公開日:2026.08.18 更新日:2026.07.29
【空き家活用事例】カフェ・複合施設への再生例とリノベのポイント

空き家の活用方法というと、多くの方が賃貸住宅や自宅としての再利用を思い浮かべるのではないでしょうか?しかし実際は、カフェや店舗、さらには複合施設など、住宅以外に活用された事例も数多く存在しています。
空き家を住宅以外へリノベーションする魅力は、建物の特徴を生かしながら、地域に新たな価値やにぎわいを生み出せる点にあります。使われていなかった空き家が地域の人々に必要とされる場所へ生まれ変わることは、所有者にとってもうれしいものですよね。
では、実際にどのような空き家活用が行われているのでしょうか。この記事では、アキサポのショート動画をもとに、用途の異なる3つの空き家活用事例を紹介します。後半では、用途を決める際の確認事項や、そのほかの再生事例もまとめ紹介しますので、空き家の使い道に迷っている方はぜひチェックしてみてください。
目次
空き家は「住む」だけでなく「活用する」時代へ

空き家のリノベーションを考えるとき、もともと住宅として建てられた建物でも、必ずしも「住まい」としてだけ見る必要はありません。地域の需要に目を向ければ、かつてのリビングをカフェの客席に、個室を教室や施術スペースに、庭を地域の人が集まる場所に活用できる可能性もあります。
一般的に、住宅としてリノベーションする場合は、周辺の家賃相場や間取り、駅からの距離などを踏まえ、費用対効果を重視した計画を立てます。しかし、そこに活用の視点を加えると、部屋数や庭の広さ、昔ながらの建具といった特徴も、新たな価値を生み出す要素として浮かび上がります。住宅としての評価だけでは気づけなかった建物の魅力が、用途を広げることで見えてくるのです。
| 物件の特徴 | 検討しやすい活用例 | 特に確認したいこと |
|---|---|---|
| 道路に面した戸建て・1階 | カフェ、物販、サロン | 人通り、視認性、厨房・換気、近隣への影響 |
| 住宅地の戸建て・庭付き | ケア施設、教室、地域交流拠点 | 利用者ニーズ、安全性、送迎・駐車、運営者 |
| 部屋数の多い住宅・アパート | シェア施設、店舗併設型の複合施設 | 区画ごとの用途、共用部、避難動線、管理体制 |
もちろん、こうした可能性を形にするには、建物の状態や地域の需要、法的な条件などを確かめなければなりません。所有者だけで判断することが難しい場合も、アキサポのような空き家活用の専門家と一緒に進めれば、物件の特徴や課題を整理しながら、建物に合った用途を検討できます。
以下で紹介する事例では、空き家に残された間取りや素材を生かしながら、それぞれ異なる役割を持つ場所へと再生しています。どのような視点から建物の可能性を引き出したのか、詳しく見ていきましょう。
事例① 築67年の空き家を産前産後ケア施設にリノベーション

1つ目は、神奈川県川崎市中原区にある産前産後ケア施設「あゆむ庵」です。JR南武線「武蔵新城」駅から徒歩10分の場所に建つ、築67年の木造住宅を再生しています。
この建物は、所有者がかつて両親と暮らしていた実家で、建築時には両親の地元である富山県から木材を運んだというほどの思い入れのある家だったことから、維持し続けられる方法を探していました。
当初は戸建て賃貸住宅としての活用も検討していましたが、ちょうど活動拠点を探していた株式会社こころが思い描く「多世代が集う家」と物件の特徴が合致したことでこのプランに。子育てや出産に不安を抱える家庭を支援し、世代を超えて地域の人が交流できる産前産後ケア施設「あゆむ庵」として再生されました。
改修では、古民家のような佇まいや木の風合いを残しながら、古くなった水回りや壁、床、天井、インフラ部分を一新しました。シロアリ対策や不要な木の伐採も行い、庭の一部には送迎や来訪者が使える普通車1台分の駐車スペースを設けています。
ショート動画では、あえて和室を洋室に変えず、そのまま残していることが分かりますが、その結果、昔ながらの和室を求める利用者のニーズに合致するという嬉しい結果になりました。古いから取り替えるのではなく、建物の魅力として生かせる部分を見極めたことが、この施設ならではの落ち着いた雰囲気につながっています。
事例② 風呂なしアパートからおしゃれな複合施設に

2つ目は、東京都台東区谷中にある「ヤナカアパートメント」です。入居者が減少していた築52年の風呂なしアパートを、1階に店舗、2階にシェアハウスが入る複合施設へ再生しました。
この建物は、老朽化によって新たな入居者を募集できない状態になっていました。すべての住人が退去した後は約1年間空き家となりましたが、相続した土地を売却するのではなく、何か面白い形で活用したいという所有者の思いから、アキサポへ相談いただきました。
物件がある谷根千エリアは、下町らしい街並みを目的に訪れる観光客が多い一方、日暮里駅から徒歩6分、千駄木駅から徒歩9分と交通の便がよく、住宅としての需要も見込める地域です。そこで、どちらか一方の需要に絞るのではなく、1階を観光客や地域住民が立ち寄れる店舗、2階を学生などが暮らせる全8室のシェアハウスとして活用しました。
1階には、カフェやセレクトショップ、貸しギャラリーなど5つの店舗が入っています。店舗部分の窓はテラスから直接出入りできる掃き出し窓へ変更し、閉じていた庭も人が立ち寄りやすい開放的な空間へ整えました。住人だけが使うアパートから、暮らす人、働く人、観光客、地域住民が行き交う「小さな文化圏」へと役割を広げています。
2階のシェアハウスは、風呂なし・和式トイレだった水回りを一新し、水回りを共有する形でのリノベーションに成功しています。さらに、入居者同士の交流や創作活動を促す広い共用スペース「アトリエコリビング」も設けています。
この事例から分かるのは、建物の弱点を一つずつ解消するだけがリノベーションではないということです。風呂がないという条件をシェアハウスという形で解消し、さらに地域の観光需要を店舗へ取り込む。複数の需要を建物全体で受け止めることで、従来の賃貸経営とは異なる価値を生み出した事例となっています。
事例③ 空き家から生まれたおしゃれカフェ&バル

3つ目は、東京都文京区小石川にあった「小石川かふぇ」です。アキサポが初めて手がけた第1号物件で、築年数不明の3棟が連なる木造長屋の一部を、カフェ&バルへ再生しました。活用した建物は延床面積27.26㎡、約8坪の小さな住居です。
現在は営業を終了していますが、地域の需要と使い手の希望を結び付け、空き家を地域に親しまれる店舗へ再生した事例として紹介します。
ここでカフェ&バルを選んだ理由は、その立地にあります。最寄りの茗荷谷駅周辺には飲食店が多い一方、地域には住民がゆっくり過ごせる店がありませんでした。そこで「気軽に飲める場所が欲しい」という近隣住民の声と、カフェバルを始めたい若者の希望を結び付け、地域に親しまれる店舗が誕生したのです。
リノベーションの内容ですが、動画から分かるように、レンガと木製ドアが印象的な外観は、もとの姿から大きく変えられていません。一方で木製の玄関ドアや、店内に設置された木のカウンターには利用者のこだわりが反映され、建物の雰囲気を残しながら、落ち着きのある空間に仕上げられています。2階には8人で利用できる席もあり、少人数だけでなく、グループでもゆったり過ごせるつくりです。
この事例から分かるのは、空き家の魅力を引き出すために、外観や内装をすべて新しくする必要はないということです。建物が持つ風合いを残しつつ、利用者のセンスやこだわりを加えることで、その店ならではの個性が生まれます。さらに、地域の需要と使い手の希望を結び付けることが、継続的に利用される場所をつくるうえで重要です。
ほかにもある「アキサポ」で空き家を住宅以外に活用した事例
アキサポのWebサイトでは、ほかにも数多くの活用事例を掲載しています。そこで、さらにイメージがしやすいように、住宅以外に活用したビフォーアフターを5つ見ていきましょう。
1.原宿エリアのアパートをカルチャーの交流拠点に活用

渋谷区神宮前で約4年間空き家だったアパートを、飲食店、アパレル、ギャラリーなどが入る「URAHARA CENTRAL APARTMENT」へ再生した事例です。原宿という立地の需要を捉え、1棟を複数の小さな事業者が使える形にしています。テナントという点を考慮して、区画を完成させすぎず、入居者が内装をつくり込める余地を残しました。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 建築年月 | 築42年(お問合せ時) |
| 駅徒歩 | JR山手線「原宿」駅 徒歩8分 東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前」駅 徒歩7分 |
| 延床面積 | 202.1㎡(1F:104.65㎡ 2F:97.45㎡) |
| 構造 | 鉄骨コンクリート造陸屋根2階建 |
| 店舗概要 | 【1F】 ・101 TOKYO BEER LAB(飲食店/ブルワリー) ・102 TACOS 3HERMANOS HARAJUKU(飲食店/タコス専門店) 【2F】 ・201 nerine(ネイルサロン) ・202 Chillweeb(アパレル) ・203 PUNKTURE(ギャラリーショップ) ・204 NAYUTAS(個別ダンススタジオ) ・205 Neova(アパレル) |


2.「特定空家等」認定寸前の空き家だった元美容室をモダンに再生

品川区南大井の、かつて親族が美容室を営みながら暮らしていた店舗兼住宅を再生した事例です。本物件は、廃業後は約20年間使われず、外壁の欠損やサッシの破損、建物の傾き、不法投棄が進み、「特定空家等」への認定が迫っていました。
しかし、立会川駅から徒歩2分、国道沿いで目に留まりやすく、周辺に競合店が少ないことから、再び美容室として活用することに。構造や外装を補修したうえで、内装は入居者が自由に仕上げられる状態で引き渡しました。建物の条件を整え、かつての用途を現代に復活させた事例です。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 建築年月 | 不詳 |
| 駅徒歩 | 京浜急行電鉄「立会川」駅より徒歩2分 |
| 延床面積 | 47.75㎡ |
| 構造 | 木造瓦葺2階建 |


3.10年空き家だった戸建てを古い素材を生かした和モダンカフェへ活用

文京区千駄木の築50年の戸建ては、約10年の空室期間で雨漏りや床の腐食が進み、歩くことも難しい状態でした。それでも、残置物を撤去して屋根や床を直し、昔ながらの木材や建具はあえて残すことに。その風合いを気に入った利用者と出会い、茶室を備えた和モダンカフェ「粋黒」へ生まれ変わりました。古さを消すのではなく、街並みに合う魅力として磨き直した事例です。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 建築年月 | 築50年(お問合せ時) |
| 駅徒歩 | 東京メトロ千代田線「千駄木」駅より徒歩5分 |
| 延床面積 | 約55.59㎡ |
| 構造 | 木造セメント瓦葺2階建 |
| 店舗概要 | 飲食店(2階に茶室あり) |


4.世田谷の空き家を飲食店×シェアハウス×αの地域活性化拠点へ活用

世田谷区祖師谷で20年前まで社宅や住居として使われていた築60年超の建物を、飲食店連動型シェアハウス「b.e.park」に再生した事例です。1階のダイニングバーでは飲食だけでなく、作品の展示・販売や地域イベントも開催し、上階には人が暮らすシェアハウスを配置。長く役割を失っていた建物が、住人と地域の人々をつなぐ交流拠点として再び動き始めました。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 建築年月 | 不明 |
| 駅徒歩 | 小田急線「祖師ヶ谷大蔵」駅 徒歩5分 |
| 延床面積 | 1~3階 56.56㎡ / 屋階 6.54㎡ / 延床 176.22㎡ |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造陸屋根3階建 |


空き家の用途を決める前に確認したい4つのポイント
ここまで紹介した事例のように、空き家は視点を変えることで、住宅以外にもさまざまな役割を持たせられます。ただし、魅力的な活用方法だからといって、どの物件でも同じように成功するわけではありません。建物の特徴と地域の需要、使い手の希望がかみ合って初めて、継続できる活用方法になります。
そのため、最初から用途を一つに決めるのではなく、次の4つの視点から物件の条件を整理しましょう。複数の活用案について、初期費用や運営負担、収益性を比較することが大切です。
- 地域の需要:周辺住民の年齢層や人通り、競合施設、駅からの距離を調べ、誰が継続して利用するのかを具体化する
- 建物と法的条件:劣化や耐震性、給排水、電気容量に加え、用途地域、接道、建築・消防・保健所の手続きを確認する
- 改修後の運営:借り手や運営者、賃料、共用部の管理、修繕費の負担、撤退時の原状回復や次の用途を整理する
- 所有者の目的:毎月の収入、管理負担の軽減、地域貢献、将来の売却など、活用によって実現したいことを明確にする
活用案は初期費用と運営の続けやすさで比べよう
活用案を比較する際には、改修費や想定賃料だけで結論を出さず、運営開始までの期間や、開始後に所有者が担う仕事なども比較しましょう。高い賃料を見込める用途でも、専門設備の維持や頻繁な入退去対応が必要なら、実際の手残りや管理負担は想定と異なるかもしれません。反対に、賃料がやや低くても、長期利用する事業者が入り、日常の管理を任せられるなら、安定した活用方法になることがあります。
| 比較項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 調査、設計、補強、設備、内装、外構、申請にかかる費用と、追加工事に備える予備費 |
| 収入と契約 | 想定賃料、契約期間、空室期間、賃料改定、原状回復、途中解約の条件 |
| 日常の管理 | 清掃、設備点検、庭、ごみ、騒音への対応を、誰がどの費用で行うか |
| 将来の出口 | 次の借り手へ転用しやすいか、売却や住宅利用へ戻す場合に必要な工事や手続き |
ここで大切なのは、条件を数字や図面だけで比較しないことです。その場所を実際に使う「人」がいるため、想定する利用者や事業者へ希望を聞き、必要な設備や動線を具体化する必要があります。たとえば、カフェなら席数や厨房の広さ、ケア施設なら個室数や送迎方法、シェア施設なら共用部の使い方や管理人の条件などが大切です。
また、空き家活用では理想やこだわりを形にするだけでなく、無理なく運営を続けられる収支をつくることも欠かせません。地域貢献のために賃料を低く設定したり、内装や設備へ費用をかけすぎたりすると、修繕費を確保できず、事業の撤退によって再び空き家へ戻ってしまうかもしれません。
理想を諦める必要はありませんが、すべてを一度に実現しようとせず、運営しながら少しずつ完成させる考え方も必要です。所有者、運営者、利用者の三者に無理のない条件を整え、長く使い続けられることを活用案選びの基準にしましょう。
アキサポなら調査から活用までワンストップで相談できる

空き家は「住む」だけでなく、カフェや店舗、ケア施設、複合施設など、視点を変えればさまざまな役割を持たせられます。ただし、どの物件も同じように成功するわけではありません。建物の特徴・地域の需要・使い手の希望がかみ合って、はじめて長く続く活用になります。だからこそ、用途を一つに決め打ちせず、地域需要・建物と法的条件・改修後の運営・所有者の目的の4点から比較検討することが大切です。
とはいえ、これらを一体で考え、設計者や借り手まで所有者だけで探すのは簡単ではありません。アキサポなら、調査から活用プランの提案、リノベーション、利用者の募集・運営までワンストップで支援します。原則としてリノベーション費用はアキサポが負担するため、建物を手放さず、費用を抑えて活かせます。
相談の時点で用途が決まっている必要はありません。「建物を残したい」「地域の役に立てたい」といった希望だけでも大丈夫です。空き家の使い道に迷ったら、一人で抱え込まず、まずはアキサポに建物の可能性を確かめてみませんか。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。
空き家の使い道、まだ決まっていなくて大丈夫です
建物の特徴と地域の需要に合った活用方法を、調査から運営まで一貫してご提案。原則としてリノベーション費用はアキサポが負担するため、費用を抑えて活かせます。
※建物の状況等によっては、一部費用のご負担をお願いする場合がございます。
この記事の監修者
岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。






