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公開日:2025.03.14 更新日:2026.06.30

空き家倒壊で問われる責任とは?法的根拠と倒壊防止策を解説

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放置している空き家には、老朽化による倒壊のリスクがつきまといます。

空き家が倒壊すると、隣家の損壊や人身事故など、深刻な被害をもたらしてしまうかもしれません。万が一倒壊による被害が生じた場合、所有者は損害賠償責任を負う可能性もあります。

この記事では、空き家放置のリスクと法的責任、空き家の倒壊によって所有者が責任を問われた事例のほか、倒壊を防ぐ方法も紹介します。

空き家を放置することで倒壊してしまう要因

適切な管理がされず放置された空き家は、住居に比べて劣化のスピードが増し、倒壊のリスクも高まります。

倒壊の主な要因は、①湿度管理の欠如による木材腐朽・シロアリ被害、②点検不足による雨漏り・損傷の進行、③地震・台風など自然災害による旧耐震基準建物への被害拡大の3点です。

湿度管理の欠如による構造劣化

ドアや窓が長期間閉ざされ、換気もされないままの空き家は、湿度の上昇により、木材を劣化させる木材腐朽菌が活性化したり金属部品の腐食が進行しやすくなったりします。また、シロアリの被害も拡大しやすく、柱や梁、壁、床など建物の構造体が劣化していきます。

点検不足による損傷の進行

空き家を放置して倒壊する要因の1つは、建物の点検不足による損傷の進行です。人の目が行き届かず、メンテナンスが行われなくなることで、さまざまな箇所の損傷が進行してしまいます。屋根や壁の隙間から雨水が入り込み、雨漏りが発生すると、屋根材の変形や外壁のひび割れの拡大が始まります。メンテナンスせず放置した結果、さらに腐食や損傷が進んで構造材の老化も進行し、倒壊のリスクが高まってしまうのです。

自然災害による脆弱性の増幅

地震や台風、積雪などの自然災害が起きると、そのたびに損傷や劣化は拡大します。特に1981年以前に建てられた旧耐震基準の建物は、大きな地震が発生したときに倒壊してしまう可能性も否定できません。

なお、自然災害(地震・台風など)が倒壊の引き金になった場合でも、所有者の責任が免除されるわけではありません。判例上、通常想定される範囲の自然災害(強風や大雪など)であれば、所有者は依然として民法717条の責任を負うとされています。

空き家が倒壊したときに発生する被害の具体例

空き家が倒壊すると、物的・人的に深刻な被害が出ることも珍しくありません。

空き家が倒壊して第三者に被害が発生した場合、民法第717条に基づき、原則として所有者が損害賠償責任を負います。実際にどのような被害が想定されるのか、まず具体例を見ていきましょう。

例えば、「外壁が倒れて隣家のフェンスや壁が破損した」「屋根材の落下や屋根瓦の飛散により、周辺の家の建物を損傷させた」といった被害などが挙げられます。また、倒壊によって車両や通行人に怪我を負わせたり、崩れた建材が道路を塞いでしまったりするケースも考えられます。

損害賠償責任における占有者と所有者の違い

民法717条|責任の流れ
第一次的責任:占有者
建物を実際に管理・使用している人がまず責任を負います。「損害の発生を防止するのに必要な注意をした」ことを証明できれば免責されます(中間責任)。
最終的責任:所有者(無過失責任)
占有者が免責された場合、所有者が責任を負います。所有者には免責事由がなく、過失の有無にかかわらず賠償責任を負います(無過失責任)。
⚠️ 空き家の場合の注意点:誰も居住・占有していない空き家は、所有者自身が実質的な占有者となるケースが多く、結果的に所有者が無過失責任を直接負う形になりやすくなります。
📌 出典:民法第717条第1項・e-Gov法令検索

民法第717条では、まず物件を実際に管理・使用している『占有者』が第一次的な賠償責任を負います。

占有者が『損害の発生を防止するのに必要な注意をした』ことを証明できれば責任を免れ(中間責任)、その場合に限り第二次的に『所有者』が責任を負います。

所有者の責任には占有者と異なり免責事由がなく、無過失責任とされています。空き家は誰も居住・占有していない、つまり所有者自身が占有者を兼ねているケースが多いため、結果的に所有者が無過失責任を直接負う形になりやすい点に注意が必要です。

※参考:民法 第七百十七条|e-Gov法令検索

空き家の所有者が責任を問われた事例

空き家の適切な管理を怠ると、さまざまなトラブルが発生し、所有者が責任を問われることになります。

空き家が倒壊して隣家の屋根が破損した

長年にわたって放置していた空き家が老朽化し、強風で倒壊して隣家の屋根が破損。隣家の住人は屋根の修理費用、生活費の保障を求める訴訟を起こし、空き家所有者が多額の損害賠償金を支払うことになった。

空き家の瓦が飛散して隣家と住民に被害を及ぼした

居住者が死亡して空き家となっていた家屋について、瓦が風で飛散して、隣家の窓ガラスが割れ、さらにガラス破片が室内にいた住人の足や顔面に刺さる事故が発生。空き家を相続して所有していた複数人は、損害賠償請求を起こされた。

空き家を管理するときのポイント

空き家は、適切に管理することで、建物の老朽化を遅らせ、倒壊のリスクを大幅に軽減できます。空き家を管理するポイントについて紹介します。

管理項目頻度内容
換気月1回以上、1回1時間程度室内の湿気を排出し、木材腐朽菌・シロアリ・カビの発生を抑制
通水月1回以上、1箇所1分以上屋内外すべての蛇口から水を流し、水道管のさび・破損・悪臭を防止
建物点検年2回以上+災害後の臨時点検屋根・外壁・天井・床・柱・壁の損傷、敷地周辺の樹木の状態を確認

換気をする

空き家は、最低でも1ヵ月に1回、1時間程度の換気をしましょう。閉め切った状態が続くと、相対湿度が上昇して木材腐朽菌が活性化し、木材の腐朽も進行してしまいます。また、シロアリやカビも高温多湿の環境を好むため、定期的な換気が必要です。

また、キッチン、トイレ、浴室などの換気扇を常に稼働させておくのも効果的です。

通水をする

空き家の倒壊を防ぐためのポイントには、通水も挙げられます。通水とは、水道管に定期的に水を流す作業のことです。主な目的は、水道管のさびや破損、劣化を防ぐことで、悪臭や害虫の発生も抑えられます。

台所や浴室、洗面所、庭や玄関など屋内外にあるすべての蛇口から水を出し、最低1分以上流し続けましょう。通水も1ヵ月に1回以上行うのがおすすめです。

建物を点検する

定期的な建物の点検も重要です。建物全体の傾きや変形をはじめ、外部の屋根、外壁、内部の天井、床、柱、壁の状態を確認し、各種設備もチェックします。また、庭や敷地周辺も点検して、「雨水がきちんと流れているか」「立ち木の幹が腐食していないか」「枝が建物に接触していないか」といったことも確認しましょう。

点検は最低でも年2回行い、台風や大きな地震、大雪のあとには臨時の点検も必要です。

空き家の倒壊を防ぐ方法

管理するのが難しい場合は、空き家が倒壊しないよう、何らかの措置を検討しなければなりません。空き家の倒壊を防ぐために、所有者ができることを紹介します。

方法概要向いているケース
売却売買仲介・不動産買取・空き家バンク等で買主を探す管理の負担から完全に解放されたい場合
解体・更地化解体後は駐車場・定期借地・売却などに転用倒壊リスクが高く、建物として再利用が難しい場合
活用(賃貸・店舗等)リフォーム・リノベーションで賃貸物件や店舗に転換立地が良く、収益化の見込みがある場合

空き家を売却する

空き家を売却すれば管理の負担から解放され、不動産の現金化が可能です。売却方法としては主に、不動産仲介会社を介して物件を売り出す「売買仲介」、不動産買取を実施している不動産会社や業者に売却する「不動産買取」があります。

また、空き家の売主と買主が直接やりとりできる民間運営の「空き家マッチングサイト」や、自治体が運営する「空き家バンク」で買主を見つけることもできます。

空き家を解体して更地にする

倒壊リスクの高い状態の空き家は、解体して更地にすることも検討すべきです。自治体によっては、解体費用の一部を補助してくれる制度もあります。解体後の更地は「駐車場などに転用して活用する」「定期借地として貸し出す」「売却する」などの選択肢があります。

空き家を活用する

空き家を別の用途に使うことで、新たな価値を生み出す方法も、選択肢の1つです。例えば、リフォームやリノベーションを施して賃貸物件にすることで、家賃収入を得られます。店舗や宿泊施設など、住宅以外の用途に変更して活用する方法も考えられます。

空き家の倒壊・責任に関するよくある質問
Q. 空き家が倒壊して隣家に被害を与えた場合、誰が責任を負いますか?
民法第717条に基づき、原則として空き家の所有者が損害賠償責任を負います。条文上は占有者が第一次的に責任を負いますが、空き家は誰も居住していないため所有者自身が実質的な占有者となるケースが多く、結果的に所有者が無過失責任(過失の有無にかかわらず負う責任)を直接負う形になりやすいのが実態です。
Q. 台風や地震で空き家が倒壊した場合でも、所有者は責任を負いますか?
通常想定される範囲の自然災害(強風・大雪・一般的な地震など)であれば、所有者の責任は免除されません。判例上、台風で樹木が倒れたケースや積雪で屋根が損壊したケースでも所有者の賠償責任が認められています。ただし、過去に例のない巨大災害など、通常想定できない不可抗力の場合は責任が否定される可能性もあります。日頃から建物の安全性を維持しておくことが重要です。
Q. 空き家の倒壊リスクを下げるには、最低限どのような管理が必要ですか?
月1回以上の換気(1時間程度)と通水(各蛇口1分以上)、年2回以上の建物点検(台風・地震の後は臨時点検)が基本です。湿度上昇による木材腐朽やシロアリ被害、雨漏りによる損傷の進行を防ぐことが倒壊リスクの軽減につながります。自分で管理するのが難しい場合は、空き家管理業者への委託や、売却・解体・賃貸活用などの選択肢も検討しましょう。

まとめ|空き家の倒壊リスクを防ぐために

空き家の放置は老朽化による倒壊リスクを急速に高め、万が一被害が発生した場合には、所有者が巨額の損害賠償責任を負うケースが多くあります。

倒壊を未然に防ぐためには、月1回以上の換気や通水、年2回以上の定期点検といった適切な自主管理が欠かせません。 もし自身での管理が難しい場合は、手遅れになって大きなトラブルを招く前に、売却や解体、賃貸運用などの活用を早期に検討し、適切な一手を打つことが重要です。

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この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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