公開日:2025.06.18 更新日:2026.06.25
空き家に火災保険は必要?リスクと補償内容・保険料の選び方
実家を相続したものの、誰も住んでいない「空き家」の火災保険をどうすべきか悩んでいませんか?
「誰も住んでいないから保険はいらない」と放置するのは非常に危険です。空き家は放火や漏電のリスクが高く、万が一近隣に延焼した場合、管理不備を理由に数千万円の損害賠償を請求されるリスクがあるからです。
しかし、空き家は「人が住む家」とはみなされず、保険料が1.5〜2倍に跳ね上がったり、加入を断られたりするケースも少なくありません。
本記事では、空き家に火災保険が必要な理由や、保険料を劇的に抑える選び方をわかりやすく解説します。
- 空き家の火災保険:知っておくべき「住宅物件」と「一般物件」の境界線
- 2024年10月値上げ以降の最新の保険料相場とコスト削減の裏技
- 地震保険をセットにするための具体的な条件
無駄な出費を抑えつつ、万が一の破産リスクから大切な資産を守るための知識を身につけましょう。
目次
そもそも空き家に火災保険はなぜ必要?

空き家は無人のため火災の発見が遅れやすく、被害が拡大しやすい構造にあります。特に漏電による火災は外観から気づきにくく、定期的な点検が欠かせません。
また、近隣への延焼が発生した場合、通常の失火(民法709条・失火責任法)では過失による賠償責任は問われませんが、管理不備が「重大な過失」と認定されると損害賠償責任が生じます。空き家の管理状態は所有者責任に直結するため、注意が必要です。
解体予定の物件であっても、火災による周辺への影響や解体費用の増加リスクを考えると、保険の活用は有効な選択肢です。保有コストとリスクを総合的に踏まえたうえで、火災保険への加入を検討しましょう。
放火・漏電・老朽化──空き家が火災リスクを高める3つの要因
火災原因は漏電だけではありません。
人が出入りしていない家屋は、外部から見て人目が少ないと判断されやすく、放火の標的になりやすいです。特に夜間や周囲に街灯が少ない場所は注意が必要です。
| リスクの要因 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 放火 | 人目が少なく標的にされやすい。夜間や街灯の少ない立地は特に注意 | 外観の荒廃が誘因になりやすい |
| 漏電・老朽化配線 | 劣化した電気配線・ブレーカーが発火源になる。空き家では異常の発見が遅れがち | 定期的な電気設備点検が必要 |
| 台風・雪害などの自然災害 | 屋根の破損・雨漏りが放置されやすく、強風・積雪で被害が拡大しやすい | 修繕の遅れが倒壊リスクにもつながる |
老朽化した電気配線やブレーカー、コンセントの破損は火災の原因となります。空き家では異常を検知しにくく、裸線のまま放置されるケースもあるため、漏電火災のリスクは居住中の物件より高くなりがちです。こうした管理不備が「重大な過失」と認定されると、失火責任法に基づく損害賠償責任が発生する点にも注意が必要です。
台風・雪害など自然災害時の被害も大きくなりがち
空き家は点検・修繕の機会が少ないため、屋根の破損や雨漏りに気づかないまま放置されやすい状況にあります。台風による瓦の飛散や積雪による屋根の損傷が起きると、建物内部への浸水・建材の腐食・最悪の場合は倒壊につながるリスクもあります。発見が遅れるほど修繕コストは膨らむため、早期対処が重要です。
なお、火災保険には風災・雪災・落雷などの自然災害補償が含まれていることが多く、被害発生時の費用負担を抑えるうえで有効です。
空き家の火災が近隣に延焼した場合の賠償責任
空き家で発生した火災が近隣に延焼した場合、管理不備による「重大な過失」が認定されると所有者が損害賠償責任を負います。修繕費・慰謝料など高額の負担になるケースもあるため、火災保険による最低限の補償確保は不可欠です。さらに、特約や個人賠償責任保険の活用も検討しておくと安心です。
空き家は火災保険に入れない?住宅物件と一般物件の違いを解説
・地震保険も加入できる場合あり
・現地調査や書類提出が求められることも
・地震保険は原則加入不可
・保険会社によって引受拒否の場合も
空き家は一般の住居である「住宅物件」とは見なされず、「一般物件」扱いとなる場合があります。その違いは火災保険料や補償内容にどのように影響するのでしょうか。
一般物件扱いになると、住宅物件と比べて保険料が1.5〜2倍程度割高になり、地震保険の加入も原則できなくなります。ただし、定期的な管理訪問がある空き家は住宅物件として認められる場合もあります。
| 区分 | 対象となる空き家の状態 | 保険料の目安 | 地震保険 |
|---|---|---|---|
| 住宅物件 | 月数回の管理訪問あり、生活設備が維持されている、別荘・一時的な空き家など | 通常の住宅向け料率が適用(割安) | 加入できる場合あり |
| 一般物件 | 長期無人・生活の痕跡なし・居住予定なし | 住宅物件の1.5〜2倍程度(割高) | 原則加入不可 |
一般的な火災保険は住宅物件向けに設計されているため、実際に人が居住していない空き家は保険対象外とされるケースも。保険会社によって基準が異なるため、加入の際には、住宅用か一般物件かの判断基準や必要書類など、事前に確認すべき注意点を整理しておくことが重要です。
多くの場合、空き家は「一般物件」として扱われるため、リスク評価が高く見積もられ、保険料が割高になる傾向があります。その結果、通常の住宅向けプランと比べて大幅に保険料が上がることもあるため、慎重な検討が必要です。
一方で、空き家向けの火災保険には、空き家特有のリスクに対応した補償が付帯される場合もあります。不要な補償を外し保険料を抑えることも可能なため、コストと補償内容のバランスを見極め、自分に合ったプランを選ぶことが大切と言えるでしょう。
住宅物件向けの火災保険に加入できるケース
空き家であっても、月に数回程度の清掃や管理のために出入りがあり、ある程度住居としての機能が維持されている場合は、住宅物件として認定されることがあります。これは、保険会社ごとの基準や実際の使用状況に基づいて判断されるのが一般的です。
例えば、水道や電気を定期的に使用し、生活の痕跡が確認できるようであれば住宅物件扱いとして火災保険に加入できる可能性も高まります。ただし、名目上だけでは難しく、現地調査や書類提出が必要になることがあります。
住宅物件扱いになれば、一般物件よりも保険料が割安になる傾向があるため、空き家を時折利用する予定がある方は早めに保険会社へ相談してみる価値があるでしょう。
空き家を「住宅物件」として承認してもらうための4つの対策
保険会社に「管理された住宅(別荘や一時的無人)」として認めてもらい、保険料を安く抑えるためには、口頭の主張だけでなく以下の「証拠」や実態を用意しておくのが有効です。
- 家具・家電・生活用品を残しておく
がらんどうの空き家は「一般物件(物置・倉庫同等)」とみなされやすいです。すぐに生活できる状態(布団や調理器具、家具がある)を維持していると、別荘・セカンドハウス扱いとして認められやすくなります。 - インフラ(電気・水道)を解約しない
定期的に通水(配管の維持)や掃除のための通電を行っている実績(毎月の検針票や利用明細)は、管理実態の強力な証明になります。 - 管理日誌(写真)をつけておく
「月に◯回、風通しと清掃を行った」という記録や、現地の写真を残しておきます。 - 空き家管理業者の「契約書」を提示する
自分で管理できない遠方の場合、プロの管理業者に巡回を依頼している契約書を提示することで、リスクが低い「住宅物件」として引き受けてくれる保険会社もあります。
一般物件扱いになると保険料が高くなる理由
空き家は放火リスクや漏電火災、自然災害時の被害拡大などの危険度が高いとみなされるため、保険会社としては損害率が高くなる懸念があります。その分、保険料が上乗せされるのが一般物件扱いの特徴です。
また、近年では空き家の数が増加しており、管理が行き届かないケースが社会問題になっていることも要因の一つ。保険会社もそうしたリスクを考慮せざるを得ず、結果として一般物件扱いの火災保険料は割高になりやすいのです。
ただし、火災報知器や防犯設備の導入、定期点検の実施など、空き家所有者がリスクを下げる対策を取ることで保険料が一定程度軽減されることもあります。物件の状態に合わせて具体的な見積もりを取り、比較検討するのがおすすめです。
空き家は地震保険をつけられないケースもある?
地震保険の仕組みについても、火災保険との違いを含めて簡単に解説します。
地震保険は火災保険と同時に契約する形が一般的ですが、空き家が住宅物件として認められない場合、地震保険の加入条件が厳しくなる場合があります。これは、地震保険は「地震保険に関する法律」により、住宅または家財を対象とした制度であり、空き家は使用実態がない場合、対象外と判断されることがあります。
地震リスクの高い地域に空き家を所有している場合は、住宅認定を受けられるよう、日常的な維持管理を行うなどの対策を講じることが重要です。
また、地震保険への加入条件は保険会社ごとに異なるため、事前の確認が欠かせません。
もし地震保険に加入できない場合は、火災保険の損害補償を最大限活用するとともに、耐震リフォームや補強など、実質的なリスク管理策を検討する必要があります。
空き家の火災保険料の相場と補償内容の選び方

空き家の火災保険は費用が高めに設定される傾向にありますが、補償内容を厳選することでコストを抑えることが可能です。
空き家(一般物件扱い)の火災保険料は年間1万円〜6万円程度が目安とされていますが、2024年10月に全社的な料率改定(住宅総合保険の参考純率を全国平均13.0%引き上げ)が実施されており、以降の新規契約は値上げ後の水準が適用されます。また、同時に水災料率の地域細分化(5区分)も導入されており、物件の立地によって保険料が変動します。
2024年10月の改定により、ハザードマップ上のリスクに応じて、水災保険料が「1等星(リスクが低い地域)」から「5等星(リスクが高い地域)」の5段階に分かれました。
- 高台やマンションの上層階など(1等星):
水災補償をつけても保険料は大幅に安くなりました。 - 河川の近くや低地など(5等星):
水災補償をつけると、従来の1.2倍〜1.5倍近く保険料が高くなるケースがあります。
もし所有している空き家が「高台」などの安全な立地にあるなら、水災補償をつけてもコストはさほど上がりません。逆に、リスクが高い地域(5等星)で、かつ建物が古く「浸水したらそのまま解体する予定」であれば、あえて水災補償を外すことで、高騰した保険料を大幅にカットすることができます。
補償対象としては、火災による建物の損害をカバーすることはもちろん、風災や雪災などの自然災害、さらには賠償責任を負う場合の特約を検討することも重要です。空き家特有のリスクを想定しながら、どこまで補償が必要かを見極めることがポイントとなります。
保険料の節約を意識するあまり必要な補償を外し過ぎると、万が一の際に十分な支援を受けられなくなる可能性もあります。リスクとコストのバランスを考えながら、保険会社の提案を複数比較するのが重要と言えるでしょう。
補償内容を絞って保険料を抑える方法
最も基本的な火災補償だけを確保し、台風や雪害などのリスクを自己負担として設定することで、保険料を大幅に抑えることができます。ただし、自然災害による被害額は大きくなりやすい点に注意が必要です。
賠償責任補償も重要な要素ですが、敷地周囲に防火壁がある場合や、近隣との建物間に十分な距離がある場合は、延焼リスクが相対的に低くなります。そのため、補償額を抑えることで保険料を節約できる可能性もあります。保険会社と相談しながら最適なプランを模索しましょう。
火災報知機やオートロック、防犯カメラなどの設備を導入している場合、トラブル発生のリスクが低いと判断され、保険料の割引対象となる可能性があります。火災保険料を抑えるための投資と考え、導入を検討するのも一つの選択肢です。
空き家の火災保険を選ぶ際の注意点

空き家の火災保険を契約する際には、必ず複数の保険会社に見積もりを依頼し、保険料と補償内容を比較検討してください。空き家の保険料は物件の構造・築年数・立地・補償範囲によって会社ごとに大きく差が出るため、1社だけで判断すると最適なプランを見逃すことになります。代理店経由での一括見積もりサービスを活用すると、効率的に比較できます。
また、契約時には建物の構造・築年数・空き家になった経緯・管理状況などを正確に保険会社へ伝えることが重要です。事実と異なる情報を申告してしまうと、いざ保険金を請求する際に支払いを拒否される「告知義務違反」に該当するリスクがあります。空き家であることを隠して住宅物件として加入すると、火災発生時に補償を受けられなくなる可能性があるため、現状をそのまま正直に申告した上で、引受可能な保険会社・プランを探すことが大切です。
空き家にかかる維持費と売却の検討

空き家には、固定資産税・都市計画税に加え、庭木の管理や建物の定期点検といった維持費が毎年発生します。火災保険料も継続的にかかるため、活用の見込みがない物件を保有し続けると、総費用は想像以上に膨らむことがあります。
さらに、空き家は築年数の経過や設備の劣化とともに売却価格が下がる傾向にあります。「いつか使うかもしれない」と先送りにしている間にも、資産価値は少しずつ失われていきます。
活用予定のない空き家は、早めに動き出すことが損失を最小限に抑える近道です。売却・賃貸・リノベーションなど、どの選択肢が最適かを判断するためにも、まずは専門家への相談を検討してみてください。
アキサポでは、空き家の状況に合わせた活用方法を費用面のハードルを抑えてご提案しています。「どうすればいいかわからない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
まとめ

空き家は人の出入りがないぶんリスクの把握が難しく、火災保険の役割は大きいといえます。漏電・放火・自然災害・賠償リスクを正しく理解したうえで、補償内容と保険料のバランスを確認しながら適切な保険を選ぶことが重要です。
また、空き家が「住宅物件」と「一般物件」のどちらに分類されるかによって、保険料や加入条件が変わります。保険会社への事前確認は欠かさないようにしましょう。
維持費がかさむ場合は、売却も含めてリスクとコストを総合的に判断することをおすすめします。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。