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公開日:2026.11.08

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契約不適合責任の免責とは?不動産売買での意味と注意点

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契約不適合免責とは、不動産の売却後に見つかった不具合に対し、売主が負う修理や補償の責任を免除する取り決めのことです。通常、引き渡し後に雨漏りや設備の故障が見つかると、売主は修理費用や損害賠償を求められることがあります。

こうしたリスクのために設けられるのが「免責特約」です。ただし、免責特約を設ければ、必ず責任を免れるわけではありません。

この記事では、契約不適合責任の免責の基本から、特約が無効になるケース、売買契約書に記載する際の注意点まで解説。「売った後に雨漏りが見つかったら、高額な修理代を払うの?」「免責にしたら買手がつかないのでは?」と不安や迷いがある方は、ぜひ参考にしてみてください。

契約不適合責任とは

不動産の欠陥や瑕疵に対する責任を解説する「瑕疵物件」の文字ブロックと家模型

契約不適合責任とは、引き渡した不動産が契約内容と異なる場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。

判断の基準となるのは、単に物件に欠陥があるかどうかではなく、売買契約で合意した内容と実際の状態が一致しているかどうか。たとえば、雨漏りがないと説明していた物件で、引渡し後に雨漏りが発覚した場合などが該当します。

なお、これらの権利は無条件に認められるものではなく、不具合の内容や契約条件などによって判断が異なります。

瑕疵担保責任との違い(民法改正のポイント)

2020年4月の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。

以前は、買主が通常の注意では発見できない「隠れた瑕疵(欠陥)」が主な対象でしたが、現在は契約内容に適合しているかどうかが判断基準となります。

また、買主が請求できる権利も整理され、修理などを求める「追完請求」や「代金減額請求」が明確に認められました。

不具合の通知期限も変わりました。種類または品質に関する契約不適合については、買主が「不具合を知ったときから1年以内」に売主へ不適合である旨を通知しなければ権利を行使できなくなるルールとなっています(ただし、引き渡し時に売主がこれを知り、または重大な過失によって知らなかったときは除きます)。

契約不適合にあたる具体例

契約不適合にあたるのは、雨漏りやシロアリ被害、給排水管の漏水、設備の故障など、契約で予定していた物件の状態と実際の状態が異なるケースです。

具体的には、次のような例が挙げられます。

  • 建物の不具合
    雨漏りやシロアリ被害、給排水管の漏水などが発覚した
  • 設備・仕様の相違
    オール電化と説明されていたのに、実際はガス併用だった
  • 土地・境界の問題
    説明されていない越境があったり、契約で合意した土地面積より実際の面積が小さかったりした

ただし、不具合が見つかったからといって、必ず契約不適合になるわけではありません。築年数による劣化や設備の状態など、契約時にどこまで説明・合意していたかによって判断が異なります。

買主が請求できる主な権利(追完・代金減額・解除・損害賠償)

契約不適合が認められた場合、買主は売主に対して、主に次の4つの権利を行使できます。

請求できる権利概要具体的な例
追完請求不具合の修理や交換を求める雨漏りの防水工事や給湯器の交換を請求する
代金減額請求修理されない場合に購入価格の値引きを求める修理に応じないため修理相当額の減額を求める
契約解除目的が達成できない場合に契約を解除する住めないほどの重大な欠陥があり解約する
損害賠償請求不具合によって発生した余計な費用を請求する漏水で家具が濡れた損害や仮住まい費用を求める

引渡し後に雨漏りが発覚したケースでは、買主は売主に修理を求めることができます。売主が催告を受けても対応しない場合などには、代金減額や契約解除に発展する可能性もあります。

売主側に落ち度(過失)がある場合は、引越し費用や仮住まい費用などの損害賠償を請求されることもあります。

これらの権利が認められるかどうかは、不具合の内容や契約条件、法律上の要件によって異なります。 売主としても、どのような場合に責任が生じるのかを理解しておきましょう。

契約不適合免責(免責特約)とは

不動産売買における契約不適合責任の免責特約を表す、家模型と裁判官の木槌

契約不適合免責(免責特約)とは、不動産売買において、売主が負う契約不適合責任の全部または一部を免除する取り決めのことです。

たとえば、築年数が古い物件では、引渡し後に予期せぬ不具合が見つかる可能性があります。こうしたリスクに備え、売主と買主の合意によって責任の範囲や期間を定めるのが免責特約です。

免責には、すべての責任を免除する「全部免責」と、特定の不具合や設備などに対象を絞る「一部免責」があります。どちらを選ぶかは、物件の状態や売買条件によって異なります。

ただし、免責特約を設けても、売主が知っていた不具合を告げなかった場合などは責任を免れません。 買主が負担するリスクも踏まえ、双方が納得できる内容にすることがポイントです。

免責特約で定められる範囲と書き方の基本

免責特約では、対象となる物件や不具合の種類、責任を免除する範囲・期間などを具体的に定めます。

特に相続した実家などの「空き家」を売却する場合、長年の放置による老朽化で隠れた不具合が多く潜んでいます。さらに、2024年施行の改正空き家対策特別措置法などにより、放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家」に指定されて市町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例(減税)の対象から除外されるリスクが高まっています。そのため、売却にあたっては事前の専門家による現状把握と、免責特約のセットでの検討が不可欠です。

対象となる不具合には、建物本体の雨漏りやシロアリ被害、給湯器などの付帯設備の故障、土地の地中埋設物などがあります。 それぞれを分けて整理すると、免責の範囲が明確になるでしょう。

売買契約書には、次のような文言を記載する方法があります。

【免責特約の記載例】
売主は、本物件について、契約不適合責任を負わないものとする。ただし、売主が知りながら買主に告げなかった事実については、この限りではない。

これは個人間売買を想定した一例です。実際には、物件の状態や売主・買主の立場に応じて内容を調整する必要があります。

注意したいのは、契約書に「現状有姿渡し」と記載しただけでは契約不適合責任を免責したことにはならない点です。現状有姿は「現状の姿で引き渡す」旨の合意に過ぎず、隠れた不具合の修補義務まで免除する特約とは裁判実務上認められません。 売買契約書には免責の対象や条件を明記し、物件状況報告書(告知書)や付帯設備表の内容とも一致させておきましょう。

すでに把握している不具合があれば、事前に買主へ伝え、修理せずに引き渡すことについて合意を得ておくと、引渡し後のトラブルを防ぎやすくなります。

免責が問題になりやすい売主・買主の組み合わせ(個人・宅建業者・事業者・消費者)

免責特約をどこまで設定できるかは、売主と買主の立場によって異なります。

売主と買主の組み合わせ免責特約の有効性適用される法律とルール
個人 × 個人有効(全部免責も可能)民法(双方が納得すれば自由に設定可能)
宅建業者 × 個人原則無効(買主に不利な特約は不可)宅建業法(責任通知期間は「引き渡しから2年以上」が必須)
事業者 × 消費者全部免責は無効消費者契約法(事業者の責任を完全に消す条項は無効)

個人同士の売買では、比較的柔軟に免責範囲を決められます。一方、宅建業者が売主となる場合は、原則として買主に不利な特約を設けられず、責任に関する通知期間を引渡しから2年以上とする特約などに限られます。

また、事業者と消費者の契約では、消費者契約法によって免責が制限されるケースもあります。

免責特約の有効性は、契約書の文言だけでなく、売主・買主の立場や取引条件によっても変わります。 判断に迷う場合は、不動産会社や法律の専門家に相談しましょう。

契約不適合免責のメリット・デメリット

不動産売買における契約不適合免責のメリットとデメリットを比較する家模型とチェックシート

免責特約を設けるかどうかは、物件の状態や売却価格、買主が負担するリスクなどを踏まえて判断する必要があります。それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

免責のメリット(売主のリスク・コストを抑える)

免責特約のメリットは、引渡し後に不具合が見つかっても、売主が修理費や損害賠償などを負担するリスクを減らせることです。

たとえば、売却後に雨漏りが発覚した場合、通常は契約内容によって売主が修理を求められる可能性があります。有効な免責特約があれば、対象となる不具合については、原則として売主が修理費を負担せずに済みます。

修理業者の手配や買主との交渉にかかる手間も減らせるため、売却後の予期せぬ出費やトラブルを抑えやすくなるでしょう。

特に、長年の使用による傷みが蓄積している築古物件では、建物の劣化や設備の故障をすべて予測するのは難しいもの。免責特約を設ける代わりに売却価格を調整すれば、買主も将来の修繕費を見込んだうえで購入を検討できます。

免責のデメリット(トラブル化・価格交渉・売れにくさ)

免責特約のデメリットは、買主が購入後の不具合や修繕費を心配し、売却価格や成約までの期間に影響する可能性があることです。

たとえば、雨漏りやシロアリ被害が見つかっても売主に修理を求められない条件では、買主は将来の出費に備える必要があります。そのため、修繕費を見込んだ値下げを求められたり、購入を見送られたりするケースも考えられます。

さらに、免責の範囲が曖昧だと、買主が購入後の負担を判断できず、契約をためらう原因にもなります。

免責特約を設ける際は、売主の負担軽減だけでなく、買主が納得できる価格や条件とのバランスを考えましょう。

免責が無効・適用されない主なケース

不動産売買の契約不適合免責が無効になる事例を表す「CASE」の文字ブロック

前述の通り、免責特約は売主の責任を無条件になくせる万能な約束ではありません。契約書に記載していても、状況によっては効力が認められないことがあります。

では、どのような場合に免責が認められないのでしょうか。売主が見落としがちな代表的なケースを、具体例とともに見ていきましょう。

売主が不具合を知りながら告げなかった場合

売主が物件の不具合を知っていたにもかかわらず、買主に伝えなかった場合は、免責特約があってもその不具合について責任を免れることはできません。

具体的には、次のようなケースが該当します。

  • 過去に雨漏りが発生し、修理したことを伝えていなかった
  • シロアリ被害や駆除した履歴を隠していた
  • 水道管からの漏水を知りながら、買主に説明しなかった

民法第572条では、売主が知りながら買主に告げなかった事実については、免責特約があっても責任を免れないと定められています。

過去に修理を済ませた不具合であっても、告知していなかった事実が後から問題になるケースがあるため、注意が必要です。

宅建業法・消費者契約法に反する場合(宅建業者売主など)

売主が宅建業者の場合は、宅建業法によって免責特約に制限があります。

宅建業者が自ら売主となり、宅建業者以外の買主に不動産を売却する場合、原則として買主に不利な免責特約は認められません。

たとえば、次のような特約は無効となります。

  • 契約不適合責任をすべて免除する
  • 買主が不具合を通知できる期間を「引渡しから6か月以内」とする

宅建業法では、契約不適合について買主が通知できる期間を「引渡しから2年以上」とする特約など、一定の例外を除き、民法より買主に不利な特約を設けることはできません。

一方、売主が事業者で買主が一般消費者の場合は、消費者契約法による制限も受けます。売主の損害賠償責任をすべて免除する条項などは、法律上の例外を除いて無効となる可能性があります。

免責特約の有効性は、売主・買主の立場や契約内容によって異なります。不動産会社を通じた売買でも、仲介業者がいるだけで宅建業者売主の規制が適用されるわけではありません。誰が売主になるのかを踏まえ、特約の内容を検討することが大切です。

免責が無効になった場合に売主が負う責任

免責特約が無効になった場合、売主は契約不適合責任を負い、買主から修理や代金減額、損害賠償などを求められる可能性があります。

特に注意したいのは、免責を条件に売却価格を下げていたケースです。価格を譲歩したにもかかわらず、引渡し後に修理費などを負担することになれば、想定していた売却利益が大きく減ってしまうこともあるでしょう。

さらに、買主との話し合いがまとまらなければ、不具合の原因調査や弁護士への相談など、費用と時間の両面で負担が増えるおそれもあります。

実際に売主が負う責任は、不具合の内容や契約条件によって異なります。免責特約が無効になった場合の影響は、金銭面だけにとどまらないことも理解しておきましょう。

免責特約を入れる前に売主がやるべきこと

不具合や修理履歴を曖昧にしたまま契約を進めると、引渡し後に買主との認識が食い違い、思わぬトラブルに発展することも。売却前に済ませておきたい2つの準備を見ていきましょう。

トラブルを防ぐ売却準備の2ステップ
STEP 1:物件の不具合を正確に把握・告知する
雨漏り、シロアリ、給水管の漏水など現状をチェック。「物件状況報告書」と「付帯設備表」に隠さず全て記載します。
↓
STEP 2:契約書と告知書の内容を一致させる
「告知書で伝えた不具合」と「売買契約書の免責特約」に食い違いがないか最終確認し、特約として明記します。

物件状況の把握と告知(付帯設備表・告知書の整備)

まずは、売却する物件の状態を把握することから始めましょう。雨漏りやシロアリ被害、給排水管の漏水、給湯器の故障など、生活に影響する箇所を中心に調べます。土地の境界や隣地への越境、過去の増改築・修理履歴なども、買主に伝えておきたい情報です。

把握した内容は、次の書類にまとめます。

  • 物件状況報告書(告知書)
    雨漏りやシロアリ被害、過去の修理歴などを書く書類
  • 付帯設備表
    給湯器やエアコンなどの不具合を伝える書類

状態がわからない箇所は、無理に「問題なし」とせず、不明であることを伝えましょう。

建物の劣化が気になる場合は、専門家が建物の状態を調べる「インスペクション(建物状況調査)」を利用する方法もあります。

契約書と告知書の内容に食い違いがないか確認する

物件の状態を整理したら、売買契約書と物件状況報告書(告知書)、付帯設備表の内容が一致しているか見直しましょう。

たとえば、告知書には「雨漏りの修理歴あり」と記載しているのに、契約書では雨漏りについて何も触れていない場合、買主との認識にずれが生じる可能性があります。

あわせて、免責の対象となる不具合や責任を負う期間、買主への説明内容が契約条件と矛盾していないかもチェックしたいところです。

契約書の内容に不安がある場合は、不動産会社や宅地建物取引士、弁護士などの専門家に相談し、物件の状態や取引条件に合った内容に整えましょう。

契約不適合免責に関するよくある質問
Q1. 築年数が古い実家を売る場合、全部免責にしても大丈夫ですか?
個人間の売買であれば「全部免責」に設定することは可能です。ただし、知っていながら隠していた不具合は免責されません。また、買主のリスクが増すため値引き要求を受けやすくなる点に注意が必要です。
Q2. 「現状有姿」で売却すれば、契約不適合責任は免責になりますか?
いいえ、免責にはなりません。「現状有姿」は「現在の状態のまま渡す」という意味であり、責任を無効にする特約ではありません。免責にするには「契約不適合責任を負わない」と明記する必要があります。
Q3. 不動産会社に買い取ってもらう場合も免責特約は必要ですか?
不動産会社が買主となる「業者買取」の場合、売主(個人)の契約不適合責任をすべて免除する特約を結ぶのが一般的です。引渡し後の売主リスクを完全にゼロにしたい場合に有効な方法です。

まとめ|契約不適合責任の免責は内容と条件を理解したうえで判断を

不動産売却は、大きなお金が動く取引だからこそ、引渡し後の思わぬ出費やトラブルは避けたいもの。契約不適合責任の免責特約は、そんな売主の不安や金銭的なリスクを軽減するための手段のひとつです。

ただし、免責特約を設ければ、すべての責任から解放されるわけではありません。売主が知っていた不具合を告げなかった場合など、免責が認められないケースもあります。

まずは、物件の不具合や過去の修理履歴を洗い出し、売却時にどこまで責任を負うのか整理することから始めてみましょう。

売主・買主の双方が納得できる条件を見つけ、売却後も安心して次の一歩を踏み出せるよう、早めに準備を進めていきましょう。

この記事の監修者

一級建築士 白崎 達也

白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー

一級建築士

中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。

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