公開日:2022.01.26 更新日:2026.07.17
遊休不動産とは?空き家との違い・放置リスク・活用方法を解説
日本で空き家問題と並んで深刻になっている遊休不動産問題。
遊休不動産とは、店舗やビル、工場、倉庫や土地などのうち、企業活動にほとんど使用されておらず活用もされていない住居以外の不動産を指します。
今回は、なぜ遊休不動産問題と言われるのか、その問題点や遊休不動産をうまく活用していく方法などについて解説します。
1. 遊休不動産と空き家の違いとは

遊休不動産とは、店舗・ビル・工場・倉庫・土地など、企業活動にほとんど使われず活用もされていない、住居以外の不動産を指します。住居用の住宅を指す「空き家」とは対象が異なり、主に事業用の不動産が対象となる点が特徴です。
| 用語 | 対象 | 具体例 |
|---|---|---|
| 遊休不動産 | 使われていない住居以外の不動産 | 店舗、ビル、工場、倉庫、土地など |
| 空き家 | 使われていない住居用の住宅 | 一戸建て、マンションの一室など |
| 遊休地(空地) | 利用計画のない土地 | 建物も駐車場も農地もない未利用の土地 |
遊休不動産と並んで耳にすることの多い用語に、「遊休地」があります。遊休地は聞き慣れた言葉でいうと、空地のこと。住宅も建っておらず、駐車場や農地などとしても使われていない土地で、今後の利用計画も立っていないものを指します。
2. 遊休不動産の問題点

遊休不動産は、放置されるほど増え続け、所有者にも地域にも負担をもたらす存在です。まずは、その実態と背景を見ていきましょう。
遊休不動産の正確な統計は多くありません。総務省の「住宅・土地統計調査」は原則として住居に関する調査であり、商業用不動産や空き地を含む遊休不動産は、厳密には調査対象になっていないためです。
ただし、関連するデータから増加傾向は読み取れます。国土交通省の調査によると、空き地等のうち何らかの形で利用されているものは5割強にとどまり、特に利用されていないものが4割強を占めています。さらに、世帯が保有する空き地の面積はこの10年ほどで大きく増加しており、多くの自治体が今後もさらに増えると見込んでいます。空き地と隣り合う遊休不動産も、同様に増加傾向にあると考えられます。
こうして活用されない不動産が増えると、空き家問題と同じように、さまざまな問題が生じます。遊休不動産を放置すると、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。主なものは次の5つです。
人の出入りが少なく、放火や不法投棄のターゲットになりやすい。
害虫・害獣が発生し、老朽化した建物が災害で破損するおそれも。
空き店舗が増えると廃れた印象を与え、地域経済にも悪影響。
使われない山林が増えると、山火事や土砂災害につながりやすい。
収入がないのに固定資産税・都市計画税がかかり続け、負の資産に。
2-1. 犯罪の温床となるリスクがある
使われていない建物は、放火や不法投棄などの標的になりやすくなります。日常的に人の出入りがなく管理も行き届かないため、犯罪者に「狙われやすい場所」と認識されやすいのです。これは空き家問題でも指摘される代表的なリスクです。
2-2. 景観や環境が悪化する
人の手が入らない建物は、周囲の景観や生活環境を悪化させます。誰もいない建物には害虫や害獣が発生することもあり、老朽化した建物を放置すれば、自然災害で破損して近隣に被害を及ぼすおそれもあります。使っていない物件でも管理は必要ですが、それを継続するのは決して簡単ではありません。
2-3. 空き店舗が増え、地域の活気が失われる
商業エリアで空き店舗が増えると、地域全体に「廃れた」という印象を与えます。シャッター街とまではいかなくても、空き店舗が点在するだけで街は寂しい印象になり、足が遠のきます。結果として地域のにぎわいが失われ、地域経済にも悪影響が及びます。
2-4. 山火事・土砂災害のリスクがある
遊休不動産には、建物だけでなく山林や農地も含まれます。手入れされない山林が増えると、山火事や土砂災害を引き起こしやすくなり、周辺の安全を脅かす要因になります。
2-5. マイナスの財産になってしまう
使わない不動産を持ち続けると、収入がないまま税負担だけがかかり続ける「負の財産」になります。活用できる不動産であっても、何もせず保有しているだけで固定資産税や都市計画税の課税対象となります。収入を生まないのに支出だけが続くため、活用しなければ資産はマイナスに転じてしまうのです。
さらに、遊休不動産が農地の場合は、一定の要件を満たすと固定資産税が約1.8倍に増える可能性があります。対象となるのは、農業振興地域内の農地について、農業委員会の利用意向調査を経てもなお農地バンク(農地中間管理機構)への貸付や耕作再開の意思を示さず、「協議勧告」を受けた遊休農地です。通常の農地は評価額に限界収益率0.55を乗じて計算されますが、勧告を受けた遊休農地はこの調整が適用されず、結果的に約1.8倍の税額となります。単に放置しているだけで自動的に増税されるわけではなく、こうした手続きを経た場合に課税が強化される点に注意が必要です。
空き家が管理されないまま「特定空家等」に指定されると固定資産税の軽減措置が外れて増税されるのと同じように、遊休不動産も使わずに放置するほど、さまざまな面で負担が重くなっていきます。
3. 遊休不動産を活用する方法

遊休不動産を持て余しているなら、「何もしない」がもっとも避けたい選択です。放置すれば管理費用と税金がかかり続けるだけですが、活用すれば負担でしかなかった不動産を「収益を生む資産」に変えられます。主な活用方法は、「売却」「賃貸」「土地活用」の3つです。
3-1. 売却する
今後活用する予定がないなら、売却は有力な選択肢です。何もせず所有し続ける限り、税金の支払いや維持管理の手間で、一方的に支出が続くことになります。
「何とかしなければ」と思いながら手をつけられずにいると、心理的な負担も抱え続けることになります。まずは、そのままの状態で買い手がつきそうか不動産会社に相談し、必要に応じてリノベーションしてから売却する方法も検討するとよいでしょう。
3-2. 賃貸に出す
不動産を手放したくない場合は、賃貸に出すのが有効です。貸し出せば、資産を手元に残したまま安定した収入を得られ、借り手が使うことで建物の老朽化や土地の荒廃も防げます。
活用の幅は広く、リノベーションしてカフェ・ショップ・宿泊施設を営みたい事業者へ貸し出すこともできます。近年は、需要が高まっている貸しオフィスやコワーキングスペースとして運用したり、地域全体で複合商業施設として再開発したりする事例も増えています。
3-3. 土地活用をする
建物の賃貸では収益が見込めない場合は、土地そのものを活用する方法があります。駐車場やトランクルームなど、建物に頼らず土地を収益化する選択肢です。ただし、いずれも周辺環境に需要があるかを見極めることが前提となります。
代表的な土地活用の方法と、それぞれが向いている立地は次のとおりです。
| 土地活用の方法 | 向いている立地・条件 | 特徴 |
|---|---|---|
| 月極駐車場 | 周囲に駐車場が少ない住宅街 | 安定した需要が見込める |
| コインパーキング | 駅や繁華街の近く、駐車場のない住宅街 | 一時利用の需要を取り込める |
| コインランドリー | 単身者やファミリーの多い住宅地 | 継続的な利用が期待できる |
| トランクルーム | 立地が多少悪くてもマンションが多い地域 | 立地の制約が少なく検討しやすい |
| 太陽光発電 | 日当たりが良く、立地が良くない土地 | 借り手不要で発電した電力を売電できる |
駐車場経営には、月極駐車場とコインパーキングの2種類があります。月極駐車場は、周囲に駐車場が少ない住宅街に向いています。一方コインパーキングは、一時利用の需要が見込める駅や繁華街の近く、駐車スペースの少ないマンション・アパートの多い地域に適しています。
日当たりが良く、他の用途では立地条件が良くない土地なら、太陽光発電も選択肢です。発電した電力は固定価格買取制度(FIT)などを通じて売電でき、借り手の有無に左右されにくいのが利点です。ただし、買取価格は年々変動しているため、導入前に最新の条件を確認しておきましょう。
日当たりが悪く土地も狭いものの、周囲にマンションが多いような場合は、トランクルームが向いています。立地の制約が比較的少なく、検討しやすい活用方法といえるでしょう。
4. まとめ
遊休不動産とは、せっかく所有していながら活用されていない不動産のことです。事情はさまざまですが、放置すれば建物の老朽化を早め、周辺環境の悪化を招くなど、「何もしない」ままでいるのは得策ではありません。収入を生まないのに税負担や管理コストだけがかかり続け、資産がマイナスに転じてしまうこともあります。
一方で、売却・賃貸・土地活用といった方法で動き出せば、負担でしかなかった不動産を「収益を生む資産」へと変えられます。大切なのは、所有する不動産の種類・立地・地域の需要を見極め、その物件にとってベストな活用方法を選ぶことです。
とはいえ、「自社の遊休不動産にどんな活用法が合うのか」を見極めるのは簡単ではありません。アキサポでは、個人のお客様はもちろん、企業様が抱える遊休不動産のご相談も数多くお受けしています。物件の状態や立地に合わせた活用プランのご提案から運用まで一貫してサポートしますので、活用に悩む遊休不動産をお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。