公開日:2026.05.09 更新日:2026.08.10
空き家をもらってくださいは危険?0円譲渡の費用と注意点を解説

「空き家もらってください」と無料で譲られる物件の多くは、売れにくさや管理負担、相続・老朽化といった事情を抱えています。つまり0円には理由があり、「本当にもらって大丈夫か」「あとから大きな負担を背負わないか」という不安は自然なものです。引き受ける前に、取得後にかかる費用やリスクを見極めることが欠かせません。
そこで本記事では、無料で譲渡される空き家が増える理由を整理したうえで、0円譲渡の手続きの流れ、取得時にかかる主な費用、具体的な探し方、トラブルを避けるための確認ポイントまで分かりやすく解説します。無料という言葉だけで判断せず、自分にとって引き受ける価値のある空き家かを見極める参考にしてみてください。
目次
無料譲渡される空き家が増える理由

無料譲渡の空き家が増える背景には、維持負担の大きさと、放置したときの周囲への悪影響があります。空き家を放置すると倒壊・害虫・景観悪化・不法投棄などが起こりやすく、その解決にも手間とお金がかかります。かといって売却しようにも、地方の空き家は需要が低く買い手が見つかりにくいのが実情です。こうして売れ残った物件が、無料譲渡の市場へ流れてきます。「空き家もらってください」の裏には、所有者の切実な事情が隠れているのです。
空き家バンクや民間マッチングサービスの普及も影響している
譲りたい人と探している人が出会える場も、無料譲渡を後押ししています。自治体の空き家バンクや民間のマッチングサービスが広がり、解決の糸口として無料で物件情報を掲示するケースが増えました。
加えて、移住希望者や二拠点生活の検討者、最近ではDIYやリノベーション前提の投資家層など、空き家を活用したい人も増えています。こうした仕組みが整ったことで、売却市場では動かなかった物件も、用途や価値観の合う相手に届きやすくなり、無料譲渡という選択肢が表に出てきました。
無料で空き家をもらうのは危険ではない?

無料でもらえる空き家が危険かどうかは、「引き取ったあとに何が発生するか」を先に把握できているかで決まります。0円物件は売却市場で買い手がつきにくい事情を抱えていることが多く、取得後に費用や手間が膨らむと、安く手に入れた意味が薄れやすい点に注意が必要です。
引き受ける前に負担の芽になりやすいのは、次の3つです。いずれも記事後半の「トラブルを避けるための注意点」で、確認方法まで詳しく解説します。
| 確認項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 権利関係 | 相続登記が未完了でないか、共有名義で同意が揃うか、境界は明確か(所有権移転が可能か) |
| 建物状態 | 雨漏り・シロアリ・水回り・床下腐食など、住める状態に戻す工事が必要か |
| インフラと維持費 | 浄化槽の維持管理、凍結対策、ライフラインの基本料金、草刈りなど取得後の固定費 |
0円空き家を取得する際の手続きの流れ
無料でも所有権を移す以上、無償譲渡であっても、不動産の所有権移転に関する法的手続き(契約締結・登記申請等)が必要です。取得までの一般的な手続きは以下のとおりです。
📝0円空き家を取得するまでの流れ
物件情報の確認・現地内見
立地・建物状態・再建築の可否・境界資料の有無などをチェックします。
権利関係の確認
登記簿で名義人・相続登記の完了・抵当権の有無を確認します。
条件交渉・引き渡し範囲の決定
残置物の処分、修繕、固定資産税の清算など、負担の線引きを決めます。
契約書の作成・締結
譲渡契約書を作成します。不動産会社や司法書士に依頼すると安心です。
所有権移転登記の申請
所有権を移すため、司法書士に依頼して登記申請を行うのが一般的です。
引き渡し・ライフラインの名義変更
鍵を受け取り、水道・電気・ガスの契約名義や浄化槽の維持管理契約を整理します。
空き家をもらってくださいと言われても「0円」ではない?取得費用の総額
空き家が0円でも、実際に取得するためには複数の費用が掛かります。代表的な費用項目は以下のとおりです。
| 費用項目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 所有権移転登記にかかる税金。0円譲渡でも免除されない | 固定資産税評価額×税率 |
| 司法書士などへの報酬 | 契約書作成・登記申請の依頼費用 | 3万〜10万円(相続整理が絡むと10万〜20万円程度) |
| 仲介手数料 | 不動産会社を挟む場合 | 上限は(売買価格×3%+6万円)+消費税。800万円以下は双方から最大33万円(税込) |
| 不動産取得税 | 取得時に都道府県から課される税金 | 固定資産税評価額×税率(土地・住宅3%、住宅以外4%)※軽減措置あり |
| 贈与税 | 個人間の無償譲渡は原則もらう側に課税 | 評価額に応じて変動(みなし贈与に注意) |
| 片付け・リフォーム費用 | 残置物の処分や、住める状態に戻す工事 | 物件により大きく変動 |
とくに「登記」と「片付け・改修」は金額の振れ幅が大きいため、概算でも先に見積もっておくと安心です。
登録免許税
登録免許税は、所有権移転登記のときにかかる税金で、0円譲渡でも免除されません。課税のベースは売買価格ではなく、原則として固定資産税評価額です。「固定資産税評価額×税率」で算出され、税率は贈与による移転で2%(相続の場合は0.4%)。評価額が高い物件では、想定外の出費になることもあります。
仲介業者や司法書士などへの報酬
0円取得でも、契約書の作成や登記申請を専門家に依頼すれば報酬が発生します。登記は司法書士に依頼するケースが多く、目安は3万〜10万円程度。相続関係の整理が必要だったり書類が揃っていなかったりすると、10万〜20万円程度まで上がることもあります。
さらに不動産会社の仲介を挟む場合は、仲介手数料がかかります。宅建業法に基づく上限は「(売買価格×3%+6万円)+消費税」ですが、2024年7月の改正で、800万円以下の低廉な空き家等は売主・買主それぞれから最大33万円(税込)まで受領できるようになりました。
贈与税や不動産取得税
0円で譲ってもらう場合でも、税金が一切かからないとは限りません。注意したいのは、契約の形によって論点が「贈与税」と「不動産取得税」に分かれることです。
贈与税がかかるのは、個人から個人へ無償で不動産をもらう「贈与」のケースです。個人間の無償譲渡は原則として贈与とみなされ、対価が0円でも時価との差が著しければ「みなし贈与」として課税されます。事前の税額シミュレーションが欠かせません。
一方、不動産取得税は、売買・贈与を問わず不動産を取得したときに都道府県から課される税金です。0円でも所有権を取得すれば対象になり得ます。税額は「固定資産税評価額×税率」で、税率は土地・住宅が3%、住宅以外の建物が4%です(軽減措置あり)。
片付け費用やリフォーム費用
取得後に最も膨らみやすいのが、片付けとリフォームの費用です。残置物が多い家は処分費と作業費がかさみ、遠方なら立ち会いや手配の手間も増えます。リフォームも、内装の好み以前に雨漏り・シロアリ・水回り・断熱など「住める状態に戻す工事」が優先になりやすく、見た目以上に費用がかかります。
0円で空き家を入手する4つの方法

最近は、自治体の空き家バンクや民間のマッチングサービスが広がり、不動産屋以外にもさまざまなルートで空き家を見つけられるようになってきました。そこでここからは、0円で空き家を入手する代表的な4つの方法を紹介します。
| 入手方法 | 特徴 | 注意点・向いている人 |
|---|---|---|
| 空き家バンク・民間の空き家情報サイト | 自治体経由は移住支援や改修補助とセットのことも。民間は掲載数が多い | 補助条件が合えば資金援助の可能性。幅広く比較したい人向け |
| SNS・フリマアプリ | 早く手放したい所有者の物件が出やすい | 情報が断片的。登記確認・契約書作成を前提に動く |
| 所有者を調べて直接相談 | 放置物件は譲渡・活用の協議の余地が生まれやすい | いきなり「譲って」はNG。負担軽減の提案から。不動産会社の仲介も可 |
| 親族・知人から譲り受ける | 事情が見えやすく条件を相談しやすい | 口約束は禁物。契約書と登記、細部の条件も書面に残す |
空き家バンクや民間の空き家情報サイトを利用する
まず手軽なのが、自治体の空き家バンクや民間の空き家情報サイトのチェックです。物件を探しながら、空き家の相場や実情を把握できます。
自治体経由の物件は、移住支援や改修補助とセットのことがあり、条件が合えばリフォームや移住の資金援助を受けられる可能性があります。一方、民間サイトは掲載数の多さが魅力で、複数エリアを比較したい人や、0円だけでなく格安物件もまとめて見たい人に向いています。
SNSやフリマアプリで探す
SNSやフリマアプリは、「とにかく早く手放したい」所有者の物件に出会いやすいルートです。不動産会社を介さない掲載が多く、意外な掘り出し物が見つかることもあります。ただし情報は断片的になりやすく、検討に必要な材料が揃わないリスクには注意が必要です。
そのため、最初から「登記簿で名義と抵当権を確認する」「契約書は作る」「必要なら司法書士に入る」を前提に動くのが安全です。情報の粒度が均一でない分、現地確認・残置物の扱い・引渡し範囲・税金の負担といった条件は、念入りに確認しましょう。
所有者を調べて直接相談する
狙うエリアが決まっているなら、所有者への直接アプローチも有効です。近隣で空き家と知られる物件は、売るにも貸すにも動けず管理負担だけが残っていることがあり、譲渡や活用の協議の余地が生まれやすいためです。
ただし、いきなり「譲ってください」は警戒されがち。まずは「管理の負担を減らせる形を一緒に考えたい」というスタンスで丁寧に伝えるのが現実的です。自分で切り出しにくい場合は、不動産会社に仲介を頼むのもよいでしょう。
親族や知人から譲ってもらう
親族や知人からの譲渡は、相手の事情が見えやすく、条件の相談や内見・書類準備を進めやすいのが利点です。
ただし、身内だからこそ丁寧に進めないと「そんなつもりじゃなかった」とこじれることもあります。口約束で済ませず、契約書と登記はきっちり行うのが鉄則です。残置物の対応、引渡し前の修繕の有無、固定資産税の清算といった細かな条件も、後で揉めないよう書面に残しておきましょう。
空き家の譲渡でトラブルを避けるための注意点

最後に、空き家を譲り受ける際にトラブルになりやすいポイントを、「法律・登記」「契約」「建物」「費用」の4つの視点で見ていきます。
取得を決めてから慌てるのではなく、先に「揉める芽」を潰しておくだけでリスクはかなり下がります。0円譲渡は「安い=ラフに進めがち」になりやすいので、段取りは最初から堅めに組むのが安全といえるでしょう。
法律や登記のトラブル|所有権の確認と相続登記の完了
最も多いのは、そもそも法的に所有権を移転できない状態のケースです。口頭で合意できていても、登記名義が故人のままだったり、相続人が複数いるのに一部だけで話を進めようとすると、手続きは前に進みません。特に注意したいのは次のパターンです。
- 相続登記が未完了:名義が亡くなった親のままで、遺産分割協議も終わっていない
- 共有名義:兄弟など共有者がいて、全員の同意が揃わず話が止まる
- 抵当権・差押えが残存:ローン完済済みでも抹消登記がされていない
- 境界・通行権が不明確:私道の持分がない、越境があるなどで後から揉める
対策はシンプルです。まず登記簿(登記事項証明書)で名義と権利関係を確認し、相続が絡むなら相続登記を済ませてから譲渡手続きに入ります。相続人が複数なら全員の合意が必要なので、早めに「誰が関係者か」を洗い出しておくと詰まりにくくなります。司法書士に一度入ってもらうだけでも、必要書類と手順が明確になります。
契約のトラブル|専門家への相談と契約書の作成
多いのは、0円だからと口約束で進めて、あとから条件で揉めるパターンです。とくに残置物の処分・設備の故障・引き渡し後の修繕負担は、曖昧だと関係がこじれやすい論点です。0円でも契約書は作り、次の点を明記しておきましょう。
- 「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」を免責する特約の有無
- 残置物の扱い(誰が・いつまでに・どこまで処分するか)
- 引き渡し範囲(建物・敷地・附属物・境界資料など)
- 契約の形(売買か贈与か)
登記や税金にも直結するため、状況に応じて司法書士や不動産会社へ早めに相談すると、必要書類と段取りが一気に整理されます。
建物のトラブル|建物や周辺環境をしっかり確認
建物の問題は、取得後に発覚すると修繕費が一気に膨らむのが厄介です。内見では、後からお金が出やすい箇所のサインを優先して確認しましょう。具体的には、雨漏り跡、カビ臭、床の沈み、水回りの漏水跡や配管の劣化などです。
あわせて周辺環境も見逃せません。接道や車の出入り、隣地との距離感、越境物の有無は、住むだけでなく「貸す・売る」の出口に直結します。ここが弱いと0円で手に入れても活用の選択肢が狭まるため、現地で必ず確認しておきましょう。
費用や税金のトラブル|譲渡所得税や贈与税、維持費の確認
費用面のトラブルは、0円でも税金や維持費がかかることを甘く見ると起こります。個人から個人への0円の贈与では、原則として譲る側に譲渡所得税はかからず、もらう側に贈与税がかかります。譲渡所得税が論点になるのは、法人への贈与や負担付贈与、著しい低額譲渡など特定のケースです。取得費がゼロでも、税金は評価額や事情で判断されるため、安さだけで安心してはいけません。
さらに取得後は、固定資産税・火災保険・草刈り・浄化槽管理などの維持費がかかり続けます。大切なのは「取得費」ではなく、持ち続ける費用まで含めて回るかを見立てることです。迷うなら、税理士や自治体窓口に確認してから進めると詰まりにくくなります。
🏠0円の空き家譲渡に関するよくある質問
Q. 空き家を0円でもらえば、本当に無料ですか?
いいえ。物件価格が0円でも、登録免許税・不動産取得税・司法書士への報酬・片付けやリフォーム費用などがかかります。場合によっては贈与税も発生するため、取得後の総額を先に見積もることが大切です。
Q. 0円でもらうと税金はかかりますか?
個人間の無償譲渡は原則としてもらう側に贈与税がかかり、時価との差が大きいと「みなし贈与」として課税されることもあります。また、売買・贈与を問わず不動産取得税の対象にもなり得ます。
Q. 0円の空き家はどこで探せますか?
自治体の空き家バンクや民間の空き家情報サイト、SNS・フリマアプリ、所有者への直接相談、親族・知人からの譲渡などの方法があります。いずれの場合も、登記の確認と契約書の作成を前提に進めると安全です。
まとめ
空き家を無料で譲り受けられる機会は確かにありますが、大切なのは「引き取ったあとに無理なく管理・活用できるか」です。名義や相続、契約条件、建物の傷み、税金や維持費まで一つずつ確認して、はじめて本当に引き受けるべき物件かが見えてきます。0円物件ほど手続きを軽く考えがちなので、契約・登記・費用は丁寧に整理し、想定外の出費を防ぎましょう。
とはいえ、権利関係や税務、建物の再生まで、空き家の判断は多岐にわたります。「もらった(もらう予定の)空き家をどう活かせばいいか」「そもそも引き受けて大丈夫か」と迷ったら、一人で抱え込む前にご相談ください。
アキサポでは、これら士業の専門領域をワンストップで支援し、所有者負担0円での活用も提案しています。方向が決まっていない段階でも無料で相談できます。
この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。





