公開日:2026.08.15 更新日:2026.07.27
NEW不動産投資の失敗事例8選|共通点とリスクを防ぐチェックポイント

不動産投資の失敗とは、物件の購入から運用、最終的な売却益までを含めた「通算損益」がマイナスになる状態のことです。
不動産投資は「家賃収入がある=安心」と思われがちですが、空室や修繕費、金利上昇などが重なるとキャッシュフローが悪化し、赤字に陥ってしまうこともあります。なかには「不動産投資は危ない」「失敗すると大きな損失につながる」といった声を目にして、不安を感じる方もいるでしょう。
この記事では、不動産投資で失敗といわれる状態や代表的な失敗事例、失敗しやすい人に共通する特徴、押さえておきたいリスクについて解説していきます。
目次
不動産投資の「失敗」とは何か

不動産投資の失敗とは、家賃収入が得られないことではなく、購入から運用、売却までを含めた収支が想定を下回る状態を指します。失敗には共通する原因があるため、代表的なパターンと回避策を知っておくことで、リスクを抑えた不動産投資につながります。
まずは、不動産投資における「失敗」の考え方を整理しておきましょう。
トータル収支の赤字で判断する
不動産投資における失敗とは、トータルの収支がマイナスになる状態を指します。具体的には、家賃収入から管理費や修繕費、税金、保険料、ローン金利、入居者募集にかかる費用などを差し引き、最終的に売却損益まで含めて赤字になってしまうケースです。
運用中の収支が黒字であっても、物件価格の下落で売却損が出てしまうと、結果として失敗に終わることがあります。売却時の査定額がローンの残高を下回る「オーバーローン」状態になると、売るに売れない『詰み』の状態に陥るため注意が必要です。
一方で運用中に一時的な赤字があっても、ローンの返済が進み、売却損を抑えられたり家賃収入で回収できたりすれば、最終的には黒字になるケースもあります。月々の収支だけで判断するのではなく、購入から売却までのトータル収支で見ていくことが基本です。
運用中の一時的な赤字と区別する
空室の発生や設備の故障、入居者募集にかかる広告費などで、一時的に赤字になることは珍しくありません。不動産投資はリスクがゼロというわけではないため、こうした出費はある程度想定しておく必要があります。
大切なのは、一時的な赤字が出ても資金繰りが悪化しないよう、あらかじめ備えておくことです。生活費とは別に予備の資金を確保し、家賃収入に対して無理のないローン返済額にしておくことが望ましいでしょう。
また、赤字の原因が一時的なものなのか、それとも構造的な問題なのかの見極めも欠かせません。例えば、一度の退去による空室なのか、立地や家賃設定が原因で入居者が決まりにくいのかによって、取るべき対策は変わってきます。管理会社に収支や空室状況を定期的に確かめ、早めに改善していく意識が大切です。
不動産投資で多い失敗事例
不動産投資の失敗事例は、主に「空室・修繕・金利・法律」の4点に集約されます。
不動産会社の説明を鵜呑みにする
提案資料に記載された想定賃料や空室率、修繕費、金利などを十分に確かめずに物件を購入してしまうと、想定と実際の収支にずれが生じ、赤字につながってしまうことがあります。
特に注意したいのは、募集時の賃料をもとに収支を計算していたり、空室率や修繕費を甘く見積もっていたりするケースです。数字そのものに誤りがなくても、前提となる条件が現実とかけ離れていれば、投資判断を誤る原因になりかねません。
対策としては、賃料相場や収支を複数の不動産会社で比べてみることや、重要事項説明書や契約書までしっかり目を通すことが挙げられます。必要に応じて、管理会社や建築士など第三者の意見も取り入れてみましょう。
利回りだけで物件を選ぶ
表面利回りは、物件価格に対する年間家賃収入の割合であり、管理費や修繕積立金などの支出は反映されていません。そのため、利回りが高く見えても、実際のキャッシュフローは思ったより少ない物件もあります。
管理費や修繕積立金、固定資産税、保険料、空室による損失、ローン金利などを含めると、収益は大きく変わってきます。特に区分マンションは管理費や修繕積立金、一棟物件は修繕費や空室の影響を受けやすい点に注意が必要です。
物件選びでは、表面利回りだけで判断せず、実質利回りと月々のキャッシュフローも確かめておきましょう。空室が発生しても返済を続けられるかまでシミュレーションしておくことが、失敗を防ぐポイントになります。
空室リスクを軽視する
空室が発生すると家賃収入が途絶えるだけでなく、入居者の募集費用や原状回復費もかかり、収支が悪化してしまいます。特に戸数が少ない物件ほど、1室の空室が与える影響は大きくなります。
需要が少ない立地や競合物件が多いエリア、相場より高い家賃設定、募集力の弱い管理会社では、空室が長引きやすい傾向があります。また、退去の時期によっては、次の入居者が決まるまで時間がかかることもあります。
購入する前から、一定期間の空室を想定して資金計画を立てておき、退去から募集、入居までの期間も見込んでおきましょう。管理会社と募集方法や広告条件をあらかじめ確認しておくことも大切です。
想定外の修繕費・設備交換が発生する
築年数が古くなると、給排水設備や外壁、屋上防水、共用設備などの修繕や設備交換が必要になってきます。突発的な故障は、手元の資金を圧迫する原因にもなりかねません。
特に避けたいのは、退去時の原状回復と設備交換が重なってしまうことです。修繕が長引くと募集の開始が遅れ、空室期間が延びて、家賃収入の減少につながります。
購入する前には修繕の履歴や建物の状態を確かめ、必要に応じて建物状況調査を実施しましょう。運用中も、利益の一部を修繕費として積み立てておくと、急な出費にも対応しやすくなります。
入居者トラブル・家賃滞納が起きる
家賃の滞納が起こると、満室であっても家賃収入が得られない状態となり、実質的な空室と同じような影響を受けます。対応が遅れるほど未回収の金額が増え、明け渡しにも時間と費用がかかってしまいます。
また、騒音や近隣トラブル、無断転貸、室内設備の破損なども、賃貸経営では起こりうるものです。オーナーだけで対応しようとすると判断が遅れ、結果として損失が拡大してしまうケースもあります。
保証会社の利用や適切な入居審査に加えて、管理会社の対応体制も確かめておきましょう。管理会社を選ぶときは、督促から法的手続きまでの流れがきちんと整っているところを選ぶのがおすすめです。
サブリースに依存して収支が崩れる
サブリースは家賃保証がある一方で、保証賃料の見直しや免責期間、契約解除などの条件があり、収支が悪化してしまう可能性もあります。
家賃保証があるから安心だと考え、契約内容を十分に確かめずに購入してしまうと、保証額が引き下げられたあとにローンの返済が厳しくなるケースもあります。
契約する前には、賃料改定や免責期間などの条件にも目を通し、サブリースがない場合の収支もあわせて試算しておきましょう。
節税目的が先行してキャッシュフローが悪化する
不動産投資は減価償却による税負担の軽減が期待できます。しかし、2024年の『マンション評価通達改正』により、過度な相続対策(いわゆるタワマン節税)は、2026年現在ほぼ封じ込められています。また、ローンの元金返済は経費にならないため、帳簿上の赤字と実際の現金収支のギャップにより、手元資金が減り続ける『デッドクロス(黒字倒産状態)』に陥るリスクもあります。
節税だけを目的に物件を購入してしまうと、家賃収入が少なくキャッシュフローが悪化し、資金繰りに苦しむケースもあります。また、税制は改正される可能性もあるため、節税効果だけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。
節税はあくまで副次的なメリットとして考え、手元に残るお金やトータルの収支を基準に判断していきましょう。不安があれば、税理士にも相談してみるとよいでしょう。
金利上昇で返済負担が増える
2026年、長らく続いた低金利時代は終わりを告げ、金利上昇局面に入っています。変動金利で6,000万円を借り入れ(35年返済)した場合、金利が0.5%から1.5%へとわずか1%上昇するだけで、毎月の返済は【約15.6万円から18.4万円(月+2.8万円、年間+33.6万円)】に急増し、区分マンション1部屋分の収益を根こそぎ奪い去ります。
一方で、金利が上がったからといって、家賃が同じように上がるとは限りません。支出だけが増えてしまうと、返済に余裕のない投資計画ほど赤字になりやすくなります。
ローンは金利タイプの特徴を理解したうえで選び、返済に余裕を持たせておくことが大切です。繰上返済や借り換えも視野に入れながら、無理のない資金計画を立てましょう。
災害・事故で想定外の損失が出る
火災や風水害、地震などで建物が被害を受けると、修繕費だけでなく、空室や家賃収入の減少も生じてしまいます。被害が大きい場合は売却しにくくなり、資金の回収が遅れることもあります。
保険の補償内容が十分でないと、多額の自己負担が生じる可能性があります。また、エリアによっては災害リスクが高く、保険料が高くなることもあります。
購入する前にはハザードマップを確認し、火災保険や地震保険の補償内容にしっかり目を通しておきましょう。
不動産投資で失敗する人の共通点

不動産投資の失敗は、物件選びそのものだけではありません。知識不足や資金計画の甘さ、判断基準の曖昧さなどが積み重なることも、失敗リスクを上げてしまいます。初心者が陥りやすい行動パターンと対策を解説します。
知識不足のまま始める
不動産投資を「家賃収入が入ってくる不労所得」と考え、十分な知識がないまま物件を購入してしまうと、収支や契約内容、融資条件を正しく判断できず、失敗につながる可能性があります。
購入する前には、家賃収入と支出の仕組み、空室や修繕費のリスク、ローンの金利タイプ、管理会社の業務内容、売却時にかかる費用や税金など、基本的な知識を身につけておきましょう。基礎を理解しているだけでも、不動産会社の提案を冷静に判断できます。
情報収集は、ポータルサイトで物件相場をつかみ、書籍や公的な情報で基礎を学んでいくのがおすすめです。不安があれば、セミナーや専門家への相談もあわせて活用してみましょう。
都合の良いシミュレーションをする
満室が続く、家賃は下がらない、修繕費はかからない。そういったポジティブな条件だけで収支を試算してしまうと、少し状況が変わっただけでキャッシュフローの悪化につながりかねません。
通常時だけでなく、空室の長期化や家賃の下落、修繕費の発生、金利の上昇などもシミュレーションしておきましょう。複数のリスクが重なっても、ローンの返済を続けられるかどうかの確認が重要です。
加えて、収支が悪化した場合に「家賃を見直す」「管理会社を変更する」「売却を検討する」といった対応策も、あらかじめ考えておくと安心です。
目的が曖昧で物件選定がブレる
投資の目的があいまいな場合、立地や築年数、利回り、融資条件などの優先順位が定まらず、条件だけで物件を選んでしまいがちに。
例えば、家賃収入を長期的な資産形成につなげたい場合は、入居の需要や管理のしやすさが重要になります。一方、売却益を重視するのであれば、将来の資産価値や売却のしやすさまで考えておく必要があります。
物件を探す前に、「毎月いくら家賃収入を得たいか」「何年間保有するか」「どの価格になったら売却するか」など、自分なりの判断基準を決めておくと、迷いにくくなります。
リスクを把握せず資金計画が甘い
生活費と投資資金を同じ口座や資金で管理していると、空室や修繕費が重なった際に日々の生活費まで圧迫しかねません。資金計画では頭金だけでなく、空室や修繕に備えた自己資金や予備資金を確保しておきましょう。
毎月の手元に残るお金は、利益だけでなく、想定外のリスクに備える余裕でもあります。余裕のある資金計画を立てておくことが、安定した賃貸経営と長期的な資産形成につながっていきます。
不動産投資で理解すべき主なリスク

不動産投資には、空室や修繕費、金利上昇など、避けて通れないリスクがつきものです。ただし、あらかじめリスクを理解し、物件選びや資金計画に反映しておけば、その影響を抑えることは十分に可能です。
空室・家賃下落リスク
不動産投資の収益を左右する代表的なリスクに、空室や家賃の下落があります。人口の動きや周辺の賃貸需要、新築物件の供給、交通の利便性などによって、入居の状況や家賃の相場は変わっていきます。
空室は家賃収入が途絶えてしまうリスク、家賃下落は入居者がいても収入が減ってしまうリスクです。ローンの返済額が変わらない場合は、どちらもキャッシュフローの悪化につながります。
修繕・老朽化リスク
建物や設備は築年数とともに劣化していくため、原状回復や設備交換、大規模修繕などの費用は避けられません。築年数や管理の状況によっては、想定より早く修繕が必要になるケースもあります。
修繕を先送りにすると物件の魅力が低下します。空室が長引いたり、家賃を下げなければ入居者が決まらなくなったりすることもあるでしょう。その結果、修繕費だけでなく家賃収入にも影響が及び、収益全体が悪化する可能性があります。
価格下落・売却損リスク
不動産の価格は、立地や築年数だけでなく、市場の動向や金利、周辺エリアの需要など、さまざまな要因によって変動します。そのため、購入したときより価格が下がり、売却するときに損失が出てしまう可能性があります。
さらに、売却するときには仲介手数料や税金などの費用もかかるため、売却価格だけでなく、最終的な手取り額が想定を下回ってしまうケースもあります。
金利上昇・融資条件変更リスク
投資用ローンは借入額や返済期間が大きいため、金利が上昇すると返済額や支払利息が増え、キャッシュフローに影響が及びます。特に変動金利では、市場金利の変化を受けやすい点に注意が必要です。
また、金融機関の融資方針や物件の収益性によっては、借り換えや追加融資の条件が変わることもあり、当初の資金計画どおりに進まない場合もあります。
管理会社・サブリース契約リスク
入居率や建物の管理、入居者対応など、賃貸経営の安定性に大きく関わってくるのが管理会社の対応力です。募集力や管理の質によっては、空室の長期化や修繕費の増加につながることもあります。
また、サブリース契約は家賃保証がある一方で、賃料改定や免責期間、契約解除などの条件が設けられていることも多く、契約の内容によって収支が変わってくる可能性があります。
失敗を避けるためのチェックポイント

不動産投資で失敗を防ぐには、営業担当の説明だけで判断せず、自分でも確認すべきポイントを押さえておくことが大切です。物件や収支、契約内容など、購入前にチェックしておきたい項目を順番に見ていきましょう。
エリア需要と賃料相場を検証する
物件を購入する前に、まずは賃貸需要の根拠をつかんでおきましょう。人口や世帯数の推移、再開発、大学や企業の有無、駅からの距離など、入居者が集まりやすい理由があるかどうかに注目しましょう。
また、家賃は募集賃料ではなく、近隣で実際に成約した賃料を参考にすると、より現実的な収支を試算できます。
あわせて、築年数や設備、間取りなどが近い競合物件も確かめておき、自分の物件が選ばれる理由があるか見極めましょう。
実質利回りとキャッシュフローで判断する
物件を比べるときは、表面利回りだけで判断せず、実質利回りやキャッシュフローまで確認します。管理費や修繕積立金、固定資産税、保険料、空室による損失、ローン金利などを含めると、実際の収益は大きく変わってくるためです。
加えて、毎月の家賃収入でローン返済や諸費用を無理なくまかなえるかどうかも、確かめておく必要があります。手元の資金に余裕があれば、空室や修繕費が出てしまっても対応しやすくなります。
修繕費・空室期間を織り込んで試算する
資金計画では、原状回復や設備交換、定期的な修繕費だけでなく、突発的な故障に備えた予備費も見込んでおきましょう。
また、退去後にすぐ次の入居者が決まるとは限りません。原状回復や入居者募集、審査などにかかる期間も考えたうえで、一定期間の空室を前提に収支を試算しておきましょう。
管理体制と契約条件を精査する
管理会社選びでは、入居率や募集方法、入居者対応、修繕時の対応などを確認し、安心して任せられるかどうかを見極めます。サブリース契約を結ぶ場合は、賃料改定や免責期間、解約条件、修繕費の負担など、契約の内容まで細かくチェックしておきましょう。
契約書は、想定外のトラブルが起きたときに誰が費用を負担し、どのように対応するのかまで確かめておくと安心です。
出口戦略(売却・保有年数)を決める
「長期保有して家賃収入を得る」のか、「売却益を狙う」のかによって、選ぶべき物件やローンの組み方は変わってきます。
購入する前には、保有年数や想定される売却価格、ローン残高の推移を確認し、売却した場合の収支までシミュレーションしておきましょう。あらかじめ出口戦略を決めておくことで、市場の環境やライフプランが変わった場合でも、状況に応じた判断につながります。
不動産投資の失敗を防ぐために押さえるべき要点
不動産投資で失敗を防ぐカギは、毎月の家賃収入という目先の数字だけで判断せず、購入から売却までを見通した収支で考えることにあります。
物件を購入するときは、空室や家賃下落、修繕費の発生、金利上昇といったリスクをあらかじめ織り込んだうえで、収支を試算しておきましょう。あわせて、管理会社の実績や契約内容の細部、そして出口戦略までをあらかじめ描いておくことが、将来の損失を抑える大切なポイントになります。
利回りの高さや営業担当者の提案を鵜呑みにするのではなく、自分自身の目でリスクと根拠を確かめながら投資判断を下していく姿勢こそが、長期的な資産形成への確かな一歩になるはずです。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






