公開日:2026.10.14
NEW築古物件とは?定義と特徴をわかりやすく解説

築古(ちくふる)物件とは、建築からおよそ30年以上が経過した中古住宅のことです。法律上の厳密な定義はありませんが、一般的に築30年以上の中古不動産を指します。新築より安く高利回りを狙える反面、修繕費や融資制限などのリスクもあります。そのため「安く買えても修繕費で損をしないか…」と不安で踏み込めない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、築古物件の築年数の目安や新築・築浅との違い、メリット・デメリットを解説。購入前の判断ポイントも押さえ、自分に合った物件か見極めていきましょう。
目次
築古物件とは?築年数の定義と築浅・中古物件との違い

築古物件とは、築年数がかなり経過したマンションや戸建てなどを指す言葉です。法律上「築○年以上」という明確な定義はありませんが、不動産では築30年以上の物件を築古と呼ぶケースがあります。
判断基準は物件種別や不動産会社で異なります。そのため「築30年」はひとつの目安と捉えておきましょう。
なお「中古物件」は新築ではない物件の総称であり、築年数は問いません。築古も築浅も中古物件に含まれ、そのなかでも築年数が浅いものを「築浅」、年数が経過したものを「築古」と呼ぶのが一般的です。
築古物件が注目される理由|価格・利回り・賃貸需要
築古物件が注目される理由のひとつは、新築や築浅と比べて購入価格を抑えやすく、立地によっては築年数が経過しても賃貸需要を見込めるためです。
建物の価格は築年数とともに下がる傾向がありますが、家賃は同じように下がるとは限りません。駅から近い、生活利便性が高いなど需要のあるエリアでは、築古でも入居者が見つかりやすく、購入価格と家賃のバランスによっては高い利回りを狙える可能性があります。
また、古くなった設備や内装をリフォーム・リノベーションし、物件の魅力を高められるのも特徴。購入価格を抑えながら、需要に合った住まいへ整えられる余地があることも、築古物件が不動産投資で注目される背景と言えます。
築古物件と新築・築浅物件の違いを比較
築古物件で特に差が出やすいのは、購入後の支出と資金調達です。修繕やリフォームにまとまった費用がかかったり、融資期間が短くなって毎月の返済額が増えたりすると、想定していた収益を得られない可能性があります。
また、新築・築浅は建物や設備の新しさが入居者への魅力になりますが、築古では立地や家賃、間取り、リノベーションといった新しさ以外の強みも賃貸需要を左右します。
| 比較項目 | 築古物件(築30年以上) | 新築・築浅物件 |
|---|---|---|
| 購入価格 | 相場より安く抑えやすい | 高価格帯になりやすい |
| 修繕・設備更新 | 購入直後に大規模修繕が必要な場合あり | 当面は突発的な修繕リスクが低い |
| 住宅ローン・融資 | 耐用年数オーバーで融資期間が短くなりやすい | 長期融資(最長35年等)を受けやすい |
| 利回り | 購入価格が低いため高利回りを狙える | 物件価格が高いため利回りは低め |
| 入居者へのアピール | 立地・家賃の安さ・リノベ内装が強み | 建物や設備の新しさが最大の強み |
築古物件に投資する3つのメリット

築古物件の魅力は、購入価格の安さだけではありません。購入費用を抑えた分をリフォームや空室対策に充てやすいうえに、条件によっては利回りや減価償却などの面でメリットが得られるケースも。
ここからは、築古物件を不動産投資に活用する主なメリットを詳しく見ていきましょう。
購入価格を抑えやすい
築年数を重ねた物件は、建物部分の価格が下がっているケースが多く、少ない予算でも購入を検討しやすいのが特徴です。
同じ予算でもより広い物件や部屋数の多い物件、賃貸需要が見込めるエリアなどを選択肢に入れやすくなります。そのため、不動産投資における物件選びの幅が広がるでしょう。
また、購入費用を抑えた分、修繕やリフォームの費用、急な出費に備える予備費へ自己資金を回しやすくなります。購入後の費用まで見据えて資金を配分しやすいことも、築古物件ならではのメリットです。
高い利回りを狙いやすい
物件価格が下がっていても、家賃が同じ割合で下がるとは限らないのが築古物件です。そのため、購入価格と家賃のバランスによっては高い利回りを狙うことができます。特に、駅から近い、生活利便性が高いなど、築年数以外に強みがある物件は一定の賃貸需要を期待できるでしょう。
さらに、古くなった内装や設備をリフォーム・リノベーションし、入居者ニーズに合った住まいへ整えることで、家賃や入居率の向上を目指せるのも築古ならでは。購入後の工夫によっては、収益性を高められる余地があります。
減価償却による節税効果が期待できる
不動産投資では、建物の購入費用を一度に経費にするのではなく、決められた年数に分けて毎年経費として計上できます。これが「減価償却」です。
築古物件(木造で法定耐用年数22年をすべて経過した物件など)は、税法上の「簡便法(法定耐用年数×20%=4年)」により最短4年で減価償却が可能です。短期間で大きな減価償却費を経費計上し、給与所得等と損益通算することで所得税・住民税の圧縮が期待できます。ただし、償却終了後は経費が激減して税負担が増加する「デッドクロス」に注意が必要です。なお、個人の海外中古不動産を活用した簡便法による節税は税制改正により封じられていますが、国内物件については現行法上も有効です。
実際にその年にお金が出ていなくても経費として扱えるため、不動産所得を抑え、結果として税負担を軽減できる可能性があります。
築古物件は、法定耐用年数をすでに経過している、または残りの耐用年数が短いケースがあります。その場合、新築物件より短い期間で減価償却でき、1年あたりに計上できる減価償却費が大きくなることがあります。
物件の構造や築年数、建物価格などの条件によっては、減価償却による節税効果を得やすい点も築古物件のメリットです。
築古物件に投資する3つのデメリット・リスク

築古物件には価格面などのメリットがある一方で、建物や設備の老朽化による修繕費、融資条件など、築年数が経過しているからこそのデメリットもあります。
特に不動産投資では、購入後の想定外の出費や資金繰りが収益に影響することも。メリットだけで判断せず、どのようなリスクがあるのかも把握しておきましょう。
修繕・リフォーム費用がかかりやすい
建物や設備の経年劣化が進んでいることが多い築古物件。そのため、購入後に修繕・リフォーム費用がかかりやすい傾向があります。屋根や外壁、防水、給排水管など、見た目だけでは劣化に気づきにくい箇所もあります。
さらに、複数の箇所で修繕が必要になると費用が膨らみます。特に築古物件の売買では、売主が宅建業者でない個人間売買の場合、民法上の「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」を免責(売主が雨漏りやシロアリの責任を負わない特約)とする取引が一般的です。購入後に隠れた欠陥が見つかっても自己負担で直さなければならないため、契約書の事前確認が極めて重要です。
また、放置された空き家については「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、従来の「特定空家」に加え、放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家」に指定されて市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例(6分の1等の減額)が解除されるリスクがあります。
設備トラブルやメンテナンスが増えやすい
築古物件では、大規模な修繕だけでなく、日常的な設備トラブルへの対応が増えやすい点もデメリットです。電気・ガス設備や給湯器、建具なども年数が経過しているため、不具合や故障が起こりやすくなります。
特に賃貸物件では、お湯が使えない、ドアが閉まりにくいといった不具合も入居者の生活に直接影響します。そのたびに状況確認や業者の手配、入居者への連絡などが発生し、管理の手間が増えることも考えておかなければなりません。
融資期間が短くなりやすい
築古物件は、築年数の経過によって建物の担保評価が低くなりやすく、金融機関によっては融資期間が短くなることがあります。さらに、借入できる金額が少なくなり、自己資金を多く求められるケースも。物件価格だけでなく、どのような条件で融資を受けられるかによって資金計画は大きく変わります。
融資期間が短くなると、その分毎月の返済額が増えるため、家賃収入があっても手元に残るお金が少なくなりがちです。購入価格を抑えられても、資金調達の条件によっては月々の負担が大きくなる点は、築古物件のデメリットといえるでしょう。
築古物件を購入する前に確認すべきポイント
「安く購入できたのに、あとから修繕費がかさんで予算オーバー……」といった事態は避けたいところ。
内見では室内の見た目だけでなく、建物や設備の劣化状況、修繕履歴などもチェックしましょう。自分だけで判断するのが難しい場合は、専門家が住宅の状態を調査する「ホームインスペクション」を利用する方法もあります。
ここからは、築古物件を購入する前に確認しておきたいポイントを解説します。
水回り|給排水管の劣化や水漏れ
キッチン・浴室・トイレ・洗面などの水回りは、実際に水を流し、水圧や排水の速さ、異臭、水漏れの跡などをチェックします。見た目がきれいでも、床下や壁の中にある配管の劣化までは判断できないためです。
可能であれば、給排水管の材質や交換・修繕の履歴も見ておきましょう。築年数が古い物件では配管の腐食や詰まりが進んでいるケースもあり、交換範囲によっては大がかりな工事になる可能性があります。
内見時は、水を流したときの異音や流れにくさ、シンク下の湿気・異臭など、配管トラブルにつながる兆候がないか細かくチェックしましょう。
電気設備|容量・配線・コンセント
電気設備では、分電盤の容量やブレーカーの状態、コンセントの数・位置、アースの有無などを確認します。電気容量や回路数が少ない築古物件では、エアコンや電子レンジなど複数の家電を使うとブレーカーが落ちやすいケースもあります。
また、古い配線やコンセントは安全面にも関わります。焦げ跡や変色、ぐらつきなどが見られる場合は、配線を含めた電気設備の交換が必要になる可能性も。
賃貸物件の場合は、コンセントやエアコンの設置状況、インターネット環境など、現在の入居者ニーズに合った設備が整っているかも見ておきましょう。
内外装|外壁・屋根・室内の劣化
内外装では、外壁のひび割れやシーリングの劣化、屋根・防水の状態に加え、室内の壁紙の浮きや床鳴り、結露・カビの跡などを確認します。表面に現れた劣化が、雨水の侵入や下地の傷みを知らせるサインになっていることもあります。
特に、天井や窓まわりのシミ・カビには注意したいところ。単なる結露ではなく、屋根や外壁、サッシなどから雨水が入り込んでいる可能性もあるため、発生している場所や範囲まで見ておきましょう。
中古マンションなどの集合住宅では、室内だけでなく廊下や階段、ゴミ置き場といった共用部分もチェックを。清掃状況や設備の劣化具合などから、建物全体の管理状態を把握できます。
建物の構造|雨漏り・シロアリ・耐震性
建物の構造に関わる部分では、雨漏りやシロアリ被害、耐震性を確認します。雨漏りは見える場所だけでなく、屋根裏や壁の内部まで影響している場合があるため、過去の修理履歴もあわせて見ておきましょう。
戸建てでは、シロアリ被害にも注意が必要です。床が沈む、柱や建具にゆがみがあるといった兆候がある場合、床下や柱など建物を支える部分まで被害が及んでいる可能性があります。
耐震性については、建築確認の申請が受理された日付(建築確認通知書の交付日など)が「1981年6月1日以降」であれば「新耐震基準」です。竣工(完成)日ではない点に注意してください。1981年5月31日以前の「旧耐震基準」物件は、耐震診断・耐震補強工事が行われていない場合、金融機関の担保評価が極めて低くなり、融資期間の大幅な短縮や融資否決のリスクが高まります。また、自治体による耐震改修補助金の対象となる場合があります。
築古物件投資が向いている人・向いていない人

築古物件投資の判断基準は、購入価格の安さだけで「購入できるか」を判断するのではなく、「購入後も無理なく運用を続けられるか」が重要になります。自分に合った投資方法か、以下を目安に考えてみましょう。
築古物件投資が向いている人
- 修繕費を見込んでも自己資金に余裕がある
- 急な修繕や設備交換にも対応できる
- 相場調査や内見、物件比較に時間をかけられる
- リフォーム・リノベーションを含めて運用を考えられる
- 購入後の修繕や将来の売却まで見据えて計画を立てられる
築古物件投資が向いていない人
- 物件を購入すると自己資金にほとんど余裕がなくなる
- 突発的な出費があると資金繰りが厳しくなる
- 物件選びや管理にできるだけ手間をかけたくない
- 購入後すぐに手間なく運用したい
- 購入価格や表面利回りだけで投資判断をしたい
自己資金に余裕がない場合や、できるだけ手間をかけずに不動産投資をしたい場合は、新築・築浅物件も含めて比較し、自分に合った投資方法を検討しましょう。
まとめ|築古物件の特徴とリスクを理解して投資を判断しよう
「築古物件は安いけれど、修繕費や融資が心配……」と、なかなか購入に踏み切れない方もいるでしょう。
しかし、築年数だけで判断せず、建物の状態や必要な修繕、融資条件、賃貸需要まで一つずつ確認すれば、自分に合った物件かどうかを判断しやすくなります。
まずは無理のない予算を決め、条件に合う築年数やエリアを整理したうえで、気になる物件を比較してみましょう。目先の価格だけでなく、購入後の運用や将来の売却まで見通すことが、築古物件を資産形成に活かすポイントです。
条件に合う築古物件を実際に探したい場合は、空き家を専門に扱うアキサポの販売物件も選択肢のひとつです。エリアや価格、建物の状態などを比較しながら、投資に適した1棟を探してみてください。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






