公開日:2025.09.01 更新日:2026.07.22
土地売却の税金はいくら?計算方法・特例・節税のコツを解説
土地を売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税・住民税がかかります。ただし、その仕組みや特例を正しく理解すれば、税負担を大きく抑えることも可能です。
節税のカギは、主に3つです。「取得費・譲渡費用を正しく計上すること」「所有期間5年超で税率を下げること」「3,000万円特別控除や空き家特例などを活用すること」。これらを知っているかどうかで、手元に残る金額は変わります。
この記事では、土地売却にかかる税金の計算方法、短期譲渡・長期譲渡による税率の違い、所得税法や租税特別措置法にもとづく特別控除・空き家特例、確定申告の注意点まで、2026年の最新情報にもとづいてわかりやすく解説します。
目次
土地売却にかかる税金とは?基本の仕組みを解説

土地売却で利益が出た場合、その譲渡所得に対して所得税や住民税が課税されます。なんとなく税金がかかるのは知っているけれど、仕組みまではよく分からない……という方に向けて、不動産譲渡所得の課税区分である長期譲渡・短期譲渡の違いや確定申告のポイントも含め、税金の基本をご紹介していきます。
土地売却で税金がかかるのは「譲渡所得」が出たとき
土地を売って税金がかかるのは、売却益(譲渡所得)が出たときだけです。譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)−特別控除」で計算し、これがゼロ以下なら所得税・住民税はかかりません。
一方、取得費が不明な場合、「取得費不明時の概算取得費」として売却価格の5%を取得費とみなして計算することになり、想定外の課税リスクが生じることも。確定申告の際に困らないよう、購入時の契約書や領収書はしっかり保管しましょう。
土地売却における譲渡所得の計算式を解説
土地売却で発生する税金は、譲渡所得に所得税や住民税がかかる仕組みです。
譲渡所得(税金の対象)の計算式
取得費に含むもの
購入代金、登記費用、仲介手数料、不動産取得税など(不明時は売却価格の5%で概算)
譲渡費用に含むもの
仲介手数料、解体費、測量費、印紙税など売却のためにかかった費用
譲渡所得がゼロ以下なら、所得税・住民税はかかりません。
取得費には購入代金や登記費用、譲渡費用には解体費や仲介手数料などが含まれます。これらの費用は、税法上の規定に基づいて計上されます。
契約書が見つからず概算で計算すると、課税額が大きくなる恐れもあります。正確な取得費の把握が節税の第一歩となるでしょう。
土地売却でかかる所得税・住民税・復興特別所得税の関係
土地売却による譲渡所得には、所得税・住民税・復興特別所得税の3種類が課税対象となります。復興特別所得税は、東日本大震災からの復興財源を確保するため、2013年(平成25年)から2037年(令和19年)まで所得税の2.1%が上乗せされる制度です。
これらの税金は「分離課税」により他の所得と分けて計算され、長期譲渡か短期譲渡かで税率も変動します。確定申告では、これら3つの税金をまとめて申告します。所得税と復興特別所得税は税務署へ、住民税は自治体へ納める必要があります(地方税法による)。
土地売却の税金「短期譲渡」と「長期譲渡」で税率はどう変わる?

土地売却によって得た譲渡所得には所得税や住民税がかかりますが、所得税法第33条及び租税特別措置法第31条に基づき、税率は所有期間によって大きく変動します。自分の土地が短期譲渡か長期譲渡かを正しく把握することが、税金の負担を抑える第一歩。確定申告前に確認しておきましょう。
所有期間5年で変わる税率の違い
土地売却による譲渡所得には、所有期間によって「短期譲渡」と「長期譲渡」があり、課税される税金も大きく変わります。
| 区分 | 所有期間(譲渡した年の1月1日時点) | 税率(所得税+復興特別所得税+住民税) |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 合計39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%) |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 合計20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%) |
確定申告時の納税額に直結するため、取得日や売却日に注意しましょう。
なお、相続で得た土地は、被相続人の取得日を引き継ぐため、空き家特例や特別控除の適用とあわせて判断が必要です。
売却時期と取得時期に注意!
土地売却にかかる税金を左右するのが所有期間です。譲渡所得の税率は、不動産を譲渡した年の1月1日時点での保有年数により長期譲渡か短期譲渡かが決まります。
たとえば、2020年3月に取得した土地を2025年10月に売却した場合、譲渡した年の1月1日である2025年1月1日時点では所有期間が5年以下となるため短期譲渡扱いになります。長期譲渡(20.315%)と比べ税率がおよそ2倍になるため、注意が必要です。節税には売却のタイミングと特別控除の活用がポイントです。
控除後に適用される税率の確認方法
土地売却で発生した譲渡所得には、特別控除を差し引いた後に税率が適用されます。たとえば3,000万円の特別控除や空き家特例を利用すれば、譲渡所得がゼロになり、所得税・住民税ともに非課税となるケースもあります。
ただし、他の不動産売却による損失と損益通算はできません。長期譲渡所得の一部には軽減税率が適用されることもあるため、確定申告前に制度の詳細を丁寧に確認することが大切です。
土地売却時に活用できる特例・控除の種類
土地売却には税金がかかりますが、譲渡所得に対して適用できる特別控除や空き家特例などを活用すれば、所得税・住民税の負担を抑えられる可能性も。今回は代表的な例として、3,000万円の特別控除、空き家の特例、買換え特例を解説します。
| 特例・控除 | 主な内容 | 根拠法 |
|---|---|---|
| 3,000万円特別控除(マイホーム) | 居住用財産の譲渡所得から最大3,000万円を控除 | 租税特別措置法第35条第1項 |
| 空き家特例(被相続人居住用財産) | 相続した空き家等の譲渡所得から最大3,000万円を控除(相続人3人以上は1人2,000万円) | 租税特別措置法第35条第3項 |
| 買換え特例(特定の居住用財産) | 買換え時、譲渡益への課税を将来に繰り延べ | 租税特別措置法第36条の2 |
| 収用等の特別控除 | 公共事業による収用等で最大5,000万円を控除 | 租税特別措置法第33条の4 |
| 取得費加算の特例 | 支払った相続税の一部を取得費に加算 | 租税特別措置法第39条 |
3,000万円の特別控除とは?
マイホーム(居住用財産)を売ると、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除が使えます。住宅を取り壊した後の土地でも、一定の条件を満たせば対象です。
主な要件は、自分が住んでいた家・土地であること、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却することなどです。
空き家の特例(被相続人居住用財産の特例)
相続した空き家を土地ごと売る場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「空き家特例」(租税特別措置法第35条第3項)が使える場合があります。ただし2024年1月1日以降の譲渡で相続人が3人以上のときは、控除額は1人あたり2,000万円に下がります。
主な条件は、昭和56年5月31日以前に建築された区分所有でない家屋であること、相続直前に被相続人が一人で住んでいたこと、売却代金が1億円以下であること、相続から売却まで賃貸・事業・居住に使っていないことなどです。耐震性は、売却時に耐震基準を満たすか更地にするか、または2024年1月1日以降の譲渡なら買主が翌年2月15日までに耐震改修・取壊しを行う場合も対象です。
適用には確定申告が必要で、売却は「相続開始から3年を経過する年の12月31日まで」かつ「2027年12月31日まで」に行う必要があります。
買換え特例や収用特例も要チェック
買換え特例と収用特例も、税金対策として検討したい制度です。
買換え特例(特定の居住用財産の買換え等の特例/租税特別措置法第36条の2)は、売却後にマイホームを買い換えた場合、譲渡益への課税を将来に繰り延べられる制度です。収用特例では、公共事業による売却で最大5,000万円の特別控除などを受けられる場合があります。いずれも、取得資産が居住用であることなど要件が細かく定められています。
ただし、空き家特例や3,000万円控除と併用できないケースもあるため、確定申告前に税理士へ相談すると安心です。
土地売却の税金を安く抑えるためにできること

土地売却の税金は決して安くありませんが、いくつかのポイントを押さえることで負担を軽減できる可能性があります。
取得費・譲渡費用を正しく把握する
税金を正確に計算する第一歩は、譲渡所得のもとになる取得費・譲渡費用を正しく把握することです。取得費には購入代金のほか、仲介手数料や登録免許税、不動産取得税なども含まれます(所得税法第38条等)。
売却のために建物を解体した場合、その費用は譲渡費用として計上できます。ただし居住用財産の3,000万円特別控除を使う場合など、特例によっては譲渡費用に含められないこともあります。
取得時の契約書が見つからず概算取得費(売却価格の5%)で計算すると、税負担が大きくなる恐れがあります。購入時の資料を確認し、必要に応じて税理士に相談して、漏れのない取得費の計算を行いましょう。
売却のタイミング調整で節税する
税金は、譲渡所得が短期譲渡か長期譲渡かで大きく変わります(租税特別措置法第31条・第32条)。所有期間が5年を超えると、税率は短期の39.63%から長期の20.315%へと約19ポイント下がります。判定は「売った年の1月1日時点」で行うため、年明けまで待つ判断が節税につながることもあります。
ただし、空き家特例や特別控除には適用期限があるため、売却時期の見極めが肝心です。複数の土地を売る場合は、控除や損益の組み合わせも含めて計画的に進めましょう。
税理士への相談でリスクを避ける
土地売却の税金は複雑で、譲渡所得の計算や特例の適用条件を誤ると、追徴課税につながる恐れもあります。特に相続した土地は、取得費加算の特例など専門知識が欠かせません。
確定申告前の段階から税理士に相談すれば、節税効果で報酬分の元が取れるケースも少なくありません。不動産税務に強い専門家のサポートは、税金対策の心強い味方になります。
土地売却で確定申告は必須?必要な申告・手続きの流れ

土地売却によって譲渡所得が発生した場合、確定申告が必要になります。申告期間は売却した年の翌年2月16日から3月15日まで。申告ミスは税金の加算や特別控除の適用漏れにもつながるため、手続きの流れや注意点の確認が大切です。
確定申告の対象になるケースとは?
土地売却で譲渡所得が発生した場合、所得税・住民税の計算のため確定申告が必要です。これは所得税法第120条に規定されています。たとえ損失が出たとしても、空き家特例や特別控除を使う場合、損益通算や繰越控除を希望する場合なども申告が求められます。
会社員で年末調整を受けている方も、不動産の譲渡は分離課税の扱いとなるため、確定申告の義務が発生します。無申告によるペナルティを避けるためにも、該当する場合は必ず期限内に申告しましょう。
申告時に必要な書類一覧
| 目的 | 主な書類 |
|---|---|
| 譲渡費用の証明 | 売買契約書、仲介手数料・解体費などの領収書 |
| 取得費の証明 | 取得時の契約書、不動産取得税の領収書、相続なら被相続人の取得費が分かる資料 |
| 特例・控除の適用 | 住民票、登記事項証明書、耐震基準適合証明書、被相続人居住用家屋等確認書など |
土地売却による譲渡所得がある場合、確定申告には各種書類の提出が求められます。売買契約書や仲介手数料、解体費などの領収書は譲渡費用の証明に必要です。
取得時の契約書や不動産取得税の領収書、相続なら被相続人の取得費がわかる資料も欠かせません。特別控除や空き家特例を利用する際は、住民票や登記事項証明書、耐震基準適合証明書などの追加書類が必要になることもあります。
e-Taxを使った申告の流れとポイント
確定申告は、税務署に直接出向くか、郵送で提出する方法の他に、国税庁のe-Tax(電子申告システム)を利用して行うこともできます。自宅からパソコンやスマートフォンで手続きが可能で、郵送の手間を省ける点が魅力です。
マイナンバーカードと対応端末があれば、特別控除や空き家特例の適用申請もスムーズ。e-Taxソフトや確定申告書等作成コーナーを活用すれば、画面の案内に沿って入力するだけで申告書の作成が完了します。初めてでも比較的簡単に申請できるため、ご都合に合わせて活用してみてはいかがでしょうか。
土地の相続・贈与後に売却するときの税金に関する注意点

相続や贈与で取得した土地を売却する場合、譲渡所得の計算や特別控除、空き家特例など独自の税制が関わるため注意が必要です。確定申告の手続きや所得税・住民税の負担を正しく把握し、損のない売却を目指しましょう。
相続税の取得費加算の特例とは?
相続した土地を、相続税の申告期限から3年10ヶ月以内に売却する場合、「取得費加算の特例(租税特別措置法第39条)」を利用すれば支払った相続税の一部を譲渡所得の取得費に加算できます。
二重課税を防ぐ目的で設けられた制度で、譲渡所得を圧縮できれば、所得税や住民税の負担も軽減されます。ただし、3,000万円の特別控除や空き家特例と併用できないケースもあるため、どちらが有利かを比較検討したうえで選択しましょう。
名義変更(相続登記)を済ませておく必要性
土地売却を検討しているなら、相続登記を早めに済ませておくことが不可欠。2024年4月1日以降、相続登記は義務化されました。不動産登記法改正により、不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が必要です。登記が未完了のままでは売却できず、譲渡所得の計算や確定申告も進められません。
手続きには戸籍謄本や印鑑証明書、特別控除の適用に関わる書類など、多くの準備が必要です。司法書士への相談も視野に入れ、計画的に進めることが大切です。
相続後すぐに売ると損になるケースも
土地売却は、相続直後に焦って進めると損をしてしまう可能性があります。譲渡所得の圧縮に使える取得費加算の特例は3年間有効なため、急いで売る必要はありません。
心理的な負担から早く手放したくなる気持ちもあるかもしれませんが、まずは不動産の相場や売却時期を冷静に見極めることが大切です。空き家特例の期限(2027年12月31日まで)や、維持費・管理負担なども含め、税金対策や将来の資産価値を考慮した判断が求められます。
土地売却の税金に関するよくある質問
土地売却の税金は、事前の知識と計画がカギ
土地売却の税金は、譲渡所得の計算・特別控除・空き家特例など複雑な制度が関わり、不安を感じやすい分野です。しかし、ポイントを押さえて適切に対策すれば、所得税・住民税の負担は大きく抑えられます。大切なのは、売却の前に「使える特例」と「売るタイミング」を確認しておくことです。
売るか活用するか迷ったら、アキサポにご相談ください
とはいえ、長期・短期の判断や相続した土地の空き家特例など、自分だけで最適解を出すのは簡単ではありません。「売るべきか、活用すべきか」で迷う方も多いはずです。
アキサポなら、税務に詳しい専門家と連携し、節税・特例・確定申告までを見据えて、売却と活用の両面から最適な選択肢をご提案します。名義変更や管理のご相談にも対応。まだ方針が決まっていない段階でも大丈夫です。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
山下 航平 アキサポ 空き家プランナー
宅建士/二級建築士
ハウスメーカーにて戸建住宅の新築やリフォームの営業・施工管理を経験後、アキサポでは不動産の売買や空き家再生事業を担当してきました。
現在は、地方の空き家問題という社会課題の解決に向けて、日々尽力しております。