公開日:2021.11.08 更新日:2026.05.29
世田谷区の空き家事情と住宅相場|5大エリアの特徴と一般に出回らない「隠れた空き家」の探し方
空き家探しをしている皆さんは「世田谷区」と聞いてどんなイメージを持つでしょうか? おそらく多くの方が「成城」に代表される高級住宅街や、再開発で洗練された「二子玉川」を思い浮かべ、「とても一般層には手が出せない高い街」と感じているのではないでしょうか。
しかし、世田谷区全体を広く見渡してみると、地域ごとに下北沢や三軒茶屋など多様なカルチャーや親しみやすい下町情緒が広がる、非常に魅力的な街であることに気づきます。また、物件のエリアや条件(築年数や専有面積など)を適切に絞り込めば、23区内でありながら5,000万円を下回る中古の一戸建てや空き家物件に出会えるケースも決して珍しくありません。
この記事では、世田谷区の5大エリアごとの地域特性や最新の住宅相場、そして「実は都内最多」という意外な空き家事情と、一般のポータルサイトには流通しない穴場物件の探し方をプロの視点で徹底解説します。
目次
世田谷区はどんな所?街の特徴と交通事情

世田谷区は東京都の南西部に位置し、東京23区内でも有数の広大な住居専用地域を擁する街です。東側は渋谷区や目黒区、大田区に、北側は杉並区、西側は三鷹市・調布市に隣接し、南西側は多摩川を挟んで神奈川県川崎市と接しています。
人口は東京23区内で最も多い約92万人(※近年の最新統計)を誇り、圧倒的な居住需要があります。区内には「駒沢オリンピック公園」や「都立砧(きぬた)公園」など広大で緑豊かな公園が点在し、駅周辺から一歩入ると幹線道路の少ない静かで歩行者に優しいゆとりある住環境が広がっています。また、実は東京23区内で農地面積が2番目に多い区でもあり、都会の利便性と豊かな自然が絶妙なバランスで共存しているのが大きな特徴です。
交通アクセスも抜群で、渋谷駅や新宿駅、自由が丘駅といった都心の主要ハブ駅へシームレスにアクセスできる路線網が網の目のように整備されています。
世田谷区の交通事情|電車・高速道路の状況
世田谷区内には、鉄道が8路線も走り、数多くの駅が区内全域を網羅しています。道路網も非常に優秀で、東西に走る甲州街道(国道20号)や玉川通り(国道246号)、南北を結ぶ環状7号線・8号線が整備されているほか、高速道路のインターチェンジも充実しています。電車・車のどちらを利用する場合でも、都心や神奈川方面へ極めて快適に移動できる環境が整っています。
世田谷区の電車路線と主な駅一覧
- 京王線: 代田橋駅、明大前駅、下高井戸駅、桜上水駅、上北沢駅、八幡山駅、芦花公園駅、千歳烏山駅
- 京王井の頭線: 池ノ上駅、下北沢駅、新代田駅、東松原駅、明大前駅
- 東急世田谷線: 三軒茶屋駅、西太子堂駅、若林駅、松陰神社前駅、世田谷駅、上町駅、宮の坂駅、山下駅、松原駅、下高井戸駅
- 東急田園都市線: 池尻大橋駅、三軒茶屋駅、駒沢大学駅、桜新町駅、用賀駅、二子玉川駅
- 東急大井町線: 九品仏駅、尾山台駅、等々力駅、上野毛駅、二子玉川駅
- 東急目黒線: 奥沢駅
- 東急東横線: 自由が丘駅(※駅自体は目黒区だが世田谷区に近接)
- 小田急小田原線: 東北沢駅、下北沢駅、世田谷代田駅、梅ヶ丘駅、豪徳寺駅、経堂駅、千歳船橋駅、祖師ヶ谷大蔵駅、成城学園前駅、喜多見駅
世田谷区の高速道路路線とインターチェンジ一覧
- 東名高速道路: 東京IC
- 首都高速3号渋谷線: 用賀出入口、三軒茶屋出入口、池尻出入口
- 第三京浜道路: 玉川IC
世田谷区の住宅相場|5つのエリア別に特徴を紹介

世田谷区は行政のマスタープラン(地域計画)に基づき、大きく5つのエリアに区分されてまちづくりが進められています。画一的ではなく、エリアごとに独自の個性や街並みが形成されているため、住宅相場も地域差がはっきりと出ます。
敷地面積や築年数、駅徒歩分数によって価格は変動しますが、それぞれのエリアの最新の相場感と特徴を整理しました。
① 世田谷エリア:三軒茶屋を拠点とする区の中央・都心近接エリア
東急田園都市線や世田谷線が走る、区内でも特に人気の高いエリアです。渋谷へわずか1駅(約5分)の「三軒茶屋」周辺は賑やかな商業地として発展していますが、通りから一本入ると閑静な住宅街が広がります。職住近接の利便性を求める層に圧倒的な需要があります。
- 新築戸建て相場: 6,000万〜2億円
- 中古戸建て相場: 6,000万〜3億円(※築古・スモール戸建てなら5,000万円以下の掘り出し物もあり)
② 北沢エリア:下北沢を擁するトレンドと若者カルチャーの発信地
「下北沢」を中心に、演劇や古着、音楽などの個性的なサブカルチャーが根付く活気あるエリアです。新宿・渋谷のどちらにも数分で出られる抜群の立地を誇ります。駅前の繁華街を抜けると古くからの狭小住宅やアパート、中古住宅が密集している地域もあり、条件次第で相場より安く家を手に入れられるチャンスがあります。
- 新築戸建て相場: 6,000万〜1億5,000万円
- 中古戸建て相場: 3,000万〜1億5,000万円
③ 烏山(からすやま)エリア:新宿へ好アクセスな世田谷の「隠れた穴場」
京王線の「千歳烏山」や「芦花公園」周辺に位置する地域です。千歳烏山駅から準特急(区間急行等)を利用すれば新宿駅まで約15分と抜群の利便性を誇りながら、周辺は静かで落ち着いたファミリー向けの住宅街が広がっています。都心から適度に距離があるため、世田谷区内では最も予算を抑えてマイホームを探せる有力な穴場エリアです。
- 新築戸建て相場: 3,500万〜8,000万円
- 中古戸建て相場: 2,500万〜7,000万円
④ 砧(きぬた)エリア:成城を筆頭とする最高峰の高級住宅街エリア
全国的なブランドを誇る高級住宅街「成城」を擁するエリアです。小田急線の「成城学園前」駅周辺には、敷地が広く並木道が美しい端正な邸宅街が広がっています。古くから「成城憲章」などの住民自治による景観維持意識が極めて高く、ステータスや良好な住環境を何より重視する層に愛されています。広大な邸宅が多いため、中古市場でも1億円超の物件が中心です。
- 新築戸建て相場: 5,000万〜1億円(※買い手のつきやすい7,000万〜9,000万円台のコンパクト分譲が主流)
- 中古戸建て相場: 7,000万〜10億円(※1億円以上の大型物件が多数)
世田谷の空き家を“飲食店×シェアハウス×α”の地域活性化拠点へ
⑤ 玉川エリア:二子玉川の利便性と多摩川の自然が織りなす洗練の街
再開発によって美しく区画整理された「二子玉川」を中心とする、多摩川沿いの景観が美しいエリアです。大型商業施設(二子玉川ライズや高島屋)の利便性を享受しつつ、多摩川河川敷の広大な公園(兵庫島公園・二子玉川公園など)でピクニックやスポーツを楽しめるため、子育て世帯から絶大な支持を得ています。
- 新築戸建て相場: 5,000万〜1億円(※5,000万〜7,000万円前後の分譲も点在)
- 中古戸建て相場: 5,000万〜1億円
世田谷区の空き家事情|実は「空き家数23区内ワースト」という意外な現実
高級で洗練されたイメージの強い世田谷区ですが、実は総務省統計局の「住宅・土地統計調査」において、空き家の総数が「約5万戸」にのぼり、全国の市区町村の中で最多(23区内でもワースト1位)であるという衝撃的な事実を知っているでしょうか?
大都市圏であるため空き家「率」自体は全国平均を下回りますが、分母となる住宅総数が圧倒的に多いため、結果として莫大な数の空き家が滞留しています。
その背景には、古くからの地主や高齢の所有者が多く、相続が発生した後に実家がそのまま放置されているケースが多いためです。これらの空き家の中には、市場(一般の不動産ポータルサイト)に一切流通していない「隠れた空き家」が大量に存在しています。
空き家と聞くと「ボロボロで住めないのでは?」と思われがちですが、中には軽微な水回りの補修やクロスの張り替えだけで、そのまま快適に住めるポテンシャルの高い優良物件も眠っています。「世田谷区は高すぎて予算オーバーだ」と最初から諦める必要はありません。探し方の視点を変えて、流通前の「隠れた空き家」を狙うことこそが、憧れの世田谷区で賢く家を手に入れるための最大の攻略法なのです。
世田谷区で「隠れた空き家」を見つける4つのアプローチ

一般的な不動産情報サイトに載るような物件は、すでに価格が高騰していたり、好条件のものは瞬時に蒸発してしまったりします。また、空き家は原則として「現状有姿(そのままの状態)」での引き渡しとなるため、購入・賃貸した後にどこまでリフォーム費用がかかるかを見極める必要があります。
世田谷区に眠る未公開の空き家情報を掘り当てるための、4つの実戦的なルートを紹介します。
① 空き家活用サービス(マッチングサービス)を利用する
世田谷区で掘り出し物の物件を探す手段の一つとして、空き家専門のマッチングサービス(空き家活用サービス)を利用する方法があります。
これは、空き家の処分や管理に困っている「所有者」と、空き家を買いたい・借りたい「利用希望者」を仲介するサービスです。所有者側の「近所に知られずに手放したい」「売買の手続きがよくわからない」といった事情から、一般的な不動産ポータルサイトには掲載されない未公開物件が集まりやすいという特徴があります。
一般的なサービスでは、単に物件を紹介するだけでなく、以下のような流れで一連の手続きをサポートしてくれます。
- 物件の提案: 一般市場に出回る前のクローズドな空き家情報から、希望条件に合う物件を紹介してもらう
- 現地調査の同行: 空き家特有の劣化リスク(雨漏りやシロアリなど)がないか、専門家の視点で見極める
- リフォームの相談: 現状有姿(そのままの状態)で引き渡されることが多いため、住むために必要な修繕プランや見積もりを合わせて提示してもらう
- 契約・手続き: 個人間取引でトラブルになりがちな契約書の作成や、名義変更の手続きをバックアップしてもらう
「予算を抑えて世田谷区に住みたい」「古い家をリノベーションして自分好みの空間を作りたい」という場合は、こうした専門サービスに希望のエリアや条件を登録し、相談してみるのが有効なアプローチとなります。
② その他の専門的な空き家活用サービス
世田谷区のように需要の強いエリアでは、複数の専門サービスを網羅しておくのが鉄則です。築30年以上の築古物件をオーナー負担ゼロで再生する「カリアゲ」や、全国的な管理・相談ネットワークを持つNPO法人のサービスなどを併用し、常に新しい情報にアンテナを張っておくことで選択肢を広げられます。
③ 地域に根差した「老舗の地場不動産屋」を回る
Web全盛の時代ですが、世田谷区の古くからの地主層は、ネットを介さず「昔から付き合いのある地元の小さな不動産屋」に直接、「実は実家の扱いに困っていて…」と相談するケースが多々あります。 こうした大手ポータルサイト(レインズ含む)に登録される前の一次情報を掴むには、希望エリアの駅前にある老舗の不動産屋へ直接足を運ぶのが有効です。具体的な希望予算や「古い空き家をDIYして住みたい」といった熱意を伝えて何度も通うことで、業者側もアンテナを張り、掘り出し物が出た瞬間に優先して声をかけてくれるようになります。
④ 自治体の相談窓口(せたがや空き家活用ナビ)の活用
世田谷区は不動産としての資産価値が非常に高いため、一般的な自治体が運営するような「空き家バンク(0円〜格安物件の一般公開)」は設置されていません。 その代わりに、区が公式に相談窓口として運用しているのが「せたがや空き家活用ナビ」です。これは空き家オーナーやその親族が抱える売買・賃貸・相続の悩みを専門の相談員が聞き、解決策を提案する官民連携の制度です。窓口を通じて民間企業や活用事業者(アキサポなど)へ繋がる門戸が開かれているため、行政の最新の取り組み状況をチェックしておくことも、間接的に世田谷区の空き家市場の動向を掴む上で役立ちます。
まとめ|世田谷区の空き家探しは「専門ネットワークの活用」が成功の鍵
高級住宅街のイメージが先行する世田谷区ですが、一歩踏み込んでデータを読み解けば、5大エリアごとに多様な予算帯が存在し、何より「都内最多の空き家数(約5万戸)」を抱える、掘り出し物探しに最適なエリアであることがお分かりいただけたと思います。
構造がしっかりした築古の空き家を賢く見つけ、適切なリフォームを施せば、周辺の新築分譲よりも圧倒的にコストを抑えて世田谷区でのゆとりある暮らしをスタートさせることが可能です。
そのためには、ネット上の公開情報に振り回されず、「アキサポ」のような地域と空き家に特化した独自のクローズドネットワークを持つ専門家に相談することが最も確実な近道です。これまでの圧倒的なマッチング実績を活かし、あなたの理想の住まい探しを全力でサポートいたします。まずはお気軽にアキサポへご相談ください。
世田谷区の空き家に関するよくある質問(FAQ)
Q:世田谷区の最新の空き家率と空き家数はどうなっていますか?
A: 世田谷区の空き家数は約5万戸に達しており、これは全国の市区町村の中でも最多の空き家数(ワースト1位)を記録しています。一方で、区内の住宅総数(分母)が非常に大きいため、空き家「率」自体は10%前後で推移しており、全国平均(13.8%)よりは低い水準です。「家が余っている」というよりは、「膨大な住宅ストックの中に膨大な未公開空き家が埋もれている」状態と言えます。
Q:世田谷区の空き家活用や取得で使える補助金制度はありますか?
A: 世田谷区独自の制度として、空き家を地域貢献活動(コミュニティスペースや福祉施設など)に活用する場合に、改修工事費や防災対策費として最大300万円まで助成される「世田谷区空き家等地域貢献活用助成事業」があります。また、自己居住用として空き家を購入してリフォームする場合にも、国や自治体の省エネ・耐震改修補助金(1戸あたり最大100万円規模)が併用できるケースがありますので、事前に区の窓口や工事業者に確認しましょう。
Q:古い空き家を取得してリノベーションし、賃貸物件として収益化することは可能ですか?
A: 可能です。世田谷区は賃貸需要が23区内でもトップクラスに強いため、リノベーションによって水回りや内装を現代風に再生すれば、戸建て賃貸やシェアハウス、あるいは民泊施設などとして非常に高い稼働率と安定した家賃収入を期待できます。物件の所有権を手放さずに資産運用していきたい方にとって、築古空き家のリノベーション賃貸化は極めて有効な戦略です。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。