公開日:2026.05.02 更新日:2026.04.27
NEW不動産売却で税金がかからないケースとは?条件と特例をわかりやすく解説
「家を売ったら税金はいくらかかる?」「思った以上に手取りが減ってしまうのでは……」不動産売却を検討し始めると、こうした不安を抱くのは当然のことです。
結論から言うと、不動産を売却して利益(譲渡所得)が出なければ、所得税や住民税はかかりません。また、利益が出ても特例を使えばゼロになる可能性もあります。
この記事では、不動産売却で税金がかからないケースを中心に、譲渡所得の仕組みや特例制度、税率の考え方について解説。マイホームの3,000万円特別控除や相続空き家の特例、短期譲渡・長期譲渡の税率など、売却前に知っておきたいポイントを整理します。
目次
まずは不動産売却でかかる税金の種類を整理

不動産を売却すると、状況に応じていくつかの税金が発生する可能性があります。これらの税金は、大きく分けて2種類に分類されます。
それぞれの税金の違いを整理すると、次の通りです。
| 税金の種類 | 内容 | 具体例 |
| 売却時にかかる税金 | 売買契約や登記手続きなど、売却手続きの際に発生 | 印紙税、(抵当権抹消などの)登録免許税、仲介手数料の消費税 |
| 売却後にかかる税金 | 売却益(譲渡所得)が出た場合に課税 | 所得税、復興特別所得税(2037年まで)、住民税 |
売却時にかかる税金とは、不動産の売買契約や登記手続きなど、売却手続きの際に発生する税金を指します。具体的には、契約書に貼付する印紙税、登記手続きにともなう登録免許税、不動産会社へ支払う仲介手数料などに含まれる消費税などがあります。
一方、売却後にかかる税金は、不動産を売却した結果、利益(譲渡所得)が発生した場合に課税される税金です。確定申告を通じて、所得税(復興特別所得税を含む)と住民税を納税することになります。
※本記事では、売却益に対して課税される所得税・復興特別所得税・住民税を総称して「譲渡所得税」と表現します。
譲渡所得に対する所得税・復興特別所得税・住民税は、以下のステップで算出されます。
・譲渡所得 = 譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)
・課税譲渡所得金額 = 譲渡所得 − 特別控除額
・譲渡所得税 = 課税譲渡所得金額 × 税率
取得費は購入価格や購入時の諸費用、譲渡費用は仲介手数料や売却時の諸費用などを指します。
例えば、取得費や譲渡費用については、それぞれ以下のような支出が対象となります。
| 区分 | 主な内容 |
| 取得費 | ・不動産の購入代金 ・建物の建築代金 ・購入にともなう手数料 ・設備費や改良費 ・購入時の登録免許税、印紙税、登記費用 ・不動産取得税(購入時に支払ったもの) ・土地の埋め立てや造成費用 ・土地購入時の測量費 |
| 譲渡費用 | ・売却時の仲介手数料 ・売買契約締結時の印紙税 ・売却のために借り主へ支払う立ち退き料 ・土地を売却するための建物の取壊し費用 |
譲渡所得税の税率(短期譲渡・長期譲渡)

不動産売却で発生する譲渡所得税は、所有期間によって税率が大きく変わる点が特徴です。所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得として扱われ、適用される税率が異なります。まずは税率の違いを確認しておきましょう。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計税率 |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
※所有期間は、売却した日(譲渡日)現在の実質的な期間ではなく、「売却した年の1月1日時点」で判定されます。(例:2020年中に取得した物件を2025年中に売却しても、2025年1月1日時点では「5年以下」の短期譲渡となります)判定を誤ると、税額に数十万円〜数百万円の差が生じる可能性があるため注意が必要です。
このように、短期譲渡所得と長期譲渡所得では税率に大きな差があります。そのため、不動産売却では売却タイミングを少し調整するだけで税負担が大きく変わることがあります。特に所有期間が5年に近い場合は、売却時期を検討することで税額を抑えられる可能性があります。
譲渡所得税がかからない主な3つのパターン

ここでは、不動産売却で譲渡所得税がかからない主なケースを整理していきましょう。
①譲渡所得がマイナス(売却損)で税金がかからないケース
不動産売却では、譲渡所得が発生しない場合は税金も発生しません。譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で計算され、取得費には購入時の価格や諸費用、譲渡費用には仲介手数料などが含まれます。
この計算結果がマイナスまたはゼロの場合、課税対象となる所得がないため譲渡所得税(所得税・住民税)は発生しません。
② 3,000万円特別控除が適用されるケース
自宅を売却する場合は、3,000万円特別控除(マイホーム特例)を利用できる可能性があります。この制度では譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
例えば譲渡所得が3,000万円以下であれば課税所得はゼロとなり、税金は発生しません。適用には居住実態や所有状況などの条件がありますが、要件を満たす場合は確定申告を行うことで税負担を大幅に軽減できます。
③ 相続した空き家の特例が利用できるケース
親から相続した実家などが空き家になっている場合、一定の要件を満たせば「相続空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)」を適用できる可能性があります。一定条件を満たす場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
主な条件としては、昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の家屋であること、相続直前まで被相続人が一人で居住していたこと(老人ホームなどへ入居していた場合を含む)、区分所有建物ではないこと、さらに、売却時までに耐震リフォームを行うか、取り壊して更地として売却することなどが挙げられます。
【シミュレーション】不動産の売却でかかる税金はいくら?
不動産売却時の税金は、売却価格や取得費、所有期間、特例の有無などによって変わります。ここでは具体的な条件をもとに、税額の目安がどのように計算されるのかをシミュレーションで確認します。
ケース1:マイホーム特例を利用する場合
| 項目 | 内容 |
| 前提条件 | 不動産の売却価格:8,500万円 不動産の取得費:5,200万円 譲渡費用:200万円 |
| 控除・特例の適用 | 居住用財産の3,000万円特別控除 |
| 所有期間 | 11年(長期譲渡所得) |
| 譲渡所得の計算 | 8,500万円 − (5,200万円+200万円) = 3,100万円 |
| 控除後所得 | 3,100万円 − 3,000万円 = 100万円 |
| 税率 | 20.315% |
| 譲渡所得税額 | 約20万3,000円 |
ケース2:相続した空き家を売却する場合(空き家特例)
| 項目 | 内容 |
| 前提条件 | 不動産の売却価格:3,800万円 取得費(被相続人の取得費):1,500万円 譲渡費用:200万円 |
| 控除・特例の適用 | 相続空き家の3,000万円特別控除 |
| 所有期間 | 20年(長期譲渡所得)※被相続人の所有期間を引き継ぐ |
| 譲渡所得の計算 | 3,800万円 − (1,500万円+200万円) = 2,100万円 |
| 控除後所得 | 2,100万円 − 3,000万円 = 0円(課税なし) |
| 税率 | 20.315%(長期譲渡所得) |
| 譲渡所得税額 | 0円 |
ケース3:取得費がわからない場合(概算取得費)
| 項目 | 内容 |
| 前提条件 | 不動産の売却価格:2,500万円 |
| 取得費 | 不明(概算取得費を使用) |
| 譲渡費用 | 100万円 |
| 所有期間 | 8年(長期譲渡所得) |
| 概算取得費 | 売却価格 × 5% = 125万円 |
| 譲渡所得の計算 | 2,500万円 − (125万円+100万円) = 2,275万円 |
| 税率 | 20.315% |
| 譲渡所得税額 | 約462万1,000円 |
不動産の取得費が不明な場合は、「概算取得費」として売却価格の5%を取得費として計算できます。
ただし、概算取得費を使用すると実際の取得費よりも低く計算されることが多く、その結果、譲渡所得が大きくなり税額が高くなる可能性があります。購入時の契約書や領収書などを確認し、できるだけ正確な取得費を把握することが重要です。
不動産売却益が出るときに活用すべき節税方法

譲渡所得税の節税は、課税対象となる売却益をできるだけ抑えることがポイントです。
譲渡費用は漏れなくすべて計上する
譲渡費用は、譲渡所得の計算で差し引ける必要経費です。譲渡費用を正しく計上することで、課税対象となる譲渡所得を抑えられる可能性があります。
<主な譲渡費用の種類>
・仲介会社へ支払った仲介手数料
・売主が負担した印紙税
・借家人へ支払った立ち退き料
・土地売却のために行った建物解体費用
・有利な条件で売却するために支払った違約金
・借地権売却時の名義書換料(譲渡承諾料)
・売却のために実施した測量費
・売却活動に伴う交通費
譲渡費用として認められるのは、売却のために直接必要だった費用に限られます。測量費でも売却目的で実施した場合のみ対象となります。
また、空き家を更地にして売却する場合、建物解体後1年以内に売却すれば解体費用を譲渡費用として計上できることも覚えておきましょう。
受けられる特例は全部適用する
不動産売却では、物件の種類や用途によって適用できる特例制度が異なります。そのため、売却する不動産の条件を確認し、利用できる制度があるかを事前にチェックしておきましょう。
代表的な制度としては、自宅売却に譲渡所得から最大3,000万円を控除できる3,000万円特別控除(マイホーム特例)があります。自宅以外の不動産でも、相続した住宅の売却では空き家特例など別の制度が利用できるケースがあります。
特例制度の中には併用できないものもあるため、複数の制度が対象となる場合は控除額や要件を比較し、節税効果が最も高い制度を検討しましょう。
売却するタイミングを検討する
不動産売却では、売却するタイミングによって税負担が大きく変わることがあります。譲渡所得税の税率は所有期間によって異なるため、売却時期を検討することも節税のポイントになります。
特に注意したいのが、所有期間の判定方法です。所有期間は購入日からの年数ではなく、売却した年の1月1日時点の所有期間で判断されます。よって、実際には5年以上保有していても、1月1日時点で5年以下であれば短期譲渡所得として扱われます。
また、相続によって取得した不動産を売却する場合は、被相続人(亡くなった人)の所有期間を引き継いで計算します。相続後すぐに売却した場合でも、先代の所有期間と合計して5年を超えていれば長期譲渡所得として扱われます。
【シミュレーション】短期譲渡と長期譲渡の税額の違い
| 条件 | 内容 |
| 売却価格 | 6,000万円 |
| 取得費 | 5,200万円 |
| 譲渡費用 | 100万円 |
| 譲渡所得 | 700万円 |
短期譲渡(所有期間5年以下)
700万円 × 39.63%=約277万円
長期譲渡(所有期間5年超)
700万円 × 20.315%=約142万円
→ 税額差:約135万円
このように、売却タイミングが1年違うだけで税額が大きく変わります。所有期間が5年に近い場合は、売却時期を少し調整することで税負担を抑えられる可能性があることを覚えておきましょう。
譲渡所得がかからない場合でも確定申告は必要?

譲渡所得税は所得税の一種のため、不動産売却で利益が出た場合は確定申告の手続きが必要です。
「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で算出した譲渡所得がプラスの場合に、譲渡所得税が課税されます。
売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた結果、売却益が発生しない場合は譲渡所得税が課税されないため、原則として不動産売却に関する確定申告は義務ではありません。
ただし、譲渡所得がマイナス(譲渡損失)となった場合には、一定の要件(マイホームの買い替え等)を満たせば、給与所得など他の所得との「損益通算」や、翌年以降の「繰越控除」を利用して節税できる可能性があります。こうした節税メリットを受けるためには、確定申告を行う必要があります。
自宅を売却した際に使える税金控除の種類

自宅を売却する場合、代表的な制度として3000万円特別控除(マイホーム特例)がありますが、実はそれ以外にも、譲渡所得税の負担を軽減できる特例制度がいくつか用意されています。主な特例制度には次のようなものがあります。
・10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
・マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
・特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
・特定居住用財産の買換え特例
所有期間や住み替えの有無、売却結果が利益か損失かによって利用できる制度は変わるため、どの制度が利用できるのかを事前にチェックしておきましょう。
税金を考えるなら、まず売却価格を把握する
不動産売却で税金が発生するかどうかは、譲渡所得の有無によって判断されます。譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で計算されるため、売却価格がわからなければ税額を見積もることはできません。
つまり、売却価格と取得費を比較することで、税負担の有無や手取り額の目安が見えてきます。まずは査定や相場を確認し、売却価格の目安を把握することが重要です。
売却方法別の価格目安がわかる「空き家のコタエ」

不動産売却の税金を判断するためには、売却価格の把握は欠かせないステップです。「空き家のコタエ」では、個人売買価格・三為取引価格・業者買取価格など、売却方法ごとの価格目安を確認できます。譲渡所得の発生や税金の有無、最終的な手取り額のシミュレーションを確認でき、売却判断の参考として活用できます。
早期売却なら「アキサポ空き家買取サービス」

✔ 相続した空き家を早く整理したい
✔ 税金がかかる前に売却したい
✔ 現状のまま手放したい
そんな方には「アキサポの空き家買取サービス」がおすすめです。仲介手数料不要かつ現状のまま買取できるので、できるだけ早く不動産を売却したい方のニーズにマッチします。古い空き家や管理が難しい物件でも、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ|税金を理解して賢く進める不動産売却
不動産を賢く売却したいと考えていても、売却手続きや税金の計算、確定申告など、実際には複雑な対応が必要になります。さらに、不動産売却では所有期間によって税率が変わるため、売却タイミングが1年違うだけで税負担が大きく変わることもあります。節税を意識して売却を進めるためにも、専門家に相談しながら判断することが有効です。
価格確認なら「空き家のコタエ」、早期売却なら「アキサポ空き家買取サービス」もぜひ活用してみてください。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。