公開日:2026.05.09 更新日:2026.04.27
NEW「空き家もらってください」は本当?0円で譲り受ける方法とプロが教える注意点
「空き家もらってください」という言葉は魅力的なフレーズですが「本当に無料でもらって大丈夫なのか」「あとから大きな負担を背負わないか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。実際、空き家を無料で譲る背景には売れにくさや管理負担、相続や老朽化といった事情が隠れていることが少なくありません。
そこで本記事では、無料で譲渡される空き家が増えている理由を整理したうえで、0円譲渡の手続きの流れ、取得時にかかる主な費用、具体的な探し方、トラブルを避けるための確認ポイントまで分かりやすく解説します。無料という言葉だけで判断せず、自分にとって引き受ける価値のある空き家かを見極めるための参考にしてみてください。
目次
無料譲渡される空き家が増える理由

無料譲渡の空き家が増えている背景には、空き家を維持する負担の大きさや、空き家を放置した場合の周囲への悪影響などが関わっています。
空き家を放置すると、倒壊や害虫、景観悪化、不法投棄などが起こりやすくなりますが、これらの問題を解決するにも手間とお金がかかります。では、売却すればよいとも思えますが、地方の空き家は需要が低く、なかなか買い手が見つからないのです。
その結果、売れなかった物件が、無料譲渡の市場に流れてくるケースが目立つようになりました。「空き家もらってください」の裏には、空き家所有者たちの切実な問題が隠れているのです。
自治体の空き家バンクや民間マッチングサービスなどの普及も影響している
空き家バンクや民間のマッチングサービスなど、譲りたい人と探している人が出会える場所が増えており、そこに解決の糸口を見つけようと、無料で物件情報を掲示するケースもあります。
さらに、移住希望者や二拠点生活の検討者に加え、最近ではDIYやリノベーションを前提とした投資家層など、空き家を活用したいと考える人が増えているのもポイントです。こうした仕組みが整ったことで、売却市場では難しかった物件でも、用途や価値観が合う相手に届きやすくなり、無料譲渡という選択肢が表に出てきたのです。
無料で空き家をもらうのは危険ではない?

無料でもらえる空き家が危険かどうかは「引き取ったあとに何が発生するか」を先に把握できているか否かで決まります。0円物件は、売却市場では買い手がつきにくい事情を抱えていることが多く、取得後に費用や手間が膨らむと、安く手に入れた意味が薄れやすい点に注意が必要です。
特に確認したいのは、次の3点です。
- 権利関係:相続登記が未完了、共有名義で同意が揃っていない、境界が曖昧などの問題があると所有権移転ができない恐れがある
- 建物状態:雨漏り・シロアリ・水回り・床下腐食は見えにくく、住める状態に戻すだけで追加工事が発生しやすい
- インフラと維持費:浄化槽の維持管理、凍結対策、ライフラインの基本料金、草刈りなどの取得後の固定費
0円空き家を取得する際の手続きの流れ
無料でも所有権を移す以上、無償譲渡であっても、不動産の所有権移転に関する法的手続き(契約締結・登記申請等)が必要です。取得までの一般的な手続きは以下のとおりです。
①物件情報の確認・現地内見を行う
立地や建物状態、再建築の可否、境界資料の有無などをチェックする
②権利関係を確認する(名義・相続・抵当権)
登記簿で名義人が誰か、相続登記が完了しているか、住宅ローン等の抵当権が残っていないかなど
③条件交渉をして、引き渡し範囲を決める
「残置物はどこまで片付けるか」「修繕は現状渡しか」「固定資産税の清算はどうするか」など、負担の線引きを決めておく
④契約書を作成し、締結する
引き渡し後に揉めないために、譲渡契約書を作成する。作成は不動産会社・司法書士などの専門家に依頼すると安心
⑤所有権移転登記を申請する
契約締結後に所有権を移すために、所有権移転登記を行う。司法書士に依頼して登記申請を行うのが一般的
⑥物件引き渡し・ライフラインの名義変更を行う
鍵を受け取り、水道・電気・ガスの契約名義、浄化槽の維持管理契約などを整理しておく
空き家をもらってくださいと言われても「0円」ではない?取得費用の総額

空き家が0円でも、実際に取得するためには複数の費用が掛かります。代表的な費用項目は以下のとおりです。
- 登録免許税
- 仲介業者や司法書士などへの報酬
- 贈与税や不動産取得税
- 片付け費用やリフォーム費用
とくに「登記」と「片付け・改修」は金額の振れ幅が大きいので、概算でも先に見積もっておくとよいでしょう。
登録免許税
登録免許税は、所有権移転登記のときにかかる税金です。課税のベースは売買価格ではなく、原則として固定資産税評価額になります。0円譲渡であっても、登録免許税は免除されません。原則として「固定資産税評価額×税率」で算出されるため、想定外の出費となる可能性があります。
仲介業者や司法書士などへの報酬
0円取得でも、契約書作成や登記申請を専門家に依頼すれば、別途報酬が発生します。特に、登記は司法書士に依頼するケースが多く、目安として3万〜10万円程度がかかります。
この際に相続関係の整理が必要だったり、書類が揃っていなかったりして手間が増えると、10万〜20万円程度まで上がることもあります。
さらに仲介を挟む場合は、不動産会社への手数料がかかります。宅建業法に基づく媒介報酬(仲介手数料)の上限は「(売買価格×3%+6万円)+消費税」ですが、2024年7月の法改正により、800万円以下の低廉な空き家等の媒介報酬の上限が、売主・買主双方から最大33万円(税込)まで受領可能となりました。
贈与税や不動産取得税
0円で譲ってもらう場合でも、税金が一切かからないとは限りません。特に注意したいのが、契約の形によって「贈与税」と「不動産取得税」の論点が分かれることです。
まず、贈与税がかかるのは、個人から個人へ無償で不動産をもらい受ける「贈与」にあたるケースです。個人間での無償譲渡は、原則として贈与とみなされます。たとえ対価が0円でも、時価との差額が著しい場合は「みなし贈与」として課税対象となるため、事前の税額シミュレーションが不可欠です。
一方、不動産取得税は、売買・贈与を問わず、不動産を取得したときに都道府県から課される税金です。こちらも「0円でも所有権を取得した」という事実があれば課税対象になり得るため、無料でも油断はできません。税額は原則として「固定資産税評価額 × 税率」で算出され、(軽減措置あり)土地と住宅が3%、住宅以外の建築物が4%です。
片付け費用やリフォーム費用
取得後に最も金額が膨らみやすいのが、片付けとリフォームの費用です。残置物が多い家は処分費と作業費が重くなり、遠方だと立ち会いや手配の手間も増えます。リフォームも、内装の好みより先に雨漏り・シロアリ・水回り・断熱などの「住める状態に戻す工事」が優先になりやすく、見た目以上に費用がかかることがあります。
0円で空き家を入手する4つの方法

最近は、自治体の空き家バンクや民間のマッチングサービスが広がり、不動産屋以外にもさまざまなルートで空き家を見つけられるようになってきました。そこでここからは、0円で空き家を入手する代表的な4つの方法を紹介します。
空き家バンクや民間の空き家情報サイトを利用する
まずは自治体の空き家バンクや民間の空き家情報サイトをチェックしてみましょう。さまざまな物件が掲載されており、空き家を探しながら、空き家の実情を把握することもできます。
自治体経由の物件は、移住支援や改修補助とセットになっていることがあり、条件が合えばリフォームや移住の際の資金を援助してもらえる可能性があります。
一方で民間の空き家情報サイトは掲載数の多さが魅力です。さまざまなエリアの物件を比較したい人や、0円だけでなく格安情報もまとめて比較したい人などに向いています。
SNSやフリマアプリで探す
SNSやフリマアプリには、所有者がとにかく早く手放したいと思っている物件が掲載されていることが多いです。不動産会社を介さずに情報を掲載しているケースが多いので、意外な物件を見つけられるチャンスがあります。ただし、物件情報は断片的になりやすく、検討に必要な情報が揃わないリスクがある点には注意しましょう。
そのため、最初から「登記簿で名義と抵当権を確認する」「契約書は作る」「必要なら司法書士に入る」という前提で動くのが安全です。情報の粒度が均一でない分、現地確認や残置物の扱い・引渡し範囲・税金の負担といった条件は念入りにチェックする必要があります。
所有者を調べて直接相談する
狙いたいエリアが決まっているなら、所有者に直接アプローチする方法もあります。近隣で空き家として知られている物件は、売るにも貸すにも動けず、管理負担だけが残って放置されているケースがあるため、譲渡や活用に関する協議の余地が生まれやすいからです。
ただし、いきなり「譲ってください」と切り出すと警戒されやすいので、最初は「管理の負担を減らせる形を一緒に考えたい」というスタンスで丁寧に意思表示するのが現実的です。自分で話を切り出すのが不安な場合は、不動産会社に仲介してもらうのもよいでしょう。
親族や知人から譲ってもらう
空き家に困っている親族や知人から譲ってもらうのも一つの手です。相手の事情が見えやすい分、条件の相談がしやすく、内見や書類の準備も進めやすくなります。
ただし、身内だからこそ丁寧に進めないと「そんなつもりじゃなかった」と話がこじれる恐れがあります。身内や友人からの譲渡でも口約束で済ませず、契約書と登記はきっちりが鉄則です。また、残置物の対応や引渡し前の修繕の有無、固定資産税の清算などの細かな条件も、後で揉めないように書面に残しておきましょう。
空き家の譲渡でトラブルを避けるための注意点

最後に、空き家を譲渡してもらう際にトラブルになりやすいポイントを「法律・登記」「契約」「建物」「費用」という4つの視点から見ていきましょう。
取得を決めてから慌てて対処するのではなく、先に「揉める芽」を潰しておくだけで、リスクはかなり下がります。特に0円譲渡は「安い=ラフに進めがち」になりやすいので、段取りだけは最初から堅めに組んでおくのが安全です。
法律や登記のトラブル|所有権の確認と相続登記の完了
法律や登記のトラブルでよくあるのは、法的に所有権を移転できない状態にあるケースです。口頭では合意できていても、登記名義が故人のままだったり相続人が複数存在するにもかかわらず、一部の相続人のみで合意形成を図ろうとすると、法律上の手続きが進められません。
特に注意したいのは、次のようなパターンです。
- 相続登記が未完了:名義が亡くなった親のまま、遺産分割協議が終わっていない
- 共有名義になっている:兄弟など共有者がいて、全員の同意が揃わず話が止まる
- 抵当権や差押えが残っている:ローン完済済みでも抹消登記がされていないことがある
- 境界や通行の権利が不明確:私道の持分がない、越境があるなどで後から揉めやすい
対策はシンプルで、まず登記簿(登記事項証明書)で名義と権利関係を確認し、相続が絡むなら相続登記を完了させてから譲渡手続きに入ることです。相続人が複数いる場合は、全員の合意が必要になるため、早い段階で「誰が関係者か」を洗い出しておくと、後で詰まりにくくなります。司法書士に一度入ってもらうだけでも、必要書類や手順が明確になり、段取りが進めやすくなります。
契約のトラブル|専門家への相談と契約書の作成
契約のトラブルで多いのは、0円だからと口約束で進めてしまい、あとから条件で揉めるパターンです。特に揉めやすいのは、残置物の処分、設備の故障、引き渡し後の修繕負担で、ここが曖昧だと関係がこじれやすくなります。
だからこそ、0円でも契約書は作り、以下のような点を明記しておくのが基本です。
- 「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」を免責する特約を設けているか
- 残置物の扱い(誰が、いつまでに、どこまで処分するか)
- 引き渡し範囲(建物・敷地・附属物・境界資料など)
- 契約の形(売買なのか贈与なのか)
登記や税金にもつながるため、状況に応じて司法書士や不動産会社に早めに相談しておくと、必要書類や段取りが一気に整理されます。
建物のトラブル|建物や周辺環境をしっかり確認
建物のトラブルは、取得後に発覚すると修繕費が一気に膨らむのが厄介です。内見では、後からお金が出やすい箇所のサインを優先して確認しましょう。具体的には、雨漏り跡、カビ臭、床の沈み、水回りの漏水跡や配管の劣化などです。
あわせて周辺環境も見逃せません。接道や車の出入り、隣地との距離感、越境物の有無は、住むだけでなく「貸す・売る」の出口に直結します。ここが弱いと、せっかく0円で手に入れても活用の選択肢が狭まりやすいので、現地で必ずチェックしておきたいところです。
費用や税金のトラブル|譲渡所得税や贈与税、維持費の確認
費用面でのトラブルは、0円でも税金や維持費がかかることを甘く見た際に起こりがちです。譲る側には譲渡所得税が発生するケースがありますし、もらう側も贈与税や不動産取得税が論点になります。取得費がゼロでも、税金は評価額や事情で判断されるため、安さだけを見て安心してはいけません。
さらに、取得後は固定資産税、火災保険、草刈り、浄化槽管理などの維持費がかかり続けます。大事なのは「取得費」ではなく、持ち続ける費用まで含めて回るかを見立てることです。判断に迷うなら、税理士や自治体窓口に確認してから進めると、後から詰まりにくくなります。
まとめと総括
空き家を無料で譲ってもらえる機会は確かにありますが、その物件を引き取ったあとに無理なく管理・活用できるかを考慮しないと、失敗してしまう恐れがあります。名義や相続、契約条件、建物の傷み、税金や維持費まで一つずつ確認していくと、はじめて本当に引き受けるべき物件かが見えてきます。
特に0円物件は、安さゆえに手続きを軽く考えてしまいやすいもの。だからこそ、契約や登記、費用などは丁寧に整理して、トラブルや想定外の出費を避けましょう。
権利関係や税務、建物の再生など、空き家問題は多岐にわたります。アキサポでは、これら士業の専門領域をワンストップでサポートし、所有者負担0円での活用を提案しています。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。