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公開日:2025.11.25 更新日:2025.11.14

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民泊を始めるための必須条件と必要な手続きを解説

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民泊に興味がある方の中には、民泊の条件や必要な手続きがわからない方や、自宅でもできるのか不安な方などが多いと思います。実際、民泊は手軽に見える一方で、住宅宿泊事業法(民泊新法)や消防法、建築基準法など、守らなければならない条件が多く存在するため、準備不足のまま始めると届出が受理されなかったり、思わぬ違法状態に陥ったりするリスクがあります。

この記事では、民泊を始めるために必要な条件と手続きの流れをわかりやすく整理します。スタートでつまづかないように、届出や安全基準、建築要件などのポイントをしっかり理解しましょう。

民泊制度の基本|知っておくべき制度の概要

民泊は、自宅や空き家などの住宅を年間180日以内で宿泊施設として貸し出せる制度です。本来、宿泊事業を行えるのは、ホテルや旅館など旅館業法の許可を受けた事業者に限られていましたが、近年は、外国からの観光客の増加や空き家の有効活用といった背景から注目が高まり、個人でも比較的手軽に始められる制度が整備されました。


ただし、民泊は誰でも自由に始められるわけではなく、定められた各種条件への適合や、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づいた届出を提出することなどが求められます。

民泊を始める際の大きな特徴は、ホテルや旅館のような旅館業法の「許可制」ではなく、届出制である点です。届出は都道府県知事(または政令指定都市・中核市の市長)に行い、国土交通省の「民泊制度運営システム」からオンラインで申請できます。届出が完了すれば、正式に「住宅宿泊事業者」として民泊の運営が可能になります。

覚えておきたい民泊利用可能日数の180日ルール

民泊を運営するうえで必ず理解しておきたいのが、民泊新法によって定められた、年間180日以内しか営業できないという「180日ルール」です。

このルールは、民泊があくまで「住宅を一時的に貸し出す制度」であることを明確にしたもので、住宅街でのトラブル防止や、ホテル・旅館との競合を避けるための役割も担っています。

ちなみに、営業日数のカウント方法は、宿泊者を受け入れた日数が基準になります。実際に宿泊者が宿泊した日が「1日」として計上され、これが180日を超えない範囲で営業が可能です。

特区民泊や旅館業法(簡易宿泊所)との違いは?

民泊と混同されやすいのが、「特区民泊」や「旅館業法(簡易宿泊所)」といった制度です。いずれも宿泊施設を運営できる制度ですが、根拠となる法律や営業できる日数、対象となるエリアなどに違いがあります。

ここでは、それぞれの特徴を比較しながら見ていきましょう。

特区民泊との違い

特区民泊は、国家戦略特区の制度を活用して自治体が独自に運用している民泊制度です。国家戦略特別区域法に基づく認定を受けているエリア限定で実施可能で、東京都大田区や大阪市、北九州市などで運用されています。

特区民泊と民泊の主な違いは以下のとおりです。

  • 営業日数の制限がない(180日ルールの対象外)
  • 自治体が独自のルールを設定できる
  • 対象エリアが限られる(特区指定地域のみ)

この制度では、運営条件が各自治体の条例で細かく定められており、営業期間や宿泊者への説明義務、清掃・管理方法などの要件が異なります。そのため、手続きがやや複雑で、自治体ごとに必要書類や審査基準が変わる点には注意が必要です。

一方で、営業日数の上限がないという大きなメリットがあるため、観光需要の高い都市部で安定的に運営したい事業者や、収益性を重視する運営スタイルに適しています。

旅館業法による宿泊施設との違い

旅館業法に基づく宿泊施設は、ホテルや旅館などと同じく、厚生労働省の管轄下で営業許可を取得して運営する宿泊事業です。宿泊日数に制限がなく、年間を通じて365日営業できるのが特徴ですが、開業には保健所の許可や設備基準のクリアなど、厳格な条件を満たす必要があります。

旅館業法に基づく宿泊施設の主な特徴は以下のとおりです。

  • 営業日数の制限なし(通年営業可)
  • 保健所による営業許可が必要
  • 客室の広さ・設備・避難経路など厳格な基準あり

特に、客室の延べ床面積(33㎡以上、ただし宿泊者10人未満は3.3㎡×人数)や共用スペースの確保、防火設備などは負担が大きく、これらをクリアするだけで多額の改装費用がかかる場合もあります。


その分、長期滞在者や団体旅行客など、幅広いニーズに対応できるメリットがあります。宿泊業として本格的に運営したい人向けの制度といえるでしょう。

民泊を始めるために必要な手続き

住宅宿泊事業法(民泊新法)をはじめ、消防法、都市計画法、建築基準法など、関係法令の条件をすべて満たしている必要があります。

特に確認が必要なのは以下の4点です。

  • 住宅宿泊事業の届出の提出
  • 消防法令適合通知書の取得
  • 都市計画法に基づく用途地域の確認
  • 建築基準法に基づく建物の用途の確認

各項目ごとに、クリアすべき点が多くありますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

住宅宿泊事業の届出を提出する

民泊を始めるために必ず提出が必要なのが、住宅宿泊事業の届出です。届出をせずに営業した場合、業務停止命令や100万円以下の罰金が科されるおそれがあり、無届け営業は厳しく取り締まられています。

届出は都道府県知事(または保健所設置市及び特別区の長)に行い、国土交通省の「民泊制度運営システム」からオンラインで申請できます。

届出時には、以下の添付書類が必要です。数が多いため、早めに揃えておきましょう。

住宅宿泊事業の届出の添付書類(個人)

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書
  • 未成年者で、その法定代理人が法人である場合は、その法定代理人の登記事項証明書
  • 欠格事由に該当しないことを誓約する書面
  • 住宅の登記事項証明書
  • 住宅が「入居者の募集が行われている家屋」に該当する場合は、入居者募集の広告その他それを証する書類
  • 「随時その所有者、賃借人又は転借人に居住の用に供されている家屋」に該当する場合は、それを証する書類
  • 住宅の図面(各設備の位置、間取り及び入口、階、居室・宿泊室・宿泊者の使用に供する部分の床面積)
  • 賃借人の場合、賃貸人が承諾したことを証する書類
  • 転借人の場合、賃貸人及び転貸人が承諾したことを証する書類
  • 区分所有の建物の場合、規約の写し(管理規約など)
  • 規約に住宅宿泊事業を営むことについて定めがない場合は、管理組合に禁止する意思がないことを証する書類
  • 委託する場合は、管理業者から交付された書面の写し

添付書類の詳細は国土交通省のウェブサイトに掲載されています

住宅宿泊事業の届出に必要な書類ついて

さらに、届出後は宿泊者名簿を備え付けることや、2カ月ごとの実績報告が必要になります。

消防法令適合通知書の入手

民泊の届出前に、消防法令への適合確認を受け、「消防法令適合通知書」を添付します。この通知書がないと住宅宿泊事業の届出が受理されません。取得手続きは、民泊を行う建物所在地を管轄する消防署で行います。
※一部自治体では、届出提出後に消防審査を受ける運用もあります。

本通知書で確認される主な項目は以下のとおりです。

  • 消火器の設置
  • 自動火災報知設備の設置
  • 住宅用火災報知器の設置
  • 誘導灯の設置
  • スプリンクラー設備の設置
  • 消防用設備などの点検報告
  • 防火管理
  • 防災物品の使用

なお、消防法に違反した状態で民泊を営業した場合、最大で300万円以下の罰金や業務停止命令などの行政処分を受ける可能性があります。消防法に基づく安全基準は、宿泊者だけでなく近隣住民を守るための最低限のルールです。安全管理は「形式的な義務」ではなく、信頼できる民泊運営の土台と考え、誠実に対応しましょう。

都市計画法への適合の確認

都市計画法とは、地域の土地利用や建築物の用途を定め、バランスの取れたまちづくりを進めるための法律です。同法に基づいて指定されている「用途地域」ごとに、建てられる建物の種類や使い方が細かく決められているため、民泊を行う場合にも、その住宅が立地可能なエリアかどうかを必ず確認する必要があります。

民泊施設の用途はあくまで「住宅」であるため、住宅の建築が認められている以下の用途地域であれば運営が可能です。

  • 第一種・第二種低層住居専用地域
  • 第一種・第二種中高層住居専用地域
  • 第一種・第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 田園住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域

また、建物の立地を抑制する「市街化調整区域」に指定されている場所では、原則として新たな建築や用途変更が制限されており、住宅や民泊の新設は基本的に認められていません。ただし、既存の住宅を活用する場合など、一部で例外的に許可されるケースもあるため、該当する場合は必ず自治体(都市計画課など)に相談して確認しましょう。

一方、用途地域の指定がない非線引き区域(用途地域未指定地域)では、これらの制限がかからない場合が多いですが、地域によっては建築協定や景観条例など、 別の規制がかかっている場合もあります。念のために自治体の窓口で確認しておきましょう。

建築基準法への適合の確認

民泊を運営するには、建物が建築基準法上で「住宅(住宅、長屋、共同住宅、寄宿舎)」として扱われる構造・用途であることを確認する必要があり、それらを確認するために「居住要件」と「設備要件」「安全確保のために必要な措置」という3つの条件が設けられています。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

居住要件

「居住要件」とは、実際に「住宅」として使われている状況が確認できることをいい、以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
  • 入居者の募集が行われている家屋
  • 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋

つまり、人が実際に生活している、または生活できる状態にあることが前提です。空き家やセカンドハウスを民泊として活用する場合でも、生活できる環境が整っていなければ「住宅」とは見なされません。


また、届出の際には、住民票や賃貸契約書、光熱費の契約書など、住宅としての使用実態を証明できる書類の提出を求められることがあります。

設備要件

設備要件とは、その建物が実際に住宅として利用可能な機能を有しているかを確認するための要件です。特に、以下の4点が備え付けられていることが求められます。

  • 台所
  • 浴室
  • トイレ
  • 洗面所

これらの設備は、住宅の内部または同一敷地内に設置されていることが必要です。近隣施設や共用スペースを代替として利用する形では、原則として認められません。

つまり、宿泊者がその建物内で生活に必要な行為(食事・入浴・洗面・排泄)を完結できることが求められます。

まとめ|民泊を成功させるためには下準備が大切

本記事を通じて、民泊のスタートには意外と多くの条件が課されることが分かったと思います。民泊を始める第一歩は、法律と現場運営の両面で、どのような準備が必要かをしっかり押さえることです。まずは住宅宿泊事業法の条件を確認し、設備や安全対策を整えるところから始めましょう。

手続きが多くて大変かもしれませんが、正しい手順を踏むことは、行政からの信頼を得られるだけでなく、宿泊者にとって安心できる環境を整える上でも大切です。地域に必要とされる民泊施設を目指すためにも、運営の土台をしっかり構築しておきましょう。

この記事の監修者

岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー

宅建士/二級建築士

都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。

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