公開日:2026.07.31 更新日:2026.07.31
NEW収益不動産の仲介とは?仕組み・手数料・会社選びのポイント
収益不動産の売買は取引金額が大きく、物件ごとに収益性やリスクも異なるため、進め方次第で売却結果に差が出ます。なかでも重要なのが、収益不動産の仲介を依頼する不動産会社選びです。
収益不動産の仲介は、単に買主を探すだけではありません。物件の査定から販売戦略の立案、購入希望者との交渉、契約・引き渡しまで、一連の売却活動をサポートする役割を担います。
この記事では、収益不動産仲介の仕組みや役割をはじめ、物件タイプごとの特徴、査定の考え方、仲介と買取の違い、仲介手数料の目安、会社選びのポイントまでを解説。少しでも有利な条件で売却するためのコツもあわせてご紹介します。
目次
収益不動産の仲介の仕組みと仲介会社の役割
まずは基本的な流れと押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
仲介(媒介)の基本フロー:査定→媒介契約→販売活動→条件交渉→売買契約→決済・引渡し
収益不動産の仲介では、査定から媒介契約、販売活動、売買契約、決済・引渡しまで複数の工程があり、それぞれの段階で売主の判断が求められます。
| ステップ | 主な内容 | 売主が確認・判断するポイント |
|---|---|---|
| 査定 | 物件価格や想定売却額を算出 | 価格重視か早期売却重視か、査定根拠は妥当か |
| 媒介契約 | 仲介会社と契約を締結 | 契約形態(一般・専任・専属専任)を選択 |
| 販売活動 | 広告掲載、購入希望者の募集 | 売出価格の見直し、広告方針、内覧対応 |
| 条件交渉 | 買主との条件調整 | 売買価格、引渡し時期、敷金・未収賃料の扱い |
| 売買契約 | 契約条件を確定し締結 | 契約内容や特約事項の確認 |
| 決済・引渡し | 代金受領、所有権移転、各種精算 | 必要書類の準備、最終確認 |
収益不動産売買における片手仲介・両手仲介の違いと注意点(囲い込み・利益相反)
収益不動産の仲介には、売主・買主それぞれに別の仲介会社が付く「片手仲介」と、1社が双方を担当する「両手仲介」があります。
両手仲介は窓口が一本化されますが、売主・買主双方から仲介手数料を受け取れることから、自社で買主を見つけるために他社からの購入希望者を断る「囲い込み」が問題となるケースもあります。
| 項目 | 片手仲介 | 両手仲介 |
|---|---|---|
| 仲介会社 | 売主・買主で別々の仲介会社 | 1社が売主・買主双方を担当 |
| メリット | 物件情報が広く流通しやすく、購入希望者を集めやすい | 窓口が一本化され、連絡や契約手続きがスムーズ |
| 注意点 | 仲介会社同士の連携が必要なため、条件調整や情報共有に時間がかかる場合がある | 利益相反が生じる可能性があるため、販売活動の透明性を確認することが重要 |
仲介会社の販売活動がきちんと行われているかどうかは、次のポイントを定期的にチェックしましょう。
- 専任媒介・専属専任媒介の場合、レインズへ登録されているか(登録証明書の有無)
- 広告の掲載状況
- 問い合わせ件数や購入希望者からの反響
- 販売状況や今後の販売方針について具体的な説明があるか
収益不動産仲介での媒介契約の種類(一般・専任・専属専任)と選び方
収益不動産の仲介で結ぶ媒介契約には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があり、売却方針や仲介会社との進め方に応じて選択します。
- 一般媒介
複数の仲介会社へ依頼できますが、販売活動の優先順位が下がる場合があります。複数社から異なる情報が発信されることで、買主に混乱を与えるケースもあります。
- 専任媒介
レインズへの登録(契約締結から7日以内)と定期的な業務報告が義務付けられ、販売状況を把握しやすい点が特徴。
- 専属専任媒介
報告頻度が高い一方で、売主自身が買主を見つけて直接契約することはできないのが特徴です。投資家は情報の正確性や一貫性を重視するため、信頼できる1社と連携して売却を進めるケースも多く見られます。媒介契約を結ぶ前には、販売活動の内容やレインズへの登録方針、価格を見直すタイミングなどを確認し、納得したうえで契約を結びましょう。
収益不動産の仲介会社が提供する付加価値:投資家集客、資料作成、融資・契約調整
収益不動産の仲介会社は、売買を仲介するだけでなく、買主が投資判断しやすい環境を整える役割も担います。レントロールや収支資料、修繕履歴などの資料を整理することで、問い合わせ対応の負担を軽減できるほか、融資審査も円滑に進みやすくなります。
仲介会社ごとに投資家ネットワークも異なり、物件の規模や価格帯に合った投資家へアプローチできる会社ほど、価格以外の条件面でも交渉を進めやすくなります。
契約調整力も仲介会社選びで重視したいポイントです。金融機関や登記を担当する司法書士、物件管理会社との連携に加え、サブリース会社やテナントとの調整が必要な場合もあります。特に、契約不適合責任の免責・制限の範囲や、敷金返還債務の承継・精算項目まで先回りして実務対応できる仲介会社であれば、売買契約直前や引渡し後の法的トラブルを防ぎやすくなります。
収益不動産の仲介で扱う物件の種類と特徴

収益不動産と一口に言っても、区分マンションと一棟アパートでは買主の投資判断基準が異なります。そのため、重視されるポイントや売却時に準備すべき資料も大きく変わります。
まずは代表的な物件タイプごとの特徴を知り、自身の物件がどのように評価されるのかを整理しておきましょう。
区分マンション:流動性は高いが競合も多い
区分マンションは価格帯が比較的手頃で、個人投資家が多く流動性の高さが期待できますが、類似物件も多いため、利回り・駅距離・築年数・管理状態で比較されやすくなります。
仲介会社による査定では、賃料の周辺相場との比較や退去リスクに加え、管理費・修繕積立金の水準や管理組合の運営状況も評価対象です。さらに賃貸借契約の更新料・特約・滞納履歴なども買主の判断材料になります。
一棟アパート・一棟マンション:収益性と運営体制が評価の核
一棟アパート・マンションは収益性と運営状況が特に重視されます。買主はレントロールや収支をもとに、空室率・家賃の維持状況・修繕の必要性・管理体制まで評価します。
現在の収益だけでなく、募集条件が相場に合っているか・賃貸需要があるかなど将来の再現性も重要な判断材料です。
修繕履歴が整理されていない場合、買主は将来費用を慎重に見積もり、価格交渉を受けやすくなります。すべての課題を解消する必要はありませんが、過去の修繕内容と今後必要な工事を説明できる状態にしておくことがポイントです。
一棟ビル・店舗/事務所:テナント特性と契約条件の読み込みが重要
一棟ビル・店舗・事務所については、テナントの業種・信用力・契約条件によって収益の安定性が左右されます。解約条項が緩い・契約期間が短い・フリーレント期間が長い物件は将来の収益リスクとして評価される傾向があります。
賃貸借契約書に定められた賃料改定条項・更新条件・原状回復の範囲・用途制限などは、買主の重要な投資判断材料です。これらの条項が曖昧な、あるいは売主に著しく不利な内容であるケースでは、買主側のリーガルチェック(弁護士等による確認)や金融機関の融資審査に時間がかかり、売却手続きが滞ることがあります。
建築基準法や消防法への適合状況・用途地域との整合性にも問題があれば、是正費用が価格に反映される可能性があります。
戸建て(オーナーチェンジ)・倉庫/工場・ホテル等:買主が限定されやすい
オーナーチェンジ戸建・倉庫・工場・ホテルは買主層が限られ、物件特性に合ったアプローチができないと販売期間が長引いて価格調整を迫られることがあります。
倉庫・工場は現在の収益性だけでなく、用途変更のしやすさや搬入動線、前面道路の状況といった活用の可能性も評価されます。周辺の用途地域や騒音規制によって利用できる業種が変わるため、買主によって価値判断が異なります。
ホテルは許認可の状況・運営委託契約・収益実績・運営ノウハウの引継ぎ可否など、不動産より事業として評価される側面があります。
収益物件の査定方法と価格が決まる要素

なぜ会社によって査定額が数百万円、場合によっては数千万円も違うのか。その理由は、収益物件の査定は家賃収入や利回り、将来の修繕リスクなどさまざまな要素を踏まえて行われるからです。
まずは価格が決まる仕組みと、査定時に見られるポイントを確認していきます。
査定の代表手法:収益還元法(直接還元法・DCF法)
代表的な手法が収益還元法で、物件が将来生み出す収益をもとに価格を算出します。直接還元法は年間純収益を還元利回りで割る方法です(例:純収益120万円÷利回り4%=3,000万円)。純収益は家賃収入から管理費・修繕費・固定資産税・空室損失などを差し引いた金額で、実際の運営に近い収支で算出するほど精度が上がります。
DCF法は保有期間中のキャッシュフローと将来の売却価格を、現在価値に換算する手法で、賃料変動や大規模修繕など時間の経過による影響まで織り込めます。一棟マンションや商業ビルなど規模の大きな物件で活用されることが多い手法です。
利回り(還元利回り)・空室率・賃料水準が与えるインパクト
収益物件の価格に最も影響するのが還元利回りです。わずかな違いでも価格が大きく変わるため、市場が求める利回り水準の見極めが査定の重要なポイントです。
空室率は現状だけでなく、将来の見通しで評価されます。周辺の供給増や家賃下落傾向があれば買主は稼働率を慎重に見積もりますが、安定した需要や競争力のある募集条件を示せれば空室リスクを過度に織り込まれにくくなります。賃料水準は相場より高ければ将来の下落、低ければ即時値上げの難しさとして評価されるため、根拠のある賃料見通しを示しましょう。
経費・修繕・管理の見込みが査定に反映されるポイント
査定では、家賃収入の大きさより手元に残る収益が重視されます。固定資産税・保険料・管理委託費・法定点検費など経費は物件ごとの差が大きく、買主はその妥当性も確認します。
屋根や外壁、給排水管、エレベーターなど、将来的に高額な修繕費用(資本的支出)が発生しやすい設備は、次回のメンテナンス時期が近いほど査定価格にマイナスの影響を与えやすくなります。
さらに管理会社の対応や滞納管理システム、入居者募集の状況が運営コストや空室率に影響するため、現在の運営に再現性があるかどうかも、査定の重要な視点になります。
比較法(取引事例)との併用と、査定額の幅が出る理由
実際の査定では、収益還元法に加えて、同エリア・規模・築年数の取引事例との比較も行われ、価格の妥当性を検証します。それでも査定額に幅が出るのは、賃料下落の見込み・空室率・修繕費・将来売却時の利回りなど、前提条件が会社によって異なるためです。
複数社に査定を依頼する際は金額だけでなく、その根拠と前提条件まで確認しましょう。リスクも含めて具体的に説明できる会社ほど、投資家からの信頼を得やすい傾向があります。
収益不動産の売却は仲介と買取どちらがよいか

収益不動産の売却では、価格を重視するなら仲介、スピードや確実性を優先するなら買取が選ばれる傾向があります。それぞれの特徴や向いているケースを見ていきましょう。
売却期間の違い
仲介は買主探しから融資審査・条件交渉・契約手続きまで必要なため、一般的に3〜6カ月が目安です。物件規模や契約内容によっては、さらに長引くこともあります。
買取は不動産会社が直接買主となり、数日〜数週間で決済まで進むケースもあるため、相続や資産整理など売却期限がある場合に向いている選択肢です。早期に現金化できる分、買取価格は仲介より低くなるのが一般的なため、急ぐ理由と価格の妥協点を整理したうえで選びましょう。
売却額の違い
売却額の面では、一般的に仲介のほうが高値を狙いやすいとされています。市場で購入希望者を募るため、競争が生まれれば相場水準での成約や、条件によっては相場以上で売却できる可能性もあります。特に、稼働状況が安定していて収支資料や修繕履歴などが整理されている物件は、投資家の判断も早く、値引き交渉を受けにくくなります。
買取は不動産会社が再販を前提に購入するため、リフォーム費用や保有コスト、売れ残りのリスク、利益などを見込んだ価格になります。そのため、仲介で売却する場合と比べて価格が低くなるのが一般的です。物件の状態や流動性によって差はありますが、2〜4割程度低くなるケースもあります。
売主が比較すべきなのは売却額だけではありません。買取は不動産会社(宅地建物取引業者)が買主となることが多く、売主が一般個人(非業者)であり、買主が宅地建物取引業者である取引では、宅建業法第40条の「自ら売主制限」は適用されません(同制限は宅建業者が「売主」となる場合にのみ適用されるため)。
しかし、買主である不動産会社が宅地建物取引業者である場合、消費者契約法第8条の2(事業者免責の禁止)が適用される可能性があります。令和7年(2025年)6月の最高裁判所判決では、「宅建業者が個人から物件を買い取る際、売主(個人)の契約不適合責任を全面免責とする特約は、消費者契約法に反し無効である」とする初判断が示されました。そのため2026年現在の実務では、免責特約があっても完全に責任を免れるとは限らず、個別の契約内容や取引背景を十分に確認する必要があります。
つまり、価格差にはスピードや確実性、売却後のリスク負担といった要素も含まれているわけです。価格差の理由まで理解したうえで判断すると、納得感のある選択がしやすくなるでしょう。
(※)自ら売主制限の裏返し、および業者買主による免責容認1
物件の立地・状態による向き不向き
駅から遠い・築年数が古く大規模修繕を控えている・心理的瑕疵があるといった物件は仲介で買主が限られやすく、融資審査が通らず契約に至らないケースもあるため、買取が向いています。
駅近・稼働率が安定している・信用力の高いテナントが入居している物件は仲介との相性が良い傾向があります。競争環境をつくることで、価格だけでなく条件面でも有利に進められる可能性があります。
収益不動産を仲介で売却する際の手数料相場と費用内訳

売却価格ばかりに目が向きがちですが、実際に手元に残る金額は諸費用によって変わります。仲介手数料はもちろん、物件の状況によっては測量費や登記費用などが発生することも。
ここでは売却時にかかる費用の全体像に触れていきます。
仲介手数料の上限(速算式)と支払いタイミング
仲介手数料には法律で上限が定められており、売買価格に応じて計算されます。一般的には、売買価格が400万円を超える通常取引の場合、宅建業法上の上限額(報酬受領基準)を算出するために「売買価格×3%+6万円(別途消費税)」の速算式が用いられます。(※)。 価格帯によっては異なる計算方法が適用されるため、実際の金額は見積書で確認しておくと安心です。
支払いのタイミングは、売買契約時に半額、決済・引渡し時に残額を支払うケースが一般的です。ただし、支払い条件は仲介会社によって異なるため、媒介契約を結ぶ前に確認しておきましょう。
収益物件では、契約から決済まで数カ月かかることもあります。買主の融資審査の状況によっては、当初予定していた決済日が変更になる場合もあるため、仲介手数料をいつ支払うのかだけでなく、契約が解除になった場合の取り扱いも確認しておくとトラブル回避につながります。
(※)2024年7月の国土交通省告示改正により、800万円以下の「低廉な空家等」の売買における媒介報酬について、一事象の取引で受けることができる報酬額の上限が原則33万円(税込)に引き上げられました。これは、媒介業務に要する費用を勘案して、通常の速算式(価格×3%+6万円+税)の枠を超えて受領することを認める特例です。ただし、取引額が高額になりやすい収益不動産の仲介においては、従来の速算式による上限額が引き続き基本的な基準となります。
手数料以外にかかりやすい費用(測量・登記・ローン抹消・修繕/クリーニング等)
収益不動産の売却では、仲介手数料以外にもさまざまな費用や実務負担が発生します。
| 費用・実務項目 | 主な内容と確認ポイント |
|---|---|
| 境界確定測量費用 | 隣地との境界を明確にするための費用。一棟物件や土地の境界が曖昧な場合に発生する |
| 登記関連費用 | 所有権移転登記や抵当権抹消登記にかかる司法書士への報酬および登録免許税 |
| 抵当権抹消費用 | 売却物件に設定されている融資の抵当権を外すための実費および手続き費用 |
| 修繕・クリーニング費用 | 次のオーナー(買主)への引渡し前に必要に応じて行う、雨漏りや設備不具合の補修費用 |
| 管理・引継ぎ確認事項 | 管理会社の変更手続き、賃貸借契約書の引継ぎ資料、引渡しまでの売主・買主の役割分担 |
手数料が安い/値引き提案の注意点
仲介手数料の値引き提案を受けたからといって、必ずしも悪い条件とは限りませんが、手数料が安くなる代わりに、何が省かれるのかは確認しておくべきポイントです。
- 省略される業務の有無:広告掲載の規模や、投資家向け販売資料(レントロール精査など)の作成が省かれていないか
- 囲い込みリスクの排除:他社からの買主紹介(客付け)に積極的に対応してくれるか
- 定期報告の質:販売状況や反響件数、問い合わせ内容をどの程度の頻度で共有してもらえるか
- 戦略の具体性:価格見直しの基準や販売方針が明確か
- 書面交付の確認:媒介契約の内容や報告頻度が契約書(書面)に明記されているか
収益不動産の仲介が得意な不動産会社の見分け方

同じ収益物件でも、依頼する仲介会社によって売却活動の進め方や結果は変わります。特に投資家向けの売却では、査定力や集客力、収益物件ならではの知識が欠かせません。
会社選びで後悔しないために、事前に確認しておきたいポイントを整理していきましょう。
ホームページの実績・取扱い領域で確認する
仲介会社を選ぶ際はまず、自分の物件と取扱い領域が合っているかを確認します。区分マンション中心の会社と、一棟アパート・事業用不動産を得意とする会社では、買主層や相場観が異なります。そのため、物件の種類やエリアに合った実績のある会社のほうが適切な販売戦略を立てやすくなります。
ホームページの成約実績は件数だけでなく、価格帯・利回り・物件種別が具体的に示されているか、投資家向けのコンテンツが充実しているかどうかも確認しましょう。
ただし、ホームページだけで判断するのは禁物です。事例が古い・好条件の成約ばかり並んでいる場合は要注意。面談で直近の成約状況や、自分の物件に近い売却実績を具体的に確認しましょう。
市場分析・物件調査の説明内容で確認する
面談では、査定額の高さよりもその根拠を具体的に説明できるかを確認しましょう。還元利回り・賃料・空室率・将来の修繕費など、数字の背景まで説明できるかがポイントです。
良い仲介会社は強みだけでなく「設備更新時期が近い」「契約内容に買主が懸念を持つ可能性がある」といったリスクも率直に共有します。
高い査定額ばかりアピールする会社には注意が必要です。前提条件が曖昧なまま媒介契約を結んでしまうと、後から大幅な価格見直しを求められることもあります。査定額はあくまで目安と捉え、根拠と販売計画が市場環境と整合しているかを確認しましょう。
法務・税務サポートと購入・売却後フォローで確認する
収益物件の売却では、法務・税務の対応力も仲介会社選びの基準になります。契約不適合責任の範囲・敷金精算・サブリースや管理委託契約の引継ぎなど、売買前後の論点について司法書士や弁護士と連携できるか確認しましょう。
税務面では譲渡所得税や減価償却の影響が手取り額に直結するため、税理士へ相談できる体制があるかも重要です。
さらに、決済後の管理会社変更・入居者通知・鍵の引継ぎなど、引渡し後のフォロー範囲が明確であることも、不動産会社選びでチェックしたいポイントです。
収益不動産を高く売却するコツ

収益不動産の売却では、物件の良し悪しだけで価格が決まるわけではありません。同じ物件でも、見せ方や販売戦略によって買主の評価が変わるケースがあり、少しの工夫が売却価格や成約スピードにつながることもあります。
ここでは、高値売却を目指すうえで押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
複数社査定で相場観をつかみ、根拠のある価格戦略にする
まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、金額の高低ではなく算出根拠を比較することで、現実的な価格戦略が立てられます。相場とかけ離れた高額査定は媒介契約獲得が目的の場合があり、後から値下げを求められるリスクがあるため注意が必要です。
媒介契約前には、掲載媒体・レインズ登録方針・広告の公開範囲を確認しておきましょう。反響状況の報告基準や価格見直しの条件を事前に共有しておくと、データをもとに販売活動の判断がしやすくなります。
資料整備で投資判断を早める(レントロール・収支・修繕履歴・契約書)
投資家向けの売却では、資料が揃っているほど検討が進みやすく、価格交渉も受けにくくなります。レントロール・年間収支実績・賃貸借契約の要点・修繕履歴・設備一覧・法定点検の実施状況は最低限整理しておきましょう。
空室がある場合は募集条件などを見直し、入居中で内見できない場合には、過去の室内写真や修繕内容を補足資料として用意すると、買主の不安を軽減できます。
瑕疵や未解決の課題がある場合は、物件状況報告書などで事前に開示するほうが紛争リスクを防ぎ、売却もスムーズになります。問題の内容だけでなく、対応方針や費用感まで示すことで、交渉の焦点が「条件の調整」に向きやすくなります。
売却タイミングと運用状態を整える(稼働率・賃料・金利・市況)
収益物件は運用状況が良いほど高く評価されます。空室が多いと買主が空室リスクを織り込んで求める利回りが上がり、価格が下がりやすくなります。売却を急がないのであれば、募集条件の見直しや軽微な設備改善で稼働率を整えてから売り出すのが理想です。
賃料は相場とかけ離れた水準にすると退去リスクを高めます。買主が重視するのは一時的な収益より将来の継続性です。周辺相場に沿った賃料水準のほうが安定収益源として評価されやすくなります。
売却価格は市場環境にも左右されます。金利が低い局面では購入需要が高まりやすく、市況が不透明な局面では買主も慎重になります。そのような時期は特に、収支資料や修繕履歴を丁寧に整理し、買主が判断しやすい状態を整えておくことが重要です。
買主ターゲットを広げる販売(遠隔投資家・法人・海外など)
収益不動産は実需物件と異なり、遠隔地の投資家も購入対象になります。そのため、オンラインで十分な情報を提供できる体制を整えるだけでも反響につながります。
法人投資家には収支資料や契約内容の整合性が重視されるため、運営体制・修繕計画・賃貸借契約を整理しておくと社内稟議が進みやすくなります。海外投資家を視野に入れる場合は、英語資料の要否や送金・本人確認の手続きも事前に確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ|収益不動産仲介で失敗しないために
収益不動産の売却では、査定額だけでなく、得意な物件タイプや買主層、販売力まで含めて仲介会社を比較することが大切です。賃貸状況や収支資料、修繕履歴などの情報は買主の判断や価格交渉にも影響するため、事前に整理しておきましょう。
空き家や老朽化した収益物件で「仲介に出しても買い手が見つかるか不安」という場合は、アキサポにご相談ください。
空き家・古民家の再生実績をもとに、物件の状況に合った活用方法や売却の選択肢を、費用面のハードルを抑えてご提案しています。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。