公開日:2026.09.16 更新日:2026.08.31
NEW空き家を売る前にやるべきこと|売却方法・費用・税金・手順

「相続した空き家を売りたいけれど、何から始めればいいの?」と迷っていませんか。そのまま売るか、壊して売るかなど、判断が難しいですよね。
また、せっかく空き家を手放すなら、なるべく高く売りたいところ。ただ、売却価格だけを見て決めてしまうと、解体や片付け、税金などに費用がかかり、思ったより手元にお金が残らないこともあります。
そこでこの記事では、空き家を売る方法や売却前に確認しておきたいこと、費用・税金、利用できる特例などをまとめて解説します。売却を進める際の注意点や、なかなか売れない場合の見直し方も紹介しますので、これから空き家の売却を考えている方は参考にしてください。
目次
まずは空き家を売却する方法から決めよう

空き家を売るときは、建物をどのような状態で売るのか、誰に売るのかによって、かかる費用や手間、売却までの期間が変わります。まずはそれぞれの売り方の特徴を知り、自分の空き家に合いそうな方法を考えてみましょう。
それぞれの特徴は以下の通りです。
- 建物を残して現況のまま売る:費用をかけずそのまま売却(価格は低め)
- 必要な範囲をリフォームして売る:見栄えを良くして売却(費用回収の検討が必要)
- 解体して更地で売る:買い手を広げて売却(解体費用の自己負担が発生)
- 不動産会社に直接買い取ってもらう:不動産会社へ即売却(スピード重視・価格は相場の7〜8割)
建物を残して現況のまま売る
建物を残したまま売却する方法は、リフォームや解体に費用をかけずに、そのまま売却を進められるメリットがあります。売却前の手間も少なく済むため、遠方にある空き家など、自分で頻繁に現地へ足を運ぶのが難しい場合にも進めやすいです。
その一方で、買主は購入後のリフォームや解体まで見込んで購入することになるため、建物の状態によっては売却価格が抑えられることがあります。家財などが残っている場合は、そのまま引き渡せるのか、売主側で撤去するのかも売却条件に関わってきます。
必要な範囲をリフォームして売る
必要な部分だけリフォームして売却する方法は、古さや傷みが目立つ箇所を整え、物件の印象をよくできるのが特徴です。水回りの汚れや壁紙・床の傷みなどをきれいにしておけば、内見時に古さや劣化が目立ちにくくなり、購入希望者からの印象も良くなります。
ただし、リフォームにかけた費用を回収できるかは、よく考えておきたいところです。どこまで手を入れるか迷ったら、工事前に不動産会社へ相談し、リフォームによって査定額や売れやすさがどの程度変わりそうかを確認したうえで範囲を決めるとよいでしょう。
解体して更地で売る
建物の老朽化が進んでいる場合や、土地としての需要が高い地域では、建物を解体して更地にしたほうが売りやすくなることがあります。これは、買主にとっては解体費用や手間を負担する必要がなく、購入後すぐに建築を始められるため、古家付きの状態より購入を検討しやすくなるためです。
この方法で気を付けたいのは、更地にすることで上がる売却価格で、解体費用を回収できるかという点です。たとえば、古家付きで1,500万円、更地なら1,700万円で売れるとしても、解体に250万円かかれば、売主の手元に残る金額はむしろ少なくなります。解体する前に両方の状態で査定を取り、価格差と解体費用を比べて判断するとよいでしょう。
不動産会社に直接買い取ってもらう
不動産会社に空き家を直接買い取ってもらう方法は、広告を出して購入希望者を待つ必要がないため、仲介よりも短期間で売却しやすく、内見対応などの手間も抑えられます。
一方、買取では、不動産会社が買い取った物件をリフォームして再販売するための費用や利益を見込んで価格を設定するため、仲介で一般の買主に売る場合よりも売却価格が低くなる傾向があります。そのため、なるべく高く売りたい場合よりも、多少価格が下がっても早く現金化したい場合や、空き家の管理を早めに終えたい場合に向いている方法です。
空き家を売る前に確認・整理するべきこと

空き家を売る方法が決まったら、次は売却に向けた準備を進めましょう。ここで名義や権利関係などに問題が残っていると、買主が見つかってから手続きが止まることもあるため、査定を依頼する段階から分かる範囲で整理しておきましょう。
相続登記・共有名義・売却権限
相続した空き家を売るには、事前の名義変更が必須です。2024年4月1日より「相続登記」の申請が法律で義務化されており、取得を知った日から3年以内に登記を行わないと10万円以下の過料ペナルティが科される可能性があります。売却活動の前に必ず相続登記を完了させましょう。
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議で誰が空き家を取得するのかを決めるのが一般的です。共有名義にする場合も、売却や管理について意見が分かれると手続きを進めにくくなるため、誰がどのように売却を進めるのかまで整理しておくとスムーズです。
抵当権や境界などの権利関係
登記事項証明書を確認し、抵当権や差押え、地上権など、売却に影響する権利が残っていないかも確認しておきましょう。住宅ローンを完済していても、抵当権の抹消登記をしておらず、登記簿上は残っているケースもあります。
抵当権抹消には金融機関の書類が必要です。紛失した場合は再発行に時間がかかるため、早めに確認しましょう。土地の境界についても、どこまでが売却する土地なのか分かる資料があるか確認し、曖昧な点があれば不動産会社へ早めに相談しておきましょう。
建物の状態と告知事項
空き家の状態は、売却価格だけでなく、どの方法で売るかを決める材料にもなります。雨漏りや床の沈み、シロアリ被害、給排水の不具合、設備の故障など、分かる範囲で建物の状態を確認しておきましょう。
こうした不具合を把握している場合は、査定の段階から不動産会社へ伝えておくことも大切です。状態によっては、補修してから売るよりも現況のまま売ったほうがよい場合もあるため、修繕するかどうかも含めて売却方法を検討しましょう。
家財・残置物・清掃の方針
家財や残置物などは、売却方法によってどこまで片付ける必要があるかが変わります。量が多い場合は、室内の写真を撮ったうえで「残す物」「処分する物」「親族へ確認する物」に分けると整理しやすくなります。
自力での片付けが難しい場合は、専門業者に処分費用の見積もりを依頼するのがおすすめです。家財を残したまま売却できる不動産会社もあるため、片付けにかかる費用や手間も比べながら、どこまで整理してから売るのかを決めるとよいでしょう。
空き家の売却価格を比較する際にチェックすべきポイント

売却価格を見る際に気を付けたいのが、査定額の高さだけで判断しないということです。高く売れそうに見えても、解体費や片付け費用、売れるまでの維持費がかかれば、最終的に手元に残る金額は少なくなることがあります。売り方を比較するときは、次のようなポイントをあわせて確認しましょう。
| 比較する項目 | チェックしたいポイント | 見る理由 |
|---|---|---|
| 査定額・想定売却価格 | いくらで売れそうか | 比較の基本になる金額。古家付き、更地、買取など、売り方別の想定価格も確認する |
| 売却前にかかる費用 | 解体費、片付け費用、測量費、登記費用など | 売却前に必要となる支出。査定額が高くても、費用が大きければ手残りは減る |
| 売却にかかる税金 | 譲渡所得税、印紙税など | 売却によって発生する税負担。最終的な手残りを考えるうえで確認が必要 |
| 売れるまでの期間 | 売却までにどのくらいかかるか | 長引くほど固定資産税や保険料、管理などの負担が続く |
| 売却までの手間 | 内見対応、片付け、現地管理など | 売り方によって変わる売主側の負担。遠方の空き家では特に差が出やすい |
| 売却後の責任 | 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)や告知事項 | 売買契約と異なる欠陥(シロアリ・雨漏り等)があった場合に売主が負う補修・賠償責任のこと。どこまで責任を負う契約(免責条項等)にするか確認する |
とくに意識したいのは「いくらで売れるか」ではなく「いくら残るか」です。たとえば、更地にしたほうが高く売れても、解体費用まで含めると現況のまま売るほうが有利なこともあります。反対に、買取は価格が低くなりやすいものの、売却期間を短縮できるので、その間の維持管理費を減らせるメリットがあります。
このように、空き家の売却価格を比較するときは、査定額だけを並べるのではなく、費用・税金・期間・手間まで含めて比べることが大切です。候補ごとに条件を書き出してみると、自分に合った売り方が見えやすくなるでしょう。
空き家売却にかかる費用と税金
空き家を売る際は、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料や登記費用などのほか、売却方法によっては片付けや解体、測量にも費用がかかります。
主な費用と税金は以下のとおりです。
| 費用・税金 | 必要な場面 | 目安 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社の仲介で売却するとき | 売買価格800万円超:売買価格×3.3%+6.6万円(税込)。800万円以下は特例(低廉な空家等の特例)により上限33万円(税込、要事前合意) |
| 印紙税 | 売買契約書を作成するとき | 売買価格500万〜1,000万円:5,000円、1,000万〜5,000万円:1万円(軽減措置適用) |
| 登録免許税 | 相続登記や抵当権抹消をするとき | 相続登記:固定資産税評価額×0.4%。抵当権抹消:不動産1個につき1,000円 |
| 残置物処分費 | 家具や家電を業者で処分するとき | 間取りに応じ3万〜30万円程度(量や搬出条件で変動) |
| 解体費用 | 建物を壊して更地で売るとき | 坪あたり木造3万〜5万円、鉄骨4.5万〜9万円、RC6万〜10万円 |
| 測量費用 | 土地の境界を確定させるとき | 確定測量:一般住宅地で50万〜60万円程度 |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却益(譲渡所得)が出たとき | 所有期間5年超:20.315%、5年以下:39.63%(被相続人の所有期間を引き継ぐ) |
空き家を売るまでの流れ|査定から引き渡しまで

空き家の売却は、査定を依頼してから買主を探し、売買契約、引き渡しへと進みます。大まかな流れは以下のとおりです。
相続登記(名義変更)を確認し、複数の不動産会社へ価格査定を依頼する。
提案内容や査定額の根拠を比較し、信頼できる不動産会社と媒介契約を結ぶ。
不動産会社が広告を出し購入希望者を募集。内見対応や価格交渉を行う。
買主と条件(価格・特約・引き渡し時期など)を合意し、重要事項説明を経て契約する。
代金の残金・所有権移転登記を行い、鍵を引き渡す。利益が出た場合は翌年確定申告を行う。
なお、それぞれの必要書類が不足すると手続きが止まる可能性があります。実際に動き出す前に、不動産会社へ必要書類を確認し、取得や準備に時間がかかるものから早めに揃えておきましょう。
空き家売却で使える特例・控除・補助金
相続した空き家を売る場合、条件によっては税負担を軽くできる特例や、解体費用の一部を補助してもらえる制度があります。ただし、売却や解体をしたあとでは利用できないものもあるため、売却方法を決める段階で使える制度がないか確認しておきましょう。
被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除
相続した空き家を一定の条件で売却すると、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。適用期限は2027年12月31日までです。なお、相続人が3人以上いる場合は1人あたりの控除上限額が2,000万円に減額されます。また、売却後に買主が耐震工事や解体工事を行う場合でも特例が適用できるよう要件が緩和されています。
対象となるのは、原則として1981年5月31日以前に建築され、相続直前まで被相続人以外が住んでいなかった家屋などです。さらに、相続から売却まで事業・賃貸・居住に使っていないこと、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金が1億円以下であること、区分所有建物登記がされている建物ではないことなどの条件があります。
条件が細かいため、利用を考えている場合は、売却前に税務署や税理士へ確認しておくと安心です。
相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例
本制度は、相続税を納めた人が、相続した空き家などを一定期間内に売却した場合に、納めた相続税の一部を取得費に加算できる特例です。取得費が増えるとその分だけ譲渡所得が小さくなるため、売却時の税負担を抑えられる可能性があります。
対象となるのは、相続税が課税されており、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに財産を売却した場合です。
なお、同じ空き家の売却について、先ほど紹介した3,000万円特別控除と取得費加算の特例を併用することはできません。どちらを使ったほうが有利になるかは、売却益や納めた相続税によって変わるため、売却前にそれぞれの税額を試算して比較するとよいでしょう。
自治体の解体・除却補助金
多くの自治体では、空き家の解体・除却を補助する制度を用意しています。対象となる空き家の状態や補助額、対象工事、施工業者などの条件は自治体によって異なるため、まずは空き家の所在地を管轄する自治体で制度の有無を確認してみましょう。
補助額は自治体によって差がありますが、解体費用の3分の1〜2分の1程度、上限50万〜100万円程度が多いです。
本制度で特に気を付けたいのが、申請と工事の順番です。制度によっては、交付決定前に工事を始めると補助対象外になります。実際に解体を進める前に、申請期限や必要書類、対象となる工事の範囲まで確認し、補助金の交付決定を受けてから着工するのが確実です。
空き家売却に強い不動産会社の選び方

空き家の売却価格や売れるまでの期間は、依頼する不動産会社によっても変わります。査定額の高さだけで決めず、次のような点を確認してみましょう。
- 空き家や古家付き土地の売却実績があるか
同じ地域で空き家を扱った実績があれば、周辺の需要や売れやすい価格帯も把握している可能性が高い - 建物を残す場合と解体する場合の両方を提案できるか
一つの売り方に決めつけず、建物の状態や土地の需要を見ながら比較できる会社を選ぶ - 査定額の根拠を具体的に説明してくれるか
周辺の成約事例や競合物件などをもとに、なぜその査定額になったのか確認する - 売出価格や販売方針まで説明してくれるか
いくらで売り出すのかだけでなく、反響を見ながら価格をどう調整していくのかまで聞いておく
査定額だけを見ると高い金額を提示した会社を選びたくなりますが、大切なのは実際にその価格で売れる見込みがあるかどうかです。複数社へ査定を依頼し、金額とあわせて提案内容も比較するとよいでしょう。
まとめ|空き家は「いくら残るか」まで見て売り方を決めよう
空き家を売るときは、査定額の高さだけでなく、解体や片付け、税金などを差し引いたあとにいくら手元に残るのかまで見て比べることが大切です。建物をそのまま売る、リフォームする、更地にする、買取を利用するなど、それぞれの特徴を踏まえて、自分の空き家に合った方法を選びましょう。
まずは名義や権利関係、建物・家財の状態を整理し、複数の不動産会社へ査定を依頼するところから始めてみてください。特例や解体補助金を利用できそうな場合は、契約や工事を進める前に税務署・税理士や自治体へ確認しておけば、使える制度を逃さずに売却を進めやすくなります。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。






