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公開日:2025.07.10 更新日:2026.06.05

劣化対策等級とは?耐久性に優れた住まいを選ぶための基本ガイド

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住宅の耐久性を評価する際に押さえておきたいのが「劣化対策等級」です。

すぐれた住まい選びにおいてのひとつの判断基準になりますが、具体的にどのようなものなのでしょうか?

本記事では、この劣化対策等級の基本知識から等級ごとの特徴、取得のメリット・デメリット、証明書の確認方法などをわかりやすく解説します。

劣化対策等級の基礎知識

まずは劣化対策等級の基本知識について、住宅性能表示制度や長期優良住宅との関係にも触れながらご紹介します。

住宅性能表示制度と劣化対策等級の関係

劣化対策等級とは、国が整備した住宅性能表示制度において、建物の耐久性や劣化のしにくさを評価する基準のこと。各建物の耐久性を数字で比較することが可能になるため、家を購入する際のひとつの判断基準になります。

また、万が一住んで間もない時期に不具合や劣化が生じた場合でも、この制度に基づく評価があることで、売主や施工会社と話し合う際に客観的な根拠にもなる点もメリット。新築住宅の場合は、売主側のパンフレットやプラン集に等級が記載されているケースが多いので、購入前にしっかり確認しておくとよいでしょう。

劣化対策等級1・2・3の違いと耐用年数の目安

木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造など、構造によって求められる対策は異なりますが、等級自体は1から3までの3段階に分類され、数字が高いほど優れた劣化予防措置が講じられているとみなされます。

等級評価基準・状態の目安耐用年数のイメージと特徴
等級1建築基準法に定められた最低基準を満たしている状態法律が定める最低限の耐久性を確保している
等級21世代から2世代程度が大きな改修なく住めるように設計されている状態通常の維持管理を行うことで長持ちする設計
等級33世代分ほどにわたる長期的な居住を想定した対策が講じられている状態最高ランクの耐久性(長期優良住宅の認定要件)

もっとも耐久性にすぐれているのが等級3。例えば木造住宅の場合、木材の防腐・防蟻処理がより厳格に行われ、基礎部分の湿気対策も強化されているのが一般的です。

等級数が高いものほど建築コストも上がりやすい傾向にありますが、長い目で見るとメンテナンス回数を減らせる可能性が高く、トータルコストの最適化にもつながりやすいといえます。

長期優良住宅との関連性について

劣化対策等級の最高ランクである等級3は、長期優良住宅の認定要件を満たすひとつの要素にもなります。

長期優良住宅とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき認定される制度です。劣化対策等級は住宅を長く使い続けるための構造や工法がしっかり採用されているという判断材料になるため、認定されれば税制優遇やローン優遇などのメリットにつながるケースが多く、家の購入・新築時のコストを抑えられる可能性があります。

なお、長期優良住宅の認定には劣化対策等級だけでなく、耐震性・省エネルギー性など複数の要件があり、全体的な住まいの質を総合的に高めることが必須です。

木造・鉄骨・RC住宅別|劣化対策等級の評価基準とチェックポイント

劣化対策等級では、木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造など、構造によって最終評価に至るチェックポイントが異なります。それぞれのポイントを押さえて、住まいの劣化リスクに適した対策を検討するようにしましょう。

構造チェック項目確認のポイントと対策理由
木造住宅□ 結露・断熱・放湿設計高い断熱性と放湿性を備えた設計になっているか
木造住宅□ 白アリ(防蟻)対策白アリ被害が生じやすい地域に備え土台に防蟻処理があるか
木造住宅□ 床下の換気性湿気を防ぐために床下の換気性が十分に高められているか
木造住宅□ 木材の防腐処理劣化を防ぐための防腐処理をした木材が使用されているか
鉄骨造住宅□ 防食処理・防錆塗装溶融亜鉛メッキなどの防食処理や錆を防ぐ塗装があるか
鉄骨造住宅□ 細部のコーティング基礎との接合部や外壁・屋根の取り合いが十分か
鉄骨造住宅□ 溶接・ボルトの品質建物の強度を大きく左右する接合部の質が確保されているか
鉄骨造住宅□ 居住性とのバランス劣化対策だけでなく断熱や防音などの性能と両立しているか
鉄筋コンクリート造□ ひび割れ・防水対策雨水が内部に浸透して鉄筋が腐食するリスクを防げるか
鉄筋コンクリート造□ コンクリートの品質施工時の気温や湿度管理が適切に行き届いているか
鉄筋コンクリート造□ 鉄筋のかぶり厚さ鉄筋が錆びないように適切なコンクリートの厚みがあるか
鉄筋コンクリート造□ 維持管理・点検計画トラブルを未然に防ぐ定期診断の計画が立てられているか

木造住宅における評価基準

木造住宅で等級3を目指す場合、結露対策や高い断熱性・放湿性を備えた設計になっていることが重要です。例えば、木造住宅は河川敷近くや湿度の高い地域の場合、深刻な白アリ被害が生じやすい傾向があります。そのため、土台部分に防蟻処理を施す、床下の換気性を高める、防腐処理をした木材を使用するなどの対策が欠かせません。あらかじめ、十分に行われているか、設計住宅性能評価書や建設住宅性能評価書で確認しておくようにしましょう。

鉄骨造住宅における評価基準

鉄骨造住宅では、湿気や水分による錆の発生が最大の劣化要因となります。そのため、溶融亜鉛メッキなどの防食処理や、錆を防ぎやすい塗装が行われているかどうかの確認が必要です。

基礎と接合する部分の処理や外壁・屋根の取り合いなど、細部のコーティングが不十分だと等級を高めるのが難しくなるほか、溶接やボルトの質も建物の強度を大きく左右します。

さらに、断熱や防音などほかの性能とバランスをどうとるかも設計上の課題となるため、劣化対策等級を高めつつ、居住性を損なわない設計になるよう、ハウスメーカーや工務店とよく相談するようにしましょう。

鉄筋コンクリート造住宅における評価基準

鉄筋コンクリート造住宅の代表的な劣化症状のひとつが、ひび割れです。そのまま放置しておくと雨水が内部に浸透し、鉄筋の腐食を進行させる要因になるため、等級3取得にはこうしたリスクを未然に防ぐための施工精度が重視されます。

鉄筋コンクリート造住宅は、コンクリートの品質や厚みによって劣化速度が大きく変わる点が特徴。コンクリート内部の鉄筋が錆びないように適切なかぶり厚さが確保されているか、施工時の気温・湿度管理が行き届いているかなどがポイントになります。

また、鉄筋コンクリート造は頑丈なつくりである反面、定期的な点検を怠ると重大なトラブルを引き起こす場合もあるため、維持管理計画をしっかり立て、専門家による定期診断を受けることも大切です。

劣化対策等級3を取得する住宅のメリットと将来の資産価値

高い劣化対策等級を取得した住宅には、長期的な安心感に加え、費用面や資産価値など多方面でメリットがあります。

住宅の性能を比較しやすい

劣化対策等級という統一基準があることで、複数の物件を同じ目線で比較検討できます。外観や立地だけでなく建物の内部構造まで確認できるため、購入後の「思ったより耐久性が低かった」というミスマッチを減らせます。中古住宅市場でも有用で、リフォーム・リノベーション時に必要な耐久性補強の範囲を明確にできます。

住宅ローンや地震保険の優遇が受けられる

劣化対策等級3などの高評価住宅は、金融機関の融資審査でプラスに働くケースがあります。地震保険の料率や選択肢においても、耐震等級・劣化対策等級を考慮する保険会社があり、長期間の保険料節約につながる可能性があります。優遇を受けるには住宅性能表示制度の評価書を正しく取得しておくことが前提です。

メンテナンス費用を抑え資産価値を高められる

劣化対策等級3の住宅は高品質な部材・工法を採用しているケースが多く、大規模修繕の頻度を抑えられます。第三者機関の評価書が裏付けとなり、中古売却時にも有利に働きます。ただし、高等級の住宅でも定期的な点検と補修は必須です。環境や住まい方によって劣化速度は変わるため、計画的なケアを続けることが資産価値の維持につながります。

トラブル回避や融資期間の延長にもつながる

耐久性が高い住宅は、雨漏りやシロアリ被害などのリスク低減につながります。

施工記録や評価書をもとに問題に対処しやすいため、トラブル対応の時間と費用を節約できます。ローン返済期間が長い場合、途中の大規模補修は資金計画を狂わせる要因になるため、住宅購入・新築時の重要な判断材料といえます。安定した物件として金融機関から評価されれば、融資期間の延長交渉や将来のリフォームローン利用でも有利に働く可能性があります。

劣化対策等級取得で考慮すべきデメリットや注意点

メリットの多い劣化対策等級ですが、デメリットもしっかり把握しておかなくてはなりません。注意すべき点としては、主に次の2点が挙げられます。

建築コストやデザイン制限への影響

劣化対策等級3を目指そうとすると、どうしても建築費用が高くなる傾向があります。防蟻・防錆・防腐、厚みのある外壁材など、標準仕様よりコスト高になる点は理解しておきましょう。

また、耐久性を優先すると、デザインや間取りに制約が出るケースも。例えば、開口部を大きくとりすぎると構造強度が不足し、劣化対策等級3の条件を満たせない場合があります。資材の選定や設計を上手く調整することで、高耐久とデザイン性を両立している事例もあるので、プロと緻密な打合せを重ね、自分の暮らしに適した仕様を検討するようにしましょう。

工期・取得手続き期間の長期化リスク

劣化対策等級の審査は、設計段階と施工段階の2段階で評価されます。それに伴い、手続きの手間が生じるため、予定よりも工期が長引くリスクも考慮しなくてはなりません。

例えば、図面や仕様書の内容が厳しくチェックされるので、修正依頼が出れば再申請が必要です。この際、申請手数料が追加でかかる上、スケジュール調整にも影響が出る可能性があります。

また、各業者と評価機関のスケジュールがあわなければ、建築作業が一時停止するケースもあるため、余裕をもって計画を立てるようにしましょう。

劣化対策等級証明書の確認方法と評価書の見方

劣化対策等級を確認する2つの評価書
1. 設計段階:設計住宅性能評価書
建物の着工前に、図面や仕様書に基づいて審査される書類です。計画段階でどのレベルの対策(予定等級)が講じられているかが分かります。
2. 完成段階:建設住宅性能評価書
建築工事の完了後、実際の施工内容を現場で検査した上で発行されます。設計通りに作られ、適切な品質管理が行われたかの最終証明になります。

劣化対策等級は、設計や施工段階で取得される評価書でチェックすることができます。

劣化対策等級の評価は、住宅性能表示制度の枠組みで行われ、設計段階の評価である「設計住宅性能評価書」と施工後の評価である「建設住宅性能評価書」に分かれています。いずれも登録住宅性能評価機関による審査を経て発行されるため、公的な信頼が高い書類です。

ただし、評価書があるからといって、常に高い等級が取得されているわけではありません。どの項目でどの程度の評価を得ているかを細かく確認し、必要に応じて専門家の意見も参考にすることをおすすめします。

設計住宅性能評価書の見方

設計住宅性能評価書とは、建物がまだ着工される前の段階で図面や仕様書に基づいて審査される書類のことで、基礎配筋や断熱材の仕様、劣化対策の方法など、計画段階の情報が記載されています。

その中に劣化対策等級の欄があるため、この箇所を見れば建築計画においてどのレベルの対策を予定しているのかが一目瞭然。完成後に期待できる耐久性を予測する一つの目安になります。

ただし、あくまで設計段階での評価なので、施工中に設計変更があった場合などは、この評価書と実際の施工内容が食い違うことも。のちに確認する建設住宅性能評価書と照らし合わせて、最終的な評価を判断するようにしましょう。

建設住宅性能評価書のポイント

建築工事が完了したあと、実際の施工内容を現場で確認した上で評価機関によって発行されるのが、建設住宅性能評価書です。設計段階の計画通りに作られているか、あるいは現場での品質管理が適切に行われたかを確認するための重要な資料となります。

この書類には、検査で判明した問題点や不備についての記載も含まれるので、住んだあとに起こり得るリスクをあらかじめ把握することが可能。販売会社や施工業者に見せてもらう際には、劣化対策等級だけでなく、他の評価項目も合わせて確認しておくと安心です。

特に中古住宅を購入する場合、建設住宅性能評価書があることで建物がどのような工法・材料で作られ、どのように管理されてきたかが分かりやすくなり、購入後のトラブルリスク回避にもつながります。

よくあるQ&A

アキサポ 劣化対策等級FAQ
Q

劣化対策等級3を取得するメリットは何ですか?

A

最高ランクの等級3を取得すると、長期間にわたり大規模修繕なしで暮らせる耐久性が証明され、将来のメンテナンス費用を抑えられます。また、長期優良住宅の認定要件を満たすため、税制優遇や住宅ローン・地震保険の優遇プランを利用できる可能性が高まり、資産価値も維持しやすくなります。

Q

劣化対策等級の取得にはどのくらいの費用がかかりますか?

A

「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の両方を発行する場合、一般的にトータルで10万〜20万円程度が目安です。この金額には、評価機関への審査手数料だけでなく、図面修正や追加の検査費用なども含まれていますが、建物の規模や工法によって変動することがあります。

Q

中古住宅でも劣化対策等級を再評価してもらうことは可能ですか?

A

はい、リフォームやリノベーションを施すことで、劣化対策等級を再評価してもらうことが可能です。ただし、既存の構造をチェックし、必要な箇所の補修を行ってからの手続きとなるため、新築と比べると手間や費用がかさむ傾向にあります。購入・着工前に専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ

劣化対策等級は、単に建物の頑丈さを測るだけの数字ではありません。大切な家族がこれから何十年と過ごす住まいの「未来の安心」と「資産価値」を約束する重要な指標です。

理想の住まいを実現するためには、目先のおしゃれさや間取りだけでなく、以下のポイントを視野に入れて総合的に判断することが大切です。

  • 資金計画:初期の建築コストと、将来のメンテナンス費用のバランス
  • ライフプラン:何世代にわたってその家に住み続けるかという家族の未来予想図
  • 構造の特性:木造・鉄骨・RCなど、それぞれの弱点を補う適切なリスクケア

住まい選びは、これからの暮らしをデザインすること。劣化対策等級という確かな「物差し」を賢く活用しながら、長きにわたって価値が落ちない、本当の快適さと安心を手に入れましょう。

この記事の監修者

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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