公開日:2021.05.26 更新日:2026.06.24
古民家を買取してもらうには?売却方法と事前準備を解説
古民家の売却とは、築年数が経過した伝統的な木造住宅を、買取・仲介・空き家バンク登録などの方法で手放す手続きのことです。老朽化や立地条件によって買い手が付きにくいケースもありますが、適切な方法を選べば売却できる可能性は十分あります。
本記事では、古民家の売却が難しいといわれる理由・具体的な売却方法・事前準備のポイントをわかりやすく解説します。処分方法に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
古民家の売却が難しいといわれる理由

古民家の売却が難しい主な理由は、①木造22年の法定耐用年数を超えることによる建物の資産価値の低さ②旧耐震基準による耐震性への不安③担保価値が低く住宅ローン審査に通りにくい点の3つです。
建物の資産価値が低い
一般的に住宅は経年とともに価値が下がります。木造住宅の法定耐用年数は22年で、税法上は築22年を超えた住宅の建物価値はゼロとみなされます。市場においても築年数の古い物件は不具合が生じやすく、そのままの状態では居住に適さないと判断されるケースが増えるため、買い手がつきにくくなります。
耐震性に不安がある
古民家の売却が難しい理由のひとつが耐震性への不安です。耐震基準は大きく以下の3段階に分かれます。
- 旧耐震基準:1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物
- 新耐震基準:1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物
- 2000年基準:2000年6月1日以降の建物(木造住宅の接合部・基礎仕様が強化)
特に旧耐震基準の古民家は耐震補強工事なしで住み続けるにはリスクが高く、買主に敬遠されやすい傾向があります。
住宅ローンに通らないことがある
古民家は担保価値が低く、住宅ローンの審査が通りにくい場合があります。金融機関は担保物件の価値が借入希望額を下回ると融資を断るケースがあるためです。
なお、2022年の税制改正により住宅ローン控除の築年数要件が緩和されました。昭和57年1月1日以降に建築された物件は耐震基準適合証明書なしでも住宅ローン控除を利用できます。昭和56年12月31日以前の物件でも、耐震基準適合証明書を取得すれば控除の対象になります。耐震補強工事と合わせて検討することで、買主の住宅ローン利用可能性を高められます。
古民家を売却するときの事前準備

古民家を売却する前に必ず確認すべき事前準備は、①建物の状態把握と不具合の書面化②土地境界の明示③埋設物の有無確認の3つで、いずれも売却後の契約不適合責任トラブルを防ぐために重要です。
古民家売却前に必ず確認すべき3つの事前準備
古民家の状態を把握する
不動産を売却する際は、建物の状況を事前に把握することが重要です。住宅の売買では、既知の不具合を契約書に記載する義務があり、記載のない不具合が後から発覚した場合、買主から契約不適合責任(民法第562条以下)に基づく代金減額や損害賠償を求められるリスクがあります。
特に築年数が古い古民家や、実際に居住していなかった物件は、雨漏り・シロアリ被害・床下の腐食など目に見えない不具合が潜んでいる可能性があります。売却前にインスペクション(住宅状況調査)を受けておくと、告知内容の整理にも役立ちます。
境界を確認する
土地の売買において売主は買主に境界を明示する義務があります。境界が曖昧なままでは隣地所有者とのトラブルに発展するリスクがあります。
境界標(境界に打ち込まれた目印)や確定測量図で確認できますが、不明確な場合は土地家屋調査士に境界確認・測量を依頼しましょう。
埋設物がないか確認する
建物の下や古井戸などに埋設物がある場合、売却後に発覚すると契約不適合責任を問われる可能性があります。事前調査に費用はかかりますが、リスク回避のために確認しておくことをおすすめします。埋設物が見つかった場合は、売主負担で撤去するか、契約書に明記することで対応しましょう。
不動産仲介会社に売却を依頼する方法

不動産仲介会社を介した古民家の売却には「そのまま」「リフォームして」「解体して更地として」の3パターンがあります。手間と費用を抑えたい場合は現状渡し、売却価格を最大化したい場合はリフォームが向いていますが、いずれも買主探しに時間がかかるリスクがあります。
そのままの状態で売却
残置物を片付けるだけで売却を進められるため、コストと手間を最小限に抑えられます。リノベーションや更地化を前提とした買主が見つかれば成立しますが、築年数が古い物件は買い手が見つかりにくく、売買が長期化するリスクがあります。
リフォームして売却
リフォームによって物件の価値を高め、高額売却を狙える方法です。ただしリフォーム費用を売却価格にすべて上乗せできるとは限らないため、費用対効果を試算してから判断することが重要です。
解体して更地として売却
建物を解体することで、戸建て建設・アパート経営など買主の活用の幅が広がり、売却の可能性が高まります。
ただし解体費用は数百万円単位になることが多く、費用を回収できないケースもあります。解体の判断は不動産会社や専門家に相談したうえで慎重に行いましょう。また、更地にすると住宅用地特例が解除され固定資産税が増加する点にも注意が必要です。
不動産会社に買い取ってもらう方法
古民家売却前に必ず確認すべき3つの事前準備
不動産会社による買取は、リノベーションや再建築後の再販を目的とした業者に直接売却する方法です。個人の買主が見つかりにくい物件でも対応してもらえるケースがあり、買取業者が見つかれば販売活動なしにスピーディーに売却できる点が強みです。
ただし売却価格は仲介による個人売買より低くなる傾向があります。価格よりスピードを優先したい方に向いている方法です。
空き家バンクに登録して売却する方法
空き家バンクは、各自治体が空き家の有効活用を目的として運営する公的なマッチングサービスです。購入希望者から直接連絡が来る仕組みで、無料で登録できる自治体が多い点がメリットです。
ただし、登録がオフラインのみの自治体もあり、利用者登録から物件掲載完了まで一定の時間がかかる点に注意が必要です。まず空き家のある自治体が空き家バンクを運営しているか確認しましょう。
空き家マッチングサイトに登録して売却する方法
空き家マッチングサイトは、民間企業が運営する空き家の売買マッチングサービスです。自治体の枠にとらわれず全国の物件を検索できる点が空き家バンクとの違いです。
売主・買主が直接交渉するケースと、サイトが仲介するケースがあります。仲介を利用すると手数料が発生しますが、トラブルを防いでスムーズに取引を進めやすくなります。
DIYや大規模リノベーションを前提とした購入希望者も多く、不動産会社では扱いにくい築古物件や条件の悪い物件でも売却につながる可能性があります。
古民家の状態に応じた売却方法を検討しよう
古民家は、状態や所有者の希望に応じて売却方法が変わります。
不動産仲介会社を介した方法や不動産会社に買い取ってもらう方法、空き家マッチングサイトに登録する方法など、さまざまな選択肢を知ることで、売却のチャンスは広がるでしょう。
| 売却方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 仲介(そのまま) | 不動産会社が買主を探す | 費用・手間が少ない | 買主が見つかりにくい・長期化リスクがある |
| 仲介(リフォームして) | 物件価値を高めてから売却 | 高額売却の可能性がある | リフォーム費用が高額になる場合がある |
| 仲介(解体・更地) | 解体後に土地として売却 | 買主の用途の自由度が高まる | 解体費用が数百万円単位かかる |
| 不動産会社による買取 | 不動産会社が直接購入 | 売却スピードが速く確実 | 仲介と比べて売却額が低くなりやすい |
| 空き家バンク | 自治体が運営する公的サービス | 移住希望者など幅広い購入希望者に届く | 登録・完了まで時間がかかる場合がある |
| 空き家マッチングサイト | 民間運営・全国対応 | 仲介不可の物件でも売却できる可能性がある | 売主・買主が直接交渉するケースもある |
古民家の売却は、物件の状態・立地・希望する売却スピードによって最適な方法が変わります。
仲介・買取・空き家バンク・マッチングサイトとさまざまな選択肢を理解したうえで、自分の状況に合った方法を選ぶことが大切です。「どうしても売れない」「売却よりも収益化したい」という場合は、売却以外の選択肢も検討に値します。
アキサポでは、古民家を含む空き家の売却相談はもちろん、賃貸活用やリノベーションによる収益化まで幅広くご相談いただけます。「売るべきか、活用すべきか」という入口段階の迷いから、お気軽にご連絡ください。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。