ページタイトル

2022.06.24

ANJIN Gion Shirakawa 
京町家の再生にかけた想い

比叡山と如意ヶ嶽の間を源に京都市東山区を流れる白川沿いに位置する、築115年を超える京町家。住む人がおらず、眠っていた京町家は、ジェクトワンが手がける空き家活用サービス「アキサポ」により、1日1組限定のラグジュアリーな宿泊施設「ANJIN Gion Shirakawa」に生まれ変わりました。

「アキサポ」は歴史をつなぐ役割がある。”古い”=”悪い”ではなく、よいものを残し次世代に継承していく。
「ANJIN Gion Shirakawa」は不便さを感じさせない古さを残しながら、現代建築では味わえない古民家ならではの木の匂い・風の流れを体感できる施設にリノベーションしました。
今回は京町家再生プロジェクトの経緯や設計のこだわりなど、プランニングからみた「ANJIN Gion Shirakawa」の魅力をご紹介します。

古民家の再生 風情へのこだわり

「ANJIN Gion Shirakawa」の特徴は何といってもこの白川の借景です。
本施設再生のお話をいただいた際に、まず思いついたのが「鴨川の床(ゆか)」。
鴨川の床は建物が鴨川に⾯していることから、とても親水性豊かで京都ならではの風物詩となっています。

宿泊施設という⾮⽇常空間であることもあり、⽩川に⾯する居間は全⾯開放できる窓を設置。2階テラスと⼀体化できるように設計いただきました。2階のお座敷を浮遊感のある空間とするため、床の高さが2階の床高レベルより30センチ程度上がっています。

2階の解放感とは反対に、浴室は1階の奥に配置。坪庭を眺めながら⼊浴できる、静かで落ち着いた空間となるよう工夫を凝らした設計となっています。

 

この白川の解放感とプライベート空間の充実という二つの空間を体感できる設計が「ANJIN Gion Shirakawa」の特徴です。

また、玄関を開けた時に広がる土間は、屋外と屋内のはざまを中和する役割をもっています。内と外を分けすぎないこの空間は、「屋内に作られた屋外同様の空間」といわれています。土間は居室より一段低く、古くは台所や作業場、来客と家主が話す空間として利用されてきました。
室内にありながらも閉ざしすぎていない中間的な空間で友人・家族と語り合うのも、京町家ならではの楽しみではないでしょうか。
室内の壁一面には聚楽壁を採用し、クロス貼りでは味わえない左官工事の手仕事の風合いを感じていただけます。聚楽壁とは、京都西陣にある聚楽第跡地付近で産出された「聚楽土」を使った土壁です。この土は非常に良質で、京都西陣のどこにでもある土ではなく、ごく限られた場所からしか見つからない非常に貴重な土と言われています。 その貴重な聚楽土を使い、京都の高い技術を持った左官職人が仕上げる聚楽壁は、実に美しい土肌で和室の風情や侘び詫びを静かに彩ります。

 

建物の資材にも様々なこだわりの設えを取り入れています。2階居間からテラスにつながるつなぎ目には「名栗板」を使用した板間が広がります。名栗(なぐり)とは、角材や板に独特の削り痕を残す日本古来からの加工技術で、川面のイメージを室内にも再現しています。

 

柱や梁は115年もの間、建物を支えてきた既存の柱梁をそのまま採用し、京町家としての歴史を味わうアクセントとしています。

 

京町家・宿泊条件に対応した設計

本施設の設計を依頼しました赤﨑デザインビューロ赤﨑盛幸様に、京町家ならではの設計工夫や設計課題を伺いました。

「単純に京町家といっても、今⽇の建物においても贅を尽くしたものから、単に⽤を満たすのみのものなど様々あるように、京町家においても、同じことが⾔えます。しかし、今⽇の建物においては、その施⼯技術などの標準化によって、構造強度や施⼯精度⾯における品質確保がなされたのに対して、京町家の場合、施⼯者の技術⼒によって構造強度や施⼯制度に⼤きなばらつきが存在します。
そのため、⼀定程度の耐震性を確保するため、耐震補強を⾏うとともに、施⼯精度を担保するため伝統⼯法に精通した施⼯者を厳選するとともに、施⼯者と施⼯⽅法について協議し、現場の施⼯状態確認しながら⼯事を進めました。

平⾯的には改修前の建物は京町家を含む古⺠家の典型である⽞関間、板の間、座敷の3間から構成されていましたが、それぞれの部屋が⾮常に狭く、宿泊施設としてそぐわなかったことから、寝室と⽔廻り(洗⾯、便所、浴室)を除いて、すべてワンルームとすることで、ゆったりとした空間としました。また、急勾配の階段や狭い通路幅など、現代⼈の⽣活にそぐわない箇所についてもプランニングにおいて解消するよう努めました。
その⼀⽅で、プランニングにおいては⼤規模な変更を加えたことに対して、聚楽壁や名栗の床板など数寄屋建築において広く⽤いられる材料を⽤いたことに加え、⿃居をイメージした2階テラスの⼿すりなど伝統的な意匠様式を取り⼊れることで全体として京町家の⾵情が保たれるよう配慮しました。」

オーナー様の想い

本施設の建物所有者様に、周辺地域にまつわる思い出や京町家再生への期待を伺いました。

「私が⼩学⽣の昭和35年頃、⼣⽅にあの古川町通りを歩くのに⼈を掻き分けなければ進めないような状態でして(各店が繁盛していて)「東の錦市場」と⾔われてました。その時の情景は今でも直ぐに頭に浮かんできます。⽂化地区岡崎、平安神宮から花街、繁華街⼋坂への通り道であるこの⽩川筋を⼈が、旅⾏者が、通り過ぎるだけでなく、⽩川で留まって貰いたくて今回の⽩川通りのリノベーションに参加させて頂きました。これも数⼗年前から地域住民の方々がクリーン⽩川の会を結成し、この⽩川筋を⾵光明媚な地として守って来て下さり、その後も⽩川を創る会の皆さまが押し薦めて⾏政を動かし今⽇に⾄っております。ぜひ私の「⼼のふるさと」としてこの地を後世に残して頂きたい想いです。

完成したANJINを⾒た私を始め私の家族、友⼈たちも揃って、外観の⽞関引⼾、2階のテラス⼿すりの⽩⽊が建物を引き締め素晴らしい建築物の眺めであることに感動しました。内部は各部屋のレイアウト、居間の開放的な雰囲気が素敵だと思いました。」

東山区白川エリアの変遷

平安時代には和歌に詠まれるほどの美しさを誇った白川でしたが、近代に入ると半ばゴミ捨て場となっていたそうです。そして1950 年代半ばから、友禅染めの水洗いで流れる化学材料(糊)で汚泥が川底に堆積し、悪臭さえし始めたとのこと。そのこともあり、暗渠にして自動車専用道路にする計画が検討されました。そこで1973 年から白川沿道の住民が中心となり、小学生や近隣の大学生達と白川の清掃を始めたそうです。
古川町商店街の店舗から寄付を募り、毎夏白川に金魚を放流し子供たちに金魚取りをしてもらうというお祭り行事を始め、河川美化と地域交流を活性化する取り組みを始められました。
また一方で、友禅染めの水洗いの問題を粘り強く訴え、1974 年行政指導による水洗い場の廃止を実現させました。美観を無視した行政の計画(白川沿道のガードレール設置や高い欄干つきの橋の架け替え等)にも異議を唱え、祖先から受け継いだ白川の景観を守ってこられました。

9Kmをこえる白川全流域の中で「ANJIN Gion Shirakwa」のある粟田地区が最も親水性のある地域とのこと。
祇園・岡崎の観光地間の単なる通路としてではなく、風情豊かな親水性のある白川沿道をもっと生かしていきたいという思いで様々な活動を行ってこられました。また、店舗数に陰りを見せていた古川町商店街をはじめ、地域活性のために白川の風情をクローズアップし、大学や企業・団体と連携しながら観光誘致などを図っておられます。
近年でも映画やドラマ撮影に利用されるなど、風流な情景として親しまれています。
祇園から岡崎エリアへの導線としてだけでなく、白川沿いをそぞろ歩きしながら目的地まで辿るといった京都の風情豊かな自然が感じていただければ幸いです。

 

一棟貸し別荘の寛ぎ 春~初夏の過ごし方

ANJIN Gion Shirakawaの面前に流れる白川のせせらぎを聞きながら、ほっこり座敷でくつろぐ。
日常の喧騒から離れた、あなただけの静かな時間をお楽しみいただけます。

春~夏にかけては、白川に臨む窓を全開にして、風鈴と川面の音色を聞きながら夕涼みなどいかがでしょう。
8月のお盆の時期に例年行われる伝統行事「京都五山送り火」では、ANJIN Gion Shirakawaから「左大文字」を望むことができます。夏の夜空を彩る風物詩を特等席でご体感ください。

 

おもてなしのいろは

ANJIN Gion Shirakawaは一棟貸しのお宿です。
ホテルのようなチェックインカウンターはございません。チェックイン時のお迎えは、当宿スタッフがお客様のお越しを玄関でお待ちしております。
お客様の目の前で立てるお抹茶と和菓子で旅の疲れを癒していただきながら、当宿の設備や周辺施設のご案内を丁寧に行います。

お客様のご要望に応じて朝夕食の仕出しもお持ちしますので、お部屋の中でゆっくりとしたプライベート時間をお過ごしください。

また、施設内に取り揃えております食器などのカラトリーや寝具・装飾品は、京都に縁のある作家によって作られた逸品となっておりますので、ANJIN Gion Shirakawaで京都ならではの風情をご堪能ください。

宿泊体験はこちらからどうぞ。
ご予約を心よりお待ちしております。

【宿泊施設概要】
ANJIN Gion Shirakawa公式

【宿泊のご予約】
・楽天はこちら
・一休はこちら
・Reluxはこちら

*****

自分たちだけの特別感、非日常感、景色に溶け込む無音じゃない静けさ、街並みに溶け込む一体感、観光先から宿に戻った時の「おかえり」感、暗闇にぼんやりと浮かぶ温かい照明。
これらの宿泊者が体感する機会価値を、オーナーがお金をかけずに自分の所有不動産を使って提供できることがアキサポの大きな価値のひとつです。
皆さまの眠っている資産を、素晴らしい施設に再生してみませんか?

アキヤノワダイ × ANJIN Gion Shirakawa
京都の街並みを守りたいー築115年超の京町家、アキサポが手がけた保存と再生