公開日:2026.09.11 更新日:2026.08.25
NEW不動産仲介業者トラブルの事例と対処法・予防策

不動産仲介業者とのトラブルとは、不動産の売買や賃貸を仲介する過程で、契約内容や費用、説明不足、担当者との認識のずれなどから生じる問題のことです。
信じて任せたのに話が違う…不動産売買や賃貸でのトラブルは、大きなお金が動くだけに精神的な不満や焦りを強く伴うものです。
この記事では、不動産仲介業者とのよくあるトラブル事例をはじめ、問題が起きたときの対処法や相談先、未然に防ぐための業者選びのポイントを解説します。仲介手数料や重要事項説明、売買契約などで疑問を感じている方は、今後の対応を整理するためにお役立てください。
目次
不動産仲介でトラブルが起きやすい理由

不動産仲介業者トラブルとは、不動産の売買や賃貸を仲介する業者との間で、費用や契約内容、説明不足などを巡って生じる不快な紛争や行き違いのことです。
不動産仲介のトラブルは、悪質な業者だけが原因ではありません。取引の複雑さや、売主・買主と仲介業者との知識量の差から、認識のズレが生まれやすいことも理由の一つです。
不動産売買は、多くの人にとって人生で数回あるかないかの経験ですが、仲介業者にとっては日常的な業務。そのため、「説明したつもり」「理解したつもり」といった行き違いが起こることがあります。
さらに、売買契約書や重要事項説明書には専門用語が多く、不動産取引に慣れていない人が契約内容をすべて理解するのは簡単ではありません。特に、契約の解除条件や手付金、瑕疵の扱い、仲介手数料などは、売主・買主と不動産業者との認識に差が出やすい部分です。
営業担当者との口頭でのやり取りも多く、説明内容の受け取り方によっては「言った・言わない」のトラブルへ発展するケースもあります。このような取引の複雑さと情報量の差が、不動産仲介でトラブルが起きやすい背景にあるのです。
不動産仲介業者のトラブル事例

重要事項の説明不足や契約内容の認識違い、仲介手数料などの費用、契約解除・返金、営業担当者の対応など、さまざまな場面で発生するのが不動産仲介業者とのトラブルです。
まずはよくあるトラブル事例と照らし合わせ、自分のケースに問題がないか、仲介業者の説明や対応が妥当なのかの判断材料にしましょう。
重要事項説明が不十分だった
重要事項説明では、物件の権利関係や法令上の制限、インフラ、管理状況、契約解除など、不動産売買の判断に関わる内容が説明されます。
必要な説明がないまま売買契約を結ぶと、契約後に「そんな条件は聞いていない」とトラブルになるケースがあります。よくある例としては、建築上の制限や管理上のルール、物件の瑕疵など、購入の判断に影響する情報を知らされていないなどです。
仲介業者には、宅地建物取引業法に基づく重要事項の説明義務があります。そのため、説明されなかった内容や契約時の状況によっては、説明義務違反が問題となる可能性もあります。
媒介契約書・書面が交付されない/内容が違う
媒介契約は、不動産売却を仲介業者に依頼する際に、業務内容や仲介手数料などの条件を定める契約です。一般媒介・専任媒介・専属専任媒介によって、他社へ依頼できるか、レインズへの登録や活動報告が必要かなどが異なります。
そのため、媒介契約書が交付されない、口頭で聞いた説明と書面の内容が違うといった場合は注意が必要です。
仲介手数料の不当請求・報酬トラブル
仲介手数料には法律で上限が定められており、上限を超える請求や、別の名目で費用を上乗せされるケースはトラブルの原因になります。「相場より高い気がする」と感じても、何が不当な請求に当たるのか分からず、支払ってしまうケースも珍しくありません。
宅建業法上、仲介手数料は「成功報酬」であり、通常の広告費や現地案内費、書類作成費はすべて手数料に含まれます。依頼者が「特別に指図・承諾した特別な広告費」などを除き、別途請求することは違法(上限超過請求)となる可能性が高い点に注意が必要です。
また、仲介手数料が発生する条件や支払い時期について、仲介業者と売主・買主の認識が異なることもあります。金額だけでなく「何に対する費用なのか」「いつ支払う契約なのか」が曖昧なまま進むことも、報酬トラブルにつながる原因のひとつです。
瑕疵(雨漏り・シロアリ等)の説明不足
購入した物件に雨漏りやシロアリ、給排水設備の不具合などがあり、引渡し後に発覚するトラブルもあります。なかには修繕にまとまった費用がかかり、購入前に知っていれば契約しなかった…と買主が不満を抱くケースも。
特に中古物件では、建物の経年劣化や過去の修繕状況などから、内見だけでは分からない不具合が見つかることもあります。
民法改正により従来の「瑕疵(かし)担保責任」は「契約不適合責任」へ移行しました。目的物が契約内容と合致しない場合、買主は追完請求(修補など)、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除が可能です。
契約条件の食い違い(口頭説明と契約書の差)
引渡し時期や付帯設備、境界・測量、修繕費用の負担、残置物の扱いなど、営業担当者から聞いていた内容と売買契約書の記載が食い違うことも、不動産仲介で起こりやすいトラブルです。
「売主が家具を撤去すると聞いていた」「測量後に引き渡すと説明された」といった口頭での合意が契約書や特約に反映されていなければ、後から「言った・言わない」の争いに発展する可能性があります。
契約解除・キャンセル時に揉める(手付金・違約金)
不動産売買の契約後にキャンセルを申し出て、手付金の返還や違約金をめぐるトラブルが起こることもあります。
契約解除には、手付解除やローン特約による解除、契約違反を理由とする解除などがあり、それぞれ条件や手付金の扱いが異なります。
自己都合によるキャンセルなのか、売買契約書に定められた解除条件に該当するのかによっても対応が変わるため、手付金や違約金の負担をめぐって売主・買主・仲介業者の主張が食い違いやすいケースです。
預り金・申込証拠金が返ってこない
物件の申込時に支払った預り金や申込証拠金について、申込みを撤回した際に「返金できない」と言われるトラブルがあります。
不動産取引では預り金・申込金・申込証拠金・手付金など似た名称が登場しますが、その性質や返還条件は同じではありません。特に、売買契約を結ぶ前に支払う申込証拠金などと、契約成立後の手付金を混同すると、キャンセル時の返還をめぐって揉めやすくなります。
支払ったお金がどのような名目・条件で預けられたものなのかによって扱いが変わるため、返還の可否について買主と仲介業者の認識が食い違うケースがあります。
強引な勧誘・契約を急かされる
「今日中に決めてほしい」「ほかにも申込みが入っている」などと契約を急かされたり、断っても勧誘が続いたりする場合は要注意です。
特に、威圧的な言動や不安をあおる説明によって契約を迫られると、物件や契約内容を十分に比較・検討できないまま契約してしまうことがあります。その結果、後から仲介手数料や解除条件などを知り、「聞いていた話と違う」「もっと考えてから決めたかった」とトラブルにつながるケースもあります。
トラブルを防ぐ不動産仲介業者の選び方

不動産仲介業者を選ぶ際は、契約前の対応から信頼できる業者かどうかの見極めが肝心です。
会社の知名度や規模だけでなく、担当者の対応や説明の分かりやすさ、契約内容・費用の透明性なども判断材料にしましょう。
免許番号・行政処分歴を確認する
まず、不動産業者の宅地建物取引業の免許番号をチェックしましょう。免許番号の括弧内にある数字は更新回数を示しており、営業年数を知る目安になります。ただし営業年数だけで信頼できる業者かどうかは判断できないため、ほかの情報とセットで見るのがよいでしょう。
あわせて、過去に行政処分を受けていないかも判断材料になります。同じような理由で処分を繰り返している場合は、契約や顧客対応の体制に問題がないか慎重に見極める必要があります。
保証協会などへの加盟状況も確認しておくと、万一トラブルが起きたときに、どこへ相談すればよいか分かりやすくなります。
担当者の説明の仕方と記録対応を見る
担当者を見極める際は、物件のメリットだけでなく、デメリットやリスクまで説明してくれるかを見ておきましょう。質問に対して曖昧に答えず、分からないことは「確認してから回答します」と誠実に対応してくれるかもポイントです。
メールでの回答や打ち合わせ内容の記録、書面の事前共有などにきちんと対応してくれる担当者であれば、後から「言った・言わない」のトラブルも防ぎやすいでしょう。
複数社を比較し、見積もりと方針を揃える
不動産仲介業者を選ぶときは、複数社の提案や見積もりを比較するのが基本です。
比較するときは、販売価格の考え方や値下げの基準、広告・内覧の進め方、活動報告の頻度など、同じ項目を各社に聞くのがポイントです。
見積もりは総額だけで判断せず、仲介手数料のほかに発生する費用やオプションの内訳まで比べるとよいでしょう。
トラブルを予防するチェックポイント(手続きの流れ別)
不動産取引の手続きが進んでから問題に気づくと、条件の変更や契約解除が難しくなるケースも。 仲介業者に任せきりにせず、手続きの段階ごとに必要な内容を確認しておくことがトラブル予防につながります。
確認するタイミングは、大きく分けて次の3段階です。
- 媒介契約前:契約の種類や仲介手数料、業務内容を確認する
- 重要事項説明前:物件の状態や権利関係、契約条件を確認する
- 契約時~決済前:売買契約書や費用、引渡し条件を確認する
それぞれの段階で押さえておきたいポイントを順番に見ていきましょう。
媒介契約を結ぶ前に確認すること
| 媒介契約の種類 | 他社への重ねて依頼 | レインズ(不動産流通標準情報システム)登録義務 | 業務報告義務 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 自由(複数社と契約可) | 義務なし | 義務なし |
| 専任媒介契約 | 不可(1社のみ) | 契約翌日から7営業日以内 | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介契約 | 不可(自己発見取引も不可) | 契約翌日から5営業日以内 | 1週間に1回以上 |
媒介契約には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介があり、種類によって他社へ依頼できるか、仲介業者からの活動報告がどの程度あるかなどが異なります。まずはそれぞれの違いを理解し、自分の希望に合った契約を選びましょう。
契約前には仲介手数料だけでなく、広告や内覧対応などの業務範囲、活動報告の方法、頻度までチェックを。あわせて、レインズへの登録、契約期間、更新・解約の条件まで目を通しておきます。
媒介契約書を受け取ったら、仲介業者から説明された内容と書面に違いがないかを確認し、控えを手元に保管しておきましょう。
売買契約前(重要事項説明前)に確認すること
重要事項説明書をできるだけ事前に受け取り、物件の権利関係や法令上の制限、管理規約、インフラなどを確認します。
あわせて、物件状況報告書や設備表などから、瑕疵や修繕履歴、設備の状態を確認します。境界・測量についても、実施の有無や費用負担、スケジュールを把握します。
ローン特約や預り金の返還条件など、契約解除や金銭に関わる条件にも目を通し、口頭で説明された内容と書面に食い違いがないかチェックしましょう。
売買契約時・決済前に確認すること
売買契約書の最終版を確認し、これまで説明された内容や合意した条件が反映されているかを照合します。疑問点が残っている場合は、そのまま署名・押印せず、仲介業者に説明を求めましょう。
特に、手付金や違約金、契約解除の条件、引渡し時期、付帯設備・残置物の扱いなどは、売主・買主の認識がずれやすいポイントです。残代金や管理費などの精算方法も含め、認識に食い違いがないか整理しておくとよいでしょう。
決済前には、登記や抵当権の抹消、必要書類、当日の流れを確認し、売主・買主それぞれが準備するものを把握しておきましょう。
不動産仲介でトラブルになったら最初にやること
不動産仲介業者とトラブルになった場合、感情的なやり取りは禁物です。自分に不利な状況を避けながら解決を目指すためにも、まずは契約内容とこれまでの経緯を把握することから始めましょう。
契約書・重要事項説明書・媒介契約書を確認する
まずは売買契約書や重要事項説明書、媒介契約書を手元に用意し、トラブルに関係する内容を確認します。仲介手数料なら報酬に関する項目、契約解除なら解除条件や期限、瑕疵なら契約不適合責任や設備に関する項目を見ていきます。
契約解除のように、複数の項目が関係するケースもあります。該当するページや条項が分かるようにしておくと、仲介業者との話し合いや第三者へ相談する際にも状況を伝えやすくなります。必要な書面を受け取っていない場合は、仲介業者に交付を求めましょう。
証拠(メール・録音・書面)と時系列を整理する
続いて、トラブルが起きるまでの流れと、それを裏付ける証拠をまとめます。いつ、誰と、どのようなやり取りをしたかを時系列で書き出し、仲介業者から受けた説明や書類、支払った金額なども一緒に棚卸ししましょう。
「説明された内容と契約書が違う」といったケースでは、当時どのような説明を受けたのかが分かる記録が判断材料になります。メールやLINE、見積書、広告、打ち合わせのメモ、通話録音、写真なども証拠として残しておくとよいでしょう。
まず業者に書面で申し入れ、回答期限を決める
契約内容や証拠を確認したら、仲介業者へ書面で申し入れます。申し入れる際は、トラブルの内容と求める対応、その根拠、回答期限を具体的に伝えます。返金を求めるなら金額、説明を求めるなら何について回答してほしいのかまで明確にするとスムーズです。
電話や対面で話した場合も、後から内容を確認できるよう、要点をメールなどに残しておきましょう。
不動産仲介トラブルの相談先

仲介業者との話し合いだけでは解決が難しい場合は、行政窓口や専門機関、弁護士など第三者への相談を検討しましょう。窓口によって、対応できるトラブルやサポートの範囲は異なります。最後に、不動産仲介トラブルで利用できる主な相談先と、それぞれの対応内容を見ていきましょう。
都道府県・自治体の宅建業相談窓口
都道府県などの行政庁には、不動産取引や宅建業者に関する相談窓口があります。仲介業者とのトラブルについて、法令に照らした助言を受けられるほか、内容によっては業者への指導につながる場合もあります。
相談する際は、売買契約書や重要事項説明書、媒介契約書、見積書・請求書、仲介業者とのやり取りなどを用意しておきましょう。
ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する
ADR(裁判外紛争解決手続)とは、裁判をせず、中立な第三者が間に入って話し合いによる解決を目指す方法です。裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、双方が納得できる解決方法を探していきます。裁判と比べて手続きが簡単で、費用や時間の負担を抑えやすい点も特徴です。
仲介手数料などの返金額をめぐる争いや、説明不足によって損害が生じた場合の補償など、金額や条件について話し合う余地があるトラブルに向いているでしょう。
利用する場合は、契約書や重要事項説明書、仲介業者とのやり取りなど、トラブルの経緯が分かる資料を揃えておくと、話し合いを進めやすくなります。
弁護士・法テラスに相談する
契約解除ができるか、損害賠償を請求できるかなど、法律にもとづく判断が必要な場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
また、仲介業者との話し合いが進まない場合には、弁護士に交渉を依頼することもできます。弁護士に相談したいけれど、費用が心配…という場合は、法テラスを利用する方法もあります。収入や資産など一定の条件を満たせば、無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立替制度を利用できます。
相談する際は、売買契約書や重要事項説明書などの関係書類に加え、これまでの経緯をまとめたメモや仲介業者とのやり取りを用意しておきましょう。
不動産仲介業者トラブルの注意点とまとめ
不動産売買では、仲介業者の説明を十分に理解しないまま契約を進めると、費用や契約条件、物件の瑕疵などをめぐってトラブルになることがあります。少しでも疑問や予兆があれば、そのまま手続きを進めず、契約書や説明内容を確かめるようにしましょう。
また、仲介業者の選び方や契約前のチェックによって、防げるトラブルもあります。万一、問題が起きた場合は、やり取りや証拠を洗い出し、必要に応じて行政窓口や専門家へ相談するなど、状況に合った対処法を選びましょう。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。






