公開日:2024.06.05 更新日:2026.06.19
2030年空き家問題とは?原因・最新予測・リスクをわかりやすく解説
「2030年に空き家率が30%に達する」——そんな衝撃的な予測が注目を集めたのが「2030年空き家問題」です。
この予測はその後の調査で下方修正されていますが、楽観できる状況ではありません。総務省の令和5年住宅・土地統計調査(2023年)によると、空き家数は約900万戸と過去最多、空き家率も13.8%と過去最高を更新。野村総合研究所は2043年に空き家率が約25%に達すると予測しており、空き家問題は2030年を超えて長期的に深刻化する見通しです。
本記事では、2030年空き家問題の実態と背景、そして空き家が増え続ける原因をわかりやすく解説します。
目次
空き家率30%予測から始まった「2030年空き家問題」

2030年空き家問題とは、野村総合研究所が2016年に「2033年の空き家率は30.4%に達する」と予測したことで注目された問題です。住宅の3戸に1戸が空き家になるという衝撃的な数字は社会に広く知れわたりました。
その後、同研究所は定期的に予測を更新しており、数値は一貫して下方修正されています。
| 発表年 | 2033年空き家率の予測 | 主な修正理由 |
|---|---|---|
| 2016年(初回) | 30.4% | 初回予測。社会的インパクト大 |
| 2019年 | 27.3% | 空き家法施行・社会的関心の高まりで除却・用途転換が進んだと推定 |
| 2022年 | 25.9%または18.1% | 2シナリオ制で下方修正 |
| 2024年(最新) | 18.3% | 世帯数の予想以上の増加により大幅下方修正 |
出典:野村総合研究所、大和ハウス工業「最新の空き家の現状と今後の見通し」
2024年6月公表の最新予測では2033年の空き家率は18.3%となり、当初の30.4%から大幅に下方修正されました。世帯数が予想を上回って増加したことが主な要因です。
ただし、「予測が改善された=問題が解決した」ではありません。総務省の2023年調査では空き家数は約900万戸と過去最多を更新しており、空き家問題は引き続き深刻な状況にあります。
2033年の空き家率予測が下方修正された理由
予測が繰り返し下方修正されたのは、2016年の予測時点で想定していた空き家率を、実際の調査結果が毎回下回ったからです。
空き家が増加する原因
2033年の空き家率30.4%という予測は下方修正が続いていますが、空き家自体は増え続けています。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年の空き家数は2018年比51万戸増の約900万戸と過去最多、空き家率も13.8%と過去最高を更新しました。
空き家が増加する主な原因は、リフォーム・解体にかかる金銭的ハードルと、思い出の家を手放しにくい心理的ハードルの2つです。
金銭的なハードル
高齢化が進むにつれ、老人ホームや子供との同居を選ぶ方が増え、使われなくなる住宅が生まれます。こうした物件を賃貸に出すにはリフォーム費用が、取り壊すには解体費用がかかります。
また、建物を解体して更地にすると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が増すという問題もあります。こうした金銭的な負担が、活用・処分の判断を遅らせる要因になっています。
心理的なハードル
金銭面だけでなく、心理的な壁も空き家増加に影響しています。施設入居後も「いずれ戻るかもしれない」と思い手放せないケースや、認知症などで本人の意思確認が難しい場合もあります。
相続後も、思い出の詰まった家の片付けがつらくてそのままにしたり、売りたくない・貸したくないという気持ちが働くことも珍しくありません。相続人同士の意見が合わず処分が進まないケースもあります。
加えて、住宅購入者の新築志向も空き家増加の一因です。住宅金融支援機構の調査によると、フラット35を利用した中古住宅の割合は2024年度に34.8%(前年度比7.4ポイント増)まで上昇しており、中古住宅の需要は増加傾向にあります。一方で、住宅ローン控除の優遇や安心感から新築を選ぶ層は依然として多く、既存住宅の流通促進が課題として残っています。
放置された空き家は固定資産税が3~4倍になるリスクがある
空き家放置で起こるリスクの段階
空き家を放置していると、管理不全空家または特定空家として行政から勧告を受けた場合、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税額が3〜4倍に増加するリスクがあります。さらに特定空家は命令・50万円以下の過料・強制撤去の対象にもなります。
空家等対策特別措置法に基づき、自治体は以下の状態にある空き家を「特定空家」に認定できます。
- 著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われず、著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全のため放置が不適切な状態
また2023年12月の空家法改正により、「特定空家になるおそれのある空き家」を「管理不全空家」として認定する制度も新設されました。管理不全空家に該当する状態の例は以下のとおりです。
- 屋根ふき材に破損がある状態
- 立木が放置され腐朽が認められる状態
- 排水設備が破損している状態
特定空家・管理不全空家に認定されると、自治体から助言・指導が行われます。それでも改善がなく勧告を受けると、住宅用地特例が解除され、固定資産税が3〜4倍に増加します。
特定空家はさらに放置すると「命令」に移行し、従わない場合は50万円以下の過料が課されるほか、自治体による強制撤去(費用は所有者負担)の対象にもなります。
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この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。