公開日:2025.10.13 更新日:2025.09.29
NEW【空き家売却】方法・流れ・費用を解説|特定空家や相続の注意点も

空き家は、長年管理し続けるとなるとその分コストも手間もかかりがち。だからといって放置すると家自体の劣化や資産価値の低下のほか、近隣トラブルなどさまざまなリスクを引き起こします。そのため空き家を保有するデメリットが大きくなる場合は、思い切って売却してしまうのも有効な手段のひとつです。
そこで本記事では、空き家売却を検討する際に押さえておきたい売却方法や流れ、費用・税金などの基礎知識から、高く早く売るためのポイント、契約時の注意点まで幅広く解説。後悔のない売却を目指すうえで、ぜひ参考にしてください。
目次
空き家を所有し続けるデメリットと売却のメリット

空き家の売却は、所有を続けるリスクやコストを正しく理解した上で検討することが大切です。まずは空き家を売却するメリットについてご紹介します。
固定資産税やメンテナンス費用の負担を解消できる
空き家を所有し続ける最大のデメリットといえるのが、税金やメンテナンス費用といった経済的負担です。
固定資産税は不動産を有する限り発生するものなので、人が住んでいない空き家であっても毎年支払わなければなりません。また、建物の老朽化を防ぐためには定期的なメンテナンスや清掃も欠かせないため、空き家の保有期間が長ければ長いほど、その負担は大きなものになります。
建物の老朽化と事故・トラブルのリスクを避けられる
老朽化した空き家は台風や地震などの災害時に倒壊の危険性が上昇。また、不法侵入やごみの不法投棄などのトラブルも懸念されるので、物件状態の悪化や近隣への迷惑を回避するためにも早めに売却することが望まれます。
特定空家に指定される可能性と行政の介入を防げる
2015年5月に全面施行され、2023年12月に改正法が施行された「空き家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)」。この法改正によって、「管理不全空き家」に対する行政指導・勧告が強化されています。
所有している空き家の放置状態が続き、周辺環境に悪影響を及ぼす状態になると、特定空家に指定される恐れも。そうなると、住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税が大幅に上昇。さらに、改善が見られない場合は行政代執行につながるリスクもあるため、放置せず適切な売却判断や管理を行う必要があります。
空き家売却の主な方法

売却方法には、主に「そのままの状態で売却」「リフォームして売却」「解体して更地として売却」「不動産買取業者に直接売却」の4つがあります。それぞれの特徴を理解し、物件の状態や立地に応じて選択しましょう。
① そのままの状態で売却
現状渡しで売る方法は、解体やリフォームにかかるコストと手間を省けるのが最大のメリット。簡単な清掃や荷物整理さえすれば売却に出せるため、迅速に手続きを進めたい方に向いています。しかし、他の方法よりも不動産会社の査定価格が下がる傾向にあるため、資産価値の見極めと売却価格のバランスに注意が必要です。
② リフォームして売却
状態の悪い部分を修繕することで建物の付加価値が高まり、売却価格アップを狙える可能性があります。特に水回りや外装など、購入検討者が重視する箇所を重点的にリフォームすれば、一層アピールしやすくなるでしょう。ただし、施工費用がかさむこともあるため、最終的な利益を左右する費用対効果をしっかりとシミュレーションしておくことがポイントです。
③ 解体して更地として売却
更地として売り出す場合、土地としての利用価値を最大限にアピールできるため、広い用途で購入希望者を募りやすいメリットがあります。倒壊などの建物リスクを買い手が考慮しなくてよい点もプラスになりますが、建物を取り壊すための解体費に加え、固定資産税の優遇が外れてしまう可能性もあるため、総合的なコストを考慮したうえで判断しましょう。
④ 不動産買取業者に直接売却
不動産買取業者への売却は、仲介を通さず直接買い取ってもらえるため、売却までのスピードが早いのが特徴です。急いで資金化したい場合や、築年数が経過していて売りにくい物件の場合には有効な選択肢となるでしょう。一方で、市場価格より安値になる傾向があるので、相場と照らし合わせながら納得のいく条件で交渉することが大切です。
空き家売却にかかる税金・費用

空き家売却にかかる税金や費用、適用できる税制優遇について解説します。無駄な出費を抑え、節約・節税しながら売却しましょう。
譲渡所得税・仲介手数料・印紙税の概要
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税、復興特別所得税、住民税が課税されます。尚、譲渡所得は「収入金額 – (取得費+譲渡費用)」で計算されます。
また、不動産を売買するときには契約書に貼る印紙税が必要となり、仲介業者に依頼した場合は宅地建物取引業法で定められた仲介手数料もかかるため、売却益(譲渡所得)を試算する際は、こうした経費を漏れなく含めるようにしましょう。
3,000万円特別控除など活用できる特例
昭和56年以前に建築された住宅や、売却時に耐震リフォームを行った住宅などの場合、3,000万円の特別控除が適用され、譲渡所得税を大幅に軽減できる可能性があります。控除の適用を受けるには所定の書類提出や期限管理が必要なので、税理士や不動産会社に相談しながら漏れなく手続きを進めるようにしましょう。
空き家売却の流れ

ここからは、具体的な空き家売却の流れについてご紹介。あらかじめ基本的な手順を理解しておけば、初めての売却でもスムーズに取引を進められます。
相場調査と不動産会社の選定
まずはインターネットの不動産ポータルサイトやレポートなどで周辺地域の取引事例をチェックし、大まかな相場を掴みます。そのうえで、複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの実績や得意分野を比較しましょう。特に相続問題や空き家売却に詳しい会社や、対象エリアに強い会社を選ぶと、より適切なアドバイスを受けやすくなります。
媒介契約・売却活動
不動産会社との媒介契約は、一社独占の専属媒介から複数社に依頼できる一般媒介まで複数の形態があります。広告活動や内見対応、価格交渉などのサポート内容は媒介契約の種類や会社によって異なるため、信頼できるパートナーを選ぶことが大切です。スムーズな売却活動のためには物件情報や家財道具の整理を行い、内覧に備えて清掃や修繕もしっかりと行う必要があります。
売買契約と物件の引き渡し
購入希望者との間で売却条件が合意に至ったら売買契約を結び、決済日や引き渡し日を取り決めます。契約後は契約不適合責任へ対応するための書類や必要資料を準備し、物件リフォームや解体工事を行った場合の領収書などもしっかり保管しておきましょう。最終的に決済が完了したら鍵の引き渡しを行い、晴れて空き家を売却する手続きが完了となります。
名義変更・権利関係の確認

空き家売却には、相続登記や抵当権の抹消など、事前に確認・手続きすべき事項があります。
共有名義となっている物件は、民法第251条の原則により共有者全員の同意がなければ売却できません。また、相続で得た物件はまず相続登記を行い、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する必要があります。これらの手続きは司法書士の専門分野なので、早めに相談し、スケジュールに余裕をもって計画を立てるようにしましょう。
抵当権抹消登記・相続登記・境界確定
住宅ローンが残っている場合や過去に設定した抵当権が残っている場合は、売却の前に抹消登記を行わなくてはなりません。相続登記も同様で、名義が古いままだと手続きに支障をきたす可能性があるため、早めに作業を進めましょう。さらに土地の境界が曖昧なままだと、買主や隣地所有者との予期せぬトラブルを招くことがあるため、境界確定測量を実施して明確化しておくことをおすすめします。
契約不適合責任とトラブル回避のポイント

契約不適合責任とは、物件に隠れた欠陥があった場合などに売主が責任を負う制度を指します。売却後に責任を問われないためにも、売買契約時に把握しているトラブル要因や過去の修繕歴などは、できる限り正確に告知することが大切です。告知しなかった内容が後に判明すると、民法第562条の契約不適合責任に基づき、買主から代金減額請求や損害賠償、契約解除を求められる可能性があります。
宅地建物取引業法では、不動産会社に重要事項の説明義務が課されており、買主とのトラブルを未然に防ぐためにも、売主は正確な情報を不動産会社に伝えておくようにしましょう。
高く早く売るためのポイント

空き家をできるだけ早く、かつ高値で売却するためには、不動産会社との戦略的な連携が欠かせません。内覧時には掃除や片付けを徹底し、第一印象を良くすることで購入希望者の興味をひきやすくなります。また、周辺環境の魅力をアピールする資料を用意するなど、細やかな工夫を積み重ねることが早期売却と価格アップにつながります。
空き家売却に関するよくある質問(Q&A)

空き家売却ならではの疑問に対する基本的な回答をまとめました。ぜひ参考にして、不安点・不明点を解消しましょう。
Q1. 空き家の売却にリフォームは必須?
A.リフォームが必須であるわけではありませんが、空き家があまりにも老朽化している場合は、部分的な修繕を行うことで買主の心理的な安心感を高められる可能性があります。
費用をかけても販売価格に上乗せできるかどうかは、周辺相場や物件の状態を踏まえたシミュレーションが鍵となります。どこまでリフォームするべきかは不動産会社と相談しながら決めるのがおすすめです。
Q2. 特定空家に指定されたらどう対処すればいい?
A.特定空家に指定された場合は、市区町村からの改善命令や勧告に従って、速やかに倒壊リスクの除去や衛生環境の整備を行いましょう。
解体やリフォームを行うとなると費用負担が大きいため、売却や買い手への引き渡し時期を見据えて総合的に検討しましょう。
Q3. すぐに売却が難しい場合の方策とは?
A.賃貸として一時的に運用し、入居者からの家賃で固定資産税や管理費をまかなう方法があります。
賃貸事業を行う場合、賃貸住宅管理業法に基づき、管理業務を業者に委託する際は登録業者を選定する必要がある点に注意が必要です。また、セカンドハウスや別荘として活用したり、管理会社に依頼して定期的な点検や清掃、修理を任せることで、状態の悪化を防ぎながら売り時を見極めたりするという選択肢もあります。
まとめ|空き家売却で後悔しないために
維持するコストや放置によるリスクを減らす有効な手段のひとつである「空き家売却」。後悔しない売却を行うためには、計画的な準備と適切な方法選択、さらには専門家目線でのアドバイスを取り入れることがカギとなります。その際の相談先としておすすめなのが「アキサポ」です。
アキサポは、売却から活用、改装、管理まで幅広いご相談にワンストップで対応している空き家のプロ。税理士や司法書士などの専門家とも連携しながら、最適な空き家売却プランをご提案いたします。ぜひお気軽にお問い合わせください!
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。