公開日:2026.07.23 更新日:2026.07.22
NEW国債とは?金利・利回りの仕組みや価格との関係、個人向け国債の注意点を解説
国債とは何かと聞かれた際に、金利や利回りの仕組みまで説明できるでしょうか?
国債は国が資金調達のために発行する安全性の高い債券ですが、これらの仕組みや購入者のメリットまでは分からない人もいると思います。
そこでこの記事では、国債の基本的な仕組みをはじめ、表面利率・利回り・市場金利の違いや、国債価格と利回りが「逆相関(一方が上がれば一方が下がる)」の関係になるメカニズム、金利変動が家計や投資に及ぼす具体的影響までを網羅的に解説します。
目次
国債の基本と種類

国債は、国が必要な資金を集めるために発行する債券であり「借用証書」のようなものです。国債を購入すると、国に対して一定期間お金を貸すことになり、その見返りとして利子を受け取ります。そして満期になると、国から元本が償還(返済)されます。
国債の特徴は、国が発行しているという信頼感と、購入時に満期時まで保有した場合の利益を見通しやすいという点にあります。
国債の種類には、半年ごとに利子が支払われ、満期時に元本が償還される「固定利付債」と、半年ごとの利子の支払いは行われずに、満期時に額面金額で償還される「割引国債」の2種類があります。
それぞれ複数の満期が設定されたものがあり、固定利付債は2年・5年・10年・20年・30年・40年が、割引国債は半年と1年の短期国債が発行されています。利子は最低0.05%の最低金利が保証されており、2026年現在は1%台のものが多いです。
国債投資で頻出する重要語句「表面利率」「利回り」「市場金利」とは
国債の金利を理解するためには、国債の仕組みと密接な関係にある以下の言葉の意味と違いを整理しておく必要があります。
- 表面利率(クーポン)
- 利回り
- 金利
これらは意味を混同しやすく、取り違えると国債の収益性や価格の動きがわかりにくくなってしまいます。また、ニュースで使われる「金利」は、国債そのものの利子を指す場合もあれば、市場全体の「金利水準」を指す場合もあります。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
表面利率(クーポン)とは
表面利率(クーポン)とは、国債の額面に対して、年にどれくらいの利子が付くかを示す割合です。たとえば額面100万円の国債で表面利率が1%なら、1年間に受け取れる利子は1万円です。
固定金利を選んだ場合は、購入後に表面金利が変わることはありませんが、個人向け国債の「変動10年」を選択した場合、適用利率は半年ごとに見直されます。この金利は、実務上「基準金利(募集時間帯に行われる10年固定利付国債の入札結果等をもとに算出される金利)に $0.66$ を掛けた数値」をベースに決定される仕組みです。世の中の金利上昇に合わせて受け取る利子が増える特約となっているため、インフレ局面における債券投資の標準的な選択肢となっています。
利回りとは:金利収入と売買損益を含めた収益率
利回りとは、購入価格に対してどれくらいの収益を得られるかを表した指標です。利子だけでなく、満期まで保有したときの償還差益や、途中で売却したときの売買損益も含めて考えます。
市場金利が上昇している局面では、過去に発行された国債が額面よりも安くなっている「額面割れ」の国債を、証券会社で購入できることがあります。これを満期まで保有すると、購入価格と額面金額の差額が利益となります。
たとえば額面100万円のものを95万円で購入できれば、満期時に額面との差額分を得られる可能性があります。反対に、額面100万円の国債を105万円で購入した場合、満期時には額面との差額分がマイナスになり、その分利回りは下がります。
市場金利とは:金融市場で適用されている金利
市場金利とは金融機関同士の取引に用いられる、金融市場における金利です。大きく分けて、1年以内の資金の貸し借りに関わる短期金利と、1年を超える場合に関わる長期金利があります。
市場金利と国債利回りの関係は、原則として「同じ動きを取る」という点にあります。国債利回りと市場金利はお互いに影響し合っており、市場金利が上昇すると国債利回りも上昇し、低下すると低下します。
たとえば国債利回りが上がると、金融機関や企業がお金を調達するときのコストも上がりやすくなります。その結果、住宅ローンや企業向け融資などの金利に波及することがあります。
国債の利回りシミュレーション(クーポン国債の場合)

国債の基本を説明したところで、実際にどの程度の利回りが見込めるのかシミュレーションしてみましょう。今回は半年ごとに利子が得られるクーポン国債の場合を例に挙げて見ていきます。
たとえば、以下のような国債があるとします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 額面金額 | 100円 |
| 満期時に返ってくる金額 | 100円 |
| 1年間に受け取る利子 | 1円 |
この国債を100円で買った場合、1円の利子を受け取れるため、利回りは単純に考えると1%です。
計算イメージは以下のようになります。
- 100円で購入した場合:1円 ÷ 100円 = 1%
同じ国債を95円で買えた場合は、1円の利子に加えて、満期時に100円が返ってくることで5円分の差益も見込めます。
- 95円で購入した場合:1円の利子 + 5円の差益 = 6円の収益
反対に、同じ国債を105円で買った場合は、額面との差額である5円分が差損となり、利回りはマイナスになります。
市場金利と国債の関係は?(価格下落・利回り上昇)
新しく発行される国債の利子が高くなるため、過去に発行された低い利子の国債は人気がなくなり、値下がりします。
新しく発行される国債の利子が低くなるため、過去に発行された高い利子の国債に人気が集中し、値上がりします。
市場金利と国債はシーソーのように逆の動きをします。まず市場金利が上がると、新しく発行される国債のほうが高い利子を受け取れるようになるため、すでに発行されている国債は価格が下がりやすくなります。
逆に市場金利が下がると、過去の高い金利で発行された債券が人気となり、国債の価格が上がりやすくなります。
たとえば、以前は年1%の利子が付く国債が一般的だったとして、その後に市場金利が上がり、年2%の利子が付く新しい国債が出たとします。この場合、多くの人が年2%の国債を選ぶことでしょう。そうなると、年1%の既存国債は買い手がつきにくくなり、発行された額よりも安く市場に出回ることになります。
| 市場金利の動き | 国債の価格 | 国債の利回り | 理由と市場の反応 | 具体例(年1%と2%の比較) |
|---|---|---|---|---|
| 上昇する | 下がリやすい(額面割れ) | 上昇する | 新しく出る高い利子の国債に人気が移り、古い国債が売られるため。 | 年2%の新国債が出ると、年1%の古い国債は人気がなくなり安く出回る。 |
| 下落する | 上がりやすい | 下落する | 新しい国債の利子が下がるため、過去の高い利子の国債に人気が集中するため。 | 新国債の利子が下がると、年1%の古い国債の価値が高まり値上がりする。 |
国債金利(長期金利)が変動する要因は?主な4つの要因

国債の金利は、国の信用力や金融政策、物価、海外金利、需給など複数の要因で動きます。金利が上がったり下がったりしたときは、どの要因が影響しているのかを分けて考えると理解しやすくなります。
ここでは、国債の金利に影響しやすい主な要因を見ていきましょう。
日銀の金融政策と政策金利
日銀の金融政策は、国債利回りに大きく影響します。政策金利が変わると、金融機関の資金調達コストが変化し、短期金利を中心に市場全体の金利へ影響が広がります。
また、日銀による国債買入れの方針も重要です。国債の買い手が増えれば価格は上がりやすくなり、利回りは下がりやすくなります。反対に買入れが減ると、需給の変化によって利回りが上がることもあります。
景気・物価(インフレへの期待)
景気や物価の見通しも、国債利回りを左右します。物価が上がると、将来受け取る利子や元本の実質的な価値が下がるため、投資家はより高い利回りを求めやすくなります。
景気が強いと、企業の資金需要や物価上昇への期待から金利が上がりやすくなります。一方で景気が弱いと、安全資産として国債が買われやすくなり、価格上昇を通じて利回りが下がることがあります。
信用リスクと国の財政への見方
国債は比較的安全性の高い金融商品とされていますが、投資家は国の財政状況や将来の税収、政治の安定性なども見ています。返済能力への不安が高まると、その分だけ高い利回りが求められます。
このように、リスクに応じて上乗せされる利回りを「リスクプレミアム」といいます。財政への見方や市場の安心感が変わると、国債の価格や利回りにも影響が出ることがあります。
為替・海外金利・需給(入札・買い手)
国債市場は、国内の事情だけで動くわけではありません。海外金利が上がると、より高い利回りを求めて資金が海外へ向かいやすくなり、日本国債の需要にも影響することがあります。
また、為替の動きや国債入札の結果、銀行・保険会社・年金基金・海外投資家などの買い手の需要も利回りに関係します。買いたい人が多ければ価格は上がりやすく、利回りは下がりやすくなります。
国債の金利を見るときの注意点

国債の利回りを見るときは、同じ利回りでも、満期まで持つのか、途中で売るのか、税金を差し引いた後かなど、利回り以外の部分にも着目することが大切です。
また、固定金利・変動金利・個人向け国債など、商品タイプによって金利変動の影響や中途換金の条件も異なります。ここでは、国債の金利を見るときに確認したい注意点を説明します。
満期まで持つ場合と途中売却する場合の違い
国債を満期まで保有する場合は、受け取る利子と満期時に返ってくる金額を見通しやすくなります。途中で価格が変動しても、満期まで持ち切るのであれば、売却による損益は基本的に発生しません。
一方で、途中売却する場合は市場価格で売ることになるため、金利変動の影響を受けます。金利が上がった後は国債価格が下がりやすく、売却時に損が出ることがあります。反対に金利が下がった後なら、価格上昇によって利益が出る可能性もあります。
税金(利子・譲渡益)と手取り利回り
国債の利子には税金がかかるため、表示されている利回りがそのまま手取りになるわけではありません。途中で売却して利益が出た場合も、譲渡益に対して課税されることがあります。
そのため、預金や社債、投資信託などと比較するときは、税引前ではなく税引後の手取りで考えることが大切です。同じ年1%の利回りでも、税金を差し引くと実際に受け取れる金額は少なくなります。
固定金利国債・変動金利国債・個人向け国債の違い
| 国債のタイプ | 金利の特性 | 金利変動による価格への影響 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 固定金利国債 | 発行時の利率が満期まで一定 | 金利上昇で価格下落、金利低下で価格上昇 | 将来の収益が見通しやすい |
| 変動金利国債 | 半年ごとに適用利率が見直される | 固定金利に比べ価格変動リスクが低い | 金利上昇局面で受け取る利子が増える |
| 個人向け国債 | 固定(3年・5年)または変動(10年) | 中途換金時の元本割れなし(国が買い取る) | 最低金利0.05%保証、少額(1万円)から購入可能 |
固定金利国債は、発行時に決まった利率が満期まで原則変わらない国債です。金利が上がると価格は下がりやすく、金利が下がると価格は上がりやすいという特徴があります。
変動金利国債は、参照する金利に応じて受け取る利子が見直される仕組みです。固定金利国債に比べると金利変動の影響を受けにくい面がありますが、どの金利にどう連動するかは商品ごとに確認する必要があります。
個人向け国債は、一般の投資家が購入しやすいように設計された国債です。少額から購入できるほか、固定3年・固定5年・変動10年などのタイプがあります。最低金利保証や中途換金の条件もあるため、利回りだけでなく、保有中の使い勝手も含めて選ぶことが大切です。
よくある質問
まとめ:国債は金利・利回り・価格の関係を理解して選ぼう
国債は仕組み自体はシンプルですが、金利や利回り、価格の関係まで含めて見ると理解しやすくなります。特に、表面利率と利回りの違い、価格と利回りが逆に動くことは、国債を知るうえで押さえておきたいところです。
また、国債は満期まで保有するのか、途中で売却するのかによって注意点が変わります。表示されている利回りだけで判断せず、税引後の手取りや商品タイプ、中途換金の条件もあわせて確認しておくとよいでしょう。
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この記事の監修者
白崎 達也 アキサポ 空き家プランナー
一級建築士
中古住宅や使われなくなった建物の再活用に、20年以上携わってきました。
空き家には、建物や不動産の問題だけでなく、心の整理が難しいことも多くあります。あなたが前向きな一歩を踏み出せるよう、心を込めてサポートいたします。