公開日:2022.02.02 更新日:2026.06.11
空き家をトランクルームに活用する方法と注意点を解説
空き家をトランクルームとして活用する方法は、初期投資を抑えながら収益化できる点が特徴です。設置の手軽さ・需要の高さ・管理の容易さが揃っており、空き家の活用方法として注目が集まっています。
トランクルーム市場は2008年以来16年連続で成長を続け、2024年には約850〜878億円規模に拡大。全国の店舗数は14,860店舗を超えてファミリーレストランの総店舗数を上回り、延べ室数も62万室と統計史上最多を記録しています(キュラーズ調査・矢野経済研究所、2025年)。郊外の土地活用はもちろん、収納スペースが不足しやすい都市部でも安定した需要が見込めます。
ただし、用途地域の制限や建築確認など法的な要件をクリアしなければ設置できないケースもあります。この記事では、空き家をトランクルームに活用する際のメリット・注意点・法的要件を解説します。
目次
トランクルームとは?

トランクルームとは、月額制で収納スペースを貸し出すサービスです。
屋外コンテナ型・屋内型・宅配型の3種類があり、空き家活用には屋外コンテナ型と屋内型の2種類が適しています。初期投資が共同住宅経営より少なく収益化までの期間が短い点が特徴で、収納スペースが不足しやすい都市部や住宅街で需要が高まっています。
■屋外コンテナ型|コンテナを設置して貸し出すタイプ
空いている土地にコンテナを設置して貸し出します。車を横付けして大型荷物を出し入れできるため使い勝手がよく、バイク収納に対応した物件もあります。
設置期間は申請手続きを含めて2〜3カ月と短く、電気・ガス・水道工事が不要なため初期費用を抑えやすい点が強みです。運営形態は、土地だけ貸し出す・フランチャイズ契約・運営会社による一括借り上げ(リーズバック方式)などから選択できます。
■屋内型|建物内にトランクルームを整備するタイプ
既存建物の内部にボックスやパネルで区画を作って貸し出します。建物自体の工事は基本不要で、空調管理ができるため衣類・鞄など温度変化に敏感な品物の保管に向いています。ロッカータイプの小スペースで小物・本・CDを収納する形式もあります。
コンテナ設置が不要なため設備費は屋外型より安い傾向がありますが、既存建築物の構造によっては設置できない場合があります。運営形態は建物の貸し出し・フランチャイズ・業務委託から選択できます。
空き家をトランクルームとして活用するメリット

空き家をトランクルームとして活用する際のメリットは、「建物を取り壊して活用する場合」と「そのまま活用する場合」で異なります。一般的な一軒家や老朽化が進んだ物件は取り壊してコンテナ設置が向いており、空きビルや空き店舗はそのまま屋内型として活用しやすいです。
■建物を取り壊してトランクルームに活用するメリット
取り壊し後にコンテナを設置する場合、コンテナはあらかじめ組み上がった状態で届くため、電気・ガス・水道工事が不要で工期が2〜3カ月と短く、初期費用も他の用途より安く抑えられます。
撤去もクレーンで吊り上げるだけで配管工事が発生しないため、将来的に別の用途へ転用する際の障壁も低い点が強みです。
・工期が短い
・初期投資が安い
・別の用途に転用しやすい
■建物をそのままトランクルームに活用するメリット
既存建物をそのまま活用できれば、リフォーム・修繕費用の大部分を節約でき、初期費用を大幅に抑えられます。
人が住むわけではないため築年数が古い建物でも需要があり、収納スペースが少ない都市部では古いビルや店舗でも高い需要が見込めます。また、居住用と違い日常的なクレーム対応が少なく管理が容易な点も見逃せません。なお、規模や構造が合わない場合でも、物置としてそのまま貸し出す方法もあります。
・建物をそのまま利用できる
・初期費用が安い
・築年数が古い建物でも活用できる
・管理が容易
空き家をトランクルームとして活用する注意点

空き家をトランクルームとして活用する際に最も注意すべきなのは「法律上の取り扱い」です。建築基準法・都市計画法・固定資産税の3点を事前に確認しておかないと、設置後に営業停止や追加費用が発生するリスクがあります。
■コンテナは建築物に該当する
コンテナは「壁と屋根を持つ建築物」として建築基準法に該当します。建築物の定義は「柱(またはそれに変わる壁)および屋根があること」であり、コンテナも同様です。そのため、倉庫として使用する場合は設置前に「建築確認申請」が必要です。申請なしで設置すると、後から構造計算や調査が求められ、追加費用が発生するケースがあります。
■建築基準法・都市計画法上の制限がある
トランクルームの設置には建築基準法(建物の安全性)と都市計画法(用途地域)の両方の制限がかかります。特に用途地域の確認が重要で、基準法をクリアしていても設置できない用途地域に該当していれば、そもそも営業自体が不可能です。設置後に法令違反が発覚した場合、営業停止や利用者との契約トラブルに発展する可能性があります。
トランクルームは「倉庫業を営まない倉庫」に分類され、用途地域ごとの設置可否は以下のとおりです。
トランクルームに関する用途地域の設置制限
| 用途地域 | 設置可否 |
|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | × |
| 第二種低層住居専用地域 | × |
| 第一種中高層住居専用地域 | × |
| 第二種中高層住居専用地域 | ○ |
| 第一種住居地域 | ○ |
| 第二種住居地域 | ○ |
| 準住居地域 | ○ |
| 近隣商業地域 | ○ |
| 商業地域 | ○ |
| 準工業地域 | ○ |
| 工業地域 | ○ |
| 工業専用地域 | ○ |
| 市街化調整区域 | × |
用途地域の確認が最優先です。建築基準法の要件を満たしていても、都市計画法上の用途地域に該当していなければ設置自体が不可能になるため、トランクルーム活用を検討する際は最初に用途地域を確認しましょう。
■倉庫業法に該当するトランクルームか否か
トランクルームには「倉庫業法に基づく業態」と「賃貸借契約に基づく業態」の2種類があります。前者は事業者が荷物の出し入れを代行するタイプで別途許可が必要、後者は利用者が自分で荷物を出し入れするスペース貸しです。空き家を活用したトランクルームは多くの場合が後者に該当しますが、宅配型のように前者の業態を取る場合は事前に許可申請が必要です。
■固定資産税の節税効果は薄い
トランクルームは事業用建築物として扱われるため、住宅が立地している土地に適用される「住宅用地特例」の対象外です。空き家を活用した場合も同様で、建物が住宅であっても利用用途が貸倉庫であれば事業用として課税されます。住宅として保有していた場合と比べて固定資産税の負担が増える可能性があるため、固定資産税をペイできる収益計画を立てたうえで活用を検討しましょう。
トランクルームは条件に最適な業態を選ぼう
屋外コンテナ型と屋内型のどちらが最適かは、空き家の状態・構造・敷地の広さによって異なります。
トランクルームは固定資産税の住宅用地特例が適用されない事業用建築物のため、利益率を重視した業態選びが成功の鍵です。空き家の条件を整理したうえで、より収益効率の高い形を選びましょう。


よくある質問
空き家トランクルーム活用に関するよくある質問
空き家をトランクルームにする際、どのような立地制限がありますか?
都市計画法上の「用途地域」による制限があります。第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、および市街化調整区域では設置(営業)ができません。第二種中高層住居専用地域や住居地域、商業地域、工業地域などでは設置が可能です。
空き家を解体して屋外コンテナ型にすると税金は変わりますか?
はい、固定資産税の負担が増える可能性があります。トランクルームは事業用建築物として扱われるため、住宅が建っている土地に適用される「住宅用地特例」の対象外となります。そのため、事前に税負担をカバーできる収益計画を立てておくことが重要です。
築年数が古い空き家でも壊さずに屋内型として活用できますか?
はい、十分に可能です。人が居住するわけではないため、築年数が古い建物でも活用できます。特に収納スペースが不足しがちな都市部では、古いビルや店舗でも高い需要が見込めます。ただし、建物の構造や用途地域の条件を満たしている必要があります。
アキサポにご相談ください
空き家のトランクルーム活用でお困りの際は、アキサポにご相談ください。
これまで数多くの空き家活用を手がけてきた実績があり、屋内型トランクルームの施工例もあります。
10年間テナントがつかず放置されていた物件を、大手貸倉庫業者と協力して屋内型トランクルームにリノベーションした事例では、「地域住民向け」のポジショニングで地域に根ざした施設として再生しました。 リノベーションの詳しい情報はこちら トランクルームが難しい場合でも別の活用プランをご提案できます。まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
岡崎 千尋 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
都市計画コンサルタントとしてまちづくりを経験後、アキサポでは不動産の活用から売買まで幅広く担当してきました。
お客様のお悩みに寄り添い、所有者様・入居者様・地域の皆様にとって「三方良し」となる解決策を追及いたします。