公開日:2022.02.03 更新日:2024.05.13
空き家がシェアハウスに大変身!メリットやリスク、活用時の注意点などを徹底解説
ひとつの物件を複数の入居者に貸し出して運用するシェアハウスは、空き家活用法の新たな手段として多くの空き家所有者からも注目されています。
ですが人気の拡大とともに、良くも悪くもさまざまな面で話題になることも多いシェアハウス。
「シェアハウスとして空き家を活用するメリットは?」
「どんなリスクがあるの?」
「何に注意すれば良いのか分からない…」
などなど、空き家をシェアハウスとして活用する上での不安や疑問を抱えている方も多いでしょう。
そこで今回は「空き家×シェアハウス」をテーマに、シェアハウスの基礎知識から空き家活用方法としてのメリット・リスク、注意したいポイントなど、空き家所有者の方に役立つ情報を分かりやすく解説します。
目次
シェアハウスとはなにか?
空き家をシェアハウスとして活用する上でのポイントを押さえるには、シェアハウスそのものに関して正しい知識を備えておくことが大切です。
そこでまずは、「シェアハウスとはなにか?」を分かりやすく解説します。
シェアハウスとは
シェアハウスとは、「share=共有・分担する、共同で使う」「house=家、住宅」の意味が示すとおり、複数人が共同で居住することを想定した賃貸住宅です。
(ちなみにシェアハウスは和製英語で、海外では「Shared residence」「Shared House」や「Shared Housing」などといいます。)
戸建てもしくはマンション・アパートの一室を複数人で借り、個人(または複数)専用の部屋を設けつつ、風呂・トイレ・キッチンなどの共用スペースは入居者同士で利用するのが大きな特徴です。
ひとつの物件を複数人が生活するスペースとして賃貸するという点においては「家族での入居」も同様ですが、シェアハウスはあくまで赤の他人が同居する場所として提供されるため、家族への賃貸とは異なる性質を持ちます。
ゲストハウスやルームシェアとの違い
そもそも「シェアハウス」という呼称は法律などで明確に定義されているわけではありません。
とはいえ、最近の日本では「長期的に生活する賃貸住宅をシェアハウス」、「短期的に貸し出す宿泊施設をゲストハウス」と呼称するのが一般的です。
ひと昔前は、現在シェアハウスに分類されるような賃貸住宅をゲストハウスと呼んでいた時代もありましたが、近年では前述のようにシェアハウスとゲストハウスの線引きが行われ、別のものとして分けて呼ばれることが多くなりました。
また、ルームシェアとの違いについてですが、ルームシェアはあくまでひとつの賃貸住宅を友人・知人同士で一緒に借りて住むものであり、生活上のルールや家賃の分担なども当事者間で決めることになります。
いっぽうシェアハウスの場合、契約は入居者ひとりひとりと行われるだけでなく、シェアハウスのルールについても運営側が定めるのが一般的です。
このように、シェアハウスはゲストハウスやルームシェアとは異なる特徴を持っていますが、前述のとおり明確な定義があるわけではありません。そのため、シェアハウスのような仕組みを持っていてもゲストハウスと呼ばれる物件もあれば、ルームシェアのような仕組みで運営されているシェアハウスも中には存在しています。
実際に日本以外では、「Shared Housing」の呼び名で短期滞在に対応する運用方法も見受けられますので、呼び名で判断するのではなく、それぞれのシステムや仕組みを見て判断すると良いでしょう。
空き家をシェアハウスとして活用するメリット
空き家にはさまざまな活用方法がありますが、ここではシェアハウスならではのメリットをご紹介します。
他の空き家活用方法にはなかなかないメリットに限定してご紹介しますので、比較検討時の参考にしてください。
メリット①定期的な賃料収入を得られる
空き家をシェアハウスとして賃貸に出せば、物件の所有者は毎月家賃収入を得られます。
空き家は所有しているだけで固定資産税などの税金に加え、管理・維持・修繕などの費用がかかりますが、家賃収入があればその費用を捻出できます。
さらに、シェアハウスは通常の賃貸より収益性が高い点も大きな魅力です。
シェアハウスは居住する入居者ひとりひとりに貸し出して家賃を得られるため、ひとつの物件を1世帯に貸し出す場合よりも総合した家賃の金額が高くなりやすいのです。また、単身向け物件と比較しても、シェアハウスではキッチンや風呂などを入居者ひとりひとりに用意することなくまとめて共用部分とできるため、同じ面積でも多くの部屋数が確保できます。
メリット②空室リスクを軽減できる
通常の賃貸物件の場合、入居者が退去すると、次に入居者が入るまでの間は当然賃料収入がゼロになってしまいます。
いっぽうシェアハウスは、複数の入居者と個別契約を行うため、1人の入居者が退去しても他の入居者からの賃料収入は継続します。
こうした違いにより、同じ賃貸でも退去者が出た際のリスクについてはシェアハウスのほうが圧倒的に低いといえるでしょう。
メリット③物件を手放さずに活用できる
空き家の代表的な対応方法として「売却」を連想する人も多いですが、空き家を売却した場合は当然ながら物件を手放すことになります。
もちろん、売却では現金収入を得られるというメリットはあるものの、物件が手元から離れると「子供に相続する」「将来的に異なる形で活用する」といった選択肢もなくなることを意味します。
メリット④入居率が高い
シェアハウスは一般的な共同住宅よりもパーソナルスペースが少なくなるものの、共有の家具や家電が備え付けてあったり、一般的な共同住宅よりも賃料が割安だったりと、準備面や費用面でさまざまなメリットを持っています。
シェアハウスの入居者は主に20代~30代の単身若年層であることから、準備面・費用面のメリットは入居者獲得に大きなアプローチとなります。都市部に安く住みたい方、短期間の入居を前提にしている方など、フットワークの軽い単身若年層にはピッタリの物件なのです。
いっぽう、一軒家を丸ごと賃貸する場合の主な対象であるファミリー世帯は、多種多様なニーズを抱えているケースが多いため、場所や物件によってはなかなか入居者が決まらないことも珍しくありません。
こうした背景により、同じ賃貸でもシェアハウスは入居率が高いという特性を持っているため、安定して運営を進めやすくなります。
空き家をシェアハウスとして活用する際のリスク
空き家をシェアハウスとして活用する場合は、メリットだけでなく起こる可能性のあるリスクについても知っておくことが大切です。
ここでは代表的なリスクを3つご紹介しますので参考にしてみてください。
リスク①入居者同士のトラブルが起きやすいリスク
家族での入居と異なり、赤の他人同士が共同生活を行うシェアハウスでは、入居者同士のトラブルが起こりやすいです。
【入居者同士のトラブルの一例】
・持ち物を盗まれた ・料理や食材を勝手に食べられた ・電話の声がうるさい ・他の入居者がシェアハウスのルールを守らない ・入居者の友人が来訪してトラブルを起こした |
こうしたトラブルが起こった場合でも当事者同士の話し合いなどで解決すれば問題ありませんが、シェアハウスでは入居者同士のトラブルがオーナー(管理会社)へのクレームにつながるケースが多々あります。
もちろんクレームを無視していると、入居者が退去したり、より大きなトラブルに発展したりする可能性があるため、オーナー(管理会社)はクレーム対応にあたらなければいけません。
リスク②管理の手間が増えてしまうリスク
上記のトラブルと多少関連していますが、赤の他人同士が共同生活するシェアハウスではさまざまな問題・トラブルが起こる可能性が高いため、オーナーが自ら管理している場合は手間や負担が大きくなる可能性もあります。
特に共用スペースについては、利用ルールが守られなかったり、適切に清掃が行われなかったりすると、通常の賃貸物件よりも管理の手間が増えてしまう恐れがあります。最初から業者に管理委託をするのも手ですが、その分コストはかさんでしまいます。
また、先述の通り住民同士のトラブルが起こる可能性もあります。こじれるとトラブル解決にかなりの手間がかかるため、利用ルールの徹底と定期的な注意喚起が必要でしょう。
もちろんすべてのシェアハウスに共通しているわけではありませんが、可能性として管理の手間が増えてしまうリスクがあることは留意しておきましょう。
デメリット③部外者の管理が難しいリスク
シェアハウスはそもそも複数の入居者が出入りするため、部外者の出入りを把握しづらい特徴があります。
もちろん一時的な来訪であれば問題ありませんが、中には「いつの間にか契約者以外の人が生活している」という事態にまで発展していることもあり、入居者からの通報で露見するケースも珍しくありません。
部外者が住み着く、必要以上に居座るような事態が起こると、さまざまなトラブルに発展する危険性も高まってしまうため注意が必要です。
空き家をシェアハウスとして活用する際の注意点
ここでは前述したシェアハウスの特性やメリット、リスクなどを踏まえた上で、空き家をシェアハウスとして活用する際に気を付けたいポイントをご紹介します。
正しい知識を備えた上で、事前準備や戦略を立てることが成功の秘訣ですので、ひととおりチェックしてみてください。
関係法令をクリアできるか確認する
シェアハウスに関係する法律は主に下記の3つです。
・建築基準法:シェアハウスの法令上用途や構造、消防設備などについて ・民法:利用者との契約方法や敷金の設定などについて ・借地借家法:一定期間ごとに契約を結びなおす「定期建物賃貸借契約」について |
シェアハウスを始めるうえでもっとも重要になってくるのが「建築基準法」です。
シェアハウスは建築基準法上で「寄宿舎」として扱われますが、寄宿舎はどこにでも立地可能なわけではありません。まず予定地に寄宿舎の立地が可能かを市役所の建築担当に確認し、可能な場合は寄宿舎を立地するために必要な手続きや消防設備などの確認に進みましょう。
また、民法と借地借家法はシェアハウスの契約関係を明確にする重要なポイントです。
まず民法に基づく「敷金」は退去手続きをスムーズにするため設定しておきましょう。退去時のクリーニングや原状復帰代などは後から請求しにくいケースもあります。
借地借家法に基づく「定期建物賃貸借契約」は、一定の期間の満了をもって賃貸借契約が終了する契約形態です。定期建物賃貸借契約は更新はなく、期間満了後も住み続けたい場合は、貸主と再契約する必要があります。
「あらかじめ決められた期間だけ貸したい」という貸主には都合が良い契約形態ですが、借主側から見れば、期間満了後は退去しなければならないので、「長く住みたい」と考える借主には借りにくく、結果、賃料は相場と比べて安価に設定されることが多いです。
ちなみに、借地借家法に基づき「普通建物賃貸借契約」という形態で契約を結ぶことができますが、この契約形態は契約期間満了後であっても、貸主側からは正当事由が無い限り契約更新を拒否できないため、契約が長期化するリスクがあります。
適切にコンセプトを設定する
シェアハウスに限らず、賃貸物件で入居率を高め、入居者に満足してもらうには、ニーズにマッチしたコンセプトを設定することが大切です。
【コンセプトの具体的な例】
・ペットOKの物件にする ・楽器が演奏できる防音設備を整える ・アトリエを用意する ・高齢者限定 |
人気の高いコンセプトを取り入れるのも良いですし、レアなコンセプトほど物件探しに苦労している人が多いため、ターゲットを絞り込んで入居率を高めるのもひとつの手です。
管理を委託する
前述のとおり、シェアハウスでは入居者同士のトラブルのリスク、金銭的なリスクなどが存在しており、クレーム対応や管理に思いのほか手間がかかる可能性も考えられます。
したがって、無理に自分で管理するのではなく、管理会社に管理を委託することも視野に入れるのがおすすめです
一般的な賃貸物件の管理手数料の相場は5%前後、シェアハウスの管理手数料の相場は20%前後と割高ではありますが、それだけシェアハウスの管理にかかる手間や負担が大きいことの表れといえます。
管理を委託する分、いくらかを家賃に上乗せして負担を軽減することも可能ですので、シェアハウスの運営を考えている方は詳しく話を聞いてみると良いでしょう。
事前にリフォーム・リノベーションしてから賃貸に出す
空き家をリフォーム・リノベーションしてから賃貸に出す方法は、以下のようなメリットから効果的であるといえます。
・コンセプトによりマッチした物件に仕上げることができる
・時代のニーズに合ったデザイン性を備えられる
・広々としたリビング、防音対策、個室ドアのカギの設置など、シェアハウスと相性の良い空間を作れる
また、シェアハウスでは複数の入居者が生活しますが、個々に風呂やトイレを設置する必要がないため、その分リノベーションにより部屋数を増やすなど別の用途に費用や手間を費やすことも可能です。
立地が適切であるかを検討する
これについては、「シェアハウスとして活用する際の注意点」というより「シェアハウスにすべきかを判断するための注意点」と表現したほうが正しいでしょう。
なぜならシェアハウスは、立地によって見込まれる需要が大きく変わるからです。
例えば以下の2パターンを比べてみてください。
・東京23区内、近隣に大規模な大学があるエリア
・地方の田舎、市街地まで車で30分ほどかかるエリア
前者と後者でどちらがシェアハウスに対する需要が見込めるかというと、もちろん前者が圧倒的です。
シェアハウスは、基本的に単身者が複数人で同居するための物件であり、なおかつ若年層に人気ですから、若い単身者の少ないエリアやアクセス面に問題のあるエリアではどうしても苦戦を強いられることになります。
もちろんこれは極端な例ですが、立地はシェアハウスにとって重要なポイントであることは事実ですので、自身の物件が立地的にどの程度シェアハウスの需要を見込めるかを事前に十分吟味しましょう。
【空き家活用でお悩みの方必見】0円ではじめられる空き家活用
ここまでお伝えしてきたとおり、空き家をシェアハウスとして活用した際にはさまざまなメリットに期待できます。
しかしながら、シェアハウスとしての空き家活用には以下のようなハードルがあるのも事実です。
・リフォーム・リノベーションに高額な費用がかかる ・利用者や管理会社探しが面倒 ・立地上、所有している空き家がシェアハウスに向いていないケースがある |
では、こうした問題を抱えている方は空き家活用を諦めるしかないのでしょうか?
いいえ、アキサポなら「リフォーム・リノベーションにかかる費用に悩んでいる方」にも「シェアハウスが向いていない」と感じる方にもご提案が可能です。
私たちアキサポは、ひとつひとつの物件に合った空き家活用方法をご案内できるだけでなく、リフォーム・リノベーション費用を全額負担した上で空き家活用をはじめていただくことが可能です。
【アキサポができること】
・現地調査
・調査結果に基づいた分析
・分析から導き出された活用プランのご案内
・リフォーム・リノベーション工事(費用はアキサポが全額負担)
・賃借人・利用者の募集
アキサポはこれらすべてをワンストップで提供する独自の仕組みにより、「空き家所有者様の持ち出し0円ではじめられる空き家活用」を実現しました。
もちろん、立地上の問題でシェアハウスとしての活用が難しい空き家についても、物件にマッチした活用方法のご提案が可能です。
空き家は物件によって適した活用方法が異なるだけでなく、所有者様の抱えるお悩みもさまざまですから、興味がある方はアキサポまでお気軽にご相談ください。
空き家のシェアハウスに関するまとめ
空き家のシェアハウスとしての活用には、他の活用にはない独自のメリットが複数備わっています。
ですがお伝えしたように、シェアハウス経営にはさまざまなリスクがあるとともに、成功するためにはいくつかのポイントを押さえる必要があるため、やはり専門家のサポートを受けるのが安心でしょう。
アキサポではシェアハウスとしての空き家活用はもちろん、さまざまな空き家活用に関するお悩み、要望に合わせたご提案が可能ですので、まずは一度お問い合わせください。
また、国内でシェアハウスをお探しの方は下記メディアをご確認ください。
参考: シェアハウス検索サイト『シェアシェア』