公開日:2026.06.20 更新日:2026.05.29
NEW不動産取得税を払わなくてよいケースと軽減措置の条件
不動産を購入・新築・贈与などで取得すると、原則として不動産取得税がかかります。ただし、相続による取得のように課税されないケースや、住宅の軽減措置によって税額が0円になるケースもあります。
では、どのような場合に不動産取得税を払わなくてよいのでしょうか?この記事では、不動産取得税を払わなくてよい主なケースや軽減措置の条件、通知が届く時期、すでに支払った場合の還付について解説します。
目次
不動産取得税とは(課税対象・納税義務者)

まずは不動産取得税の基本を理解しましょう。不動産取得税とは、土地や建物を取得したときに一度だけ課税される都道府県税です。固定資産税のように毎年かかる税金ではなく、不動産を取得したタイミングで発生します。
なお、売買だけでなく、新築や増改築、贈与、交換などによって不動産を取得した場合も対象です。「タダでもらったから税金はかからないだろう」と思いがちですが、無償で譲り受けた(贈与された)場合でも、不動産を取得した事実があれば課税されます。
不動産取得税の基本
| 項目 | 内容 |
| 課税される人 | 不動産を取得した人 |
| 課税対象 | 土地・建物の取得 |
| 主な取得原因 | 売買、新築、増改築、贈与、交換など |
| 課税されない主な例 | 相続による取得など |
| 課税する自治体 | 不動産がある都道府県 |
不動産取得税は基本的に以下の計算式で求められます。
- 不動産取得税 = 課税標準額 × 税率
課税標準額は、原則として固定資産税評価額をもとに計算されます。購入価格ではないため、売買契約書の金額と税額計算の基準額が一致するとは限りません。
また、税率は以下のとおりです。住宅や土地には特例税率が適用される場合があります。
| 不動産の種類 | 税率の目安 |
| 土地 | 3% |
| 住宅 | 3% |
| 非住宅用家屋(店舗・事務所・工場など) | 4% |
不動産取得税はいつ払う?通知が届く時期

不動産取得税は、都道府県から税額や納付期限が記載された「納税通知書」が届いたあとに納付します。登記情報の確認や評価額の決定を経て送付されるため、一般的には不動産の取得から数か月後に届きます。
| 項目 | 内容 |
| 納付方法 | 都道府県から届く納税通知書に従って納付 |
| 通知が届く目安 | 取得から3か月〜半年程度 |
| 遅れるケース | 新築建物、評価に時間がかかる物件、自治体の処理状況など |
| 注意点 | 土地と建物で通知時期が分かれることがある |
なお、新築住宅の場合は、建物の評価に時間がかかるため、土地分の通知が先に届くことがあります。また、軽減措置によって税額が0円になる見込みでも、申請が済んでいない場合は一度通常どおり課税されることがあります。
通知がこない・遅れるケース(住所変更・海外居住など)
不動産取得税の通知がこない、または遅れる主な理由には以下のようなものがあります。
| ケース | 内容 |
| 住所変更をした | 登記上の住所や旧住所に通知が送られ、手元に届かないことがある |
| 新築建物を取得した | 評価額の決定に時間がかかり、通知が遅れることがある |
| 土地と建物を取得した | 土地分と建物分で通知時期が分かれることがある |
| 海外居住・長期出張中 | 国内で通知を受け取れず、確認が遅れることがある |
| 税額が0円になる | 非課税や軽減措置により、通知自体が送られない場合がある |
なかでも注意が必要なのは住所変更です。住民票を移していても、不動産取得税の通知が自動的に新住所へ届くとは限りません。取得時の住所や登記上の住所に送付され、気づかないうちに納付期限を過ぎる可能性があります。
海外居住や長期出張などで通知を受け取りにくい場合は、納税管理人の設定が必要になることもあります。通知を確認できないまま放置すると、延滞金が発生する可能性もあるため、事前に管轄の県税事務所に相談しておいた方がよいでしょう。
不動産取得税を払わなくてよい主なケースと非課税要件

不動産取得税を払わなくてよいケースは、大きく分けて「そもそも非課税になるケース」「課税標準額が小さく税額が発生しないケース」「軽減措置によって税額が0円になるケース」の3つです。
代表的なケースとしては、次のようなものがあります。
- 相続で不動産を取得した
- 公衆用道路として土地を取得した
- 土地区画整理等で換地を取得した
- 法人の合併・分割で不動産を取得した
- 宗教法人・学校法人などが事業用に取得した
- 課税標準額が免税点未満だった
- 軽減措置により不動産取得税を払わなくてよい(税額0円)ケース
ここでは、それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
相続で不動産を取得した
相続によって不動産を取得した場合、原則として不動産取得税はかかりません。これは、売買や贈与のように新たに取得する取引ではなく、亡くなった人の権利を相続人が引き継ぐ「包括承継」の性質を持ち、形式的な名義変更として扱われるためです。
ただし、生前贈与で不動産を受け取った場合は、相続ではなく贈与にあたるため、不動産取得税の課税対象になります。相続時精算課税制度を利用している場合でも、取得原因が贈与であれば注意が必要です。
また、遺言によって相続人以外の人が不動産を譲り受ける「特定遺贈」にあたる場合は、相続とは異なり不動産取得税が課税されるため注意が必要です。判断に迷う場合は、取得内容を整理したうえで県税事務所や司法書士のような専門家に確認しましょう。
公衆用道路として土地を取得した
取得した土地が、不特定多数の人が通行できる道路として利用される「公衆用道路」として使われる場合、不動産取得税が非課税になることがあります。
ここで注意が必要なのは、道路形態があれば必ず非課税になるわけではないことです。特定の人だけが使っている道路や、門扉などで通行が制限されている道路は、対象外になる可能性があります。
公衆用道路として判断されるか否かは、登記上の地目だけでなく、実際の利用状況が重視されます。公衆用道路に該当するかどうか分からない場合は、現地の状況が分かる資料を用意して管轄の県税事務所に確認しましょう。
土地区画整理等で換地を取得した
土地区画整理事業などにより、従前の土地に代わって換地を取得した場合も、不動産取得税が非課税になることがあります。これは、新しく土地を取得したというより、事業により土地の位置や形が整理されたと考えられるためです。
ただし、換地に伴って追加で土地を取得した場合などは、課税関係が分かれることがあります。事業の通知書類や換地処分に関する書類をもとに、取得内容を整理しておきましょう。
法人の合併・分割で不動産を取得した
法人の合併や分割により不動産を取得した場合は、一定の要件を満たせば不動産取得税が非課税になることがあります。これは、組織再編に伴う資産の移転は、実質的には事業を引き継ぐための名義変更に近いと考えられるためです。
ただし、すべての合併や分割が自動的に非課税になるわけではなく、判断は再編の内容や不動産の移転方法、対価の有無などによって変わります。
宗教法人・学校法人などが事業用に取得した
宗教法人や学校法人、社会福祉法人などが、本来の目的事業に使うために不動産を取得した場合、不動産取得税が非課税になることがあります。対象になるのは、公益性のある用途に直接使われる不動産です。
とはいえ、法人名義で取得すれば必ず非課税になるわけではありません。収益事業に使う部分や、第三者へ貸し出す部分などは対象外になる可能性があります。
ちなみに、建物の一部だけを事業用に使う場合は、用途ごとの扱いが論点になってきます。このようなケースが想定される場合は、利用目的や使用状況を説明できるよう、事業計画や使用状況が分かる資料を用意しておきましょう。
課税標準額が免税点未満だった
不動産取得税には「免税点」という、一定金額未満の取得には課税しない基準があります。そのため、課税標準額が免税点に満たない場合は、土地や建物を取得していても不動産取得税はかかりません。
免税点の目安は、以下のとおりです。なお、これらの金額は「固定資産税評価額(課税標準額)」を基準に判断されます。
| 取得した不動産 | 免税点 |
|---|---|
| 土地 | 10万円未満 |
| 家屋の新築・増築・改築 | 23万円未満 |
| 売買・贈与などで取得した家屋 | 12万円未満 |
ただし、土地を取得した日から1年以内に隣接する土地を取得した場合などは、複数の取得をまとめて「一の取得」とみなされて判断され、免税点未満に該当しなくなることがあります。少額の取得だから必ず課税されないとは限らないため、取得時期や対象不動産の関係も確認しておきましょう。
軽減措置により不動産取得税を払わなくてよい(税額0円)ケース
住宅や住宅用土地を取得した場合、軽減措置によって不動産取得税が0円になることがあります。代表的なのは、新築住宅の固定資産税評価額から一定額を控除できる制度や、中古住宅の築年数に応じた控除、住宅用土地の税額控除などです。
たとえば、新築住宅では一定の要件を満たすと、建物の固定資産税評価額から控除を受けられ、建物の評価額が控除額以下であれば、建物分の不動産取得税は発生しません。中古住宅や住宅用土地でも、要件を満たせば税額が大きく下がる場合があります。
次の章では、新築住宅・中古住宅・土地に分けて、不動産取得税の主な軽減措置を確認していきます。
不動産取得税の軽減措置(新築・中古・住宅用の土地)

不動産取得税の軽減措置は、主に新築住宅・中古住宅・住宅用の土地で分けて考えられます。
なお、土地と建物は別々に計算されるため、建物だけ軽減される場合や、土地と建物の両方で税額が下がる場合があります。では、それぞれの概要や計算方法を見ていきましょう。
建物(新築住宅)の軽減措置
新築住宅では、一定の要件を満たすと、建物の固定資産税評価額から1,200万円を控除できます。控除後の金額に税率をかけるため、建物の評価額が1,200万円以下であれば、建物分の不動産取得税は0円になります。
軽減措置に必要な主な要件は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 1,200万円(2031年3月31日までに新築した長期優良住宅の認定を受けた住宅の場合は1,300万円) |
| 床面積 | ・2026年3月31日までに取得した場合:50㎡以上240㎡以下(戸建以外の貸家住宅の場合は40㎡以上240㎡以下) ・2026年4月1日以降に取得した場合:40㎡以上240㎡以下 |
| 注意点 | マンションは共用部分の按分面積も含めて判断 |
建物(中古住宅)の軽減措置
中古住宅を取得した場合でも、一定の要件を満たすと固定資産税評価額から控除を受けられます。控除額は新築住宅と違って一律ではなく、建物が新築された時期によって変わります。
中古住宅の主な要件は自治体によって異なる場合があります。ここでは埼玉県の例を紹介します。
埼玉県における中古住宅の軽減措置制度(控除額は自治体によって異なることがあります)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | ・1982年1月1日〜1985年6月30日に新築:420万円 ・1985年7月1日〜1989年3月31日に新築:450万円 ・1989年4月1日〜1997年3月31日に新築:1,000万円 ・1997年4月1日以降に新築:1,200万円 |
| 床面積 | ・2026年3月31日までの取得:50㎡以上240㎡以下 ・2026年4月1日以降の取得:40㎡以上240㎡以下 |
| 主な要件 | 1. 取得者が自らその取得した住宅に居住すること 2. 次のいずれかの要件に該当すること ・1982年1月1日以降に新築された住宅を取得した場合 ・住宅の取得の日前2年以内に調査を行った建築士等の証明書により新耐震基準に適合していることが証明されている住宅を取得した場合 |
住宅用の土地の軽減措置
住宅の軽減を受ける新築住宅か中古住宅用の土地を取得した場合は、 以下のいずれかに該当する場合に軽減措置が受けられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 以下のいずれか高い方の額 ・45,000円 ・土地1㎡当たりの価格(※)× 住宅の床面積の2倍(※2)× 3% ※:宅地評価土地の場合は、価格の2分の1に相当する額 ※2:上限200㎡ |
| 床面積 | ・2026年3月31日までの取得:住宅の床面積要件50㎡以上240㎡以下(新築の戸建以外の貸家住宅の場合は40㎡以上240㎡以下) ・2026年4月1日以降の取得:40㎡以上240㎡以下 |
| 主な要件 | 【住宅が新築された場合】以下いずれかを満たすこと ・敷地の取得者が敷地を取得する日前1年以内に住宅を新築していたとき ・2004年4月1日から2031年3月31日の間に取得した土地で、敷地を取得した日から3年以内に住宅が新築されたとき 【未使用の新築住宅と土地を取得した場合】以下条件を満たすこと ・住宅の軽減を受ける未使用の新築住宅と土地を同一人が取得したとき ・住宅の軽減を受ける未使用の新築住宅を、土地を取得した日から1年以内、または土地を取得する日前1年以内に土地の取得者が取得したとき 【中古住宅を土地の取得者が取得した場合】以下条件を満たすこと ・土地を取得した日から1年以内、または土地を取得する日前1年以内に、住宅の軽減を受ける中古住宅を土地の取得者が取得したとき |
軽減措置の申告・申請方法(期限・必要書類)

不動産取得税の軽減措置は、自動で反映される場合もありますが、原則として申告・申請が必要になると考えておきましょう。申請先は、不動産の所在地を管轄する県税事務所です。
申請の基本的な流れは以下のとおりです。
- 1.取得した住宅や土地が軽減措置の対象になるか管轄の県税事務所に確認する
- 2.契約書や登記事項証明書、住民票などの必要書類を集める
- 3.管轄の県税事務所などへ申告書を提出する
- 4.納税通知書や県税事務所からの案内で、軽減後の税額を確認する
必要書類は自治体や取得内容によって異なりますが、主に以下のようなものが求められます。
- 納税通知書
- 住宅の登記事項証明書
- 住宅や土地を取得した人の住民票
- 建物図面・平面図
- 耐震基準適合証明書
- 長期優良住宅の認定通知書
など
土地の軽減措置を受ける場合は、建物の取得時期や新築時期が分かる書類も必要になることがあります。土地と建物の取得時期によって適用可否が変わるため、契約日・引渡日・新築日などを整理しておきましょう。
すでに払った不動産取得税は還付できる?
すでに不動産取得税を支払った後でも、軽減措置の適用漏れや課税内容の誤りがあった場合は、地方税法に基づく「更正の請求」や還付申請を行うことで、取得の日の翌日から5年を経過する日まで(還付義務の時効)であれば、還付を受けられる場合があります。
あとから軽減措置の対象だったと気づいた場合や、通知書の内容に疑問がある場合は、早めに管轄の県税事務所へ相談しましょう。
まとめ|不動産取得税を払わなくてよいケースを把握して賢く取得しよう
不動産取得税を払わなくてよいケースには、相続のように最初から非課税になる場合と、免税点や軽減措置によって税額が0円になる場合があります。通知が来ない場合でも、非課税とは限らないため、取得内容と制度の適用可否を確認することが大切です。
住宅を取得した場合は、新築住宅・中古住宅・住宅用土地の軽減措置により、税額が大きく下がることがあります。ただし、申請や書類提出が必要になるケースもあるため、床面積や耐震性、自己居住用かどうか、取得時期などは早めに確認しておきましょう。
通知が遅い場合や、すでに支払った税額に疑問がある場合は、不動産の所在地を管轄する県税事務所へ相談すると安心です。契約書や登記事項証明書、住民票などの書類は、申請や還付に備えて保管しておきましょう。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。