公開日:2025.10.11 更新日:2025.09.26
NEW【徹底比較】リフォームとリノベーションの違いとは?事例や費用も解説

物件をより快適な住まいにアップデートする方法として挙げられる「リフォーム」と「リノベーション」。一見似たようなものにも思えますが、それぞれの具体的な違いをご存じでしょうか?
本記事では、両者の本質的な違いやメリット・デメリット、具体的な事例、費用の概要などを詳しくご紹介。これから住宅を改修したい方に役立つ情報をまとめたので、ぜひご自身の住まいづくりに活かしてみてください。
目次
リフォームとリノベーションの定義と注目される背景

まずは、リフォームとリノベーションそれぞれの定義や注目される背景について押さえておきましょう。
リフォームとは何か
リフォームは、老朽化した住宅や設備を新築当時の状態に戻す工事が主な目的です。たとえば、傷んだ壁紙の貼り替えや水回り設備の交換、外壁の補修など部分的な修繕を中心に進めます。比較的短期間・低コストで済む場合が多く、日常生活への影響も少ない点が特徴です。ただし、建物自体の構造に大きな改変を行うわけではないため、基本的に間取りの変更など大規模な改修は含まれません。
リノベーションとは何か
一方のリノベーションは、既存の住宅に大規模な改修を施し、性能やデザインを新築以上に向上させることが目的。具体的には、間取りの変更や耐震補強、断熱性能の強化など、建物のベースから手を加えるケースが多く見られます。工事の規模や期間が大きくなりやすいため、予算計画や綿密なプランニングが重要ですが、住宅の価値を高めるだけでなく、住む人のライフスタイルに合わせた空間づくりが可能になります。
リフォームとリノベーションが注目される理由
近年、空き家問題解消などの背景から中古住宅の流通が増加。さらに、新築購入よりも費用を抑えながら自分好みの住空間を手に入れたいというニーズも増えていることが、リフォームやリノベーションへの関心に繋がっています。
また、エコ意識の高まりや耐震基準の見直しなど、時代の要請に応じた住宅改修の必要性も高まっているため、リフォーム・リノベーションの市場はますます盛り上がりを見せていくと思われます。
リフォームとリノベーションのメリット・デメリット

部分的な修繕・原状回復が中心のリフォームと、間取り・性能を根本から変えるリノベーション。ここからは、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。
リフォームのメリット・デメリット
メリット | ・部分的な改修ができる ・比較的費用が手ごろ ・施工期間が短い |
デメリット | ・間取りや設計変更は不可 ・家全体の統一感を出しにくい |
機能が古くなった設備の交換や老朽化部分の補修など、必要なところだけを手軽に更新できるのがリフォームのメリットです。費用は内容によって変動しますが、数万円~数十万円程度の小規模工事から始められ、施工期間も比較的短期間で済ませることが可能。家の構造を変えないため住みながら工事できるケースも多く、日常生活への負担を抑えながら住まいをアップデートできます。
ただし、大がかりな設計変更や間取り変更には不向きで、家作りに根本的な変化を求める際は限界があるでしょう。また、家全体として均一感を出しにくいというデメリットもあるため、計画段階で目的を明確にしておくことが大切です。
リノベーションのメリット・デメリット
メリット | ・建物そのものの性能改善が可能 ・大幅な間取り変更ができる |
デメリット | ・工事費用が高額になる ・工事期間が長くなりがち ・仮住まいを用意しなくてはならない ケースがある |
リノベーションでは、住宅をまるごと刷新することで、大きな空間変更や機能の追加が可能。あわせて耐震性能の強化や断熱性能の改善を行えば、新築同様の快適性や省エネ効果も期待できるでしょう。また、家族構成の変化などにあわせて大胆な間取り変更も実現できます。
ただし、工事内容が大規模になるほど費用と工期がかさみ、生活への影響も長引く恐れがあります。また、解体後に予想外の劣化が見つかるなど、追加費用のリスクも考慮する必要があるでしょう。
費用相場と資金計画の立て方

リフォームとリノベーション、いずれの場合も費用相場を把握した上で、無理のない資金計画を立てることが重要です。
ここでは、資金計画を立てる上で注意すべきポイントを4つまとめたので、ぜひチェックしてみてください。
戸建てにかかる費用の目安
戸建ては構造や築年数によって差が出やすいため、部分的な改修であれば数十万円から、フルリノベーションの場合は数百万円〜1000万円以上かかることも。耐震補強や基礎部分の補修を含むかどうかでも費用相場は大きく変わります。
業者に見積もりを依頼する際は、工事内容はもちろん、素材選びなども細かく相談し、複数社で比較しておくと安心です。
マンションにかかる費用の目安
マンションでは、区分所有者全員で構成される管理組合が定めた「管理規約」や「使用細則」により、専有部分の工事でも制限があるため、戸建てとは違った面で工事範囲が制限されることがあります。そのため戸建てに比べて大規模な間取り変更は難しいケースもありますが、構造的に一部のみ手を加えるだけで十分な改修ができ、最終的に費用を抑えられることも多いです。小規模のリフォームなら数十万円~、全面的なリノベーションなら数百万円以上の予算を見込んでおくとよいでしょう。
追加費用が発生しやすいポイント
解体後に想定外の劣化や白アリ被害などが見つかったり、配管・配線を移設する際思わぬ障害に直面したりすると、工事費が跳ね上がる可能性があります。こうしたリスクに備えるためにも、最初の見積もり段階であらかじめ追加予算を見込んでおくと、後々のトラブルを回避しやすくなるでしょう。
ローン・補助金・助成金の活用
住宅ローンを利用する際は、リフォームやリノベーション専用のローンを検討するのもおすすめ。低金利のプランや自治体・国の補助金制度を活用できれば、資金負担を軽減することが可能です。エコリフォームに対する補助金や耐震改修への助成金などは定期的に見直されるため、自治体の最新情報はこまめにチェックしておくとよいでしょう。
リフォーム・リノベーション実例:戸建ての場合

戸建て住宅は構造的に自由度が高く、ライフスタイルや家族構成に合わせた柔軟なアイデアを実現しやすいのが特長です。実例を見ると費用や工期の目安がイメージしやすくなるため、検討時にはいくつかの成功例を参考にするとよいでしょう。
キッチン・水回りを中心とした改修事例
キッチンや水回りの改修は、家事動線を改善するための重要なポイント。キッチンの位置を変更したり、収納スペースを増やして日々の家事効率を向上させる事例が多く見られます。
加えて、最新の省エネ設備を導入すれば、光熱費の節約にも繋がります。
古民家の耐震補強+和モダン化のリノベーション
築年数の経った木造住宅や古民家では、耐震性が十分でない場合が多く、リノベーションの際は耐震補強がカギとなります。柱や梁といった伝統的な部分を活かしつつ、内部空間をモダンにアレンジすれば、古き良き雰囲気を残しながら機能的な暮らしを実現することが可能。あわせて断熱性能の向上を図れば、快適さと省エネ性の両立も期待できます。
リフォーム・リノベーション実例:マンションの場合

続いては、マンション特有の配管制限などを考慮したうえで、空間を活かす事例を紹介します。
マンションリノベーションでは、構造上取り除けない壁や配管スペースの制限をどう活かすかがポイントです。限られた空間を有効活用するため、収納の配置や間取り変更に創意工夫が求められます。工事の際は管理規約に従う必要があり、事前の相談や許可申請をスムーズに行うこともポイントです。
失敗しない間取り変更のポイント
マンション内部の耐力壁や配管経路は変更できないケースが多く、自由にレイアウトを変えるのが難しいことがあります。そこで、もともとの間取りを生かしながら、リビングを広くするなど可能な範囲で空間を工夫することが重要です。水回りの移動にはコストがかかるため、予算と生活動線をよく考慮して計画を立てましょう。
配管や配線の更新に伴う注意点
マンションでは共用部分と専有部分の線引きがはっきりしており、配管や配線の工事範囲も制限されます。管理組合への事前相談や工事申請が必要な場合もあるため、トラブル回避のために丁寧な手続きを踏むことが大切です。また、更新工事が必要な範囲を見極めるためにも、インスペクションなどを実施して建物全体の状態を把握しておきましょう。
賃貸物件でのリフォーム・リノベーション

賃貸でも内装や設備の一部変更が可能な場合があります。賃貸物件改修を検討する際に注意しておきたいポイントを2つご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
原状回復義務とリフォームの範囲
賃貸契約では、退去時に部屋を契約時と同じ状態に戻す「原状回復義務」があります。壁紙の貼り替え程度であれば特約が認められる場合もありますが、間取りに影響するほどの改修は基本的にできません。契約書の内容をよく確認し、許容される範囲内で工事を行うようにしましょう。
管理会社・オーナーへの相談と許可取得
リフォームやリノベーションを行う際は、あらかじめ管理会社やオーナーに相談し、改修内容を具体的に説明しておくことが必須です。勝手にリフォームを行うと契約違反となる場合があります。賃貸契約の内容を確認し、改修できる場合も事前にプランと費用見積もりを用意しておくと、スムーズに話を進めやすくなります。
中古物件を購入してリフォーム・リノベーションする流れ

中古物件を改修する際には、まず自分のライフスタイルに合った物件を探し、続いて信頼できるリフォーム会社やリノベーション会社を選ぶ流れが一般的です。なお、売主が宅建業者である中古住宅を改修する場合は、宅建業法上の瑕疵担保責任に注意が必要です(2020年4月以降は『瑕疵担保責任』ではなく『契約不適合責任』に改正されています)。
また、購入前に専門家による住宅診断を受けることで、建物の状態を明確にし、工事範囲の見通しを立てやすくなります。ローン手続きや施工期間中の仮住まいも考え、余裕をもったスケジュールを立てることがポイントです。また、リフォームやリノベーションローンを組む際は、司法書士に相談して担保設定や登記手続きをスムーズに進めることをおすすめします。
以下、中古住宅の購入から改修完了までのステップをまとめたので、さっそくチェックしていきましょう。
物件探しとリフォーム会社選び
中古物件と一口に言っても、立地や築年数、構造などはさまざま。リフォームやリノベーションを前提に探すなら、ある程度改修の自由度が高い物件を視野に入れて選ぶのがおすすめです。早期に工務店やリフォーム会社と相談することで、予算やデザインイメージを共有しながら物件選びを進められます。
住宅診断(インスペクション)の必要性
購入を決める前に、専門家によるインスペクションを受けることで、建物の構造や設備の状態を客観的に把握できます。これにより、耐震補強の必要性や配管の交換時期などを明確にし、計画外の費用が発生するリスクを軽減できるでしょう。また、既存住宅売買瑕疵保険の加入要件にもなるインスペクション結果は、リフォーム一体型住宅ローンを組む際などに金融機関からの信頼度を高める材料となり、ローン審査で役立つことがあります。
工事スケジュールの立て方と仮住まい
リフォームやリノベーションは、工事の内容や規模によって数週間から数カ月かかる場合もあります。特にリノベーションの場合は仮住まいを用意しなくてはならないケースもあるため、工事中の住まいをどうするか、工期後に確実に入居できる時期はいつかなど、段取りを明確にすることが大切です。
リフォーム・リノベーション業者の選び方

満足度の高い改修を実現するためには、適切な業者選びが欠かせません。次の2つのポイントをチェックし、安心して任せられるパートナーを選びましょう。
見積もり比較とチェックポイント
見積もり内容の比較と、スムーズなコミュニケーションができるかどうかは、業者選びの重要なポイント。
見積もりを依頼する際は、工事範囲や使用する素材、設備のグレードなどをなるべく詳しく業者に伝えます。金額だけでなく、どの工程にどのくらいの費用がかかるのか、内訳をしっかり確認した上で判断するようにしましょう。
また、質問にも丁寧に答えてくれるか、認識に相違がないかも念入りに確認し、もっともスムーズにやり取りできる業者に依頼すると安心です。
デザイン性・機能性・アフターサポートの見極め
リフォームやリノベーションで重要なのは、完成後にどのような暮らしを実現するかという点です。デザインや機能性の好みが業者と合うかを打ち合わせ段階で確認し、施工後の保証期間やメンテナンス内容についても必ず問い合わせましょう。長く住む家だからこそ、仕上がりだけでなく、アフターサポート面の充実度も大切な判断材料となります。
将来設計に合わせたリフォーム・リノベーションの考え方

家族構成やライフステージの変化を見据えた改修を行うことで、長く快適に住み続けられます。ここでは、リフォーム・リノベーション時に考えておきたい2つのポイントをまとめました。
ライフステージごとの空間ニーズ
若い世代では子育てを見据えた安全性や利便性を重視する一方、中高年層ではバリアフリーや省エネ対策に意識が向かうなど、世代によって住宅に求める条件は異なります。リビングの広さや動線、収納力なども世帯人数に合わせて最適化すると、暮らしやすい空間が実現できるでしょう。ライフステージが変わっても柔軟に対応できるよう、可変性のあるプランニングを検討することをおすすめします。
リセールバリューを高めるためのポイント
将来的な売却を考えるなら、購買層に人気の高い設備や内装テイストを取り入れることで物件の魅力を高められます。耐震や断熱などの基本性能を充実させておけば、資産価値の下落を抑えられるでしょう。立地や築年数と合わせて、改修の質の高さが評価されるため、安易なコストダウンよりも質の高い施工を重視するのがポイントです。
まとめ・総括
リフォームとリノベーションのどちらを行うべきかは、物件の特徴や立地、築年数などによって異なります。費用や将来設計なども考慮して、最適な住まいづくりを目指しましょう。
もし物件の改修方針や将来設計に迷った場合は「アキサポ」に相談するのもおすすめ。アキサポは、リフォーム・リノベーションをはじめ、売却や利活用など、空き家をトータルサポートする専門サービス。税理士や司法書士などの専門家とも密に連携し、多角的な視点から最適な方法をご提案いたします。
ご相談は電話やWEBから受け付けているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。