築の家屋が23万円未満、売買・贈与などで取得した家屋が12万円未満です。ただし、1年以内に隣接地をまとめて取得したときなどは合算で判断されるため、注意が必要です。
③住宅の軽減措置で税額が下がる・0円になる
新築・中古住宅や住宅用の土地を取得した場合は、軽減措置によって税額が大きく下がり、条件を満たせば0円になることもあります。控除額や適用要件、申請の流れは、次章以降で具体的に見ていきましょう。
不動産取得税の軽減措置(新築・中古・住宅用の土地)

不動産取得税の軽減措置は、主に新築住宅・中古住宅・住宅用の土地で分けて考えられます。
なお、土地と建物は別々に計算されるため、建物だけ軽減される場合や、土地と建物の両方で税額が下がる場合があります。では、それぞれの概要や計算方法を見ていきましょう。
建物(新築住宅)の軽減措置
新築住宅では、一定の要件を満たすと、建物の固定資産税評価額から1,200万円を控除できます。控除後の金額に税率をかけるため、建物の評価額が1,200万円以下であれば、建物分の不動産取得税は0円になります。
軽減措置に必要な主な要件は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 1,200万円(2026年3月31日までに新築した長期優良住宅の認定を受けた住宅の場合は1,300万円) |
| 床面積 | ・2026年3月31日までに取得した場合:50㎡以上240㎡以下(戸建以外の貸家住宅の場合は40㎡以上240㎡以下) ・2026年4月1日以降に取得した場合:40㎡以上240㎡以下 |
| 注意点 | マンションは共用部分の按分面積も含めて判断 |
建物(中古住宅)の軽減措置
中古住宅を取得した場合でも、一定の要件を満たすと固定資産税評価額から控除を受けられます。控除額は新築住宅と違って一律ではなく、建物が新築された時期によって変わります。
中古住宅の主な要件は自治体によって異なる場合があります。ここでは埼玉県の例を紹介します。
埼玉県における中古住宅の軽減措置制度(控除額は自治体によって異なることがあります)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | ・1982年1月1日〜1985年6月30日に新築:420万円 ・1985年7月1日〜1989年3月31日に新築:450万円 ・1989年4月1日〜1997年3月31日に新築:1,000万円 ・1997年4月1日以降に新築:1,200万円 |
| 床面積 | ・2026年3月31日までの取得:50㎡以上240㎡以下 ・2026年4月1日以降の取得:40㎡以上240㎡以下 |
| 主な要件 | 1. 取得者が自らその取得した住宅に居住すること 2. 次のいずれかの要件に該当すること ・1982年1月1日以降に新築された住宅を取得した場合 ・住宅の取得の日前2年以内に調査を行った建築士等の証明書により新耐震基準に適合していることが証明されている住宅を取得した場合 |
住宅用の土地の軽減措置
住宅の軽減を受ける新築住宅か中古住宅用の土地を取得した場合は、 以下のいずれかに該当する場合に軽減措置が受けられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 以下のいずれか高い方の額 ・45,000円 ・土地1㎡当たりの価格(※)× 住宅の床面積の2倍(※2)× 3% ※:宅地評価土地の場合は、価格の2分の1に相当する額 ※2:上限200㎡ |
| 床面積 | ・2026年3月31日までの取得:住宅の床面積要件50㎡以上240㎡以下(新築の戸建以外の貸家住宅の場合は40㎡以上240㎡以下) ・2026年4月1日以降の取得:40㎡以上240㎡以下 |
| 主な要件 | 【住宅が新築された場合】以下いずれかを満たすこと ・敷地の取得者が敷地を取得する日前1年以内に住宅を新築していたとき ・2004年4月1日から2031年3月31日の間に取得した土地で、敷地を取得した日から3年以内に住宅が新築されたとき 【未使用の新築住宅と土地を取得した場合】以下条件を満たすこと ・住宅の軽減を受ける未使用の新築住宅と土地を同一人が取得したとき ・住宅の軽減を受ける未使用の新築住宅を、土地を取得した日から1年以内、または土地を取得する日前1年以内に土地の取得者が取得したとき 【中古住宅を土地の取得者が取得した場合】以下条件を満たすこと ・土地を取得した日から1年以内、または土地を取得する日前1年以内に、住宅の軽減を受ける中古住宅を土地の取得者が取得したとき |
軽減措置の申告・申請方法(期限・必要書類)
不動産取得税の軽減措置は、自動で反映される場合もありますが、原則として申告・申請が必要になると考えておきましょう。申請先は、不動産の所在地を管轄する県税事務所です。
📝軽減措置 申請の流れ(4ステップ)
適用可否の確認
取得した住宅・土地が軽減措置の対象か、管轄の県税事務所に確認します。
必要書類の収集
契約書・登記事項証明書・住民票・建物図面・耐震基準適合証明書などを準備します。
申告書の提出
不動産の所在地を管轄する県税事務所へ、申告書を提出します。
税額の確認・納付
納税通知書または県税事務所の案内で軽減後の税額を確認し、期限内に納付します。
申請先:不動産の所在地を管轄する県税事務所
必要書類は自治体や取得内容によって異なりますが、主に以下のようなものが求められます。
- 納税通知書
- 住宅の登記事項証明書
- 住宅や土地を取得した人の住民票
- 建物図面・平面図
- 耐震基準適合証明書
- 長期優良住宅の認定通知書
など
土地の軽減措置を受ける場合は、建物の取得時期や新築時期が分かる書類も必要になることがあります。土地と建物の取得時期によって適用可否が変わるため、契約日・引渡日・新築日などを整理しておきましょう。
すでに払った不動産取得税は還付できる?
すでに不動産取得税を納めたあとでも、軽減措置の適用漏れや課税内容の誤りがあれば、還付を受けられる場合があります。地方税法にもとづく「更正の請求」や還付申請を行うことで、取得の日の翌日から5年を経過する日まで(還付の時効)であれば手続きが可能です。
あとから軽減措置の対象だったと気づいた場合や、通知書の内容に疑問がある場合は、放置せず早めに管轄の県税事務所へ相談しましょう。契約書や登記事項証明書、住民票などの書類は、還付申請に備えて保管しておくと安心です。
まとめ
✅不動産取得税が下がる・0円になる主なパターン
住宅や住宅用の土地を取得した場合は、新築住宅・中古住宅・住宅用土地それぞれの軽減措置によって不動産取得税が大きく下がり、条件を満たせば0円になることもあります。ただし、多くは申請や書類提出が必要です。床面積や耐震性、自己居住用かどうか、取得時期といった要件は、早めに確認しておきましょう。
なお、相続による取得のように最初から非課税となるケースや、評価額が免税点に満たず課税されないケースもあります。通知が届かない場合でも非課税とは限らないため、非課税に当たるかどうかは不動産取得税を払わなくてよいケースとは?非課税の条件を解説もあわせて確認すると確実です。
通知が遅い場合や、すでに納めた税額に疑問がある場合は、不動産の所在地を管轄する県税事務所へ相談すると安心です。契約書や登記事項証明書、住民票などの書類は、申請や還付に備えて保管しておきましょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。