公開日:2026.08.21 更新日:2026.07.30
NEW固定資産税の減免とは?対象条件・申請方法・必要書類を解説

固定資産税の減免とは、災害や生活困窮などの特別な事情がある場合に、税負担の一部または全部を軽くする制度です。税額の高さから、減免ができないかと考えたことがある人は多いのではないでしょうか。
しかし、固定資産税の減免は、単に「支払いが大変」という理由だけで受けられる制度ではなく、生活保護をはじめとしたやむを得ない理由が必要になります。
この記事では、固定資産税の減免制度の基本、対象になりやすいケース、申請方法、必要書類をわかりやすく解説します。
固定資産税の減免とは

固定資産税の減免とは、災害や生活困窮などの特別な事情があり、条例の要件を満たす場合に、市区町村が税額の一部を軽減または全部を免除する制度です。都市計画税にも、固定資産税の減免に関する規定が準用されます。
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や家屋などを所有している人に課税されますが、所有者の生活状況や固定資産の状態によっては、通常どおりに納税するのが難しくなることがあります。このようなケースに対応するため、自治体ごとに減免制度が設けられています。
ただし、固定資産税の減免は、自動で適用される制度ではありません。多くの場合、市区町村の固定資産税担当窓口に申請し、自治体が事情や資産の状況を確認したうえで、減免できるかどうかを判断します。
また、対象になる条件や必要書類、申請期限は自治体によって異なります。自分が対象になる可能性がある場合は、納税通知書や自治体のホームページを確認し、早めに窓口へ相談しましょう。
固定資産税の減免と軽減措置(特例)の違い
税額の一部を軽くすることと、全額を免除することを合わせて「減免」と呼ぶ場合があります。ただし、固定資産税の制度上は、自治体の条例に基づく「減免」と、住宅用地の特例や新築住宅・リフォームの「減額措置」で分けて用いられています。
| 制度 | 主な特徴 | 主な対象 | 手続き |
|---|---|---|---|
| 減免 | 自治体の条例に基づき、税額の一部を軽減または全部を免除する | 災害、生活困窮、公益利用など | 原則として申請が必要。期限・必要書類は自治体ごとに異なる |
| 住宅用地の特例 | 住宅の敷地に対する課税標準額を引き下げる | 住宅の敷地として使われている土地 | 用途変更などがあれば申告が必要になる場合がある |
| 新築・リフォームの減額措置 | 法律上の要件を満たす住宅の固定資産税を一定期間減額する | 新築住宅、一定の改修を行った住宅 | 制度ごとに申告期限・必要書類が異なる |
固定資産税の負担を軽くする特例・減額措置

固定資産税の負担を軽くする制度には、自治体の条例に基づく減免のほか、住宅用地の特例、新築住宅の減額、一定のリフォームに対する減額措置があります。これらは同じ制度ではないため、分けて確認しましょう。
- 住宅用地の特例
- 新築住宅の減額
- 一定のリフォームによる減税
住宅用地の特例
住宅用地の特例とは、人が住む家が建っている土地の税金を安くする制度です。ただし、2026年現在の空き家対策特別措置法(空き家法)により、放置されて倒壊の恐れがある「特定空き家」や、管理が不十分な「管理不全空き家」に指定されると、この特例(税金の優遇)が解除されて税金が最大6倍になるため注意が必要です。
住宅1戸につき200平方メートル以下の部分は「小規模住宅用地」とされ、固定資産税の課税標準額が6分の1、都市計画税の課税標準額が3分の1になります。たとえば、住宅の敷地が150平方メートルであれば、その敷地全体が小規模住宅用地として扱われます。
また、200平方メートルを超える部分は「一般住宅用地」として扱われます。この部分についても、住宅の床面積の10倍までであれば、固定資産税の課税標準額が3分の1、都市計画税の課税標準額が3分の2に軽減されます。
| 住宅用地の区分 | 対象範囲 | 固定資産税の課税標準額 | 都市計画税の課税標準額 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 住宅1戸につき200平方メートルまで | 価格の6分の1 | 価格の3分の1 |
| 一般住宅用地 | 200平方メートルを超え、住宅の床面積の10倍まで | 価格の3分の1 | 価格の3分の2 |
新築住宅の減額
一定の条件を満たす新築住宅は、建物にかかる固定資産税が一定期間、2分の1に減額されます。
要件を満たす新築住宅は、建物の床面積120平方メートルまでの部分について、固定資産税が3年間(マンションなどは5年間)半分に安くなります。さらに、国が認めた「認定長期優良住宅」の場合は、この期間が5年間(マンションなどは7年間)に延長されます。なお、この新築優遇措置は令和8年度(2026年度)税制改正により、2031年(令和13年)3月31日まで5年間延長されています。 土地と都市計画税は、国の新築住宅減額の対象ではありません。
以下の表は、新築住宅の固定資産税の減額措置をまとめたものです。
| 住宅の種類 | 固定資産税が2分の1になる期間 | 減額される範囲 |
|---|---|---|
| 一般住宅 | 3年度分 | 居住部分のうち1戸あたり120平方メートルまで |
| 3階建て以上の中高層耐火住宅 | 5年度分 | 居住部分のうち1戸あたり120平方メートルまで |
| 認定長期優良住宅 | 5年度分 | 居住部分のうち1戸あたり120平方メートルまで |
| 3階建て以上の中高層耐火・認定長期優良住宅 | 7年度分 | 居住部分のうち1戸あたり120平方メートルまで |
リフォーム減税
古い家をリフォームした場合も、固定資産税が安くなる「リフォーム減税(補助金・特例)」を利用できます。なお、古い家を購入してリフォームする際、引き渡し後に雨漏りなどの欠陥が見つかった場合は、売り手の責任を追及できる「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」の問題が生じることがあるため、リフォーム工事の時期や契約内容には注意しましょう。 代表的な制度には、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修、長期優良住宅化リフォームなどがあります。
軽減を受ける条件は、リフォームの目的ごとに異なります。たとえばバリアフリー改修による軽減を受ける場合は、高齢者や要介護・要支援認定を受けている方、障害のある方などが居住している住宅であることが条件になります。
また、工事内容にも要件があります。バリアフリー改修であれば、手すりの設置や床の段差解消、浴室やトイレの改良などが対象になります。
災害や生活困窮によって減免が認められるケース

住宅用地の特例や新築住宅の減額とは別に、生活状況や災害被害など、以下の条件に該当する場合にも減免が認められることがあります。
- 生活保護などを受けていて納税が難しい場合
- 公益目的で固定資産を使用している場合
- 災害で土地や建物に被害を受けた場合
- 自治体が個別に減免を認める場合
それぞれ詳しく見ていきましょう。
生活保護などを受けていて納税が難しい場合
生活保護などの公的扶助を受けていて、固定資産税や都市計画税の納税が難しい場合は、減免の対象になることがあります。
ただし、対象になるのは、本人が所有し、自分で住んでいる住宅やその敷地に限られるのが一般的です。賃貸用の物件や事業用の不動産、居住実態のない土地や建物は対象外になる可能性があります。
また、減免を受けるには、生活保護受給証明書などの提出を求められる場合があります。受給が決まった段階で、納税通知書や課税明細書を手元に用意し、市区町村の固定資産税担当窓口へ確認しましょう。
公益目的で固定資産を使用している場合
地域活動や公共性のある活動のためなど、固定資産を公益目的で使用している場合も、減免の対象になることがあります。
この場合に重要なのは、名目ではなく実際の使われ方です。公益目的の団体が所有していても、収益事業に使っていたり、第三者に有料で貸していたりする場合は、減免の対象にならないことがあります。
災害で土地や建物に被害を受けた場合
地震、台風、洪水、火災などによって土地や建物に被害を受けた場合は、被害の程度に応じて固定資産税・都市計画税が減免されることがあります。
減免の判断では、どの程度損害を受けたか、通常どおり使用できる状態か、復旧までにどれくらい時間がかかるかなどが確認されます。家屋であれば損壊の程度、土地であれば使用できない面積や状態が見られることが多いです。
申請には、罹災証明書や被害状況の写真、修繕見積書などが必要になる場合があります。災害後は手続きが後回しになりやすいですが、申請期限が設けられていることもあるため、落ち着いた段階で早めに自治体へ確認しましょう。
自治体が個別に減免を認める場合
上記以外にも、自治体が個別に必要と認めた場合、固定資産税・都市計画税の減免を受けられることがあります。
たとえば、自治体の施策に関係する土地や建物、一定期間使用できなくなった固定資産、地域活動に使われている施設などが対象になる場合があります。
ただし、どのようなケースを認めるかは自治体によって異なります。特別な事情がある場合は、固定資産の所在地、使用状況、困っている理由を整理したうえで、市区町村の固定資産税担当窓口に相談してみましょう。
固定資産税の減免申請の流れ

災害や生活困窮などを理由とする固定資産税の減免は、原則として自治体への申請が必要です。住宅用地の特例は減免とは別の制度であり、土地の用途変更や家屋の新築・取り壊しがあった場合などは、自治体への申告が必要になることがあります。
一般的な流れは、以下のとおりです。
自治体の窓口やホームページで、減免の対象と申請期限を確認します。
固定資産の所在地や使用状況、申請理由を伝えます。
窓口または自治体サイトから減免申請書を取得します。
納税通知書や本人確認書類、減免理由を証明する資料を準備します。
申請期限と提出先を再確認し、市区町村へ提出します。
自治体から届く決定通知で、適用の可否と減免額を確認します。
申請前に気を付けておきたいのは、固定資産税・都市計画税の減免制度は、減免する理由によって条件や必要書類が異なる部分が多いということです。特にリフォームや新築などの、特定の行動を原因とする場合は、それらの行動を証明する書類が必要になりますので、早めに窓口で相談しておきましょう。
申請期限と提出先(市区町村)
固定資産税の減免申請は、固定資産が所在する市区町村へ提出します。窓口の名称は自治体によって異なりますが、資産税課、固定資産税課、課税課などが担当していることが多いです。
申請期限は自治体によって異なります。各期の納期限までに申請する自治体もあれば、納期限の数日前までを期限としている自治体もあります。また、災害による減免では、災害がやんだ日から一定期間内に申請が必要とされる場合もあります。
申請期限と対象になる税額は自治体によって異なります。申請日以後に納期限が来る未納分だけを対象とする自治体もあるため、条例・要綱を確認し、できるだけ早く申請しましょう。固定資産税は年4回に分けて納付する自治体が多いため、申請が遅れると受けられる減免額が少なくなる可能性があります。
そのため、減免の対象になりそうな事情がある場合は、納税通知書が届いてからではなく、事情が発生した段階で早めに自治体へ確認することが大切です。
申請の必要書類と確認されるポイント
固定資産税の減免申請では、減免申請書に加えて、減免を受けたい理由を証明する書類の提出を求められます。
必要書類は申請理由によって異なります。生活保護などを理由とする場合は、受給を証明する書類が必要です。また、災害被害を理由とする場合は、罹災証明書、被害状況の写真、修繕見積書などを求められることがあります。
自治体が確認する主なポイントは、以下のとおりです。
- 減免の対象になる固定資産か
- 申請者が納税義務者本人か
- 減免理由に該当する事情があるか
- 土地や建物がどのように使われているか
- 被害や困窮の程度を客観的に確認できるか
- 申請期限内に手続きされているか
特に注意したいのは、固定資産の使われ方です。本人が住んでいる住宅なのか、賃貸用や事業用の物件なのか、公益目的で直接使っているのかによって、判断が変わることがあります。
申請書だけでは判断が難しい場合、自治体から追加書類の提出や聞き取りを求められることもあります。スムーズに進めるためにも、納税通知書、課税明細書、本人確認書類、減免理由を示す資料をまとめておきましょう。
固定資産税の減免の要点まとめ
固定資産税や都市計画税の減免は、条件に当てはまれば税負担を軽くできる制度です。対象になるかどうかは、土地・建物の状態や申請理由、自治体の基準によって異なります。該当する可能性があれば、まずは固定資産税の担当窓口へ相談しましょう。
なお、本来受けられるはずの制度でも、申請期限を過ぎると、減免の対象にならなかったり、受けられる期間が限られたりすることがあります。納税通知書や課税明細書を確認し、疑問がある場合は早めに市区町村の固定資産税担当窓口へ相談してみてください。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。






